ラブサイメンバー、新しいロードバイク/グラベルバイクを買う〈Part4〉

新車を買うのはワクワクする。人が新車を買うのを見るのもワクワクする。なぜそれを選んだ?どんなパーツ構成?どんな乗り味?人のこだわりを見るのってむちゃくちゃ楽しい。
ここ1年は、ラブサイメンバーで新車購入の波が来て、15人が新しいバイクになった。タイミングの関係ですべては紹介できないが、全13人それぞれのストーリーを見ていこう。

Edit & Photo / Tats@tats_lovecyclist

*Part1〜3はこちら↓

Cannondale SuperSix EVO Hi-Mod2(Hiroko)

Cannondale SuperSix EVO Hi-Mod2とHiroko

自転車だけでなく、登山やスキーなどさまざまなアウトドアアクティビティを楽しむHirokoが選んだのは、Cannondaleの『SuperSix EVO Hi-Mod2』。

これまでリムブレーキのCHAPTER2『TERE』に乗っていたが、ディスクブレーキへの乗り換えを考えたとき、TEREは少し可愛さがあるフレームだったので、次はクールな雰囲気のモデルが良いなと思っていた。自転車を始めた当初から、ホリゾンタルですっきりしたフレームが好みなので、横から見た太さと細さのバランスが良い『SuperSix EVO』が候補になった。

試乗会でグレード違いを乗ると、バイクがグングン推進していく感覚も乗り心地も気持ち良く、デザインが納得できるHi-Mod2に決めた。

コンポーネント構成

Cannondale SuperSix EVO Hi-Mod2
グループセット Shimano Ultegra Di2 R8100系
ホイールセット HollowGram R-SL 50
タイヤ(幅) Continental Grand Prix 5000, 700x25c
ハンドルバー SystemBar R-One Carbon One-Piece Handlebar(一体型)
バーテープ SUPACAZ /SUPER STICKY KUSH CLASSIC
シートポスト Cannondale C1 Aero 40 Carbon
サドル Prologo Dimension TiRox NDR, Titanium Rails
重量 *ペダル込 7.6kg

グループセットやホイールは完成車の状態から変えていない。

ブラックのフレームだが、マットからグロスへグラデーション塗装されている。シンプルながらも、随所のディテールが美しい。

シートポストからシートチューブにかけて極細でスッキリ。全体的に直線的な見た目でバランスが良いと感じる

ハンドルは、もともと付属していたものからMOMOハンドルに変えたことで、トップチューブも合わせたデザインの一体感が出ている。

足回りは『HollowGram R-SL50』と『GP 5000』の組み合わせ

SuperSix EVO Hi-Mod2インプレッション

加速:漕ぎ出しが軽く、初速から30km/hくらいまではペダルを回せば自然と速度が乗っていく。高速域もエアロ効果なのか無理なく加速できるし、バイク自体が速度を維持してくれる。最初に乗ったとき、これが最新のバイクなのかと驚いた。

ヒルクライム:斜度5%くらいまでは斜度をあまり感じないほど軽く漕げ続けられる。特にアップダウンが続くコースでは、下りから上りにかけてスピードを維持してくれる感覚を強く感じる。

快適性:全体的にTEREのときよりも加減速や速度維持が楽になったことで、長距離でも疲れにくくなった。尾根幹のようなトレーニングコースはこれまであまり好きではなかったけれど、自転車が楽しくて、以前よりも脚が向かうようになっている。

最新バイクの速さを思う存分堪能している

SuperSix EVO Hi-Mod2(公式サイト)

Hiroko
Hiroko – ヒロコ | 東京
学生時代にサイクリングサークルに所属し、クロモリバイクで全国をツーリングしていた。山で遊ぶことが好きで、自転車以外にも北アルプスの山々を縦走したり、基礎スキーをしたりと、さまざまなアクティビティに精通。
Cannondale SupreSix EVO Hi-MOD / Cervélo Aspero-5
@ihirob

 

Cannondale SuperSix EVO Hi-Mod2(Rokuto)

Cannondale SuperSix EVO Hi-Mod2とRokuto

偶然にもHirokoと同じタイミングで『SuperSix EVO Hi-Mod2』を選んだRokuto。

2023年まではロードバイク『Specialized Venge』とMTBの2台体制、2024年からはグラベルバイク『S-Works Crux』とMTBの2台体制で運用していた。Cruxがあればロードは要らないと考えていたが、ライドを続けて調子が上がっていくうちに、やはりまたロードバイクが欲しくなった。自分に合ったモデルを探している中で、タイミング良く『SuperSix EVO Hi-Mod2』に出会ったため購入に至る(現在はSupersix EVOとCruxの2台体制)。

購入前にトップグレードの『SuperSix EVO LAB71』も試乗したが、自分のライドスタイル的にHi-Modが最適だと感じたため、このグレードを選択。

コンポーネント構成

Cannondale SuperSix EVO Hi-Mod2
グループセット Shimano Ultegra Di2 R8100系
ホイールセット Polymer Workshop Enhance 50:52
タイヤ(幅) Panaracer Agiliest DURO(30C)
ハンドルバー SystemBar R-One Carbon One-Piece Handlebar(一体型)
バーテープ Fizik Tempo Bondcush 3mm Soft
シートポスト Cannondale C1 Aero 40 Carbon
サドル Fizik Vento Antares R1 Adaptive
重量 *ペダル込 7.3kg

完成車から変更しているのは、ハンドルバーとホイール。

MOMO Designの一体型ハンドル。これまでハンドルバーは400mmを使ってきたが、このタイミングで380mmにしている。SuperSixの直進性の高さと相まって、少し狭くなったポジションはしっくりくる。

ホイールは当初完成車に付属するHollowGramを履かせていたが、現在はPolymer WS『Enhance』を借りて使用している。

最近またホイールも白ロゴがトレンドになっているようで、SuperSixのブラックフレームとの相性がとても良い。

Enhanceは高速域での転がりがとても気持ちよい。下りでは、EVOのシャープでありながらスムーズなハンドリングに、Enhanceのワイドリムとカーボンスポークのしなり感のバランスが良く、コーナリングの安定性が高い。コーナーでつい夢中になってしまう。

ペダルはWahoo SPEEDPLAY

SuperSix EVO Hi-Mod2インプレッション

仕様がHirokoと同じなので、フレームの感じ方はほぼ同じ。とくかくバイクの推進力が高くて、乗っているだけで楽しい。

ただホイールについて『HollowGram R-SL50(1540g)』と『Polymer WS Enhance(1496g)』の違いを挙げると、HollowGramの方が重量があるにも関わらず、クライム時はシャキッとして軽快感がある。対してEnhanceの方は乗り心地が良い。SuperSix EVOのしっかりした剛性感を考えると、個人的にはEnhanceを取り付けたときのバランスの方が好み。

推進力の高い『SuperSix』と走破性の高い『Crux』の2台であらゆる道をカバーする

SuperSix EVO Hi-Mod2(公式サイト)

Rokuto
Rokuto – ロクト | 大阪/東京
小さい頃から自転車と遊ぶことが当たり前の環境で育ち、今もさまざまな種類の自転車に囲まれて暮らしている。洗練されたライフスタイルから身近にファンが多い。
Cannondale SupreSix EVO Hi-MOD / Specialized S-Works Crux
@rokuto521

 

Wilier Rave SLR(Kanata)

Wilier Rave SLRとKanata

Kanataが選んだのは、Wilierのグラベルレーシングバイク『Rave SLR』。

これまでWilierのロードバイク(カーボン)とFOCUSのグラベルバイク(アルミ)の2台体制だったが、最近は未舗装路を走ることが多く、そうなると軽量なグラベルロードが1台あれば自分のスタイルにハマると考えた。

これまでWilierには5年乗っていて、そのデザインや走行性能は抜群だと感じていたので、新しいバイクもWilierにしようと決めていた。
当初は予算的にもセカンドグレードの『RAVE SL』がいいかなと考えていたが、コンセプトストア「PUNTO ROSSO TOKYO」に出向いてトップグレード『RAVE SLR』の実物を見ると、明らかにカラーが抜群で格好良く、予算を上げてでもこのモデルにしようと思った。かっこいいは正義。

コンポーネント構成

Wilier Rave SLR
グループセット Shimano 105 Di2 R7150系
ホイールセット Mavic Allroad
タイヤ(幅) Hutchinson Touareg(45C)
ハンドルバー Wilier 0-BAR CARBON(一体型)
バーテープ Prologo
シートポスト Wilier Filante Carbon Custom Made -15 mm
サドル Prologo Scratch M5
重量 *ペダル込 8kg

Rave SLRは2022年のアンバウンド・グラベルで優勝したモデル。パーツはショップと相談して、自分の走りに最適なもので組んでもらった。

コンポは105 Di2。フロント50/34T、リア11/34Tで、舗装路も走ることを考慮したギア比になっている。

ホイールは『Mavic Allroad』。重量はあるが、太いタイヤとの相性が良く、悪路での安心感が高い。今後は舗装路用にホイールを買い足して、1バイク2ホイール体制にする予定。

タイヤは『Hutchinson Touareg』の45C。サイドスタッドが高く、しっかりグリップしてくれる感覚がある。

とにかくこの色が好き…!グラベルらしさが詰まっていて最高に格好良い。

Rave SLR インプレッション

舗装路の走行性能

レーシンググラベルというだけあって、シート角は74°で立っており、ホイールベースもグラベルバイクの中では短め。だから舗装路を走ることにはまったく抵抗はなく、ロードに乗った仲間とも普通に走っている。35km/hくらいまでなら問題なく付いていくことができるし、登りも気合で付いていくが、太いタイヤを履かせているため、下りは抵抗が大きくて離されることが多い。2ホイール体制にしてこのギャップは埋めたいなと思う。

未舗装路の走行性能

河川敷のようなフラットダートでは、30km/hくらいで心地よく飛ばせる。登りに関して言えば、前のグラベルバイク(FOCUS ATLAS 6.7)よりも3kgほど軽くなったので、締まった路面であれば18%くらいの登りまで乗車可能。スペックが素晴らしいのはもちろんだが、「新車だから登れるはずだ」という気合のアドレナリンによってRaveの性能を極限まで引き出している。

静岡や千葉にも遠征してグラベルをめいっぱい堪能している

関連レビュー

Wilier Rave SLR(公式サイト)

Kanata
Kanata – カナタ | 東京
グラベルライドを好み、砂利道だけでなく雪道も積極的に飛び込む。大のドラゴンズファンでシーズン中は頻繁に球場へ通う。
Wilier Rave SLR
@kana_dragons

 

Equilibrium Brutalist(Ryosuke)

Equilibrium Brutalist

Ryosukeが選んだのは、品川を拠点とし、先進的なフレームを展開する『Equilibrium(エクイリブリウム)』のオーダーバイク。

もともとLOOK 785 Huez RS(ディスク)に乗っていたが、仲間の間でグラベルライドが盛り上がってきたころに、自分もグラベルバイクが欲しいと思うようになった。ただ愛着が分散する気がして、ロードとグラベルの2台持ちというスタイルが性に合わなかった。

そんな時にEquilibriumを試乗する機会があり、クロモリとは思えないほど軽快な走りとモダンなスタイリングに惹かれた。モノを選ぶときに愛着が湧くかどうかを大事にしている自分にとって、ジオメトリやデザインを自分好みにオーダーできるという点はまさに理想だった。

シートステーも興味を引く

お誂え向きにオールロードモデルの『Brutalist(ブルータリスト)』が用意されており、ベンドされたシートステーもアイコニックでとても興味が湧き、すぐに工房を訪問した。

コンポーネント構成

Equilibrium Brutalist
グループセット ULTEGRA Di2 R8050 + RD-RX800GS
ホイールセット ロード Rolf Prima Ares4
グラベル SHIMANO GRX WH-RX870
タイヤ(幅) ロード PIRELLI P ZERO RACE TLR(26C)
グラベル TERAVAIL Washburn Light(38C)
ステム ENVE Road Stem 110mm
ハンドルバー ENVE Road SES AR Carbon Handlebar 420mm
バーテープ ENVE Handlebare Tape
シートポスト ENVE Carbon Road Seatpost
サドル S-Works Power
重量 *ペダル込 8.2kg

なんといっても世界に一台の自分だけのバイクであるところが良い。

Blue TitaniumとMatte Bourbonのコントラスト配色

ロゴなどはセラコートのBlue Titaniumで塗装し、対照的なMatte BourbonのChris Kingパーツをワンポイントで入れている点がとても気に入っている。

トップチューブのさりげないモノグラムや、自分でデザインした子供の名前モチーフのアートワークなど、挙げ始めたらキリがないほど推しポイントが多い。

パーツとしてはR8050グループセットを使っているが、リアディレイラーだけは少し珍しいULTEGRA RX『RD-RX800GS』を付けている。これはGRXに搭載されているチェーンスタビライザー機能がついたRD-R8050。

チェーンスタビライザー機能つきのRD-R8050

用途はロード:グラベル=8:2くらいの割合でロードがメインになるので、ロードらしいスタイリングを保つためにもGRXは避けたいなと思っていたときに見つけたもの。人と被りたくないという天の邪鬼心をくすぐられる。

ロード用タイヤはPNSコラボのPIRELLI P ZERO RACE TLR

Brutalist インプレッション

舗装路の走行性能

加速:見た目に反して重さは全く感じず、35km/hくらいまではスルスルっと加速してくれる。乗り換える前に乗っていたフレームがLOOK 785 Huez RSということもあり、両者のキャラクターは全く違うが、自分の脚力に合う適度な柔らかさ、バネ感が心地よい。
35km/hから先は、カーボンフレームと比べるとさすがに僅かに重さを感じるものの、硬いフレームのように「踏みなさい」と言われている感覚が少なく、疲れにくい乗り心地。速度維持は以前のフレームと比べてむしろ楽に感じる。

ヒルクライム:LOOKがひらひら登ると形容するなら、Brutalistはポーンポーンと登っていく。バネ感があるからか、リズムを掴むと軽快に登っていける。

ハンドリング:オーダー時に「クイックすぎるのは疲れるのでエンデュランスロード寄りの乗り味にしてほしい」とお伝えした。少しホイールベースを長くとってもらった影響もあり、安定感がある。ダウンヒルの安心感が増した。

快適性:初めてのチタンロードなので、素材の影響なのかジオメトリの影響なのかは判断できないが、一番大きな変化として感じるのは、疲れにくいということ。舗装路であれば路面の衝撃はほとんど伝わってこないため、衝撃吸収に優れていると感じる。また、いい意味でクイックすぎないようにハンドリングをチューニングしてもらっているため、長いダウンヒルでも精神的にも余裕が生まれる。総じてこのフレームに乗り換えてからは、リラックスしてライドを楽しめていると実感している。

未舗装路の走行性能

一言でいうと速い。衝撃吸収に優れているので、細かい砂利道や芝生なら舗装路とあまり違いを感じないくらいスムーズに走れる。
少し大きめな石の上やトレイルを走ると、雑に踏んでもトラクションが抜けずにグイグイ進んでくれる。軽量グラベルロードを試乗した際に、ホイールが跳ねてトラクションが抜けたり不意にハンドルを取られてヒヤッとすることがあった。これは一重にバイクコントロールの技量によるところだと思うので、フレームの良し悪しではないが、私にとってはBrutalistの懐の深い安定性とハンドリング性能がよくマッチしていると思う。

自分のスタイルでつくり上げた世界に1台のチタン

Equilibrium公式サイト

Kanata
Ryosuke – リョウスケ | 東京
AIの研究開発職。ロードバイクを始めた当初は仲間とストイックに走り込んでいた。その後Pas Normal Studiosを着始めたことをきっかけに、PNSやLove Cyclistのコミュニティに加入。それぞれのスタイルに刺激を受けながらライドを楽しむ。
Equilibrium Brutalist
@r_miki1991

 

自分だけの1台だから。

自転車に乗るモチベーションを上げる最も効果的な方法は?
A. 新車に乗ること。

買い替えを促す業界の陰謀?
A. そんなものはなくて、往々にして新しいものは旧いものよりずっと良いから選ぶもの。

趣味にハイエンド機材はいらない?
A. 趣味だからこそ、自分の好きなグレードを選ぶ自由がある。

自転車選びに制約はない。ジャンルもメーカーもグレードも好きなように選べるのは、趣味で自転車に乗るわたしたちが持つ最強の権利。
そうして選んだ1台だから、週末が何より楽しみになるし、一度乗ったらいつまでもその体験を味わっていたくなる。自分だけの1台と一緒に、これからもっと自転車遊びを楽しんで行こう。

Edit & Photo / Tats@tats_lovecyclist

*Part1〜3はこちら↓