最初はピチピチしたサイクルウェアに抵抗がある人も、一度着てしまえばそのメリットがよくわかり、ウェアが手放せなくなります。
なぜあれほど世間から気持ち悪いと言われる専用ウェアをサイクリストたちはためらいもなく着られるようになるのか。君たちはいい年して体のラインを出して恥ずかしくないのか。
その本質を解明し、最適なウェアを見つけられるようにするのが本稿の目的です。
Contents
1. サイクルウェアのメリット
① パフォーマンス視点
まずサイクルウェアを着ることによるメリットとして、スポーツウェアならではの機能的観点があります。
スピードアップ(空気抵抗減)
体に張り付くようなシルエットのサイクルウェアは空気抵抗が大幅に減るため、初心者でも巡航スピードが1〜2km/h変わることが実感できます。いかに私服のバタつきが抵抗を生んでいたかがわかるはず。
足の動きを阻害するものもないので、ペダリングもしやすくなり、全体的なスピードアップが期待できます。
快適性の向上
サイクルウェアは組み合わせることで気候や体温の変化に対応しやすくなっているので、汗を大量にかいたときや気温が急激に変わったときなどに調整が効きやすくなります。
またレーパンと呼ばれるパッド付きパンツは、ロードバイクの硬いサドルからお尻の痛みを守ってくれます。
ポジションの出しやすさ
ロードバイクの前傾ポジションは日常生活ではとることのない無理がある姿勢です。しかしサイクルウェアはそのポジションを前提として断裁・縫製されているので、楽に前のめりになることができます。
逆に私服のままだと、いつまでも深い前傾ポジションに慣れることができません。
バックポケットによる収納力アップ
サイクルジャージに付いているバックポケットは見た目以上に何でも入ります。財布・スマホ・補給食などサイクリングに必要なものを一式入れられるため、身軽な状態で走ることができます。
これに慣れると、バッグを背負ってサイクリングすることが苦になってしまいます。
② ファッション視点
ウェアは機能性だけでなくファッション性においても2つの観点からメリットがあります。
ライドルックがスタイリッシュになる
ツール・ド・フランスやオリンピックで走っているプロ選手がかっこ良く見えるように、サイクルウェアはロードバイクに乗っているときに最もスタイリッシュに見えるようにできており、それもサイクルウェアを着る大きなメリットです(乗っていないとき微妙な点は目をつぶりましょう)。
ただし、ウェアを着てスタイリッシュであるためには、いくつかの条件があります。
- ・スタイルがある程度良いこと
- ・筋肉が一定以上ついていること(男性)
- ・バイクのフィッティングが正しいこと
- ・フォームやペダリングが美しいこと
- ・清潔感があること
・体型にあったウェアを着ていること
サイクルウェアを着るからには、これらを目指していければベストです。
ライドスタイルが可視化できる
もう一つはあくまで傾向ですが、ファッションがその人となりを表すように、着用しているサイクルウェアのブランドやシルエットで、その人がどういったライドを好むかが判断できます。
- ・レースフィットなのか/カジュアルフィットなのか
- ・ノーマルブランドなのか/ハイブランドなのか
- ・新しいか/着古しているのか
こういった指標から自分と似たウェアの着こなし方をしている人とはライドスタイルや性格が合う傾向があります(だからラファ乗りとパール乗りは相容れなかったりとか)。
さらにウェアと筋肉の付き方や日焼け具合で走り方がだいたい見えてきます。初めて一緒に走る人などが「貧脚です」と言ったときに謙遜なのか本当なのか何となくわかるはず。
またウェアはよく一緒に走る人や所属するチームのカラーに影響されやすいので、新しくチームに入った異質な人が、次第に馴染むうちに着るものが均質化していくのも面白いです。
こうやってファッションで同質性が判断でき、自分に合ったチームやグループが見つけやすくなるという点もウェアを着るメリットとなります。
2. 最適なサイクルウェアの選び方
はじめてのサイクルウェアはどのようなものを選んだら良いか悩みます。
(僕は初めて買ったウェアを着て2回目のライドで、同じものを着ている人を見かけて以来、ウェア選びを慎重にするようになりました)
初期予算は限られているので、失敗しないようにまずは以下の条件を満たすものが無難です。
① まずはシンプルなものを選ぶ
サイクルウェアは派手なものが多いですが、派手の中にも良いデザインとイケてないデザインがあるので、その判断がまだ難しい場合はなるべくシンプルなものを選んだほうがハズレがありません。
逆にデザインに強いこだわりがあれば、好きなモノを選ぶのが一番です。
② フィッティングが最も大事
ジャージは基本的に少し小さいかなと感じるくらいが最適です。
ワンサイズ大きいウェアを着ると、楽かもしれませんが、ウェアがバタついてしまうのと、何より見た目が残念な感じになります。
合う/合わないの判断がつかない場合は、ショップで試着して店員さんに見てもらうのが良いです。
③ レーパンはまず安いもので慣れる
サイクルウェアで一番恥ずかしいのが下半身ラインの露出です。
まず気持ち悪い自分に慣れるために、安いパンツタイプのレーパンを買って外を走ってみましょう。次第に他人の視線が気にならなくなるので、そうなったら少し良い値段のビブショーツを買います。これであなたももう立派なサイクリストです。
④ 小物で手抜きをしない
ヘルメット・グローブ・シューズなどもファッションのひとつなので、トータルでコーディネートを考えるようにします。特に靴下は手を抜きがちですが、ここをユニクロソックスではなく専用のサイクリングソックスにするだけでも全体が締まります。
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ロードバイクをより深く楽しむためにフィット性・ファッション性の高いサイクルウェアは欠かすことができません。一緒にサイクルファッションを楽しんでいきましょう。