ラブサイメンバー、新しいロードバイク/グラベルバイクを買う。〈Part1〉

新車を買うのはワクワクする。人が新車を買うのを見るのもワクワクする。なぜそれを選んだ?どんなパーツ構成?どんな乗り味?人のこだわりを見るのってむちゃくちゃ楽しい。
ここ1年は、ラブサイメンバーで新車購入の波が来て、15人が新しいバイクになった。それぞれのストーリーを見ていこう。

Edit & Photo / Tats@tats_lovecyclist

BMC Teammachine R 01(Wataru)

仙台を拠点とするWataruが選んだのは、BMCとRed Bull Advanced Technologiesが開発したフラッグシップロード『Teammachine R 01(チームマシンR 01)』。

これまでは『DOGMA F8』『DOGMA F12』と長くPinarelloユーザーだったが、ディスクに移行するタイミングでほかのブランドを検討していた。

さまざまなモデルを試乗していく中で、DOGMAの加速感や反応性、ハンドリングの良さに一番近いと感じたのが、BMCのTeammachineシリーズだった。ただ、当時試乗した『Teammachine SLR』は2020年発売だったため、ところどころ古さを感じて購入には踏み切れずにいた。

そんな折、新モデル『Teammachine R』が2024年に発表される。最新のトレンドを詰め込んだエアロロードに強い魅力を感じた。
最終的な決め手は“Red Bull Advanced Technologiesとの共同開発”というロマンしか感じないワード。Red Bullをほぼ毎日飲んでいる生粋のレッドブラー(自称)には見逃せないポイントだったため、迷わずすぐに発注した。

コンポーネント構成

グループセット Shimano Ultegra R8170 Di2 12s
ホイールセット ENVE SES 4.5
タイヤ(幅) MAXXIS HighRoad TR(28C)
ハンドルバー ICS Carbon Aero Cockpit(ステム一体型)
バーテープ Burgh Cycling / Domestique BarTape
シートポスト Teammachine R 01 Premium Carbon Seatpostn10mm Offset
サドル Selle Italia SLR Kit Carbonio
重量 *ペダル込 7.4㎏

“海外プロ選手が乗るようなバイクポジションで、誰が見てもイケてるバイク”を目指して組んでもらった1台。
サドルなどは長く使い慣れたモデルを選びつつ、フレームの色に合わせて無駄な色はなるべく入れないようにパーツを選定し、全体的に白と黒で纏めている。

ギア比はフロント54-40Tリア11-34T
ビッグギアは正義だと思っているので、何も考えずこのギア比をセレクトしたが、どんなシーンでもかかりが良い。個人的にはフロント52-36T、リア11-30Tのギア比より好みだった。やはりデカさは正義。デカけりゃデカいほどカッコいい。

ミッフィーは一番のお気に入りポイント。どんなにキツくてもミッフィーの泣き顔を見れば頑張れる

真っ白なハンドルは今まで使ったことがなく、“個人的に黒以外のハンドルはなし”と思っていたが、実物を見ると真っ白というより若干青みがかった白だった。トップチューブの色も統一されており、かなり綺麗で気に入っている。

タイヤはMAXXIS HIGH ROAD TR 28C。DOGMAに乗っていた時から使っていたお気に入りのタイヤ。オフロード上がりのブランドなので、濡れた路面やコーナーでのグリップが抜群に良い。Continental GP5000シリーズも愛用しているが、転がりの良さもほぼ差を感じないくらいよく走るタイヤ。

ホイールは当初「DURA-ACE C50」を履かせていたが、やはりENVEが欲しくなり「SES 4.5」に買い替えた。硬くて回る感覚がすごく楽しい。

Teammachine R 01インプレッション

加速:初期加速は漕ぎだしの重さは感じず、35㎞/hまでスムーズに加速する。40㎞/h以降になると、とにかく速度が伸びる印象。特にダウンヒルは圧倒的に早く、脚を止めていてもどんどん加速していく。

ヒルクライム:エアロロードだが登れる印象。3%~7%くらいの斜度であれば速度も落ちづらい。10%以上の勾配は少し後ろに引っ張られる感覚がある。

ハンドリング:特にネガティブに感じる部分もなくニュートラルな印象。納車前に一番気にしていた一体型ハンドルは、ハンドル幅がブラケットで360㎜、下ハン420㎜と特徴的ではあるが、意外にも狭さは感じず、違和感なく使うことができた。
普段からブラケットを持ってエアロポジションで走ることの多い自分にとっては、自然と脇が締まり、より自然に低い前傾姿勢を取れるようになったので好印象。

快適性:フレーム自体の快適性はあまり良いとは言えない。タイヤ幅と空気圧次第では多少は乗り心地がマイルドになる。

総評:とにかく速いレーシングバイクだと感じている。レーサーにはもちろんオススメしたいが、レーサー以外のサイクリストにも機会があればぜひ乗ってバイクの性能を感じてもらいたい。
フレームセットの価格は非常に高価でネックにはなるが、乗れば風を切り裂いて進む圧倒的なスピード感と、塗装はシンブルではあるが各所の造形美を感じることができ、乗っても眺めても楽しめるモデルだと感じている。

レッドブラーにとってオンリーワンなTeammachine

BMC Teammachine R01(公式サイト)

Anna
Wataru – ワタル | 仙台
広告代理店勤務。レースに向けて過酷なトレーニングライドをしたり、愛車のJEEPとドライブしたり、息をするようにXで日々の思いをつぶやいたり、常にアクティブ。
BMC Teammachine R01
@watastagram178

 

Specialized S-Works Tarmac SL8(Anna)

行動力溢れるAnnaが選んだのは、Specialized(スペシャライズド)のフラッグシップレーシングモデル『S-Works Tarmac SL8(ターマックSL8)』。

もともとPinarello『GAN RS』(リムブレーキ)に乗っていたが、サイズが大きく、ポジションがイマイチしっくり来ていなかったことが長年の悩みだった。時代もディスクブレーキに移行していたため、なんとなく新しいディスクモデルが欲しいなと思っていた。

GAN RS時代のAnna

そんなふわっとした願望だったため、特定のモデルの購入意思もなかったが、富士ヒル2024前日のEXPOに出展していたスペシャライズドのブースで、軽い気持ちでSL8を試乗してみた。軽い気持ちだったはずなのに、すべての点で一目惚れしていて、気づいたら購入していた。

コンポーネント構成

グループセット SRAM Red eTap AXS D1
ホイールセット Roval Rapide CLX II
タイヤ(幅) S-Works Turbo Rapidair 2BR(26C)
ハンドルバー Roval Rapide Cokpit (ステム一体型)
バーテープ SUPACAZ Super Stiky Kush
シートポスト S-Works Tarmac SL8 Carbon seat post
サドル S-Works Power
重量 *ペダル込 7.2kg

完成車購入後から大きな変更点はない。それほど構成のバランスが取れていると感じられる。

マットホワイトの塗装が美しい。汚れやすいので購入後にコーティングを施している。全体的にマットホワイトを基調としたシンプルなフレームと、Roval Rapide CLXの組み合わせが今の私の気分だった。

初めてのSRAM 12速だったが、操作にはすぐ慣れて、ギアの選択幅が広がったことも嬉しい。

S-Works Tarmac SL8インプレッション

加速:Tarmacの名を冠しているだけに初期加速は非常に素晴らしいし、速度維持が容易。35km前後から40kmに乗せるときも、パワーを掛けるとスムーズに加速してくれる点も◎。

ヒルクライム:Rapide CLX IIの重量が1500g前後あり、昨今のトレンドからは少し重めのホイールにも関わらず、バイク自体のトータル重量が軽量のため、軽快なヒルクライムができる。ただ8〜9%以上の斜度が続くような斜面では、ミドルハイトの軽量ホイールの方が良いと感じる場面も。

ハンドリング:軽快でとても楽しい。これまでのTarmacでもダウンヒル時に自分の取りたいルートをしっかりトレースできたが、更に磨きが掛かっている印象。しかし下りは無限に加速するかのようで、スピードコントロールが重要に。

総評:平坦良し、ヒルクライム良し、200km前後のライドも良し。ホイールがチューブレスレディ対応のため、低圧運用が可能な点も含めて、総合力最強の1台になった…!

一目惚れするほどイケメンなバイクは総合力も最強

S-Works Tarmac SL8(公式サイト)

Anna
Anna – アンナ | 東京
走ることが大好きで、休みのたびにさまざまな山に遠征。思い立ったら日帰りで磐梯吾妻スカイラインに行くほど行動力に溢れる。道中はずっと喋っている。ジャンル問わず洋楽メインのフェスが好物。
Specialized S-Works Tarmac SL8
@annannanna1002

 

Canyon Aeroad CF SLX(Masayuki)

MasayukiとCanyon Aeroad CF SLX

坂道の探求者Masayukiが選んだのは、2024年に第4世代へと進化したCanyon(キャニオン)の『Aeroad CF SLX(エアロード)』。これまで同Canyonの『Ultimate』を所有していたが、次に買うなら流行りのエアロロードで、色は絶対に白と決めていた。

Ultimate時代のMasayuki。同じCanyonからの乗り換えとなる

他社の同グレードのエアロ系ロードをいくつか試乗した中で『Aeroad』を選んだのは、一番エアロ性能の良さを実感できたことと、タイミング良く好みの色が発売されたことが決め手となった。

コンポーネント構成

グループセット Shimano 105 R7150 Di2 12S
ホイールセット HUNT 50 Carbon Aero Disc SL
タイヤ(幅) iRC JETTY PLUS(28C)
ハンドルバー Canyon CP0048(ステム一体型)
バーテープ Canyon Ergospeed Gel
シートポスト Canyon SP0077
サドル MIXED 7D Full Carbon Saddle Pack Light
重量 *ペダル込 7.9kg

幅広なフォークやゴツいBB周り

投影面積で見るとこの薄さ…!全体的にエアロ全振りなフレーム

フレームカラー名はクリスタルホワイト。近くで見るとラメラメなホワイトでとても綺麗。

ホイールはUltimate時代から引き続きHUNTを使用。タイヤはMasayukiイチ押しのJetty Plus。マジでいい。

新しくなったステム一体型ハンドルは、コラムカット不要でハンドル高調整可能。さらにハンドル幅の変更も容易。ハンドル高も幅も簡単に変更して試せるので、完成車でも自分に合ったポジションを見つけられる。

各部ボルトがT25に統一され、スルーアクスル回しはT25トルクスになる。性能面以外でAeroadが素晴らしいと感じるのが、整備性の高さ。直販モデルだから、ユーザーや提携ショップにメンテナンスの手間を最小限にする工夫がなされている。

ハンドル部の交換作業性も大幅に向上した。剛性感もちょうど良い

Aeroad CF SLXインプレッション

加速:初速はグループライドで周りと比べて反応が遅れることもなく、とてもスムーズに加速する印象。Ultimateのときは35km/h前後でもそこそこ頑張って踏んでたように思うが、Aeroadになってからは35km/hくらいなら気づいたら出ている速度になっている。40km/hを超えてからも維持が楽で、風を切り裂くような感触がとても素晴らしい。
ホイールはUltimate時代のものを引き続き使用しているので、この違いはフレームのエアロ効果が大きそう。

ヒルクライム:多摩の連光寺くらいの4〜6%の緩斜面は、圧倒的にUltimateよりも速い。乗り換えて初めて走った連光寺のセグメントで、信号ストップがあったにも関わらず10数秒も自己ベストを更新できてびっくり。
明神三国峠のような比較的長めの急勾配な場所でも、リア34Tのおかげでケイデンスを維持できて、結果タイムを大きく更新できている。

ハンドリング:Ultimateと比べて重心が下がっているからなのか、走っていて安心感がある。

快適性:乗り換えてすぐに600kmブルベも走ったが、衝撃吸収性能が良いのか、手の疲れ方がだいぶ楽に感じた。
また、ハンドル幅が3段階に調節可能なので最短の370mmにしているが、とてもしっくりきていて快適。エアロードは硬いという声を聞いていたが、その辺りは良くわからず(笑)。

最新モデルのエグいエアロ効果をライドのたびに堪能している

Canyon Aeroad CF SLX(公式サイト)

Masayuki
Masayuki – マサユキ | 神奈川
Black Sheep Cyclingアンバサダー。富士ヒルシルバーリング獲得、エベレスティング、Vエベレスティング達成などの実績を持つ。最近はブルベにもハマり、2023年にはSR獲得。普段のライドでも変態的に坂道・裏道を追い求めるため、距離と獲得標高が超人的になりつつある。
Canyon Aeroad CFR
@stumsky

Part2へ続く