ロードサイクリングは男性比率が高いスポーツのため、競争志向の高いサイクリストが多い傾向にあります。その世界では、「速さ」そのものが重要な価値基準に置かれていることも少なくありません。
そんな中でロードバイクを始めようと思っても、はじめてショップに1人で行くのが怖いのは当たり前(常連が居着いているお店ならなおさら)
また同じ自転車でも、ロードバイクはシティサイクルと異なって価格帯が幅広く、様々なパーツで構成されていて複雑な世界にも見えます。数ある車種の中で何を基準に選んだらいいのかわからないという迷いは、誰もが同じように感じること。
ロードバイクは間違いなくはじめの一歩を踏み出す障壁が高いスポーツ。だからこそ、この世界への入口を少しでも大きくし、そして入門してからも楽しく続けることができるように、この世界の歩き方について話したいと思います。
1. ロードバイクは乗るだけで楽しい
ロードバイクはただ乗るだけで楽しくなる乗り物。
よく非サイクリストからは「走るだけで何が楽しいの?」と聞かれることがありますが、ロードバイクは「走ることそのものがただ楽しい」もの。こちら側の世界に入らないとなかなか理解されない事実ですが、このコンセプトが出発点にあります。
これまでシティサイクルしか乗ったことがなければ、ロードの軽い乗り心地に感動し、そして乗り慣れてくるともっと長く乗っていたくなる。
はじめるきっかけは、友だちや漫画の影響でも、健康目的でも何でも構いません。乗ることが楽しいと思えれば、あとはどんな方向性にも進めます。
レースに出るために身体を鍛えはじめる人もいれば、乗ることにハマりすぎて200km以上のブルベに行く人もいたり、あるいは川沿いをゆっくり風を感じながら走るのが好きだったり、グルメポタリングサークルを作って美味しいものを食べることを目的にしたりと、ロードバイクさえ手元にあれば楽しみ方は自由。
僕は比較的トレーニング好きな気質ですが、サイクルファッションを楽しみたいというのもロードバイクに乗る目的のひとつ。自分の好きなサイクルウェアに身を包むのは、日常と違う自分になるコスプレだと思ってロードバイクの世界を存分に楽しんでいます。
だからロードバイクが気になったら、何のために買うのかとか目的をそれほど気負わずに始めても、走ることそのものを中心として楽しみ方を誰でも見出すことができます。
2. ロードバイクを購入するのに最適なタイミング
一般的に適切な購入タイミング
ロードバイクを購入するときには、一般的にベストと言われるタイミングがあります。
ひとつは季節柄始めやすいタイミング。ベストなサイクリングシーズンは春と秋なので、その期間に納車できるように購入すれば自転車を爽やかに楽しむ醍醐味を味わうことができます。
もうひとつはモデルチェンジのタイミング。ロードバイクの各メーカーは毎年8〜10月あたりにモデルチェンジをするので、この切り替えタイミングは旧モデルを安く購入できたり、新モデルをいち早く入手することができます。
ロードバイクのベストシーズンと新モデル切り替えのタイミング
ただロードバイクは、シティサイクルと違って注文してから組み立て作業が発生するので、納車まで時間がかかります。
モデルの在庫やお店の混雑状況によって、2週間で納車できる場合もあれば、半年待たなければならないこともあり、欲しいモデルによって差がでるということはあらかじめ知っておくと良い点です。
本当に適切な購入タイミング
しかし、必ずしもこの時期をわざわざ待って購入する必要はありません。
最も購入に適切なタイミングというのは、欲しいと思ったタイミングに、欲しいデザインのロードバイクの在庫が見つかって、それを購入できるお金が手元にあるとき。
つまり「ニーズ」「タイミング」「予算」の3つが揃ったときが最も最適な買い時となります。それを満たしていれば、ベストシーズンを逃していてもロードバイクをずっと続けられるのは間違いありません。
例えば僕の場合、初めて自分のロードバイクを購入したのが11月、納車が1月頭だったので完全にオフシーズンにあたりましたが、ロードバイクに乗りたいというモチベーションが高いまま納車されたのでそのまま楽しむことができました(少し冬用ウェア類の出費がかさみましたが…)。
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自転車に乗りたいという欲求は突然「降りてくる」ものなので、それはロードバイクをはじめるべき機運が回ってきたと解釈します。
新しいことを始めるのはわくわくします。ロードバイクは乗れば乗るほど楽しくなる乗り物なので、自分の成長とか仲間との出会いとか、今までと違う変化が感じられて、ロードバイクを始める前と比べると普段の日常が大きく変化します。それはとても刺激的で面白いこと。
例えばもし仕事などで伸び悩むことがあったとしたら、ロードバイクのようにすぐ成長が実感できることに新しく取り組んでも良いんです。巡り巡って全体がよくなる可能性もあります。
あなたが今始めたいと思ったら、それはあなたが今変化するべきときなんだと思います。
3. 3つの出会いを大切にする
ロードバイクに乗る上では、3つの出会いを大切にするのが長く続けるための秘訣。
① ロードバイクとの出会い
自分がこれから何年も付き合っていく大事なパートナーとの出会い。
メーカーを調べたりショップを回ったりする中で「これがほしい」と思えるモデルに出会えることを願っています。
ロードバイク選びは、自分がどれだけその自転車に惚れ込むことができるかがもっとも大事。他人がどう思うかというのもひとつの指標ですが、好き嫌いの感性は自分だけのものなので、自分の感覚を優先するのが一番です。
最初は予算も限られていると思うので、その範囲内でのベストバイクを見つけてください。
② ショップとの出会い
自分のバイクのメンテナンスやパーツのグレードアップと組み付けをお願いするショップとの出会い。
購入するバイクの候補がいくつか見つかったあとは、ショップ選びを慎重におこなってください。売ったあとのアフターケアが薄いショップよりも、お客さんとの継続的な関係性を重視するショップの方が安心できます。
店員さんと気軽に相談できるようになると、バイクのトラブルのときも安心して任せられるし、ちょっとパーツを変えたくなったときに自分に合ったものを提案してくれます。
できるだけ自宅から近所にあって、大型量販店ではない中小規模のショップの方が、そういった条件に合致するところが見つかりやすいと思います。
ショップの探し方の詳細についてはこちらの記事も参考にしてください。
③ 仲間との出会い
一緒に走る仲間との出会い。これは3つの中で最も大事なものです。
ひとりの方が気軽でいい、という場合もあるかもしれませんが、グループライドにはソロライドだけでは得られないものがあります。集団での走り方、手信号のコミュニケーション、ライドスキルの改善などはグループライドしながら学んでいくのが最適。
それ以上に、仲間がいると最も良い点は、ただただサイクリングが楽しくなるということ。グループライドの一体感はとても気持ちが良いものです。高負荷のトレーニングでさえ走ることが楽しくなるので、ロードバイクに乗るモチベーションがとても高くなり、結果的に長く続けることができます。
仲間の探し方については、少しトレーニング寄りの内容ですがこちらの記事を参考に。
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LOVE CYCLISTではロードバイクを始める方の背中を少しでも支えることができればと思います。これから始める人に、良い巡り合わせがありますように。