僕らが今Cannondaleに惹かれ、SuperSix EVOに惹かれるのはなぜか。

第4世代へと進化した『SuperSix EVO』から、今年新色のグロスブラックが登場。
その佇まいを見ると、もはや「速いバイク」であるだけでなく、「美しいプロダクト」としての完成度に目を奪われる。

ここ数年でCannondaleは、スタイルと機能を両立する戦略的なブランドへと大きくシフトし、その存在感は日増しに大きくなっている。なぜ今、Cannondaleがこれほど気になってしまうのか? その理由を『SuperSix EVO』というバイクを通して探っていく。

text / Tats@tats_lovecyclist)[PR
model / Hiroko@ihirob)& Rokuto@rokuto521

Cannondaleがイケてる

SuperSix EVOに乗るラブサイメンバーのRokutoとHiroko

ここ最近のCannondaleのプロダクトに、多くのサイクリストが熱狂している。身近なところで言えば、2023年に第4世代へと進化した『SuperSix EVO』はLOVE CYCLISTメンバーの3人が購入しているし、2025年に入ってリリースされた新型『Super X』や『Topstone Carbon』は、欲しいという声を頻繁に聞く(すでに予約した仲間もいる)。こう言うと軽い表現になってしまうが、とにかく最近のCannondaleはイケてるのだ

そのターニングポイントとなったのは、2020年のロゴ変更と、2021年にオランダのPon Holdings傘下に入ったことだと思う。

2020年のロゴ変更はブランド再定義へとつながる

ブランドロゴは、レーシング感の強い小文字斜体から、モダンで直線的なサンセリフ体へと一新された。これは明らかに「機能ファンクションとスタイルの融合」という、新たな方向性を視覚的に体現する試みだったと、今改めて思う。プロダクトを含めたすべてのアウトプットが洗練された印象へと生まれ変わったことで、このロゴ変更は、単なるデザイン変更ではなく、Cannondaleブランドの再定義だとも言える。

PonはSanta Cruz、Cervélo、Focusなどのブランドを抱える世界最大級の自転車企業

その直後にオランダのPon Holdings傘下となったことで、米国生まれのCannondaleは、オランダ資本のもとでグローバルな展開を進めるブランドへと進化していった。従来のCannondaleにあった“Made in USA”の訴求が薄くなっていることからも、これらの要素は、Cannondaleが「アメリカの挑戦者」から「世界をターゲットにした戦略ブランド」へと変貌を遂げ、より洗練されたブランドの方向性を強めたことを示している。

でも、単純に見た目が洗練されたからCannondaleが欲しくなっているわけじゃない。Cannondaleには、レースバイクの進化を牽引してきた歴史の上に成り立つブランド資産がある。

 
 
 
 
 
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Saeco時代にCAADに乗り、ツールとジロで数多の勝利を飾ったチポッリーニ

1983年に太径アルミチューブを採用した『ST500』が登場したのが最初のこと。スチール全盛の時代に異端とも言えるこの設計は、アルミフレーム時代の到来を先取りし、のちの90年代に“最速のアルミ”と呼ばれる『CAAD(Cannondale Advanced Aluminum Design)』に結実する。
イタリアの名門チームSaecoとのパートナーシップで、マリオ・チポッリーニやジルベルト・シモーニがCAADシリーズを駆り、ツールやジロで勝利を挙げたことを覚えている方も多いはずだ。

2000年代にフレーム素材がカーボンへと移行すると、カーボンとアルミを融合した『Six13(2005年)』からフルカーボンモデル『SuperSix(2008年)』によって、レース用ロードバイクの本流へと進出する。そして同モデルをさらに軽量化・高剛性化した『SuperSix EVO(2011年)』は、ピュアレーシングマシンとしての完成形を提示した。
「SuperSix EVO」シリーズの性能は実戦で証明され続けており、リクイガスからEF Educationに至るまで、トップチームが世界選手権やグランツールで勝利を重ねている。

Cannondaleの代名詞Leftyフォーク

また、こうしたレースでの活躍の裏で、Cannondale独自の技術がその存在感を支えてきた。BB30規格、Leftyフォーク、Aiオフセット、Kingpinサスペンション、SmartSenseなど、レースバイクの進化の一端を担うオリジナルテクノロジーは数多い。これらの“試み”がすべて成功したわけではないが、「まずは自ら提案する」という姿勢が、このブランドの核となっている。

40年以上にわたって築かれてきたその系譜は、単なるプロダクトの進化ではなく、「Cannondaleらしさとは何か」という問いへの継続的な応答の軌跡と言える。それが今の“イケてるCannondale”へと結実しているのだ。

 

スタイル×スピード = SuperSix EVO

Cannondale SuperSix EVO Hi-Mod2

2023年に『SuperSix EVO』は第4世代へと進化した。空力性能と軽量性を両立した最新設計に加え、MOMO DESIGNと共同開発した専用コクピットによって、スタイルとパフォーマンスを融合するアプローチが明確になった。

▼SuperSix EVOの系譜

世代 特徴 マーケットの評価
初代(2011) 超軽量設計の初代EVO(Hi-MOD 695g) 革新性はあるが、剛性バランスにやや難あり
第2世代(2015) 高バランスされた軽量・剛性・伝統美 完成度が高く、現在でも根強い人気を誇る
第3世代(2019) 空力設計・内装化・エアロ路線への転換 見た目と性能の進化で好評だが整備性に難あり
第4世代(2023) エアロ+軽量の最適化、T47BB、SystemBar搭載 最先端の完成形(後述)

EVOといえば、今でも根強いファンが多いのが第2世代だろう。伝統的なホリゾンタル・ラウンド形状は、クラシカル美が頂点に達しており、リムブレーキ時代最後のクラシック・レーシングバイクと言える。

 
 
 
 
 
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時代を超越して愛される第2世代

第3世代では新しいロゴ、ディスクブレーキ専用設計、フル内装、エアロ路線といったトレンドを詰め込んで、まったく異なるバイクとして登場し注目を集めたが、専用ステム&スペーサー設計やケーブルルーティングの問題などで整備性に難点もあった。

ディスク専用設計によって新時代を迎えた第3世代

現行モデルとなる第4世代では、そうした第3世代の弱点が改善されている。BBがBSA(JIS)に変更され、ケーブル内装も整備しやすくなり、セパレートステム仕様も選べるようになった。
フレーム重量はHi-MODで約810g、最上位のLAB71では770g(サイズ56)。これまでEVOが担ってきた「ピュアレーシングバイクとしての軽さ」を守りながら、空力性能はSystemSixに迫る領域へと進化している。

フレームとの一体感を生むMOMOハンドル

さらに注目すべきは、MOMO DESIGNとの共同開発による専用コクピット「SystemBar R-One」(通称“MOMOハンドル”)の存在だ。流れるようなフォルムとトライアングル形状のエアロフィンは、プロダクトとしての美学と空力的機能を同時に体現しており、従来のバイクにはなかった独自のスタイルを確立している。

EVOは第4世代に至って、軽さと速さの指標において他ブランドのハイエンドモデルと真っ向から競合するポジションを築いた。
「Tarmac SL8=最速を追求したストイックさ」「Aeroad=空力性能一点突破」のように、性能面で尖ったコンセプトを押し出すモデルがある一方で、EVOはあくまで「軽さ・空力・スタイル」のバランスを保ちながら、プロの要求にも応える性能を備え、なおかつ所有欲を満たすデザインにまで昇華されている。

それは最先端の完成形だ。レースだけではなく、普段のライドが楽しみで仕方がない僕らのようなサイクリストにとって、現在考えうる最良のレースバイク像を体現している。

 

ハイブランドと合わせるSupersix EVO

共鳴する美意識

ジャージ/Women’s Mechanism Pro Long Sleeve Jersey(¥42,900)、ビブショーツ/Women’s T.K.O. Mechanism Pro Bibs(¥55,000)

Hirokoは、第4世代の『EVO』に乗るLOVE CYCLISTメンバーのひとり。以前は、少し可愛らしいCHAPTER2『TERE』に乗っていたが、Pas Normal Studios(PNS)のようなモード寄りのアパレルを纏うようになってから、コーディネート全体のバランスを見直し、バイクを乗り換えるタイミングで『EVO』へとスイッチした。

彼女が実際に感じていることだが、Cannondaleのバイクは、ハイブランドのウェアと驚くほど調和する。特に『SuperSix EVO』は、スポーツバイクでありながら、ラグジュアリーなニュアンスを纏っており、単なる機材の域を超えた存在感を放つ。

所有しているHi-MODモデルは、マットからグロスへとグラデーションするブラック塗装。控えめな印象でありながら、細やかに配された美意識は、PNSのような洗練されたアパレルと響き合い、互いのスタイルを引き立て合う。

LAB71塗装の魔力

2025年新色のグロスブラックは塗装の美しさが目を見張る

トップグレード「LAB71」の新色であるグロスブラックも、ただの黒ではない。光の角度によって濃淡が変わり、さまざまな表情を見せてくれる。視線を集める派手さと、静かな強さや知的なムードの両端の顔をまとっている。

SuperSix EVOのフレームは、形状の美しさと塗装へのこだわりが一貫しているから、フレームのカラーごとに「こんなコーデがしたいな」と自然に想像を巡らせてしまう。そんな楽しさが、このバイクにはある。

生き生きしたシルバー〜オレンジグラデーションのHi-Modのフレームには、同じトーンの柄が良く似合う

グロスブラックに明るい色を合わせ、さらに華やかにするのも良い

フレームの存在感を活かすために、ウェアはあえてトーンを落とすのもあり

スタイルを表現するバイク

Hirokoにとって、『SuperSix EVO』に乗ることは、速さを楽しむことと同時に、自分のスタイルを表現する手段でもある。

以前一緒に走っているとき、彼女が「自転車って楽しい。スキーの滑っているときの楽しさは5段階で5だけれど、一瞬で終わってしまう。自転車は2くらいの状態が走っている間ずっと続いているのが良い」と言った。
2って低くない?とまわりの仲間と一斉に突っ込んだけれど、そのあたりの盛りすぎない塩梅が彼女らしい。

最新バイクの性能を体感しながら、ウェア・ルート・仲間といったライド全体のコーディネートを考える楽しさが加わることで、自転車との時間がより豊かなものへと変わっていった。そうした複合的な体験が、彼女をさらなるライドへと駆り立てている。

 

SuperSix EVOに載せ替える機運。

Cannondale Japanが解散し、一時はブランドがどうなるものかと心配されたが、今シーズンからCannondaleの販売代理店がインターテックになった。日本法人の制約から解き放たれたおかげか、そのEVOの最上位モデル『LAB71』を筆頭に各グレードのフレームセット販売がスタートしている。

これによって、手持ちのバイクでパーツを揃えているサイクリストが新しい自転車の購入を考えたとき、EVOをベースにした一台を構築しやすくなっている。完成車というかたちでパッケージ化されていたEVOが、“自分のスタイルで仕立てるためのキャンバス”としても選べるようになったのだ。

また、これまで国内で入手困難だったMOMO DESIGNとの共同開発ハンドル『SystemBar R-One』も、正規流通で手に入るようになってきている。特徴的なトライアングル形状のエアロフィンを持つこのハンドルは、SuperSix EVOのデザインと高い親和性を持ち、セットで組み上げればバイク全体の造形に美しい一体感が生まれる。

LAB71の新色やHi-MODグレードを含め、今のCannondaleには、走りだけでなくスタイルの幅を広げてくれるラインナップが揃っている。

性能だけを突き詰めるのではなく、どんな世界観のライドを楽しみたいか──そんな視点からフレームを選べるのも、今のCannondaleだからこその価値だ。だから僕らは、Cannondaleに惹かれ続ける。

SuperSix EVOモデル一覧を見る(公式サイト)

text / Tats@tats_lovecyclist
model / Hiroko@ihirob)& Rokuto@rokuto521
[PR]提供 / 株式会社インターテック
撮影・衣装協力 / magnet合同会社

著者情報

Tats Tats Shimizu@tats_lovecyclist
編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴11年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。