王道の風格をまとうウェア。「Pedla」のジャージ&ビブショーツレビュー。

Pedla LunaFLYジャージ

Text by Tats(@tats_lovecyclist
Photo by Ryuji(@marusa8478

僕たちサイクリストは、ときに彷徨うことが大好きです。
「今日はここへ行こう」と決めたときでも、細かいルートを決めずになんとなく方角だけで道中を楽しんだり、途中で面白そうな道があれば敢えて曲がってみたり、綺麗な場所があれば立ち止まって写真を撮ったりします。

あるいは知らない土地を走るとき、ある程度ルートを下調べしていても、行ってみると想定した道のりと違って彷徨ってしまうというケースはたまに起こること。そんな不安のある彷徨い方でさえ、無事に帰ることができれば良い思い出になります。

ロードバイクで走るとき、トレーニングのためにいつもの決まった道を走ることも必要ですが、最近は僕自身「彷徨う」という楽しみ方を増やすことで、よりロードとの付き合い方に広がりを感じています。

※2021年最新版のレビューはこちら

Pedlaが展開する「International Roaming」ウェア。

オーストラリアのブランド「Pedla」がSS2019にリリースした“International Roaming(国際ローミング)”コレクションは、そういったロードサイクリングの楽しみをテーマにしたシリーズ。

「Roaming=放浪する」という言葉の通り、旅における興奮や喜びといった感情をPedlaのウェアを着ながら共有するというコンセプトでつくられています。

ちょうど仲間とライド旅をする機会があり、「これはPedlaを着ていかないと始まらない」と思い、バッグにPedlaのウェアを詰めて出かけていきました。

※本レビューで使用するウェアはPedla提供のものです。

理知的で力強いジャージ。

Segment / LunaFLY Jersey – Tri Colour($205 AUD)

僕がローミングコレクションの中から選んだのは、大胆に3ブロックで色分けされた「ルナフライ」ジャージ。

Pedla LunaFLYジャージ スタンディング

すごく、いい色。

ダークトーンの寒色系は、王族や特定の上級職業の衣類に用いられることが多い色で、自ずと理知的な力強さを感じさせてくれます。
身にまとう色は着る人の精神を支配すると言われているように、このジャージを着ると背筋が伸びるような気持ちに。

旅はときに、今までとは違う高貴な価値観をもたらしてくれることがありますが(僕自身何度もそういった経験があります)、その新たな価値観が自分に溶け込んでいくさまを、色の展開によって表しているように感じます。

そして、そのデザインを上質な着心地で包み込んでくれる仕上がり。
「彷徨って」いるときに、ウェアがストレスを与えるようなものであってはいけないもの。Pedlaのジャージの素晴らしいところは、タイトフィットでありながら窮屈さを感じさせることなく、肌に寄り添うように美しいシルエットが出来上がることにあります。

特に袖部分はPedlaジャージで最も特徴的な部分。Pedlaを着るサイクリストはみな「袖が素晴らしい」と言います。
僕のように腕が細くても絶対にたるみを見せない、伸縮性の高いメッシュ素材がとてもスマート。

脇部分は速乾性の高い素材。違う素材でも色のトーンは滑らかに揃っている

よく伸びて使いやすい、スタンダードなバックポケット

低い襟は首元をすっきりと見せてくれる

滑らかで、美しいビブショーツ。

Team / SuperFIT G+ Knicks – $320

ジャージの力強さを支えるのが、滑らかで美しいビブショーツ
Pedlaは、他ブランドにはない「SuperFIT G+」という縫い目のない裾のビブショーツを展開しています。

通常ビブショーツは裾の部分だけ別素材を縫い付けていることがほとんどですが、SuperFIT G+は同じ生地のままシームレスに裾まで続いてる状態。
これが、見た目の滑らかさだけでなく、着たときの肌に吸い付くような滑らかさを僕らに与えてくれます。

ペダリングのときにぴったり脚の動きに追従するフィーリングは、Pedlaのビブ随一のもの。ジャージの袖もビブの裾も、Pedlaのウェアは末端部分の動きをよく考えて設計されています。

裾裏にドット状のグリッパーがプリントされており、グリップ力も抜群。

パッドは信頼性の高いCytech製。“Road Performance”というシリーズが搭載されていて、サドル接地部の硬さが絶妙。ワンデーライドでもOKな適度な厚み。

肩紐は幅広でよく伸びるので、肩へのストレスがゼロ。裾から肩にかけての全体のフィット感が本当に秀逸。

まっすぐな王道スタイルを身にまとい。

旅の合間に

Pedlaのウェアは、以前と比べると雰囲気がかなり変わったと感じます。

かつては一部のユーザーだけに刺さるようなロックなデザインを中心に展開されていました。それはそれで格好良かったものの、メジャーブランドの地位を確立した今は、シーズンごとに設けられたオリジナルのテーマ(「ワイルド」「タイムマシン」「ローミング」など)をもとに、ベーシックな王道スタイルが主となるように。

また、着心地を進化させたウェア設計が加わることで、サイクルウェアを着ることの喜びを改めて感じさせてくれるものになりました。

旅先に溶け込むウェア

そこから読み取れるのは、『ブランドを今のポジションと時代に適合させ、さらに先を行く』というPedlaのスタイル。この姿勢は、ウェアを着る僕自身も「こういう風でありたい」と思わせてくれます。

そうしたウェアとともに、ロードサイクリングの「彷徨う楽しみ」をもっと深めていきたいと思います。

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Pedla LunaFLYジャージ 乗車

サイズ: 上下ともXS(177cm, C86 W74 H90)

Pedla公式サイト