Text/Ryuji(@marusa8478)
Photo/Tats(@tats_lovecyclist)& Ryuji
服装は人柄を表す、と言います。身に纏うものから暮らしぶりや生き方までうかがい知ることができるということだと思います。昨今サイクルウェアは多様性を増し、自分を表現するツールの一つとして発展してきました。
僕の場合、基本的にシンプル目なウェアが好みですが、時々スパイスの効いたものも選びたくなります。心を落ち着けてくれるいつもの慣れ親しんだデザインとはまた違って、普段は選ばないようなウェアに袖を通すことで自分のキャラクターまで変えてくれるからです。
こういった“変身願望”は誰にでも潜在的にあるものではないでしょうか。時にはいつもと違う自分になって出かけてみると、新しい世界が見えてくる気がします。
*本レビューで着用するウェアはAttaquer Japan提供のものです。
※SS2021最新ウェアのレビューはこちら↓
エクスクルーシブな世界観のブランド
ATTAQUER(アタッカー)の創業者であるGreg Hamerは自分たちのブランドをこのように考えています。
ブランドを立ち上げた当初は20〜30代のいわば”やんちゃ”な若者をターゲットにしていましたが、ブランドが広まるにつれ、むしろ普段は大人しいオフィスワーカーのような顧客が多いということを知りました。
そしてそのような人たちが自転車に乗ったときには、変貌して自由になる感覚を求めていることに気がつきました。僕たちはそんな人たちが本気でサイクリングを楽しめる縛りのない自由なサイクルウェアを提供するブランドでありたいと思っています。
このようなブランドコンセプトは、数あるブランドの中から、自分が着たい、もしくは似合うものを探し出す指標となります。ATTAQUERのように明確にコンセプトを提示してくれているブランドはそんなに多くありません。今回僕自身がATTAQUERの狙うターゲットに当てはまっていると思い、期待に胸を膨らませウェアに袖を通しました。
今までリリースしたプロダクトには某有名ブランドのデザインを模した際どく面白いデザインもたくさんある(笑)
気張りすぎないこなれ感&映え感
今回レビューする「RACE ULTRA +」と「RACE」は機能性重視の設計がされたモデルですが、どこかエフォートレスな雰囲気も持ち合わせ、シリアスライダーが時に息抜きをして休息をとる瞬間までファッショナブルに装ってくれます。
そうした世界観は、都会的でストリート感のある場所にもぴったり。
タピオカ x ATTAQUER
体に一体化する生粋のレーシングウェア「RACE ULTRA +」
ATTAQUERのラインナップの中でも最高クラスの機能性を誇る「RACE ULTRA +」。ちょうど仲間とともに渋峠にアタックする機会があったので、過酷な環境下でその真価を確かめてみることにしました。
RACE ULTRA +JERSEY / RACE ULTRA +BIB SHORT / SOCKS RACE ULTRA+
サイズ:ジャージ/ビブともにXSサイズ(169㎝/C81W72H87)
タイトシルエットにまとめ上げられた「RACE ULTRA +」は、袖を通した瞬間、まずその「硬さ」に驚きます。着てすぐは、ただのキツいウェアだなと感じる人もいるかもしれません。
しかし、走り出せばその印象は大きく変わります。乗車姿勢での体への馴染みの良さは抜群で、先程までのタイトさはすぐに感じなくなり、第二の皮膚となって最大限走りに集中させてくれます。
袖部分はディンプル加工された硬質な生地によってエアロ性能の向上を狙っています。人の感覚レベルでエアロ効果を体感することはもちろんできませんが、こういったディティールへのこだわりも所有欲を満たす大きなポイントです。
対して胴回りはタイトフィットながらも伸縮性の高い生地が使われています。タイトに作り、バタつきを抑え、伸縮性を持たせることで、快適性も損なわないようにするというレースウェアとしてはセオリー通りの設計です。
バックポケットは中央を頂点に山形になっているので左右から出し入れしやすく、しっかりとした容量も確保されています。
「RACE ULTRA +BIB SHORT」で注目すべきは、腹筋のシックスパックのように割れたパッド。最初は「?」でしたが、走ってみたら意味がわかりました。パッドの割れ目が股と臀部の動きにフレキシブルに対応する機構です。(これめっちゃよきです)
大腿部はメッシュ生地とコンプレッションの効いた生地で構成されています。メッシュ素材で通気性を確保しつつ、着圧によって疲労を和らげる設計。
誰もが着やすい「RACE」の高機能設計
RACE JERSEY / RACE BIB SHORT / SOCKS FADED STRIPE
サイズ:ジャージ/ビブともにXSサイズ(177㎝/C86W74H90)
「RACE ULTRA +」に対して「RACE」は一段ギアを落としたライトな作り。とはいえ、名前からもわかるようにレースを意識した機能性重視のウェアであることには変わりなく、高いフィット感と快適性でレースシーンに求められる要素を全て満たしています。
程よく体に張り付く柔らかな素材は乗車時以外の直立した姿勢でもストレスになりにくいため、着用シーンを選ばずより万人向けのウェアといった印象。生地の薄さと高い通気性で日本の酷暑でも適応してくれます。
バックポケットは背中に張り付きすぎない余裕のある作りで出し入れの容易さを高めています。容量も十分。
「RACE ULTRA +BIB SHORT」に比べて、シンプルかつフラットなパネル構成。全体的に適度な着圧を持たせた生地にすることで疲労の軽減をサポートしてくれます。
少し厚みのあるパッドはショートディスタンスのクリテリウムから100㎞を超えるロングライドまで幅広く対応してくれます。
ブランドの世界観とつながって、ライドをもっと楽しく
「RACE ULTRA +」と「RACE」の機能面についてお話ししましたが、サイクルウェアの製造技術が成熟した現在は、おそらくほとんどのブランドのプロダクトが機能面では飽和状態にあると個人的に感じています。
数年前よりも着心地などのロジカルな部分だけで良し悪しを判断する時代ではなくなり、よりエモーショナルな要素が求められる時代になりました。
スポーツウェアである限り一定の機能性が担保される必要はありますが、ブランドのコンセプトに共感できたり自分のキャラクターやアイデンティティに合っている世界観を持ったブランドのウェアを身に纏い、時にはそれに共感してくれる仲間と感性を分かち合うことで、心からサイクリングを楽しむための本能に火が灯ると感じています。
ATTAQUERはそんなエモーショナルなウェアを、僕らに提供してくれるブランドなんだと感じました。
ATTAQUERのウェアを購入する
※10,000円以上の購入で送料無料
Appendix: キャラ立ちしたブランドを着こなす
ATTAQUERのようにアイデンティティやターゲットがはっきりとしている場合、それが自分のキャラクターにそぐわなかったとき、選択しづらいブランドになってきます。でも自分のキャラクターと違うブランドのウェアをあえて選ぶことでも、いつもの自分とは違う「変身」する楽しみを得られます。
僕は普段洋服を選ぶとき引き算とかけ算を意識してコーデを組みます。テイストの違うアイテムを取り入れて引き算をしたり、あえて同じテイストのものを加えてかけ算をし、シナジー的な効果を生み出せるようにしたり。
今回僕が「RACE ULTRA +」をコーディネートする時に意識したのはブランドの世界観での引き算です。
トップスとボトムスをメインに考えたとき、ATTAQUERというブランドがストリートに振れているのでヘルメットとアイウェアは北欧ブランドPOCのシンプルなアイテムを取り入れることでコーデが締まります。
さらにスタイルを楽しみたいときはバイクも絡めたコーディネートを目指すこともできますが、まずは身に着けるアイテムで引き算、もしくはかけ算してみると普段は選ばないブランドも意外と着こなせると思います。