インドアの間口を広げる1台。
現在インドアサイクリングで主流となっているスマートトレーナーは、実走感の高さと自動負荷調整で、多くのシリアスライダーたちの支持を得ています。
確かにパフォーマンス向上という目的にはスマートトレーナーは最高の機材であることは間違いありませんが、「フィットネス強度でインドアライドをしたい」というニーズに対しては、負荷がかかり過ぎてコースを楽しめないし、価格も簡単に手を出せません。
実走感があって、最適な負荷で楽しむためのエントリーモデルはマーケットにほとんど存在しませんでした。
2021年12月、Xplovaが新たにリリースした「NOZA one」は、そんなニーズを満たせる“ちょうど良いポジション”の1台。
以前スマートトレーナーの「NOZA S」を体験したMeiが、今回「NOZA one」を試乗し、そのポテンシャルを測ってきました。
Review/Mei
Edit & Photo/Tats [PR]
提供/NCD(日本コンピュータ・ダイナミクス)
1. NOZA oneスペック
Xplova NOZA one(¥54,000)
※スプロケットは別売りです
NOZA oneを端的に表すと、自動負荷調整のないダイレクトドライブ式*トレーナー。
自動負荷調整のあるモデルを「スマートトレーナー」と呼びますが、XplovaはあえてNOZA oneから自動負荷調整機能を省き、「バイクパワートレーナー」というジャンルのモデルを開発しました。
*ダイレクトドライブ式:自転車のリアホイールを取り外して設置するトレーナーの一種。負荷ユニットのフライホイールは実走感が高く、駆動音や振動も少ないのが特徴。
NOZA one | NOZA S | |
ジャンル | バイクパワートレーナー | スマートトレーナー |
サイズ | 600x490x450㎜ | 593×515×465㎜ |
重量 | 12.5㎏ | 17㎏ |
最大対応出力 | 800W | 2500W |
自動負荷調整 | なし | あり |
フライホイール | 5.3kg | 5.9kg |
パワー計測精度 | +/−3.0% | +/−2.5% |
ノイズレベル | 58dB | 58dB |
ファームウェア | アップデート対応 | アップデート対応 |
電源 | 単4乾電池2本 (約360時間稼働) |
ACアダプタ |
定価 | ¥54,000(税抜) | ¥98,000(税抜) |
購入リンク | Amazon | Amazon |
NOZA oneとNOZA Sのスペック比較
同社のスマートトレーナー「NOZA S」と比較すると、両モデルのサイズ感はほぼ同じです。大きく違うのは、負荷調整ユニットがないため軽量であり、電池だけで動くこと。また最大パワー出力が800Wまで抑えられていて、計測精度も少しブレ幅が大きいこと。そしてNOZA Sの半額に近い価格設定。
ただこうしたスペックだけではNOZA oneの使い勝手を判断しづらいので、実際にNOZA oneで走ったときにどう感じるかをレビューします。
※セットアップ手順は「NOZA S」とほぼ同じなので、組み立てはこちらの記事を参考にしてください。
2. NOZA oneレビュー
レビュー概要
どんなサイクリストに最適か
- ・Zwiftレースは負荷が高すぎると感じている
・天候に左右されずパフォーマンスは維持したい
・周りに関係なく自分のペースで走りたい
・最も手軽にインドアライドを開始したい
Pros
- ・燃焼系フィットネスも、手軽なパワートレーニングもできる適度な負荷
・電源がなく取り回しがシンプル
・非常に静かで集合住宅に最適
・¥54,000の価格設定
Cons
- ・脚を折りたたみできない
・Zwiftレースなど自動負荷を前提としたライドには不向き
ちょうど良い負荷と実走感
自動負荷がないのであれば、ゆるゆると回すことしかできないのでは、と思っていましたがまったくの勘違いでした。
ちょうどいい塩梅の負荷がかかります
ギアを上げればしっかり負荷がかかって、「脚を使っている」という感覚になります。
開発者のねらいを聞くと、「既存スマートトレーナーのゼロ負荷よりも若干重くしている」とのこと。この“若干”というのがポイントで、あえてちょっと重めに設定することで、走り慣れたサイクリストのフィットネスレベルにも対応させているようです。
それでいて、スマートトレーナーのように勝手に強度が上がったりしない。だから自分のペースに合わせた強度に調整することができます。
ペダルの重みを変えたいときは、自分で変速して調整
強度を上げたいときはちゃんと狙ったパワーで走れる
フライホイールの重量は5.3kgです。Wahoo KICKR COREの5.4kgとほぼ同じで慣性も働くので、実走感もスマートトレーナーと差を感じることはありませんでした。
ものすごく静か
チェーンノイズ以外ほとんど聞こえない
カタログ上のノイズレベルは58dB。NOZA Sと同じ数値ですが、負荷調整のモーター音がないこともあり、実際の駆動音はNOZA Sより静かに感じます。NOZA one側から発生する音はチェーンの回転音にかき消されてほとんど聞こえません。
現行の各社ダイレクトドライブ式はいずれも騒音問題をクリアしていますが、NOZA oneはその中で最も静かな部類にいます。
取り回しのしやすさ
最初セットされたNOZA oneを見たとき、なにか違和感を覚えました。
電源コードがない…!
よく見ると、電源コードがないことに気が付きます。
NOZA oneは負荷調整ユニットがないため、電力が必要なのはBluetooth/ANT+通信だけ。だから単4乾電池2本で約360時間動きます。カタログ値だけで計算すれば、週2回1時間走る場合でも3年以上は電池の交換が不要ということ。
電池を入れる部分は青く点灯します
本体の見た目がとてもすっきりするし、電池交換もほぼ不要なのでとても取り回しがスマートだと感じます。
3. NOZA oneの最適な利用シーン
こうした特徴を持つNOZA oneが活きるインドアスタイルはさまざま。
高価なスマートトレーナーであれば、投資に見合った効果を得るためにZwiftレースやトレーニングが中心となるかもしれませんが、手頃なNOZA oneは異なるアプローチでインドアライドをスタートできます。
Rouvyの美しい景色の中でライド
実写を見ながら走れるRouvy
たとえば、同じバーチャルライドアプリでも、ZwiftではなくRouvyメインで走る。
Rouvyのコースは、CGではなく実写を使った描写で、世界中の道をオンラインで疑似体験できます。
ツールのコースから国内観光まで、景象を楽しむサイクリングの醍醐味がNOZA oneなら手軽に味わえる。
※ただしゲーム性はZwiftの方が優れているので、そのときの目的によって双方のアプリを使い分けるのもありだと思います
大画面ほど臨場感が高まります
在宅ワークの合間にパフォーマンス維持
平日は仕事や家族との時間、週末は限られた時間で走る──多くのサイクリストはそういった環境に置かれていると思います。事情があって継続して走ることができないことがあると、パフォーマンスが落ちてモチベーションが下がることも。
やっぱり外を楽しく走るためには、ある程度脚力を維持しておくことが欠かせません。
そんな状況にNOZA oneを取り入れて、在宅ワークの合間や仕事の前にさっと20〜30分走る。それだけでも週末のライドは今まで以上に楽しめるようになると思います。
こと運動不足になりがちな昨今のワークスタイルにも最適。
手軽なパワートレーニング
サイクリストであれば、脚力向上を狙いたいことだってある。インターバルやSSTなど好きなメニューを選んでさっとトレーニングできるのがインドアのメリット。
NOZA oneの場合、画面の指示にしたがって自分で変速しながら負荷とケイデンスを調整していく必要はありますが、 Zwiftのトレーニングメニューをこなすこともできます。
基本は実走が好きだけれど、雨や寒さが続くシーズンだけインドアを取り入れたいという場合に、NOZA oneの手頃な価格が導入にすごく良いと感じます。
4. インドアの間口を広げる一台。
どんなスタイルでも。
常に絶妙な価格設定で展開されるXplovaのインドアトレーナー。
「NOZA S」がスマートトレーナーの間口を広げた一台であるとすれば、「NOZA one」はインドアライドそのものの間口を広げるプロダクトという印象を受けました。
今自転車界に起きている変化は、多様性へのシフトであり、多くのサイクリストが自分のスタイルを持って走るようになっています。そういった中で、インドアライドがレース/トレーニング以外でも広く用いられるようになっていくのは間違いないと思います(現在もそういうニーズは多くあると聞いています)。
フィットネスレベルの負荷から、適度なパワートレーニングにも対応している「NOZA one」。これから主流になるインドアスタイルにフィットする、絶妙な一台が生まれたと感じています。
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提供/NCD(日本コンピュータ・ダイナミクス)
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