
待っていた人は待っていた。
かつてCannondaleが誇ったアルミロード全盛の時代。それがこの現代に蘇り、前作から6年半を経て最新モデル『CAAD14』がついに登場した。
もしこのバイクを、かつてのように“カーボンキラー”というコピーで形容する輩がいたら、それはCAAD14のことを何もわかっていない。CAADはCAADだ。何かを倒すためのバイクではない。
著者情報
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Tats Shimizu(@tats_lovecyclist) 編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴12年。海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。同時にフォトグラファーとして国内外の自転車ブランドの撮影を多数手掛ける。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。 |
text / Tats(@tats_lovecyclist)[PR]
※本レビューは、国内代理店インターテックよりバイク貸与を受け、一定期間にわたって実走テストを行ったものです。
Contents
CAAD14の全容

CAAD14 1(¥1,080,000)
CAAD14は、 2つのグレードに分かれる。
世界300台限定生産の『CAAD14 1』は、カーボンのSystemBar R-OneコックピットとReserveホイール、そしてSRAM Force XPLR 1x13sを組み合わせた構成。

CAAD14 3(¥345,000)
もうひとつは105コンポで組まれたクラシカルな『CAAD14 3』だ。

CAAD14フレームセット(¥210,000)
フレームセットも販売され、完成車にはないカラーで、自分の理想のアルミロードを組み上げられる。
| モデル名 | カラー | フレーム重量 | サイズ | 価格(税込) |
|---|---|---|---|---|
| CAAD14 1 | Raw (RAW) | 1280g | 48/51/54 | ¥1,080,000 |
| CAAD14 3 | Matte Black (BBQ) Chalk (CHK) |
1410g | 48/51/54/56 | ¥345,000 |
| フレームセット | Rally Red (RRD) Black (BLK) |
1410g | 48/51/54/56/58 | ¥210,000 |
新しいCAADの肝
ホリゾンタル至高
特筆すべきは、前作CAAD13のドロップドシートステーを捨て、CAAD12以前のダブルダイヤモンド構造を持つクラシックなシルエットに立ち返ったことだ 。
やはりホリゾンタルトップチューブのこの形状は、最も自転車が美しく見えると感じられる。

全体的にチューブは肉付き良く、力強いプロポーション。トップチューブが後方にかけて細くなっていく繊細なラインもまたぐっとくる
カーボンを模倣しない
CAAD14の断面は、カーボンフレームの形状をコピーするのではなく、アルミ素材に最適化された独自の断面形状になっている。

高さのある側面形状と箱型に近い断面を組み合わせることで、高剛性と軽量化を両立しているという
アルミでフル内装
新設計のデルタステアラーを採用したフルカーボンフォークで、ケーブルは完全内装となった。アルミだけどフル内装というギャップ。これだけで“現代のロードバイク”感に溢れる。

『CAAD14 1』には、前世代のSuperSix EVOに採用されていた、MOMO Designとコラボレーションしたコックピットが付属する。SuperSix EVO Gen5では採用されなかったものの、その洗練されたデザインは今なお高い存在感を放つ。なお、このコックピットは現在も単品で販売されている
汎用性とメンテナンス性
規格面では、BSAねじ切りBB、27.2mmシートポスト、そしてUDHを採用 。アップグレードの可能性やメンテナンス性が担保されている。

27.2mmシートポスト

UDH対応でSRAMのフルマウントディレイラーが『CAAD14 1』にはアセンブルされる
ジオメトリ

CAAD14のジオメトリーは、最新のSuperSix EVOと比べても、完全に競技用バイクとしてな設計されていることがわかる。その軸は「ロング&ロープロファイル」。
まずほとんどのサイズでEVOよりスタックが5mm低く、特に51cmサイズでは12mmも低いため、EVO以上に攻撃的な姿勢をライダーに強いる 。前面投影面積の最小化や前輪への荷重など、アルミレーサーとして、一切の妥協を排した純粋なレーシングプロポーションとなっている。

かつてのCAAD12やEVO Gen2を愛した『低くないと走る気がしない層』へのラブレターだ

後方を見ると、シートアングルはEVOよりわずかに寝ており、安定した重心バランスを確保している。
チェーンステー長は全サイズ41.5cmと、EVOより5mm長い。直進安定性が向上し、最大32mmのワイドタイヤへの対応を可能にしている。

タイヤクリアランスは最大32mm。今となっては一般的だが、前作よりタイヤ選択の幅が広くなった
生々しく剥き出しの。

「これよ!これを求めていたのよ!」ルックスだけじゃなく、走り出すと生々しいほどのアルミのダイレクト感が待っている。踏み込みと加速のラグがなく、入力に対して瞬時にバイクが進む。スポーツ自転車の原点とも言える、自分の力で走らせる快感が突き抜ける。

現在僕は、スカンジウム素材のStandert(UDH対応)に乗る。金属フレームに、ケーブルフル内装、Red XPLR 1×13、チューブレスタイヤという現代の技術トレンドを組み入れている。実際にやっているライダーは少ないかもしれないが、それがライフスタイルの中で走るバイクとして、現在考えうる最も優れた構成だと思ったためだ(実際にその判断は合っていた)。

フレームサイズは54。テストにあたっては、CAAD14のホイールを、普段履いているZIPP 303 Firecrestに換装した。Standertとの違いをより鮮明にするためだ
驚いたのが、CAAD14のトップモデル『CAAD14 1』が、まさに「金属フレーム×フル内装×フロントシングル」という構成をメーカー自ら提示してきたことだ。「非レース的だが本気で遊べるロードバイク」として最適だと個人的に感じてきた構成が、実際は王道であることをCannondaleが証明したも同然だ(と思っていいですか)。
かつて初心者の頃にエントリーモデルのCAAD8に乗っていた身にとって、最新トレンドを採用したCAAD14の姿は心にぐさぐさ刺さる。

カーボンバイクにある、力を一瞬溜めてから伸びる感覚とは決定的に違う 。踏力が間髪入れずに推進力へと変換されるその反応速度こそが、CAADを「生々しい」と形容するに相応しい 。同じ金属バイクでも、上品なしなやかさと反応速度がバランスされたStandertに対し、CAAD14には剥き出しの躍動感がある 。

ホイールベースが長めなおかげなのか、直進安定性は非常に高い。低く前へ前へ進もうとする意思と、バイクの挙動がリンクする感覚が気持ち良い。

路面からの振動を拾う特性は、アルミ素材のアイデンティティといっても過言ではない。でも現代のCAADは、最大32cのチューブレスタイヤで低圧運用することで、素材の硬さを殺さずに不快な衝撃だけを巧みにいなすことができるようになった 。路面のグリップと快適性が高まったことで、この尖ったフレームを日常のあらゆるシーンで使い倒せる。

デカいスプロケももう見慣れたよね
完成車に付くフロント50Tにリア10-46Tという13スピードの構成もやはり最高だ。ハイスピード巡航も厳しい斜度も、ロードライディングに必要なギア比をちゃんと網羅している。確かにクロスレシオなギアと比較すればトップ側の一部のギャップは大きいが、このバイクの生々しい加速感を考えれば、それすらリズムとして楽しめる。チェーン落ちから解放され、リアの操作だけで良いストレスフリーな感覚は、一度味わうともう戻れない。
変速のたびにフレームを通じて「カーン」と響く確かな手応えも、金属フレームならではの官能性がある。

CAAD14はSuperSix EVOと同じヘッド角で、ハンドリングについても極めて素直で扱いやすい 。少しクイックかもしれないが、極端にキレがあるとは感じなかった。MOMO Designと共同開発されたSystemBar R-Oneの380mmバーもクセがなく、フロント周りの剛性感をダイレクトに手の平へと伝えてくれる 。

カーボンと比べてどうこうを語る必要はない。必要以上に細かく項目別に性能を評価する必要はない。このバイクに乗って、バイブスを感じるかどうかだ。“NOT CARBON. NOT SORRY.(カーボンじゃない。それが誇り)”とCannondale自らが言ってきたように、アルミ素材の強みを真正面から引き出し、乗り手を勝手に笑顔にさせるのがCAAD14だ。
CAADは、CAADだ。


Standertで構成した「フロントシングル×フル内装×金属素材」という解が、CAAD14というマスプロダクトで王道になった。CAAD14はレース向けに設計されているとはいえ、これで本格的にレースを戦うのは酷だ。でもレーシーな踏み味は、一度味わうと癖になる。毎週仲間と心肺を追い込むようなライドをしているなら、CAADはその楽しみをさらに増幅させてくれる。
CAAD14は、カーボンの代替品ではなく、CAADだ。マージナルゲインに囚われた現代のバイクシーンに対する、強烈な反骨精神だ。少なくとも僕個人は、新型EVO以上に、CAAD14の乗り味に対してバイブスが上がった。
自分のライフスタイルを共に踏み倒すためのロードバイクとして、これほど最適なバイクはない。


text / Tats(@tats_lovecyclist)
[PR]提供 / 株式会社インターテック
















