楽園の100マイル。ホノルルセンチュリーライド2025全記録〈Part2〉

ハワイで毎年開催される『ホノルルセンチュリーライド』。Part2はイベント当日。オアフ島の100マイルを走り抜ける。

*Part1はこちら↓

text & photo / Tats@tats_lovecyclist
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0-40km

起床時刻は4:30。開会セレモニーが行われる5:30に間に合うように、ホテルを5:20に出発する

スタート地点はワイキキビーチ沿いにあるカピオラニ公園。
走力に合わせてA/B/Cグループに分かれてスタートするが、先頭のAグループはほとんど日本人。開会の挨拶も日本語と英語の2か国語で、現地で日本人参加者が歓迎されていることを感じる。

6時頃、カウントダウンとともにスタートが切られる

と思ったら先頭グループが思ったよりも速い。いくつものトレインを形成しながらスピードに乗って街中をかけていく。
そんななか、チームメンバーのSaadが調子づいてグループを離れ先行してしまう(あとで反省会事案)。それほど異国の街を駆ける体験にみなテンションが上がっている。

市街地をハイスピードで抜けた先に、けっこうキツめな坂。温まった脚のまま、トップ集団はサクサク登っていく

その先にあるのが、今回新設されたハナウマ湾を望むルート。ここの景色は素晴らしく、本コースで一番の見どころだった。ここは強度を上げて駆け抜けるよりも、少し脚を緩めてじっくり景色を楽しみたい。

最初のエイドでは、揚げドーナツやフルーツなどが振る舞われる。朝日とダイヤモンドヘッドを見ながらしばらく朝ごはんの時間。
エイド内にいくつか設置されていたスプリンクラーが突然動き出して、停めていた参加者の自転車が次々と水浸しになっていったのがハワイらしかった。

 

40-80km

再び上り坂の先にあるマカプウ岬。海の向こう側にある陸地までコースは続いている…!

←タンデムの参加者すごい | 撮影班が同行→

ジャングルエリアを進む

交通量は多いものの、バイクレーンが設置されている箇所が多くて走りやすい

ふたつめのエイドステーションを経由して、ハイペースのまま進んでいく(まだ前半で余力はある)。海沿い、ジャングルエリア、高級住宅街エリアなど、短い距離の中にさまざまなエリアが顔を出してまったく飽きない。

街の人たちがみな手を振ってくれる

ハワイ諸島は火山性の島だから山の地形も珍しいかたち。初めて見る山並みに異国感を覚える

日本語話せるが常に英語で話しかけられていたSaad

コース後半の目玉がカメハメハ・ハイウェイ。海のすぐそばを自転車で走ることができる。海の色がものすごく印象的で、思わずため息が出る。今更だが「本当にハワイに来たんだ」と感じるほど心躍る色彩。

80kmの折り返し地点。ここまでかなり踏んできたので、長めの休息を取ってイベントの空気を楽しむ。

←地元の子どもたちがコートで遊ぶ | 海沿いにいるだけでハッピー→

 

80-120km

ここから折り返し。往路は地元の雰囲気を楽しむためにちょっとペースを落とそうとしていたところ、早速コーヒーワゴンに遭遇(めちゃめちゃコーヒーが飲みたいタイミングだった…!)。

←ミルクの風味が美味しいラテを片手にお店の方とトーク | ビーチで遊んできた子どもが戻ってきた→

“An unhurried rhythm”という言葉がぴったりのゆるやかな空間が最高。ここだけではなくハワイ全体がそんな雰囲気。

ひとつのコーヒーワゴンのまわりに、さまざまなストーリーが交錯している

復路は基本的には往路と同じルートを戻るが、ところどころ違う道へと案内される。行きと見る景色も違うため、終始新鮮な気分が続く(だんだん疲労感が溜まっていくので無理はしない)。

コース上には目立つ案内板が立っているので迷うことはない

 

120-160km

120km地点でさすがに疲れが表情に出てきた。エイドだけだと特に塩気のある補給が足りないため、途中コンビニでハンバーガーを追加投入。ところどころこうしたインフラがあるので、ハンガーノックになる心配はない。

休むこともだいじ。

 ← セブンイレブンと76(セブンティシックス)のコラボが新鮮 | 全体を通して獲得標高は少ないとは言え、終盤の登りはけっこう脚に来る →

後半になるとほっとするエイドステーションの看板

市街地に戻ってきて、あともう少し

スタート地点の公園が見えて帰ってきたー!と思った

無事にゴール!スタッフの方々が歓迎してくれる

100マイル走ったー!

無事に帰ってきた!サドルの上でわちゃわちゃしていたら、100マイルは思ったよりも一瞬だった。コース上の交通量は全体的に多いけれど、自転車レーンの整備や二段階左折しなくてOKなど、車との共存社会ができているのがすごくいい。
反省点は前半に飛ばしすぎたこと…だけれど、楽しくなって踏むのもアリだよね。

 

どれも等しく尊い世界

最後の夜に想いを馳せる

ホテルに戻ってさっぱりしたら、夜のワイキキに再び繰り出す。最後の夜だから、思い残しがないように色々なお店に立ち寄った(日本では行けないようなお店も)。

←どこにでもあるコンビニ「ABC STORES」 | どうしても円換算で比較してしまう… →

キャッシュレスが浸透しているので、滞在中は一度も現金を使うことはなかった。スマートフォンだけあれば、どこでも食事、買い物、チップの支払いまでできるので便利。日本人観光客が多く、治安の不安もなく、終始安心して過ごすことができた。だからハワイにハマる人が多いんだな〜と感じる(ハマった)。

翌朝は午前中フリーだったが、僕が大寝坊したためビーチをちょっと楽しむことしかできなかった(反省会事案)。それでも日中の開放的なワイキキビーチにみんなハッピーな気持ちになった。

そして9時間のフライトを経て羽田に到着。何のトラブルもなく弾丸旅が終わった。

旅を通して感じたのは、疲れよりも、人と触れ合う時間の尊さだった。

スタート前の暗闇に包まれたカピオラニ公園に溢れるワクワク感、色々な国の人と声を掛け合う一体感、コーヒーを飲みながら地元の人と過ごす穏やかな休憩時間、夜のワイキキに漂う観光客の喧騒。

すべてがホノルルセンチュリーライドの一部であり、このイベントを形づくる欠かせない瞬間だった。
チームで笑い合って過ごした朝も、疲れて口数が少なくなった終盤も、どれも等しく尊い。
距離では測れない「時間と空間」を共有することこそが、このイベントの本当の魅力だと思う。

ホノルルセンチュリーライドは、普通のライドイベントではなかったなと感じる。そのすべてが心を解き放っていく。だから今でもまだハワイにいる気分。また来年もチームで行けたらいいな。

Team / Tats, Anna, & Saad
text & photo / Tats@tats_lovecyclist
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