
Escape Collectiveの取材によると、141年の歴史を持つBianchiが、2026年9月30日に債権者保護の手続きに入った。
“債権者保護の手続き”とは倒産ではなく、企業が経営破綻する前に、銀行や取引先と新たな条件を結び直すための法的な保護期間を設けること。再建のための時間稼ぎを、裁判所の後ろ盾で得た状態であり、経営陣はそのまま事業を続けている。
保護期間は最長で2027年5月末まで。この間にBianchiは、銀行や取引先と新たな条件を結ばなければならない。2024年末の決算時点での負債は1億ユーロ(≒約177億円)、うち銀行への負債は6430万ユーロにも達していた。
再建に至る理由
Bianchiは1997年以来、スウェーデンの持株会社グリマルディ・インダストリ傘下にある。再建の舵を取るのは、この持株会社の創業家出身のトニー・グリマルディ。
6月に暫定CEOに就任した彼は、今回の事態を招いた理由を「あまりに多くの分野へ投資しすぎた」と語っている。
・新工場の建設
・新しいeバイクラインの立ち上げ
・赤字を抱えていた海外ディストリビューターの買収
これらを市場が供給過剰へと転じたタイミングで同時に進めていた。2021年以降、BianchiのCEOあるいはマネージングディレクターは4人入れ替わっている。
グリマルディは、この手続きを「経営再建中であることを透明に示すための、構造化された方法」だと位置づける。すでに銀行との間で建設的な対話が生まれているという。
バーレーン・ヴィクトリアスの鞍替え
この文脈で見ると、先月バーレーン・ヴィクトリアスが、Bianchiとのパートナーシップを終了してFactorが新サプライヤーとなった理由がこの財政危機であることが推測できる。
Bianchiとチーム側は理由を挙げてはいないが、BianchiがCNCを申請した1ヶ月足らず後にこの発表が来た時系列を考えると、両者が無関係だとは考えにくい。
チームにとっても、1シーズン通して9勝しか挙げられなかったという、コロナ禍以来最少の成績も重なっただろう。
日本は?
サイクルヨーロッパジャパンが正規輸入元である日本ではどうかという話だが、今回の再建手続きが日本市場の供給・価格に影響するかどうかは現時点では定かではない。
ただここ最近の動きを見ると、直営店ビジネスは収束する方向にあることから、苦しい状況が続くことは間違いない。
2020年に外神田、2023年に有明と目白と町田、2024年に大宮と立川、2025年に丸の内がクローズしており、残る直営店は横浜の1店舗のみとなる。
チェレステは関係ない
ちなみにこのニュースを受けて、「チェレステを大事にしなかったから売れなくなった」という言説が挙がっているが、本国が明かした原因はそこではない。チェレステを原因にすることは消費者にとって分かりやすいストーリーではあるものの、裏付けのある一次情報が示す理由とは違い、ファンによる感傷的な解釈でしかない。実際は、複数分野への同時投資と業界全体の供給過剰が理由となる。
text / Tats(@tats_lovecyclist)
出典: ‘We have been too ambitious’ – Bianchi fights to survive after years of losses(Escspe Collective)















