
夏のライドに冷たい水は欠かせない。かつてはキャメルバック『ポディウムアイス』の性能に救われ、過去の記事で“真夏のボトルはこれ一択”と書いた。あれから数年が経ち、ステンレス製の真空断熱ボトルが各社から出そろったことで、保冷ボトル選びの基準が新しくなった。そこで選んだのが、Ablocによる保冷ボトル『Acier(アシエ)』。購入から1年以上使ってきたのでレビューする。
text / Tats(@tats_lovecyclist)
スペック

Abloc Acier(¥8,800)
| 容量 | 650ml(22oz) |
| 重量 | 330g(公称値) 350g(付属のシリコンバンド込み実測値) |
| 構造 | 真空断熱二層構造+内部カッパーコア |
| 保冷性能 | 14時間以上(メーカー公称値) |
| 飲み口 | シリコン製(分解可) |
| 価格 | ¥8,800(税込) |
Abloc(エイブロック)はサンフランシスコ発のボトル専門ブランドで、ラインナップは樹脂製の『ARRIVE』とステンレス製の『Acier』がある。
Acierの構造で注目すべきなのは、真空二層構造の内側にカッパーコアを採用していること。銅による輻射熱の反射を狙ったもので、高級魔法瓶と同じ考え方を落とし込んでいる。
ちなみにAcierは保冷専用で、温かい飲み物は火傷するのでメーカーから禁止されている。

サステナビリティを訴える粋なパッケージ
導入の目的

ずっとお世話になっていたポディウムアイス
2020年にキャメルバックの『ポディウムアイス』を紹介したとき、″真夏のボトルはこれ一択”と書いた。通常のボトルの4倍の保冷力は、氷を入れておけば2時間以上は冷たいままなので、当時の選択肢の中では唯一の正解だと言えた。
ただし氷を定期的に補充する必要があるという運用上の課題はあって、保冷効果を最大限活かすにはコンビニストップがあることが前提条件だった。
その間に、さらに保冷力が高いステンレス製ボトルが各社から登場する。それでもすぐに乗り換えなかったのは、ステンレスボトルの多くが自分のボトルケージに挿したいと思えるようなデザインではなかったからだ。
ザ・魔法瓶というような製品は選びたくないし、洗いにくさや飲みにくさも周りから聞いていた。『Acier』はそれらが解決されている。
Pros & Cons
Pros
デザイン:ステンレス保冷ボトルというカテゴリの中で、サンフランシスコとオースティンでデザインされた『Acier』は唯一使いたいと思える。他ブランドのようにステンレス一色でもなく、魔法瓶っぽい飲み口でもない。形状も無駄がない。

黒とシルバーの2トーンで、スラっとした形状
飲みやすさ:傾けるとちょうど良い水量が流れる。ポディウムアイスのように本体をギュッと押し込んで大量に水を出すことができないのは仕方ないが、実際に使ってみると傾けるだけで出てくるのはそれはそれで便利だった。たくさん飲みたいときは吸えばいい。吸った分だけ出てくる。

飲み口を引き上げるとロックが外れ、口を開けていれば勝手に入ってくる
保冷性能:命を救われる。公称値14時間だが、真夏は暑すぎてどちらにしても2〜3時間おきに水を入れ直すので、ぬるくなることがまずない。ちょっと涼しくなった季節でも、ライド中は身体が火照るので、意識しなくても冷たい水を摂取できるありがたみを感じる。

ずっと冷たい〜
洗いやすい:飲み口が分解できるので汚れが残らない。ボディ部分は食洗機OKだが、飲み口は手洗いが必要なので注意。

いつも清潔
Cons
意外と傷つく:「本体下部はステンレス外装のみとなり、傷つくことを気にせずに使用可能です」と代理店サイトに書いてあるが、これは「塗装してないから剥げる心配はないよ」というニュアンスだった。普通にステンレスの表面は擦れに弱いので、ケージからの抜き差しで傷つく。これはAcier固有の欠陥というより、金属ボトル全般に起こる問題なので仕方がない。

新品の状態がとても綺麗なので傷つくのはやはり悲しい
ボトルケージとの相性について

ステンレスボトルは、樹脂ボトルと違って胴体がたわまないので、ボトルケージとの相性が露骨に出る。以前Supacazのボトルケージに挿していたら、段差でAcierがすっ飛んでしまった。
ステンレス製はゆるめのケージとは相性が悪いので、EliteやArundelのようにホールド力の高いケージを推奨する。個人的には現在Polymerのケージを使っているがまったく問題ない。
結論

新・真夏のボトルはこれ一択。6年前にポディウムアイスで「これ一択」と書いたときは、樹脂ボトルの中での最適解だったが、今回はステンレスが主流となった今改めて選び直した結果となる。
保冷力だけを見れば、各ブランドの持続時間はすでに拮抗している。Acierを含む大容量モデルはいずれも10時間以上保冷する中で、その先の2〜3時間の差を競う段階でしかない。
だからこそAcierの仕上がりが差別化される。ケージに挿さって美しく、バルブの分解洗浄でいつも清潔で、絶妙な水量で飲みやすい。¥8,800は他ブランドよりも若干高めの価格設定だが、すべてに満足できるボトルはこれ以外にない。
著者情報
![]() | Tats Shimizu(@tats_lovecyclist) 編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴12年。海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。同時にフォトグラファーとして国内外の自転車ブランドの撮影を多数手掛ける。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。 |
















