ラブサイメンバー、新しいロードバイク/グラベルバイクを買う〈Part3〉

新車を買うのはワクワクする。人が新車を買うのを見るのもワクワクする。なぜそれを選んだ?どんなパーツ構成?どんな乗り味?人のこだわりを見るのってむちゃくちゃ楽しい。
ここ1年は、ラブサイメンバーで新車購入の波が来て、15人が新しいバイクになった。それぞれのストーリーを見ていこう。

Edit & Photo / Tats@tats_lovecyclist

*Part1,2はこちら↓

Allied Cycle Works ECHO(Yukihiro)

Allied Echo

メカニックであるYukihiroは、職業柄SRAMの新しいRedが発売されるたび、新たにフレームを購入し、構造理解を兼ねて取り付けてきた。2024年に発売された新Red AXS E1にも興味があったため、新しいフレームを探すことになる。

米国のAllied(アライド)は、創業当時の名前も知らないころからSNSなどでよく目に留まるメーカーで、デザインやMade in USAのコンセプト等含めてずっと気になっていた。その後さまざまな環境が整ったことで、彼らと関係を築き、オールロード『ECHO(エコー)』を購入するに至った。

Alliedのフレームはどれも見た目が良くて興味を惹かれる中、ECHOを選んだのは、ロードとグラベルの2モードを明確に切り替えられるギミックとその発想に興味を持ったから。オールロードというジャンルでよくある、ロードとグラベルの中間のジオメトリを採用したフレームではなく、スタイルに応じてジオメトリそのものを可変にする発想がとても面白い。

コンポーネント構成

グループセット SRAM Red AXS E1
ホイールセット Fulcrum SHARQ
タイヤ(幅) ENVE SES ROAD TIRE(31C)
ステム ALLIED ECHO Integrated Stem
ハンドルバー ENVE SES AR ROAD HANDLEBAR
バーテープ Burgh Cycling / Domestique BarTape
シートポスト ENVE SEATPOST
サドル Fizik VENTO ARGO R3 ADAPTIVE
重量 *ペダルなし 7.4kg

新車を購入するときは、その時点で触ってみたい面白そうなパーツを導入するようにしている。
今回は発売されたばかりの『SRAM Red AXS E1』と、保守的なイメージの強いFulcrumには珍しいユニークなホイール『SHARQ(シャーク)』を選んでみた。

中でもRedのレバーとキャリパーは好感触で、先代の不満点をほぼ解消しつつ見た目にも優れた仕上がりにとても満足している。

Fulcrumもついに波形リムを出したと話題になった『SHARQ』。アシンメトリな見た目はカッコよく、性能面では高速域の巡航と横風への強さが際立つ。一方で近年ロード、グラベルどちらでも重要なファクターとして挙げられる快適性については、低圧でも硬さを感じるほどで、この点は改善を期待したい。

フォークとリアエンドに反転可能なチップが搭載されている。このチップを反転させることで、30Cタイヤに対応する「ロードモード」と40Cタイヤに対応する「グラベルモード」に変更できる(この切り替えは10分程度で作業できる)。リアエンドを可変にしてチェーンステー長を変えられるフレームはあるが、ジオメトリ自体を変更できるフレームは非常にレア。

ペダルはCrank BrothersのMALLET TRAIL

プライドを感じる“MADE HERE”の塗装

グリーンが非常に綺麗

Allied ECHOインプレッション

舗装路の走行性能

ロードモードで30Cタイヤを履かせた場合、ハンドリングが非常に軽く、“取り回しのしやすいオールラウンダー”という印象。
十分な剛性も備わっており、ピュアロードと遜色なく走れる。さすがに40km/h~の高速域では最新のエアロロードほど楽に巡行はできないが、ホイールやパーツ次第で十分カバーできると思う。

未舗装路の走行性能

グラベルモードで40Cタイヤをはかせた場合、ロードモードで感じた良さはそのままに、太いタイヤの恩恵を受けて走破性が向上する。40Cぴったりを想定して設計されているため、フレームとのクリアランスが絶妙で、空力に優れ見た目にもかっこいい。
走りは軽快で、普段ロードに乗っている人でも不満なく楽しめると思う。
また運用面では、前後のチップを反転させることでジオメトリがロードとグラベルそれぞれ専用のものに変化することで、セッティングを調整し直す必要がないのは優れた点。以前は似たようなコンセプトの『OPEN U.P.』に乗っていたが、そちらはロード/グラベルで使い分ける際に、ステムの長さと高さ、サドルの位置を変更する必要があった。

“オールロード”と謳われるバイクが多いなか、ジオメトリを可変させるECHOは本物

Allied ECHO(公式サイト)

Yukihiro
Yukihiro – ユキヒロ | 大阪
メカニック。本質的に優れたプロダクトを見極める目を持ち、丁寧で上質なサービスを顧客に提供する。また独創的な企画を次々と展開し、北摂エリアに新たなコミュニティを形成してきた。
Allied Cycle Works ECHO
@tategu_nobody

 

LOOK 795 Blade RS(Non)

元々LOOKの『765』に乗っていたNonは、次のバイクもLOOK。『795 Blade RS』を選んだのは、知り合いが手放すことがきっかけだった。765(Mavic Cosmic Pro Carbon×Shimano 105という構成)よりも断然速くなると言われ、是非にと譲り受けて乗り換えることに。

何よりも見た目が好みで、スタイリッシュなデザインが強そう。エアロフレームになったことで、LOOKのロゴがより目立つようになったこと、象徴的なモンドリアンカラーがお気に入り。白い影の入れ方も芸術味を感じる。

コンポーネント構成

グループセット Shimano Ultegra Di2 R8000系
ホイールセット Fulclum Racing Speed XLR35
タイヤ(幅) Pirelli Pzero Rase SL(25C)
ハンドルバー 3T ergonova team(一体型)
バーテープ Prologo Skintouch
シートポスト Aeropost 3
サドル S-Works Power with MIMIC
重量 *ペダル込 7.46kg

後期型のシートポスト

フレームは前期型だが、シートポストは後期型に変更してある。丸型横締めタイプから縦型2本締めになり、トラブルも減り重量もかなり軽い。補修パーツとしてはマットブラックのものしか用意がないのに、ちゃんとグロスブラックで揃っているのもポイント。

ホイールは『Fulclum Racing Speed XLR35』。下りが速いフレームと上りが速いホイールを組み合わせることで総体的に速くなるようにした。

長時間座り続けるサドルは、昔からスペシャライズドの女性専用サドル『S-Works Power with MIMIC Comp Saddle Women』を使用。まだサドルに加重が行ってしまうため、股ずれを防ぐには欠かせないサドルになっている。

トップチューブとフロントフォークの少し裏目にあるモンドリアンカラーの配置がおしゃれ

白のグラデーションにも芸術味を感じる

インプレッション

加速:低速域からは、ふわっと柔らかく、優しく加速してくれる。35km/hを超えたあたりから、踏んだ時にびよーんとかみにょーんとか伸びる。それは前の自転車にはなかった感覚で、すごい速い!ってなる。

ヒルクライム:登りはよくわからない。下りは圧倒的に速くなったし体重移動がしやすくなった。元々ダウンヒルが好きなので、前のフレームよりもフォームが維持できるようになり、安定して下れる時間が長くなった。

快適性:以前乗っていたLOOK 765と比べて平坦の巡航速度が確実に上がっている。長距離を連日で走った時にも、最後まで脚を残してくれる余裕ができている。

総評:総合的に速く楽に走れるようになり、信号のない平坦をノンストップで走り続けなければならない千葉県民としては、巡航速度が上がって楽に走れるようになったことが素晴らしく、とにかく快適にライドできるようになった。

千葉県の地形に最適化されていて楽しい!

Non
Non – ノン | 千葉
ショップ仲間やSNSで繋がったサイクリストとよく走る。車の運転が大好きで、車載してドライブを楽しみつつ、現地ではライドを楽しむスタイルを特に好む。
LOOK 795 Blade RS
@___nonpic/

 

Ridley Fenix SLiC(Riku)

Ridley Fenix FLiC

以前は競技をメイン用途として、ピュアレーサーなフレームを選んでいたRiku。ディスクブレーキ化にあたり、レースもカフェライドもロングライドも全てこなせるエンデュランスロードが欲しかった。
石畳で鍛えられたベストセラーの『Fenix SLiC』はまさしくぴったりな一台。カラーリングもライド仲間のYukariと同じで、以前試乗したときに気に入ったので決めた。

コンポーネント構成

グループセット Ultegra R8170 12s Di2
ホイールセット Dura-Ace WH-R9270-C50-TL
タイヤ(幅) Continental Grand Prix 5000S TR(28C)
ハンドルバー Forza Integrated cockpit N1 380/400mm
バーテープ XTRM Comfort Tacky Light(LIZARD SKINS OEM)
シートポスト Ursus Magnus SP700 カーボンシートポスト
サドル Reform Saymour
重量 *ペダル込 7.5kg

コンポのベースはUltegra Di2 12sだが、ギア比はこだわりたかったため、チェーンリングはDura-Ace 54-40Tに変更している。

フロントはDura-Aceの54-40T

リアもDura-Aceの11-34T

リアのスプロケットもDura-Aceの11-34Tに。現在トレンドのギア比構成にすることで気持ち良く踏むことができる。チェーンラインも良くなるので以前の52-36T/11-28Tより踏めている気がする。多分(笑)。

サドルもお気に入りで、今年から日本国内で発売された『REFORM(リフォルム)』という熱成型サドル。ローラーに一定時間乗って、自分の加重部分が凹むことでフィット感の高いサドルが作れるというもの。感覚的には、革サドルが馴染む感覚を一瞬で作成できるので最高。

タイヤは『Continental Grand Prix 5000S TR 28C』。内幅21mmのホイール『WH-R9270』と合わせることで、トレンドの乗り心地と安定性を確保している。

Fenix SLiCインプレッション

加速:初期加速はピュアレーサーに比べるとホイールベースなども長くしている関係上、少し鈍さは感じるが、ばね感があるのでフィーリングは良い。C50の空力性能が良く、後半の伸びはかなり良い。同Ridleyの『Noah』などに比べると劣るものの、『Fenix』のばね感とも相性が良いのでスプリントも掛かる。

ヒルクライム:重さがそこそこあるので軽量バイクとはいいがたいが、カーボンのトン数などがトップグレードよりは低いので剛性感が今の自分に合っているのでそこそこ走れる。

ハンドリング:クイック過ぎず、また硬すぎないので自分に合っている。反応するバイクも嫌いではないが、ばね感で進めるのが好きなので、そういった意味では気持ち良いハンドリングができている。が、D型コラムで緩みやすくガタが出やすい点は少し残念。

総評:総じてFenixは、エンデュランスロードとして非常に優れたバランスを持ち、ライドの幅を広げたいライダーに最適な選択肢だと思う。ピュアレーサーと比較すると瞬発力には若干劣るものの、コンポーネントのカスタマイズや最新の熱成型サドルを取り入れることで、パフォーマンスも快適性もさらに引き上げられている。

今の自分の脚に合ったバイク選びをする競技出身のRiku

Ridley Fenix SLiC(公式サイト)

Riku
Riku – リク | 神奈川
2019 ニセコクラシック70km 2位、2021〜2022 シクロクロス C2優勝 C1昇格等の実績を持つレーサー。競技面とスタイル面、どちらも兼ね備えたライドスタイルを実践しており、本人曰く「俗に言う“イケてて速いやつ”になりたい」。
Ridley Fenix SLiC
@rikuchan.jp

Part4へ続く(2月下旬公開)

Edit & Photo / Tats@tats_lovecyclist

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