モノを選ぶときには、「ロジック」と「アート」という2つの選択基準があります。
ロジック=論理を物差しにして機能や価格を比較しながら選ぶか、あるいはアート=感性を物差しにしてデザインやブランドを情緒的に選ぶか。
どちらの物差しを優先するかは、モノのカテゴリや選び手の考え方によって異なりますが、ファッションに関して言えば、肌着など目に見えないものを除いてはアートが先立つもの。
僕らが着るサイクルウェアは、ファッションにも関わらずロジック主体で語られることが多いカテゴリではあるものの、アートが優れていればロジックがもたらす好悪の影響は微々たるものというのが、ウェア選びの満足度に共通する基準となっています。
ベルギーのサイクルウェアブランド「Çois Cycling Legacy(ソワ・サイクリングレガシー)」の新作ジャージは、まさにアートに真っ直ぐ訴えかけてくれるモノ。
Çois Cycling Legacy – SS2019
Çoisは2018年にサイクルジャージ第1弾を出し、LOVE CYCLISTでもその1つをレビューしました。その自然な着心地と柔らかなデザインは、いつも着たときに落ち着きを与えてくれます。
そして半年経った今、新たに第2のコレクションが発売。
今回はメンズ・ウィメンズ合わせて4種類のデザインがラインナップにあり、その中で僕は最も情緒的なデザインの“Jungle Cycling Jersey”を選択しました。
*本ウェアはÇois Cycling Legacyより提供を受けたものです。
Jungle Cycling Jersey – €89.99
サイズ: S(身長177cm/胸囲86cm)
パームやヤシなどジャングルの葉をモチーフとして、クールな青系のトーンでまとめたJungleジャージ。深い青地に繊細な濃淡が乗ったその雰囲気は非常にアーティスティック。
まず国内では見ることのない感性のデザインは、初見からぐっさり刺さります。
近くで見るとわかる、絵筆で描いたタッチの折り重なる葉。後ろを走る仲間から「綺麗」という言葉が漏れるほど、デザインの美しさがはっきりと背中で伝わります。
この色彩とタッチ、本当に綺麗なんです。
袖は切り返しになっていて、濃紺1色。
袖口の仕上がりは素肌に優しく沿うレーザーカット加工でシンプルな印象に。
遠くから見ても、洗練された印象を感じさせてくれます。
もともと僕自身濃紺の服を着ることが多いので、その好きなトーンにサイクルウェアらしいパターンが加わって、とてもしっくり。
ジャージのサイズ感として、僕の体型で最適であろう“XS”がラインナップにないので、選択した“S”だと若干生地が余る感じがあります。タイトが好きな細身の方はご留意を。
ただエアロフィットに仕上がっているのでそれほど違和感はありません。
バックポケットは防水の4thポケットまでしっかり備えています。収容力も充分。
Let’s get Lost Bibshorts – €120.00
サイズ: S(W74/H90)
ビブショーツもÇois。裾はシリコンで留める一般的なタイプです。
生地は表面に凹凸がもうけられていることで、肌当たりが柔らかく、それほど強い締め付けを感じさせない自然な履き心地。速乾性も高い。
パッドは英国BODHI社製のもので、比較的厚みのある長距離ライド向けのものがセットアップされています。
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ビブのつくりは全体的にとてもオーソドックス。デザインもロゴのみなので、“シンプルな長距離向けビブショーツ”という仕上がりです。
裾の裏が一般的なシリコンである点は少しフィット感を損なう部分ではありますが、ペダリングに大きな影響を与えるほどではありません。
しっくりくる、美しいジャージ。
アート(=感性)を基準とした服選びの中では、「しっくりくる」というのがとても大事なフィーリングだと思っています。
お店で試着したり、人が着ているものやインスタでデザインを見たりしたときに、「自分にしっくりくる」と感じたら迷わず買うことを決めるし、少しでも気になる点があれば購入を見送ります。こういった感性は、いくつも服を取捨選択していく中で研ぎ澄まされていくようになりました。
その中でもJungleジャージは、デザインを見た瞬間にものすごく「しっくり」きて、着るとさらにその感覚が強まるように。
自分の感性だけでなく、端から見ても写真に納めても美しく映るその青いトーンは、ライドの気分をギア3枚分くらい一気にシフトアップしてくれる、そんな感じのウェアです。