すべてをほぐそう。
家庭を持つ週末サイクリストにとっては、できるだけライドの疲れを家庭や平日に持ち込みたくない。だからこれまで大切にしてきたのは、ライド前後でしっかり体のケアを行うこと。
ライド前に手指マッサージ、ライド後と寝る前にフォームローラーとマッサージスティックで筋膜リリース。こうすることで、疲労をかなり抜くことができます。
ただケアに時間がかかり過ぎることだけが気になっていて、そんなとき通っている鍼灸院で教えてもらったのが「マッサージガン」の存在。ちょうど同じタイミングでWiggleからBeEliteのマッサージガンをテストさせてもらうことができたので、コンディショニングのためにしばらく使ってきました。
実際のところこれがものすごく良くて、もう体のケアにハズせない一台になっています。
text & photo/Tats(@tats_lovecyclist)
*本レビューのマッサージガンはWiggle提供のものです。
1. BeEliteマッサージガン
BeElite マッサージガン(¥15,000)
マッサージガンは、手軽にセルフコンディショニングできる器具として、昨年あたりからプロアスリートやトレーナーを中心に浸透してきたもの。
筋膜リリースを主目的とする器具で、ヘッド部分をケアしたい部位に当てて使います。
電源を入れると高速で震えるのが特徴。一番遅くても毎秒20回転。めちゃめちゃ動いている。
スピード調整できるので、最適なスピードを選んでほぐしていきます。
スペック比較
BeElite マッサージガン | 一般的なマッサージガン | |
アタッチメント | 6個 | 2〜6個 |
スピード調整 | 20段階 | 3〜5段階 |
ストローク* | 12mm | 5〜14mm |
回転数/分 | 1200〜3200rpm | 1800〜3200rpm |
重量 | 1.0kg | 0.5kg〜1.2kg |
価格 | ¥15,000 | ¥10,000〜20,000 |
*ストローク…大きいほど筋肉の深い地点に届く
一般的に¥10,000〜¥20,000くらいの価格帯のものが多いマッサージガン。
Wiggleのボディケアブランド「BeElite」のマッサージガンはその中間に位置する定価¥15,000。
スペックは平均的なマッサージガンの中でも上位に位置し、重量以外は必要十分な機能を備えていることがわかります。
持つとちょっとずっしり感じる1kg。スペックのためにある程度重量を犠牲にしているもよう。ただ使っていて腕が疲れるほどではありません。
充電が専用ケーブルなのはちょっと残念。Type-Cを採用しているモデルもあるので今後改善してほしい。
ちなみに電源は3ピンタイプなので、変換プラグが必要です(スマートトレーナーなどを持っている人は使っていると思います)。
アタッチメント
アタッチメントは6つ。部位に合わせて使い分けることができます。
一番使うのが、ボールヘッド(小)。脚回りの大きい筋肉から肩・腰・お尻まで全身使えます。
ボールヘッド(大)は大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングスなど脚まわりの筋肉専用。より効率的に脚を緩められる。
三日月型ヘッドは僧帽筋、三角筋、広背筋など背中周りの筋肉向け。自分ではやりづらいので他の人にやってもらうとき用。なので出番は少なめ。
フォーク型ヘッドはふくらはぎの下の方やアキレス腱など狭い部位に用います。ライド後にここだけ集中的に緩めることはないのでこちらも出番が少ない。
小丸型ヘッドは手足に効く。ツボ周りの刺激に最適なので、日常の疲れに使えるやつ。
フラットヘッドも大臀筋、大腿四頭筋、ハムストリングスなどの脚まわりに用いられます。ボールヘッドよりも刺激が強めなので、慣れてから使います。
2. マッサージガンがもたらすもの
必要に応じてマッサージ器具を使い分ける
コンディショニング時間の大幅な短縮
マッサージガンでまず嬉しかったのが、アフターケアの時間が大きく短縮できたこと。
特にライド後5分間脚に当てるだけでも、次の予定に入る前に脚をすっきりした状態にできる。フォームローラーだとある程度時間をとらないとほぐれませんでしたが、すぐに次の予定に移れるのは大きな変化。
ただ後述しますが、時間があるときはマッサージガン単体だけでなくマッサージスティックやフォームローラーを併用した方が効果的だとも感じます。
手軽な筋膜リリース
脚の筋肉は、体のほかの部位と比べるとボリュームが多いため、肩や腰まわりよりも疲労が出づらい部分。
だから走り慣れているサイクリストは、脚の疲労が蓄積していても走り続けられるので、なかなか体のケアまで気がまわらないもの。でも脚にだるさや筋肉痛が現れているときは、筋繊維が破壊されて、ほかの部位以上に相当疲労しているということ。
ライド後のストレッチやマッサージは、そうやって酷使したことで固く萎縮した筋膜を解きほぐして元の柔らかさに戻すこと(筋膜リリース)が目的です。マッサージガンはそれが短時間でできる。
体全体のバランスケア
また脚の筋肉をケアすることは、体全体のバランスにも良い効果をもたらすもの。
下半身の筋肉は体全体の筋肉の70%を占めるため、特にサイクリストが多用する太ももまわりの筋肉(大腿四頭筋)のコンディションは上半身にも影響します。
ここが凝り固まった状態だと、骨盤から上がその筋肉に引っ張られて体の歪みを発生させる原因に(僕はこれが原因でよく肩こりに悩まされていた)。脚全体の筋肉をほぐすことで上半身まで影響を与えないようにできます。
3. 実際にほぐしていこう
+と−の2つのボタンでスピードを調整。止めたいときはいずれかのボタンを5秒長押し。バッテリーは長持ちなので、フル充電すれば毎日数分使っても1ヶ月は持ちます。
痛みが出るほど強く当てる必要はなく、筋肉を振動させることに主眼を置いて当てていきます。
肩や腰など繊細な部分は回転数低めでやる方が良いかもしれませんが、脚の場合はある程度がっつり振動を当てたほうが効果的に感じます(20段階の15以上)。
ライド後は何もしないと脚がむずむずしっぱなしですが、当てているうちにだんだんととろけていき、ニュートラルな感覚に戻っていきます。
とろけていくぅ…
マッサージガンは片手で「ながらマッサージ」ができるのが良い。
マッサージポールは両手で力を入れながらほぐすし、フォームローラーは全身の姿勢を意識して痛みに耐えながら辛抱強くやる必要がある。その点マッサージガンは、リラックスした姿勢で筋肉に当てるだけ。痛くないのに効果的なので、変なストレスがかからない。
普通のマッサージ器具ではやりづらい箇所も当てやすい
マッサージガンの弱点
マッサージガンは万能ではなく、どこが本当に筋膜が凝り固まった箇所なのか分かりづらいというのが弱点。
もちろんまんべんなく当てることでも効果的ですが、固まった部分を重点的にやることでさらに楽になれるもの。
だから時間のとれる寝る前は、これまでも使ってきたフォームローラーで痛みの強く出る箇所を確認します。その箇所をローラーでほぐしてから、マッサージガンに移行するようにしています。
4. 在宅勤務の週末サイクリストに時短全身ケア
ライド前後のケアのために使おうと思ったマッサージガンですが、在宅勤務の平日日中にも普通に活躍するようになりました。
保育園の送り迎え以外、平日はほとんど出歩かないということもざらなので、肩や腰がどんどん凝り固まっていく。だから同じ在宅勤務の妻と共用し、仕事の合間に2〜3分使ってほぐしながら体をケアしています(彼女も「これすぐラクになるね」と言っている)。
肩周りも定期的にほぐす
女性でも力を使わずにセルフケアができ、短時間で筋肉がとろけるマッサージガン。
ライドと日常を行き来するライフスタイルの中で、どちらにも使えるめちゃめちゃ良いプロダクトに巡り会えました。
Highs
・短い時間で効果的
・ながらマッサージができる
・リラックスした状態でできる
・鍼灸院に通う頻度が減った
・全身に使える
Lows
・[+][-]ボタンが押しづらい(触覚フィードバックがないので押せているかわかりづらい)
・充電は専用ケーブルが必要