Kabuto『FULRE』: “Kabutoらしくない”ヘルメットがどう生まれたのか。

OGK Kabuto Fulreレビュー

はじめて『FULRE(フルレ)』を見たサイクリストの多くは、「これどこのブランド?」と疑問を抱く。落ち着いた色合いや丸みを帯びたフォルムが、これまでのKabutoが持つ機能的なイメージとは明らかに異なる。それでいて、欧米ブランドともまた違う存在感がある。

FULREは紛れもなくKabutoが出したヘルメットだが、そうなるとFULREは、Kabutoの新しいフェーズの到来を意味しているのだろうか?
FULRE誕生の背景から、使い心地、そしてKabutoの本質的な強みまで、ただの製品レビューではなく、FULREが意味する変化の本質に迫っていく。

Model / Hiro, Non, & Karen
Text & Photo / Tats [PR]

FULREのデザイン価値

流線形のフォルムを採用したFULRE

FULRE(フルレ)の第一印象は、それまでのKabuto製品とは明確に異なる。
丸みを帯びた全体のフォルムに加え、側面から後頭部にかけてボリュームを持たせたシェイプは、直線的でシャープな造形が多い一般的なヘルメットと違って、柔らかさと安心感を感じさせる。

さらに、空気の流れを意識しすぎない控えめなベンチレーションの配置や、滑らかなエッジ処理も含めて、全体的に“機能”以上に“調和”を優先させたデザインと言える。
落ち着いた配色含めて、いわゆる従来のレーシングヘルメット然としたプロダクト群から一歩距離を置いている。
特定のブランドやスタイルに縛られず、着るものや乗る自転車を問わず使えるという意味で、FULREのデザインは“汎用性”という価値を感じさせる。

FULREスペック

サイズ(重量) S: 頭囲 54-56cm(260g)
M: 頭囲 56-58cm(270g)
安全基準 CE-EN1078(欧州)
JCF公認(日本)
カラー 全5色
価格(税込) 税込¥27,500

FULRE製品詳細ページ(公式サイト)

カラー展開は5色。マット系中心でウェア合わせしやすい(という表現をKabutoのプロダクトでするのは新鮮…!)。

きめ細かな調整と均一な締め付けを実現する「KBF-2」アジャスター

ヘルメットを浮かせて空気の通り道を確保するフローティング構造と、接触面積を減らし通気性向上に貢献するエアフローパッドが内部に搭載される。ここ最近の日本の気温の上昇に合わせ、高温多湿の環境下で快適に着用できる点に留意して開発されているのはKabutoならでは。

価格は¥27,500。昨今の海外メーカーの価格を考えると、日本の市場価格に合わせた価格設定にできるのはKabutoの強み

 

なぜFULREが生まれたか

突然FULREのようなプロダクトが世に出て、これまでの同ブランドを見てきたサイクリストにとって「何が起きたんだ」と思うのは自然なことだと思う。

関係者にヒアリングすると、起点となったのは「グローバル展開を見据えたプロダクトをつくる」というミッションだった。国内では高い認知と支持を得ているKabutoだが、海外市場、とくに欧州やアジアの若い世代に対しては、従来のプロダクトでは訴求力が弱いという課題があったのだろう。

そこでまずは、隣国である韓国の外部デザイナーと連携し、これまでのKabutoにはなかった造形と言語感覚を取り入れることになった。

背景を聞くと、たしかに韓国の若いサイクリストたちが好んで着用しているような柔らかい雰囲気がある

そしてプロトタイプを作り込んでいく過程で、当初は海外市場を前提にしていたが、完成度の高さから「国内でも受け入れられる」という判断となった。

実際に仕上がったFULREは、見た目の新しさに加え、Kabutoのアイデンティティとも言える「日本人の頭にフィットする」という本質を骨組みに残している。

オリジナリティ溢れるフォルムと実用性の調合というバランスによって、サイクリストから「Kabutoっぽくなくていい」「かわいい」という声が性別問わず寄せられ、従来のプロダクトではリーチしなかった層へと広がりを見せる。

ブランドとしては今もなお、長く愛されてきたトラディショナルなモデルを大切にしながら、一方で市場のトレンドに合わせたシンプルで取り入れやすいデザインの開発にも取り組んでいる。その延長線上に位置づけられるのがFULREであり、この先もユーザーの声を受け止めながら、新たなモデル展開を模索していくという。

これまでに築いてきた土台の上に、今後どのような方向性を積み重ねていくのか。FULREの存在は、その変化の入口となる可能性を示しているように思える。

 

フィット感とサイズ感

見た目の刷新に目を奪われがちだが、FULREのフィットにはKabutoらしさが溢れる。
日本人ユーザーをメインターゲットにしているため、欧米ブランドにありがちな「横幅が合わない」「前後にグラつく」といったヘルメットとは逆のポジションで、アジア系の頭部にフィットする形状をつくり続けてきた。
だからKabutoを好んで着用してきたサイクリストは、変わらずFULREもフィットするようになっている。

ヘルメットには珍しいBOAダイヤル

またFULREのフィットシステムが面白いのが、ほかのKabutoのヘルメット同様にBOAダイヤルを採用しているところ。シューズで馴染み深いBOAだが、ヘルメットに使うことで微妙な調整と均一な締め付けが実現されている。

モデル着用サイズ

*写真左から
Non: Mサイズ(ほかの所有メーカー/KPLUS Sサイズ)
Karen: Sサイズ(ほかの所有メーカー/KASK Mサイズ)
Hiro: Mサイズ(ほかの所有メーカー/KASK Mサイズ)

安全基準について

FULREは第三者機関の審査ではCE-EN1078(欧州)とJCF公認(日本)を取得しているため、国内レースでの使用もOK。

本製品はオージーケーカブトが定める破損交換登録店での販売となる。またヘルメット破損交換制度にも対応していて、破損交換登録店で店頭購入して製品登録すると、 ヘルメットが破損した場合に、定価の半額で新品交換できる。
破損交換登録店一覧(公式サイト)

 

これまでの声へのアンサーモデル

「フィット感は良いけどデザインが…」という理由でKabutoを敬遠してきた人は少なくない。ヘルメットがただの安全装備からスタイリングアイテムとしての役割が重要になっている今、ルックスが持つ意味はとても大きい。

FULREは、その声に対するアンサーとして誕生したと言える。スタイルに調和する柔らかなフォルムと落ち着いたカラー。日本人向けフィット感はそのままに、“被りたくなるヘルメット”として、新たなポジションに立っている。

これまでデザイン面で同ブランドを選んでこなかったサイクリストに対して、FULREはすでに選択肢のひとつとして自然に存在しているはず。

FULREを購入する(ワイズロード)

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Text & Photo / Tats
[PR]提供 / OGK KABUTO