
まだ国内では馴染みが薄いかもしれないが、ドイツの『uvex(ウベックス)』が、世界のレースシーンやスタイルの最前線で存在感を増している。
スプリントで世界を沸かせたギルマイをはじめとするプロ選手が着用し、Instagramでは欧州のトップインフルエンサーたちがスタイリングに取り入れる。
パフォーマンスとデザインで一歩先を走り始めた、uvexの最新ヘルメットとアイウェアを詳しく見ていく。
モデル
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Anna(@annannanna1002) 走ることが大好きで、休みのたびにさまざまな山に遠征。思い立ったら日帰りで磐梯吾妻スカイラインに行くほど行動力に溢れる。道中はずっと喋っている。ジャンル問わず洋楽メインのフェスが好物。 |
Acchan(@omochi68) 父親がトライアスロンを趣味にしておりその影響で2021年から自転車を始める。普段は荒川沿いなどでカフェ巡りをしたり、ヒルクライム好きで富士ヒルに出場したりと、自転車を幅広く楽しむ。 |
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Takuya(@takuya.116) MAGNETに頻繁に出入りしていることから、MAGNET従業員ではないかと疑われていたが、最近は野球観戦に精を出していたためその疑いは晴れている。ビールと野球が大好きな愛されキャラ。 |
Tats(@tats_lovecyclist) 編集長&フォトグラファー。海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行う。同時にフォトグラファーとして国内外の自転車ブランドの撮影を多数手掛ける。 |
text & photo / Tats(@tats_lovecyclist)
*本レビューのヘルメットおよびアイウェアの一部はUVEX SPORTS JAPAN提供のものです。
Contents
なぜ今uvexなのか

『uvex(ウベックス)』は1926年創業と歴史が長い。スキーゴーグルの製造からはじまり、そのブランド名は、レンズの品質シール“Ultra Violet Excluded(紫外線除去)”の略称に基づく。
スキー、スノーボード、サイクリングといったスポーツ分野のプロテクション製品を製造しているが、中でもスキー分野では存在感が大きい。冬季オリンピックでの活躍を含め、トップブランドの一角を占めていることは、ウィンタースポーツを好む方ならよく知ることと思う。
そして長い歴史と優れた機能の上に、サイクリングの分野でも、今このタイミングで「選ばれる理由」が重なってきている。
スキーと同様、自転車のプロダクトは、レースの世界での活躍がその機能と信頼性の裏付けになる。
uvexは2014年チーム・ジャイアント・シマノのサポートを最後にワールドツアーから撤退し、しばらくトップレースの世界で見かけることがなかった。しかし8年の空白のあと、2023年にアンテルマルシェ・ワンティとのパートナーシップで復帰することになる。
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uvexで勝利したギルマイ
同チームがuvexを着用するようになった翌年、ビニヤム・ギルマイがツール・ド・フランスの第3、8、12ステージでステージ優勝し、マイヨ・ヴェールを獲得する(アフリカ出身黒人選手として初のツールのステージ勝利と、特別ジャージの獲得)。この大活躍によって、uvexはレースの世界で鮮烈な印象を残すことになる。
同じタイミングで、Julia SchulerやLuis Oesrtelをはじめとする欧州のトップインフルエンサーたちが、uvexのアイウェアやヘルメットを日々のスタイリングに取り入れ、ライフスタイルの中でその魅力を発信するようになった。
uvex本国の優れたマーケティング活動によって、レースシーンの活躍と一般サイクリストへの浸透が同時に波及しているのが現状だ。
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トップインフルエンサーのJuliaはSweet Protectionからuvexへ
歴史と品質、レースでの実績、そして現代的なスタイル。そのすべてが交差する今、uvexは最も注目すべきブランドとなっている。
surge aero MIPS:勝利を支えるエアロヘルメット

surge aero MIPS(¥44,000)
『surge aero MIPS(サージ・エアロ・ミップス)』は今のuvexを代表するヘルメットであり、このモデルなしでは今のuvexは語れない。
アンテルマルシェ・ワンティと共同開発し、実戦を通じて完成されたフラッグシップモデル。ツール2024年の第3ステージでビニヤム・ギルマイがこのモデルを着用してスプリント勝利を収めたことにより、単なるエアロヘルメットではなく、「勝利の証」としての説得力を手にした(国内では2025年から発売開始となった)。


その特徴は、流れるようなエアロシェイプと、風を流すベンチレーション設計にある。形状はコンパクトでありながら、グラフィカルに分割された2層構造のデザイン。今までにない形状に心躍る。プロテクションギアという枠を超えて、スタイルアイテムとしての完成度を高めている。

KPLUSのヘルメットなどにも使われるインナーパッド「MIPS Air Node」を搭載

エアロカバーが着脱可能になっている。外したカバーはかさばるので持ち運びできない。付けたままエアロ効果を狙うか、外して通気性を求めるか、ライドの用途によって付け替える。

カバーを外すと通気性は高まるが、見た目はカバーを付けたままのほうがスッキリしている。重量はカバー装着時で350g、未装着で280gとなるが、装着時でもフィット感が良いためそれほど重量は負担にならない。

←ホワイトマット | ブラックマット→

ブラックはエアロカバーによりグロスとマットの2トーンになり、落ち着きのある表情が生まれる。

ホワイトのピュア感と最先端のエアロ形状が重たさを感じさせず、クリーンで未来的な印象を生み出す

どの角度から見ても無駄がなく、スタイルとしての完成度は、ヘルメットというカテゴリを一段階引き上げている。
surge aero MIPS
カラー展開 | 5色 |
サイズ | 56-59cm / 59-61cm |
重量 | 280g / エアロカバー装着時350g 305g / エアロカバー装着時385g |
安全基準 | CE EN1078、JCF公認 |
価格(税込) | ¥44,000 |
uvexヘルメットのフィット感

uvexを検討するときに注意したいのが、形状が欧米寄りの楕円形ということ。
OGKやKPLUSなどのアジアンフィットを好むサイクリストよりも、GIROやSweet Protectionなどのユーロフィットが合うサイクリストにマッチしやすい。
本稿で着用しているサイクリストたちは皆uvexがぴったりフィットしたことから選んでいる。気になる方はぜひ一度ワイズロードなどの取扱店で試着してほしい。
pace stage small V / CV:機能美が際立つアイウェア

アイウェア『pace stage』シリーズは、ヘルメット『surge aero』との相性が完璧だ。セットアップすることで優れたスタイルを生み出す。

pace stage CV(¥19,800)
レンズのバリエーションも豊富で、ベースとなるCVモデル『pace stage CV』は、カラーバリュー(Colorvision)技術によってコントラストを強調し、路面の凹凸や段差、グラデーションをくっきりと浮かび上がらせる。クリアで非常に視やすい。

pace stage small V(¥33,000)
顔の小さいAnnaが着用するのは、スモールレンズと調光を組み合わせたモデル『pace stage small V』。小顔の方に合うようにレンズの高さが抑えられた特別なデザインとなっている。

調光レンズの濃淡の変化幅は広く、日中は眩しさを抑え、夜間では裸眼に近いほどクリアになる
いずれのモデルも、フレームは軽量で顔にしっかりとフィットし、ライド中のズレや不快感がない。

直線的なラインは、スタイルにシャープな統一感をもたらす
レンズからテンプルに至るまで、全体が直線と面で構成された幾何学的なデザイン。そのフォルムは、どこか都市的で無駄のないテクノロジーを感じさせ、プロダクトとしての機能美が際立っている。
rise cc WE:取り入れやすい女性用ヘルメット

rise cc WE(¥18,700)
『rise cc WE』は、女性の頭部形状に合わせて設計された女性用モデル。フィット感が細やかで、軽量なため、日常のライドで疲れにくい。

形状はミニマルで主張しすぎず、ウェアやアイウェアと自然に馴染む。スポーツヘルメットにありがちな無骨さがなく、スタイルとして取り入れやすいのが大きな魅力。

¥18,700(税込)という価格も、はじめてのヘルメット選びにおいて選択肢に入れやすく、「見た目にこだわりたいけれど、性能にも妥協したくない」という女性サイクリストに適している。

rise ccを着用するAcchanは、頭が非常に小さく、フィットするヘルメットが限られていた。rise ccは女性用モデルと言われるだけあって、ちゃんと頭に合うモデルに出会えたと感じている。
rise cc WE
カラー展開 | 2色 |
サイズ | 52-56cm / 56-59cm |
重量 | 260g / 290g |
安全基準 | CE EN1078、JCF公認 |
価格(税込) | ¥18,700 |
信頼性と最新スタイルを選ぶ。


uvexは、長年にわたりプロテクションギアとしての信頼を積み重ねてきたブランドだ。その根底にあるのは「守る」ことへの徹底したこだわりであり、プロダクトひとつひとつにその哲学が息づいている。
実際にヘルメットやアイウェアを使ってみると、着け心地、快適性、視認性といった機能面の完成度が高く、それでいて全体のシルエットはどこまでも現代的で洗練されている。
スポーツギアとしての信頼性と、“Instagram的”なスタイルアイテムとしての美しさを同時に求めるライダーにとって、uvexは現時点で数少ない理想的な選択肢となっている。
日本ではまだsurge aeroの展開が始まったばかりだが、これからさらにuvexを使うサイクリストの輪は広がっていくだろう。


text & photo / Tats(@tats_lovecyclist)