【ツール・ド・フランス】発表されたばかりの新型クライミングバイクが選ばれない。

選手に選ばれない新型

ツール・ド・フランスの山岳ステージにおいて、純粋なクライミングバイクの存在感がさらに薄れている。その象徴的な例が、バーレーン・ヴィクトリアスが使用するビアンキの新型『スペシャリッシマ』の動向だ。

同車はビアンキ史上最軽量(55サイズでフレーム重量750g)で、前作比で16W空力性能が向上したフラッグシップ・オールラウンダーとして今年リリースされたばかりだ。しかし、ピレネーの難関トゥルマレ峠を含む山岳ステージにおいて、大半の選手が選択したのはエアロロードの『オルトレ(55サイズでフレーム重量815g)』であり、新型スペシャリッシマが投入されたのは第6ステージのダミアーノ・カルーゾによる1回だけだった

これはビアンキ固有の問題でもある。スペシャリッシマの重量750gと空力性能のバランスは、現在の他社トップモデル水準と比較して、プロの要求に一歩届いていないというブランド固有の技術的ディスアドバンテージを露呈している側面が強い(例えば空力に優れたTarmac SL9は700gを切る)。
公称値ベースにおいて、エアロロード『オルトレ』とオールラウンダーの『スペシャリッシマ』の完成車重量差は50g程度しかなく、空力に優れたオルトレを選択した方が、総合的なアドバンテージは高くなる。

TdF2026 バイク一覧

チームブランドエアロクライミング
UAE Team Emirates-XRGColnagoY1RsV5Rs
Team Visma | Lease a BikeCervéloS5R5
Red Bull-BORA-hansgroheSpecializedS-Works Tarmac SL9
S-Works Tarmac SL9 / Aethos
Lidl-TrekTrekMadone SLR Gen 8Madone SLR Gen 8
Soudal Quick-StepSpecializedS-Works Tarmac SL9
S-Works Tarmac SL9 / Aethos
Netcompany INEOSPinarelloDogma FDogma F
Movistar TeamCanyonAeroad CFR (2026 update)Ultimate CFR
Bahrain VictoriousBianchiOltre RCSpecialissima RC
EF Education-EasyPostCannondaleSuperSix EVO LAB71SuperSix EVO
Decathlon CMA CGMVan RyselRCR-FRCR Pro
Alpecin-Premier TechCanyonAeroad CFRUltimate CFR
Groupama-FDJ UnitedWilierFilante SLR ID2Verticale SLR
Lotto-IntermarchéOrbeaOrca AeroOrca
NSN Cycling TeamScottFoil RCAddict RC
Team Jayco AlUlaGiantPropel Advanced SLTCR Advanced SL
Team Picnic PostNLLapierreXelius DRSXelius DRS
Uno-X MobilityRidleyNoah Fast 3Falcn RS
XDS Astana TeamXDS / X-LABAD9AD9 / RX
Tudor Pro CyclingBMCTeammachine R 01Teammachine SLR 01
Pinarello-Q36.5PinarelloDogma FDogma F
CofidisLOOK795 Blade RS
795 Blade RS / 785 Huez RS
Team TotalEnergiesCubeLitening Aero C:68XLitening Air C:68X
Caja Rural-Seguros RGAMMR BikesAdrenaline SL
Adrenaline SL / Grand Tour

エアロとクライミングで異なるバイクを登録していても、実際の現場ではエアロロードが選ばれるケースが多い

ただ、ほかのチームを見渡してみても、全体の5割程度が、Tarmac SL9、Dogma F、Madone SLR、SuperSix EVO、Y1RSなどの統合型オールラウンダーに乗るし(MadoneやY1RSはエアロロード区分だが、軽量化が進んだ結果オールラウンダーとしての役割を兼ねる)、オルトレだけでなくAeroad CFRやX-LAB AD9のようなピュアエアロロードがステージ通して使用されるケースも多いのが現状だ。

従来はエアロロードとクライミングバイクを2台用意することが当たり前だったが、選手側に乗り換えたときの違和感を生じさせるだけでなく、メカニック側のメンテナンスコストや輸送コストが倍以上に膨れ上がるという問題もあった。

もしUCIが重量制限6.8kgを引き下げれば、クライミングバイクとエアロバイクの分化が再び起きるかもしれないが、現行ルールが続く限りは、クライミングバイクの存在はより儚いものになるしか道はない。

*参考
Tour de France 2026 Bikes: The Machines of All 23 Pro Teams(LAPERO)
No One Wants to Race on a Climbing Bike at the Tour de France(VELO)

著者情報

TatsTats Shimizu@tats_lovecyclist
編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴12年。海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。同時にフォトグラファーとして国内外の自転車ブランドの撮影を多数手掛ける。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。