あのブランドは誰のもの?主要ロードバイクブランドの親会社・出資構造まとめ

次に選ぶバイクのために必要な情報

ラピエールやラレーなどを抱えるオランダのAccell Groupが、2026年8月11日にアムステルダムの裁判所から破産宣告を受けた。

9月22日に公表された管財人の初回報告では、103の買い手候補が資料を閲覧して60者が買収提案を出している。単一ブランドを狙う提案もあれば複数ブランドや在庫をまとめた提案もあるため、ブランドごとに行き先が分かれる可能性がある。ラピエールは本国で再建手続きに入り、独自に生き残りを探っている状況。

この件を発端に、スペインの自転車メディアESMTBが主要ブランドの所有権構造をまとめているので、元記事に不足しているブランドを追加したうえで、現状どのロードバイクブランドがどの会社に属しているかを整理していく。

text / Tats(@tats_lovecyclist)

ロードバイク主要ブランド親会社一覧

ブランド親会社・所有者補足
BHBeistegui家1909年創業
BianchiGrimaldi Industri 
BMC非公開 
CannondalePon.Bike2022年のDorel Sports買収で加入
CanyonGBL投資会社が52.6%保有。
創業者Roman Arnoldも主要株主で執行会長
CervéloPon.Bike 
ColnagoChimera Investments2020年から過半数を保有
CUBE創業者Marcus PürnerPending System GmbH & Co. KGが運営
De Rosa
De Rosa家 
Eddy MerckxBelgian Cycling Factory2017年に買収
FactorVSIと中路股份で計52.87%創業者Gitelisは第2位株主でCEOを続投
FocusPon.Bike 
GiantGiant Group他社製品の生産も請け負う
KogaAccell Group破産手続き中
LapierreAccell Groupフランスで再建手続き中
LivGiant Group 
LOOKActiva Capital2016年から過半数を保有
Merida美利達工業Specializedの株式35%を保有
Orbea従業員協同組合
(Mondragon系)
1969年から従業員が経営
PinarelloSPAC SAチューリッヒ拠点の投資持株会社
ファウスト・ピナレロも株主で会長
RaleighAccell Group破産手続き中
RidleyBelgian Cycling Factory創業者Jochim Aertsが1997年に設立
ScottYoungone Corporation韓国企業が96.71%保有/本社はスイス
Specialized創業者Mike Sinyard創業者が過半数、Meridaが35%
TIMECardinal Cycling Groupペダル事業はSRAMに分離
TrekTrek Bicycle非上場
WilierGastaldello家Pamoja Capitalが少数株主

注1: スペシャライズドはメリダの子会社ではない

2001年にメリダが49%を出資したことから誤解されがちだが、2026年上期のメリダ決算に記載された持分は35%のみ。創業者マイク・シンヤードが過半数を持ち続けており、Meridaは重要な影響力を持つ少数株主という位置づけになる。ちなみにシンヤードは2022年に退いたCEO職へ2026年11月1日付で復帰する予定。

注2:親会社が同じでもバイクは同じ設計ではない

Pon.Bikeはキャノンデールやサーヴェロを抱えているが、各ブランドは独自の名前と開発チームを保っている。親会社が共通だからといってどこで作られ誰が設計したかまで同じとは限らない。
ジャイアントやメリダのように、自社ブランドを持ちながら他社の生産も請け負う企業もある。

注3:スコットは韓国企業が創業家側と法廷闘争の末に支配を固めた

スコットを抱える韓国のYoungoneは、世界の有名アウトドアブランドのOEM大手で、The North Face、Patagonia、Lululemon、Nikeなどの衣類、シューズ、バッグを手掛ける。

2011年から韓国・日本・中国でスコットの独占販売を担っていたYoungoneは、まずScott株式の20%を取得した。2015年には出資を50.01%に引き上げて経営権を握り、長年CEOを務めたBeat Zauggと株式を分け合う二大株主体制が始まる。その後経営権取得時に結んだ株主間契約にZauggが重大な違反をしたとして両者は対立し、2022年に国際仲裁へ発展。ICCはZauggの契約違反を認めることになる。その結果YoungoneはZauggの全株を取得し、2025年に保有比率は96.71%に達している。

次のバイクの選び方に関わる問題

こういった情報は自分のバイク選びに密接に関わってくる。

大きなグループに属すれば、調達や流通と開発資金で有利になる一方、親会社の経営が傾けば好調なブランドも巻き込まれる。Accellの事例はまさにそのリスクが表に出たもので、YTのように破産後に創業者がブランドを買い戻して再出発する例もあるが、引き継がれるのはブランドと事業であって旧会社そのものではない。

併せて確かめておきたいのは、親会社の名前だけではなく、国内で誰が販売して保証を誰が負うのか、補修パーツの供給がどう維持されるのかという点。
ちょうど10月5日にFOCUSとCORRATECの販売代理店であるグローブライドがサイクル事業を撤退するというニュースが流れた。アフターサービスは当面の間継続するということだが、長期的な保有にはリスクを抱えることになる。
今後自分の自転車を選ぶときは持続可能性という観点がさらに重要になってくる。

*参考:¿Quiénes son los dueños de las principales marcas de bicis? El quién es quién de la industria (esmtb)

著者情報

TatsTats Shimizu(@tats_lovecyclist)
編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴12年。海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。同時にフォトグラファーとして国内外の自転車ブランドの撮影を多数手掛ける。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。