Text by Tats(@tats_lovecyclist)
Photo by Ryuji(@marusa8478)
ひとたび袖を通すと、“走る自分”へとスイッチが入る──優れたウェアにはそういう力があります。
“Be your alter ego(別人格になる)”というブランドコンセプトを持つ「Attaquer」は、さまざまなライドスタイルに合わせられるように(つまりどんな“走る自分”になるか選べるように)、複数のシリーズをラインナップしているブランド。
その新たなシリーズとなる「Race Reflex」は、ライド体験を今までとは違うものにするためにデザインされたラインです。
近年意欲的にウェアをリリースするAttaquerの最新作を僕と一緒にレビューしてくれるのは、雑誌『Cycle Sports』の編集長をつとめる吉本司氏。
以前のCafé du Cyclisteレビューに引き続き、自身のスタイルを踏まえて詳しく話してくれました。
*本レビューで使用するジャージはAttaquer Japan(アタッカー・ジャパン)提供のものです。
レビュアー
吉本司:月刊自転車専門誌「Cycle Sports」編集長。スポーツバイク歴は35年。ロードバイクのみならずすべての自転車選びを好み、機材からウェアまでジャンルを問わず幅広い知識を持つ。無類のファッション好きで、サイクルウェアは海外ブランドを着用することが多い。
Tats:LOVE CYCLISTオーナー。スポーツバイク歴は6年。ロードサイクリングをライフスタイルの一部に取り入れ、日常とライドを自然な流れの中で楽しんでいる。サイクルウェアは初心者の頃から海外ブランドを好んで着用してきた。
Attaquer – Race Reflex L/Sジャージ
Race Reflex L/Sジャージ(左: ネイビー/右: ブラック) – ¥20,000
Tats:海外ブランドの中で、Attaquerは今とても勢いがあると感じます。レース強度に向いた「Race」系、オールラウンドの「All Day」、ゆとりのある「A-Line」という基本3ラインに加え、限定デザインを定期的にリリースする「Limited」ラインがあって、毎シーズン新作を見るのがとても楽しみになっています。
そして今回リリースされたのが、「Race」系に追加されたライン『Race Reflex』。新しいタイプのウェアが現れたと感じました。
吉本:Attaquerの中では珍しくモノトーンでクールな雰囲気ですね。シンプルな着こなしが好きなので、こういったウェアはコーディネートしやすい。
でもRace Reflexがただのシンプルなジャージではないと感じるのが、その生地です。
Tats:今までのジャージとはちょっと違った生地感ですね。ここは写真だけではわかりづらかった部分です。
吉本:2つ特徴があって、ひとつが“厚み”。長袖ジャージは肉厚な生地か、半袖と同じくらい薄手のものが多い中で、これはその中間の厚さなんですね。薄手なんですが少し裏起毛になっている。こういうウェアは、単体で着るのであれば秋や春(3月中くらい)にぴったり。インナーを冬用の長袖にすれば初冬まではいけると思います。
じゃあ真冬になったら着れなくなるのではと思われるかもしれませんが、薄いので重ね着しやすく、インナーやジャケットとの組み合わせ次第で意外とロングシーズン着ることができるでしょう。
Tats:少し涼しいときは半袖インナー、寒くなったら長袖インナー、真冬ならその上にジャケットを羽織るといった着回しですね。
吉本:秋から春を通して着るシーズンを選ばない長袖ジャージというところがとても面白い。
ファッション的な楽しみ方も
吉本:もうひとつの特徴が“伸縮性”。「高い伸縮性」という言葉だけでは表現しきれないほどよく伸びるので、滑らかな生地感と相まってとても着心地がラクです。
それでありながらバックポケットに荷物を入れても生地が無駄に伸びないので、フィット感は保たれます。
Tats:この伸縮性はRace Reflexの使いやすさを広げていますね。レース系ジャージは割と気合いを入れて着るんですが、Race Reflexは自然に羽織る感じで着ることができます。
吉本:それでいて、着たときのシルエットが体と地続きのようにぴったりフィットします。すごくスマートな印象で、走りたい気持ちに自然とスイッチが入る。
吉本:あと長袖ジャージは基本袖をまくることはしませんが、Race Reflexの場合まくっても袖にボリュームが出ないので、暑いときに簡単に袖周りを調整できてしまう。
Tats:今日のライドで強度を上げたとき、吉本さん肘の上まで袖まくって走ってましたもんね(笑)。普通に半袖ジャージのように見えました。
僕も暑いと思ったときに、軽くまくって七分丈にしました。これ、個人的に嬉しいことなんですが、ずっと秋に七分袖ジャージがあればいいなと思っていたんです。でもメンズでは今までなかった。それがRace Reflexで実現できたという意外性。
七分丈のジャージに見える
吉本:本来想定している使い方ではないんでしょうが、ファッション的な楽しみ方もできてしまいますね。
あと裾も良いです。高さのあるレーザーカットは、デザイン的に切り替えの格好良さがあるし、ぴったり腰回りにフィットしてくれるので非常にスタイリッシュに見えます。本当シンプルだけど格好良さがディティールに現れている。
デザインアクセントにもなっているレーザーカットの裾
よく伸びて入れやすいバックポケット
反射プリントのロゴ
リスペクトあるウェアづくり
吉本:Race Reflexはそういった生地感やシルエットから、ハイテンポで走りたいサイクリストに最適なウェアですね。エアロだし強度を上げても体温調整しやすいですし、そして格好良いし。
僕は自転車歴が長いので80年代からサイクルウェアの変遷を見てきていますが、Race Reflexは老舗の機能性メーカーが出しているオールシーズン向けウェアの着心地を連想しました。
最初Tatsさんが言ったように、Rapha以降出現した海外ブランドに勢いがあるのが今のトレンドだと思いますが、それはただデザインが良いだけでなく、機能的にも従来のブランドと遜色ないようになったということの現れだと感じています。
【着用サイズ】Tats: S(177cm, 胸囲86cm)、吉本氏: M(186.5cm, 胸囲94cm)
Tats:やはりデザインだけだと、サイクリストというこだわりの強い人種は満足しなくて、ブランドも長続きしない。そういった意味で、今勢いのあるブランドはこれまでのサイクルウェアをリスペクトした上でモノづくりをしているんだなと感じます。だから吉本さんのように長いスパンでウェアを見てきている方でも満足できる。
吉本:ビブショーツも自分で購入したAttaquerのものを履いていますが、全体を通してテクニカルトレンドを取り入れながら丁寧にウェアを作っていることが伝わってきます。Attaquerはこれからも楽しみなブランドですね。
Highs
- ・オールシーズン使える厚みと伸縮性
・完璧に体にフィットする着心地とエアロ性
・クールなデザイン
Lows
- ・特になし
Race Reflexシリーズを購入する
※メンズ/ウィメンズあり