レーダーテールライトを付ける本質的な理由と、『CYCPLUS L7』を選ぶ理由。

CYCPLUS L7レビュー

レーダーテールライトは、2019年にGarminが『Varia RTL510』を発売したことでサイクリストに広く知られるようになった。レーダー機能は、後方から接近する車を検知し、GPSサイコン上に知らせてくれる。
以前はGarminの独壇場だったが、近年は他ブランドも参入し、製品の選択肢が広がっている。『CYCPLUS L7』もその流れの中で登場した製品のひとつだ。
後方確認に慣れた我々サイクリストが、あえてレーダーを使う必要があるか?そして数ある選択肢の中で『L7』の優位性がどこにあるのかを詳しく見ていく。

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レーダーテールライトの体験

レーダーあり/なしでのライド体験の違い

レーダーは、100m以上後方にいる車両を検知して、GPSサイコン上に情報を表示する。機能としては非常にシンプルだ。検知して、アラートを表示する。

何台迫っているかが把握できる

これだけの機能なので、体験してみないとレーダーの利便性は伝わりにくいかもしれない。しかし一度レーダーありのライドに慣れると、レーダーなしのときに、後方確認が面倒だと感じるようになる。
頻繁に振り返って車が来ているか確認するよりも、前を向いたまま状況を把握できるのは、長距離を走るほど疲労度に影響することがわかると思う。

レーダーが不要な状況

ただし車通りの多い都市部を走るときには、レーダーは向いていない。常に車に追い越されるのがデフォルトなので、レーダーテールライトがあろうとなかろうとずっと後方を注意する必要がある。アラートが鳴りっぱなしになるので、レーダーを使うメリットはあまりない。

いったん郊外に出ると車の出現頻度は下がるので、アラートが鳴ったときだけ車に意識を向ければ良くなる。
都市部に住んでいるサイクリストは、郊外に出るまではレーダーを切って、車通りが減ったらレーダーをONにすることでレーダーのメリットを最大限に受けられる(アプリでON/OFF設定できる)。

 

レーダー性能の違いはあるのか?

Garminに始まり、レーダーテールライトは各社が後発製品をリリースしているため、主要メーカーの特徴を比較する。

レーダーテールライト主要5モデル比較

モデル Garmin
Varia RTL515
Wahoo
TRACKR RADAR
Bryton
Gardia R300
Magene
L508
CYCPLUS
L7
発売 2020年6月 2025年4月 2023年3月 2022年11月 2025年4月
価格(税込) ¥34,800 ¥35,200 ¥18,480 ¥17,490 ¥13,200
検知距離 約140m 約150m 約190m 約140m 約160m
明るさ 点滅 65lm
点灯 20lm
点滅 53lm
点灯 21lm
点滅 73lm
点灯 20lm
点滅 60lm
点灯 20lm
モード別に㏐を調整可能
稼働時間 点滅 16hrs
点灯 6hrs
点滅 20hrs
点灯 10hrs
レーダーのみ 24hrs
点滅 17hrs
点灯 8hrs
レーダーのみ 12hrs
点滅 11hrs
点灯 8hrs
レーダーのみ 30hrs
点滅 22hrs
点灯 不明
接続方式 ANT+, Bluetooth ANT+, Bluetooth ANT+, Bluetooth ANT+, Bluetooth ANT+, Bluetooth
防水性能* IPX7 IPX7 IPX7 IPX7 IPX6
コネクタ microUSB USB-C USB-C USB-C USB-C
重量 71g 99g 66g 72g 67g

*IPX6とIPX7は用途による差となる。IPX6は後輪からの水流など水圧のある水流に強く、IPX7は一般的な水没に強い

レーダーテールライトは、元祖の『Garmin Varia』シリーズが基準を築いている。これに対抗する形で、『Wahoo TRACKR RADAR』がELEMNTとの強固な連携とブレーキライト機能のような進化で登場した。
一方、台湾ブランドの『Bryton Gardia R300』は、早くからレーダー機器に参入し、後発組ながらより長い検知距離と優れた稼働時間で性能面の優位性を確立している。
そして、『Magene L508』や『CYCPLUS L7』といった中国ブランドのモデルが、主要ブランドの機能を網羅しつつ、価格競争力を武器に、手軽にレーダーテールライトの安全性を享受したいサイクリストに新たな選択肢を提供している。

こうしてマーケットに多数あるレーダーだが、車両の検出性能に違いはあるのだろうか?
実は、どのレーダーが優れているかを比較検証することはあまり意味がない。その理由は2つある。

①ハードの性能にほとんど差がない

車を検知するのは、レーダーテールライトの中身である「ミリ波レーダー検知基盤」だ。この基盤は、関係者の話を聞く限り2〜3種類の製造会社のいずれかが使用されているようで、ハード性能の差はこれらのいずれかでしかない(しかも各製造会社で大きな機能差はない)。

②検知精度がソフトウェアアップデートで変わる

ハード性能に差がないにもかかわらず、比較したときに検出具合がメーカーによって異なるのはなぜか?それはソフトウェアの設定によるところが大きい。各メーカーが最適だと判断する検出精度をソフトウェアで設定しているため、モデルによって検出タイミングや頻度のバラつきが出る。

ただしその精度はソフトウェアアップデートで変わることが多い。だから精度検証したとき、その検証タイミング時点での優劣はわかるかもしれないが、1ヶ月後はまた結果が変わったりする。そのためアップデート頻度が高いメーカーを選ぶほうが良いと言えるだろう。

ちなみにミリ波の届く距離もプロダクトによって異なるが、その距離が140mだろうが160mだろうがサイクリスト側がやることにほぼ変わりはないのであまり気にしてくても良い要素だ。スペック表はあくまで参考値となる。

 

CYCPLUS L7レビュー

レーダーテールライトの中では後発の『CYCPLUS L7』だが、このモデルの強みは他メーカーより多い。

L7の強み

●最小サイズ:L7の最大の強みはレーダーテールライトの中で最もコンパクトなところだ。ロゴもそれほど目立たない。なるべく余計なものを取り付けたくないサイクリストが多い中で、一般的なレーダーのサイズは美的ではない(過去にGarmin Variaを使っていたが、存在感が強すぎてすぐに使わなくなった)。「レーダー機能は欲しいがデバイスは目立たない方が良い」という場合に最適な選択肢となる。

←CYCPLUS |↑Bryton | Garmin→
並べるとCYCPLUSのコンパクトさがわかる

●バッテリー持続時間:レーダーのみで最大30時間持続する。ライト点滅でも終日のライドに十分対応できる持続時間だ。かつてCannondaleのSmart Sense(第1世代)のレーダーが、夕方にはバッテリーが切れそうだったことを思い出すと、持続時間を気にしなくて良いのは最低限の要件だと感じている。

安心感の強いバッテリー容量(Type-C充電)

●試しやすい価格:L7は主要メーカーの中で最もリーズナブルな¥13,200という価格設定(9/1の価格改定で約¥2,000ほど安くなっている)。レーダーを試してみたいというサイクリストは比較的気軽に入手できる。CYCPLUSの製品は、ALTALISTやXplovaを扱う日本の代理店を通しているため、サポート面でも不安はない。

●頻繁なソフトウェアアップデート:レーダーの検出精度はファームウェアのアップデート頻度が重要となるが、CYCPLUSは数カ月ごとにアップデートを繰り返している。

CYCPLUSアプリでファームウェアアップデートができる

L7の精度について

L7は場合によって誤検知が発生するという声を聞く。実際に2025年7月時点の検証では、都市部を走っているときに誤検知が頻繁に発生していた。
ただCYCPLUSは、レーダー検知をGarminよりも敏感に設定していると聞いている。より安全マージンを取るためのメーカーとしての判断なのだろう。自分の走る状況によって感じ方は変わってくるし、今後のソフトウェアアップデートでより最適化されていくものだと思われる。

サドルレールマウント使用時

シートポストマウント使用時

取り付け位置で検知精度が変わるというレビューも見かけるが、実際の使用で位置による変化はなかった。
現時点で使用するなら、前述したように、都市部ではレーダーをOFFにし、郊外に出たらONにする運用にするのが良さそう。

レーダースイッチON/OFFはCYCPLUSアプリから(ライトパターンもカスタム可能)

 

路上で共存するためにできること

昨今は、トラックの幅寄せ動画や、ドライバーからの迷惑サイクリスト動画のようなものがSNS上で拡散されやすい。
現実世界とSNS世界のありようはけっこう乖離しているが、アルゴリズムのせいでこうしたネガティブ情報だけが伸びやすく、サイクリストとドライバーが互いにヘイトを送り合うような状況になっている。

同じ路上に存在するものとして大切なのは、ヘイトを送ることではなくお互いにコミュニケーションをとることだ。
手信号だけでなく、さっと振り向いて相手を認識していることを伝えたり、脇に避けて先に行ってもらったり、逆に待ってもらったら手振りでお礼をしたり、一瞬だけでもコミュニケーションすることで、お互いの関係も交通の流れもスムーズになる。
逆にコミュニケーションを怠ったことで、互いの認識違いが起こって事故に遭うケースをよく見る。

レーダーがあると、漏れなく後方の存在に気づくことになる。この先の道路状況に応じて早めに対処できるし、大きなトラックなら余裕をもって危機回避行動ができる。運転する側からすれば、自転車が自分の存在に気づいていることがわかれば追い抜きやすい。

自分以外の存在を敵視するのではなく、路上で自然にコミュニケーションを取り合える社会になればと切に思う。レーダーテールライトのような補助ツールはそのために使うものだ。

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インドアトレーニング用スマートフォンホルダーも取り扱い開始

Garminマウントに取り付けられる

インドアトレーニング用の『CYCPLUS Z7』も国内で取り扱いが始まった(税込価格 ¥3,850)。

Garminマウントに取り付けて使うもので、スマートフォンやタブレットを載せられる。ドロップハンドルバーとフラットハンドルバーの両方に対応。高硬度アルミニウム合金製で耐久性にも優れており、インドアライド時にコンパクトで最適なディスプレイ置き場となる。

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著者情報

Tats Tats Shimizu@tats_lovecyclist
編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴12年。海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。同時にフォトグラファーとして国内外の自転車ブランドの撮影を多数手掛ける。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。

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