世界的にジェンダーフリーへの取り組みが進む現在。オーストラリアのBlack Sheep Cycling(以下BSC)も、7年前から女性・男性それぞれの課題解決に向けた取り組みを行っています。
その中核となるのが、毎年3月の国際女性デーを記念したWMN Ride(ウーマンライド)、そして毎年10月の国際メンタルヘルスデ−におけるMan Ride(マンライド)の2つ。
「マンライド」はメンタルヘルスに注目していて、我々はひとりではないということを示すために“コミュニティの力に明るい光を当てること”を目的としています。
今年は世界中のBSCコミュニティに先駆けて、ここ東京でBSCアンバサダーのMasayukiを中心にメンバーが集結。コミュニティのつながりを深めることを意図した83kmのルート(東京矢野口発着)を走りました。
ルートはこちら
Text & Photo/Tats
Route Editing/Masayuki
Man Ride 22 in Tokyo
より良いメンタルヘルスとコミュニティのつながりを目的とした「マンライド」。今回は83km(獲得標高980m)の中距離ルートです。出発はいつもの矢野口から。
ライドリーダーのMasayukiは、ここ最近エベレスティングや富士3PEAKSなどを達成しており、普段のライドでも常に坂道を追い求める道の探求者。
だから矢野口を起点としたエリアの坂道もほとんど知り尽くしており、今回も彼が調理したルートを元に、ほとんどのサイクリストが走らない道を通って坂をつないでいきます。
知らない道を通るライドはそれだけで新鮮。ここはどこだ?と頭を使いながらライドリーダーのあとに続いていきます。ときどき知っている道につながったりして、「ここにでるのか」というアハ体験ができるのも刺激的。頭の中の地図が補完されるような。
ヒルクライムポイントはありませんが、最長2kmの短い坂が幾度も織り込まれています。
ペースは穏やかではあるものの、繰り返されるアップダウンに徐々に足が削られていくメンバー。
次第に、これはメンタルヘルスに良いのか?という疑問が浮かびます。なぜメンタルヘルスのためのライドなのにこんなに脚を使うんだ?
誰もがそう感じていたとき、ひとりのメンバーが「今日のライドきつくない?」と漏らします。
にっこりと表情だけで答えるライドリーダー。
そこから、「きつい」という共通認識を元に、グループがひとつになることを感じます。
最初ははじめましてのメンバーも多くて少し緊張感のあったコミュニティも、同じ感情を共有することでお互いの距離感がほぐされ、本音で話しやすくなったと。
そのとき、こうなることまで計算されたルート設計だということに気づき、ライドリーダーの思慮深さに心が震えます。
ただ坂好きなライドリーダーが好きなように引いたコースだとは信じたくない。
カフェストップはBlue Door Coffee。脚で語り合った後は、コーヒーで語り合う。アメとムチ。ツンとデレ。メリとハリ。抑揚がコミュニティを刺激します。
本ルートで最も視界が開ける愛川町の景色。長い坂を下っているとき、住宅街から突然田園風景が広がるため、不意に声が漏れる
相模原は幹線道路沿いは交通量が多いものの、裏道は落ち着いた農家の風景も。こういう道を走るときは、強度を落としてリラックスできる
ランチは自転車ラックのある洋食屋さん「ハックルベリー」。
マーク・トゥエインが描いた近代アメリカの世界を連想させる建物は、オーナーが5年かけて手作りしたというログハウス。大人数でも入れるので、コミュニティライドに最適。
オムライスやシチュー、パスタなど豊富なメニューでお腹を満たしてくれます。
今回参加予定だったメンバーが仕事で大幅に遅れることがわかり、なんとか途中で合流しようとします。
来ないかなー
時間調整のためにスタンディングスティルバトルを開始。
メンタルヘルス目的としながらも、楽しければ何でもありになってきている。それがコミュニティライドの懐の深さだったり。
結局すれ違いのまま、終着点のクロスコーヒーで落ち合うことに。でも最後に全員が揃うことができて良かった。せっかくなので、残れるメンバーでお茶してから解散。
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また来年も、マンライドやWMNライドを開催する予定なので、こうしてBlack Sheep Cyclingを通してサイクリスト同士がコミュニティでつながり、そして参加者たちの健全なメンタルヘルスにもつながっていけば、これ以上望むことはありません。
Man Ride コレクション
Essential Team Jersey – 各¥21,000
Man Ride 22に合わせ、新しいジャージ『MR.コレクション』がリリースされました。今年はアーティストのマキシム・マンガとのコラボレーション。そのテーマは、「本当の自分を世界に対して見せること」。
“本当の自分”とは、往々にして、弱く、もろく、不完全なものです。 抽象的な要素で構築されたデザインは、挑発的・破壊的で、意図的に周りの注目を集めようとしたもの。それがお互いの会話のきっかけを生み、自分について発信するトリガーと成り得ることは明白です。
マキシム・マンガ
Adidas、Adobe、The Academyなど世界的に有名な企業と仕事をしてきたカメルーン出身のグラフィックアーティスト。アフロ・フューチャリスティック(テクノロジー、未来、宇宙と黒人文化が結びついたムーブメント)な肖像画が特徴的で、それぞれの作品は、力強い自己省察・自己肯定と対になっていて、見る人の目を引きつけます。
Black Sheep Cycling – MRコレクションを見る
– Team Man Ride in Tokyo 2022 –
Rider/Masayuki, Shosei, Satch, Taku, Michi, Junya, Jun & Tats
Route Editing/Masayuki
Text & Photo/Tats
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Special Thanks to CYCLISM