
VeloのシニアエディターJosh Rossが、2xの時代が終わりに近づいていると書いている。1x化についてはここ2〜3年ずっと語られており、賛成派も反対派もいるが、Joshが語る理由は以下の通り。
2xが抱える問題
フロントディレイラーは常に妥協の産物だった。かつては変速に必要なトルクの大きさや、それに対する駆動系の反応が問題だった。誤った変速でチェーンが落ちる可能性や、クロスチェーンへの配慮も必要だった。長年かけてこれらの課題はほぼ解決されてきたが、その代わりに現在では空力が今まで以上に重要視されるようになり、重量の問題も常に付きまとう。
空力:2xは金属のケージとチェーンリングを2枚風に晒している。TOUR Magazinの計測では、Factor One を2xから1xにスワップするだけで1.4wの節約が得られた。
重量:Campagnolo Super Record Wireless、Shimano Dura-Ace、SRAM Red 2x、SRAM Red XPLR を同等のギア比で比較すると、1x XPLR は2xより11g軽い。大差ではないが、差は差だ。
認知負荷:1xは「上げるか下げるか」だけを考えればいい。クロスチェーンを気にする必要もなく、フロントのタイミングを計る必要もない。ロードはサイコンでギアを確認しながら走れるが、考えなくていいならそれに越したことはない。
1xがロードで普及していない理由
これまで1xが普及しなかった理由は単純で、ギアが足りないことだ。1×12はグラベルでは十分だが、ロードでは不足する。
それが1×13の登場で変わる。JoshはFactor Oneに SRAM XPLR 1×13(48t×10-46t)を組んで実走検証した。同等の2x構成(SRAM 46/33t×10-33t)と比較すると、低ギア側で33/33t(1:1)に対して48/46tとわずかに重くなるが、実用上は問題なかった。ギアレンジは双方とも460%でほぼ同等。
ただし1×13 にはトップ側で1枚連続していないカセットが存在する。SRAMでは14t、Campagnoloでは15tがそう。これによりチェーンリングサイズの選択が重要になり、Joshは50tから48tに落とすことで、この不足を使用頻度の低い速度域に移した。完璧ではないが、許容できる妥協だ。
もう一点、現状の1×13コンポはロード専用ではない。SRAMのXPLRはほぼMTBディレイラーを流用しており、軽量・エアロの観点で本来の可能性を発揮していない。Campagnoloはオールロード仕様を用意しているが、まだ改善の余地がある。
2xが構造的な行き止まりである理由
2xはギア枚数の多さをアドバンテージとして主張するが、その実態は異なる。2×12で24枚のギアがあるように見えるが、カセット中央付近で約5枚が実質的に同じギア比に重複する。さらにクロスチェーン状態の組み合わせを除外すると、実際に使える独立したギアは16枚程度になる。13枚との差は意外と少ない。
さらにライダーは実際にはフロントを頻繁に変速しない。大半の時間はアウターで流して、一部区間でインナーへ切り替える。この乗り方だと、実質的に使っているのは16枚のうちの限られた範囲となる。フロントで一気にギア比を変えられるというメリットも、現代のリアディレイラーの変速速度が上がったことで事実上無効化されている。
現状1xが抱える課題(ギア数、欠けた1枚、ディレイラーの重量)はいずれエンジニアリングで解決できるだろう。対して2xの課題(空力、重量、認知負荷)はフロントディレイラーそのものの存在に起因する構造的問題で、改善の上限がある。
2xはまだ長く使われるだろうし改善は続けられるかもしれないが、それは「行き止まりへの微調整」に過ぎない。ロードに1xが来るのは、もはや「もし」ではなく「いつ」の話だ。
*参考:Front Derailleurs Are Living on Borrowed Time: Why 1x on the Road Is the Inevitable Future(VELO)
















