
アイウェアでクリアな道を進む。
サイクリングにおいて視覚情報は最も大切であり、そのためにアイウェア(サングラス)は年中通して欠かせないもの。
アイウェアは紫外線や虫などのさまざまなリスクから目を守り、視界を最適な状態にしてくれます。さらにサイクリストのファッション面でも重要なアイテム。
そこで機能性&ファッション性の観点から、ライドに最適なアイウェアの選び方をまとめていきます。
1. アイウェアの形状を選ぶ
レンズ形状

アイウェアのレンズ形状は2種類に分けられます。
シングルレンズ(一眼)タイプ
カバー範囲が大きく、視野が広いのが特徴。近年はよりビッグレンズ化する傾向にあります。
曇りやすいので多くのモデルはベンチレーションがついています。
デュアルレンズ(二眼)タイプ
比較的手頃な価格帯の二眼タイプですが、シングルレンズと比較するとカバー範囲も視野も狭いので、フィット感の高いものを選ぶ必要があります。
度付きレンズが必要なときは、多くの場合デュアルレンズが選択されます。
フレーム形状

フレーム形状は「フルフレーム」「ハーフフレーム」「フレームレス」の3つのスタイル。
機能的には大差ないものの、視界の広さ/重量/耐久性などで若干の違いが生じます。
ただフレームに関しては、機能性よりも好みのデザインかどうか、あるいは顔立ちに似合うかどうかという観点で選択されます。
2. レンズを選ぶ
レンズカラーの選び方
レンズは色によって最適なシーンが異なります。
晴天時や昼間など外が明るいほど暗めのレンズ、曇天や夜間など外が暗くなるほど明るめのレンズを選択するのが基本。

最適なシチュエーション例
- ・日差しの強い日中:グレー、ブラウン
・曇天や夕方:ピンク、オレンジ、イエロー
・夜間:クリア
このため替えのレンズを複数持って天候に合わせて使い分けることが理想ですが、すべて揃えるのは予算的にも難しいため、自分が走行することが多い時間帯に合わせたレンズを1本持っておくというのが基本。たとえば夜間走行をしないのであれば、ブラウン・ピンク・オレンジ系1本で事足ります。
オプション:特殊レンズを選択する
レンズはカラーによる違いだけでなく、付加機能を持つものも。
通常のレンズよりも価格は高くなりますが、天候の変化や長時間ライドなどへの対応力が増すので、必要に応じて選択します。

プリズムレンズ
オークリー独自のテクノロジーで、ライド時に見えるべきものをはっきり見せるレンズ。
信号機の視認性が向上されたり、路面のコントラストを高めて障害物の発見を早めたりと、走行時の安全性が高まる設計。
調光レンズ
紫外線量に応じてレンズ濃淡が変化するレンズ。日中と夜間をまたいで走るようなロングライド時に最適。
またトンネルに入ったときもすぐに濃度が変わるので、山中のライドでも安心できます。
偏光レンズ
光の乱反射を抑えることにより、映り込み・反射光・路面の反射などをカットするレンズ。日差しが強い日に最も効果を発揮し、目が疲れにくいというメリットもあります。
3. フィッティングを確認する

アームがこめかみにぴったりと沿うか
首を上下左右に動かしたときにアイウェアがずれないかを確認。あまりタイトだと疲れるので、適度なホールド感のものを選択します。
多くのアイウェアは、こめかみに当たる部分をラバー系素材にすることで固定力を高めています。
ノーズパッドが適度な高さか
ほとんどのアイウェアには付け替え可能なノーズパッドが付いています。鼻が浮いてしまう場合、最適な高さのノーズパッドに変更します。
レンズが頬に当たらないか
頬の形によっては、レンズが頬に当たって浮いてしまう場合があります。
その場合は縦に長いレンズや湾曲が強いレンズは避けるようにします(ノーズパッドで調整可能なことも)。
USフィットとアジアンフィットの違い
顔の形状は千差万別のため、ぴったりフィットするアイウェアを探すのは難しいケースがあります。
特に欧米メーカーのモデルは、典型的なアジア系の顔のかたち(幅広・頬高・鼻低)に合わない場合があり、そのときはアジアンフィットモデルが用意されているメーカーを選択します。
アジアンフィットの特徴は以下の部分。

①ノーズパッド:低めの鼻に合わせてノーズパッドに高さがあります。
②テンプルアーム:幅広の顔に合わせてテンプルアームが広めになっています。
③レンズ形状*:頬にレンズが当たらないような形状になっています。
*アジアンフィットとUSフィット(ヨーロピアンフィット)はレンズの互換性がない場合もあるので、替えのレンズを購入するときは注意してください。
4. トレンドを生む5つのブランド
予算をかけてアイウェアを選ぶときは、ファッション観点でのフィルタリングが加わります(誰だって格好よく着けこなしたいもの)。
そういう意味で、ブランドとモデルの選択は重要なポイント。
アイウェアのトレンド

近年のアイウェアは、オークリーのJawbreakerブームを発端として、大きなシングルレンズタイプが主流。ここ数年ファッションやデザイン業界のレトロ回帰が進んでいる中で、アイウェアもその流れに乗っています。
かつての目尻がせり上がった形状のフレームよりも、上方向にオフセットしたレトロモダンな外観が今のスタイル。機能性・安全性の観点からもレンズの大型化はさらに進んでいます。
ここではそういったトレンドを生み出す5つのブランドを紹介。いずれも優れたデザインだけでなく、クリアで歪みのない視界を得られるレンズが付属するハイブランドです。
Oakley – オークリー

モデル | 価格相場 | リンク | |
① | Jawbreaker | ¥20,000〜 | Amazon Wiggle |
シングルレンズの最定番モデル | |||
② |
EVZero Blades | ¥12,000〜 | Amazon Wiggle |
軽量&シンプルなフレームレスデザイン | |||
③ |
Wind Jacket2.0 | ¥20,000〜 | Amazon Wiggle |
風も汗も防ぐ機能的モデル | |||
④ |
Flight Jacket | ¥20,000〜 | Amazon Wiggle |
上方視野の広いロード専用モデル | |||
⑤ |
Sutro | ¥15,000〜 | Amazon Wiggle |
ベルナル着用の抜け感あるレトロデザイン |
Jawbreakerブームによって大型レンズの新機軸を切り拓いたオークリーは、ロードアイウェアのシェアNo.1を占めるブランド。
高いフィット感・歪みのないプリズムレンズ・完成度の高いデザイン──この3つが完全なかたちで揃ったブランドはオークリーが随一と言えます。
そのラインナップは、もはや着けていないサイクリストを見ない日はないほど広く浸透した「Jawbreaker」を筆頭に、多様なビックレンズが揃い踏み。
その中でもスタイリッシュなモデルが、軽量系を代表するEVZeroの新作「EVZero Blades」、機能的なマルチスポーツ用の「Wind Jacket 2.0」、ロードバイク専用ハーフフレームモデル「Flight Jacket」、また2019年ツールの覇者ベルナルが着用していた「Sutro」など。迷うほど優れたモデルが数多くあります。
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Amazon | Wiggle | CRC
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100% – ワンハンドレッド

モデル | 価格相場 | リンク | |
① | Speedcraft | ¥20,000〜 | TOKYO WHEELS |
Jawbreakerに次ぐ100%の王道モデル | |||
② |
S2 | ¥20,000〜 | TOKYO WHEELS |
カーブが浅くハーフフレームのすっきりデザイン | |||
③ |
S3 | ¥20,000〜 | TOKYO WHEELS |
SpeedcraftとS2を融合した進化モデル | |||
④ |
Hypercraft | ¥30,000〜 | TOKYO WHEELS |
100%最軽量のフレームレスモデル |
2017年にサガンが100%のアイウェアを着用するようになってから、100%はトレンドに敏感なサイクリストにとって最も優れた選択肢のひとつとなりました。クリアレンズも付属するのでお得なブランド。
そのラインナップは、王道の「Speedcraft」と、そこから派生した「S2」と「S3」の3つが定番。
S2はフレーム下部がなく、浅めのカーブで視野の広いモデル。またS3は、S2のアッパー形状とSpeedcraftのエアフローシステムを融合させ、よりスマートな仕上がりになっています。
また2020年新モデルの「Hypercraft」は、100%初のフレームレスで最軽量。S3に近いスマートなレンズ形状に視界の広さが加わった高機能モデルです。
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TOKYO WHEELS
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Alba Optics – アルバ オプティクス

モデル | 価格相場 | リンク | |
① | Delta | ¥23,000 | TOKYO WHEELS |
レトロモダンの美しいデザイン | |||
② |
Stratos | ¥25,000 | TOKYO WHEELS |
ラウンド形状の鮮烈なビックレンズ |
アイウェアの新たな潮流を感じる上で、イタリアのAlba Opticsは外せないブランド。あらゆるシングルレンズの中で最も美しくスタイリッシュな2種類のアイウェア「Delta」と「Stratos」を展開しています。
Deltaは独特のテンプルアーム形状が装着しやすく、激しく動いたときにもズレにくい構造。1本26gと軽くて掛け心地良く、フレームカラーもレンズも豊富。
Stratosはビッグレンズモデルの中では異色のラウンド形状で鮮烈な印象を与えます。広い視界によって機能的にも文句なしの逸品。
また両モデルとも2020年に“Optical Clip”というオプションパーツが追加。度付きレンズをノーズパッドの上に取り付けられるようになり、眼鏡のサイクリストにとっても選択しやすいブランドになりました(TOKYO WHEELSで取り扱い)。
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TOKYO WHEELS
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POC – ポック

モデル | 価格相場 | リンク | |
① | Aspire | ¥23,000〜 | TOKYO WHEELS |
顔立ちを選ばないジェンダーレスデザイン | |||
② |
Crave | ¥30,000〜 | TOKYO WHEELS |
丸みのあるPOCらしいデザインで視野も広い |
新鋭ブランドでありながら、ツールなどのレースで実践投入されているスウェーデンのPOCは、スキー用ゴーグルを開発してきた技術を応用してアイウェアを制作。
ラインナップの中でも、特に「Aspire」はジェンダーレスなデザインで最高にクールなアイウェア。トレンドに合う大型レンズで広い視界を確保しています。
また「Crave」は、グリルアミッドという耐久性の高くて軽量な素材を使ったモデル。
シャープなシルエットが多いロードアイウェアの中で、湾曲したレンズのラウンドデザインはPOCならではのものです。
いずれのモデルも、レンズにはカールツァイス製を使用。視界のクリアさも一級です。白フレームを選択してAspireらしいポップなシルエットデザインを堪能するのがベスト。
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TOKYO WHEELS
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Smith – スミス

モデル | 価格相場 | リンク | |
① | Wildcat | ¥25,000〜 | Amazon |
ミニマルなビッグレンズデザイン | |||
② |
Flywheel | ¥18,000〜 | Amazon Wiggle |
都会的なスタイルに合う形状 |
50年以上の歴史を持つ米国のスポーツサングラス大手ブランドSmith。サイクリングだけではないマルチスポーツ用のアイウェアをいくつも展開しています。
そのSmithは2019年にロード用に最適なモデル「Wildcat」と「Flywheel」をリリース。
ゴーグルからインスパイアされたWildcatは、どんなコーディネートにも合わせやすい無駄のないビッグレンズ形状。ゴーグルのように上下左右に広い視界と、耐久性の高い柔らかいフレーム素材が機能的。クリアレンズ付属でお得。
Flywheelは、Wildcatより若干小さめのレンズなので、より都会的なスタイルに合うデザイン。
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Wiggle
Appendix. 眼鏡をかけるサイクリストの対処法
コンタクトレンズではなく眼鏡を常用している場合、アイウェア選びは悩ましいところかもしれません。
この場合の選択肢として最適な方法は2つあります。
A. 度付きレンズを作る
オークリーやルディプロジェクトなど、もともと度付きオプションを用意しているメーカーがあります。その中で気に入ったモデルがあれば、そのまま度付きレンズを眼鏡ショップで注文します。
また国内の眼鏡ショップの中には、少し値段が張りますが既成のアイウェアのレンズを度付きにしてくれるお店があります。ただし対応できるレンズは一部を除いてデュアルレンズタイプのみとなります(シングルレンズはサイドの歪みが大きくなるので度付きにあまり向いていない)。
いずれの方法も追加費用がかかってしまうのは許容するしかありません。
B. シールド付きエアロヘルメットを使う
GIRO「VANQUISH(Wiggle)」やOGK「AERO-R1(Amazon)」のように、エアロヘルメットにシールドレンズが付属するタイプであれば、眼鏡の上からそのまま着用可能です。
普段使っている眼鏡をそのままサイクリングでも使えることがメリット。ただエアロヘルメットなので、常にガチ感が出てしまうことはライドスタイルによってはデメリットかもしれません。

* * *
ロードバイク用アイウェアは、量販店にあるような一般用スポーツサングラスでもある程度代用できますが、風の巻き込み・視界・ホールド力などの問題からサイクリング用途としては不足を感じるようになると思います。
ここで紹介したブランドは少し値が張りますが、そういったものと比べるとはるかに高性能。僕自身はじめてオークリーを着用して走ったときは全然別モノだと感動したのを覚えています。
ライド中に状況判断する上で重要な「視覚」をサポートしてくれる最適なパートナーを見つけられるように、アイウェア選びを楽しんでください。