輪行袋おすすめ8選 + 輪行必須アイテム集【ディスクブレーキ対応】

サイクリングの行動範囲が一気に広がる輪行。ライドの基本は自宅を起点としてコースを決めるものですが、自走で行ける範囲には限界があるので、ときには違う場所を走ってみたくなります。そんなときに電車や車を使って輪行するのは、旅に出かけるようにワクワクするもの。

本記事では、初めての輪行でも楽しく行けるように、輪行袋の選び方ガイドと電車輪行のポイントを紹介します。行動範囲を拡げ、新しい道との出会いを楽しんでください。

text/Tats@tats_lovecyclist

1. 輪行袋のタイプを選ぶ

どこまで分解する?

輪行袋は【A.前輪を外すタイプ】と【B. 両輪を外すタイプ】の2種類があります。
電車輪行を前提とする場合は、持ち込みサイズの関係から【B. 両輪を外すタイプ】を選択します。

【A.前輪を外すタイプ】はサイズが大きすぎるため、公共交通機関への持ち込みは原則ルール違反。車に積むときやツーリング先のホテルへの持ち込みなど、電車輪行以外のシーンで利用します。

どうやって収納する?

輪行袋のタイプ- 縦or逆さ

電車輪行用の両輪外しタイプは、さらに①縦置きタイプ②逆さ置きタイプの2つに分けられます。

 タイプ
①縦置きタイプ 省スペース エンド金具が必要な分、収納に時間がかかる
②逆さ置きタイプ 収納がラク 幅があるので場所を取る

メリット/デメリットから自分にどちらが最適か選択します。
電車輪行に慣れない場合は、「②逆さ置きタイプ」の方が収納時間が短いためおすすめ。袋に入れたあとの状態は少し場所を取るものの、混雑の少ない時間帯の電車を選ぶことで大きな問題にはなりません。

また①②両タイプを所持しておけば、基本はさくっと収納できる逆さタイプを常用し、省スペースで輪行したいときだけ縦置きタイプを使用する、というように使い分けもできます。

逆さ置きタイプ(袋に収容する前の状態)

 

2. 縦置きタイプおすすめ輪行袋

縦置きタイプで最もシェアの大きいメーカーは「Ostrich(オーストリッチ)」。オーストリッチはショップで取り扱いが多く入手しやすいため、はじめての輪行袋によく選ばれます。
豊富なラインナップもこのメーカーの特徴で、用途に合わせて生地の厚さや重量を選択することが可能。

Ostrich輪行袋の定番ライン

オーストリッチ輪行袋のラインナップ

オーストリッチのラインナップの中で、定番として選択肢に挙がるのがこの4種類。

荷物を軽くしたい派に。軽量な「SL-100」&「L-100

オーストリッチの中で軽量モデルに位置するこの2種は、ボトルケージに入れて持ち運び可能。そのぶん素材は薄手ですが、耐久性はしっかりしており簡単には破れません。

従来軽量モデルは「L100(¥6,050)」だけでしたが、のちに最軽量モデルの「SL-100(¥8,200)」がラインナップに加わり、さらに身軽に輪行したいサイクリストにベストな逸品が生まれました。

L-100(Amazon)
SL-100(Amazon)

収納しやすさを優先したい派に。丈夫な「ロード220」&「ロード320

220(¥6,980)」と「320(¥7,520)」は生地の厚さだけが異なります。いずれも袋の内部にホイールポケットがあって収納しやすい初心者向けの輪行袋。厚手で丈夫なので、どんなシーンでも使えます。エンド金具も付属するのでお得

ただ畳んだ状態のサイズが大きいので、ライド中は駅のコインロッカーなどに預けておくことが基本となります。

ロード220(Amazon)
ロード320(Amazon)

縦置きタイプと一緒に購入するもの

輪行袋にバイクを入れただけだと、袋の中でそれぞれのパーツが干渉してフレームやホイールが傷ついてしまいます。そうならないためにも、各パーツを保護するカバーを一緒に揃えます。

リムブレーキ車とディスクブレーキ車で必要なものが少し変わってくるのでご注意ください。

縦置きと一緒に購入するもの一覧
リムブレーキ車
リアエンド金具(*1)  必須  リアエンドを保護し、加えてフレームを直立させるためのもの
スプロケットカバー  必須  スプロケットによる傷を保護するもの
チェーンカバー チェーンによる傷・汚れを保護するもの
フロントエンド金具 フロントフォークの損傷を保護するもの
フレームカバー 袋内でのパーツ同士の接触からフレームを保護するもの
ディスクブレーキ車
リアエンドスタンド  必須  フレームを直立させるためのスルーアクスル用スタンド
スプロケット&ローターカバー   必須  スプロケットとローターを保護するもので、合計3つ必要
チェーンカバー チェーンによる傷・汚れを保護するもの
フレームカバー 袋内でのパーツ同士の接触からフレームを保護するもの
パッドスペーサー(*2)  必須  ブレーキキャリパーに挟み、パッド同士がくっつかないようにするもの

*1「ロード220/320」はリアエンド金具が付属します。「L-100」を選んだときのみ一緒に購入してください。
*2 ショップで購入した場合は付属することがあります。

 

3. 逆さタイプおすすめ輪行袋

逆さタイプも種類が多く、どれを選ぶか迷います。
ただ縦置きタイプと同様に、軽さと収納しやすさどちらを重視するかで選択するモデルが決まります。そこで特徴別に代表的な4つのメーカーを紹介。

逆さタイプの代表的な輪行袋

逆さタイプの輪行袋

左に行くほど軽量で持ち運びしやすく、右に行くほど頑丈で収納しやすくなります。

とにかく小さくて軽い。「Pocket In 超軽量輪行袋」¥5,480

Pocket In 超軽量輪行袋

こぶし大まで小さく折りたためる最小・最軽量の輪行袋。ボトルケージに入れると小さすぎて不安定になるくらいなので、サドルバッグなどでの携行が安心です。
とにかく持ち運びが楽なのでロングライドの緊急用としても最適。

Pocket Inを購入する

ボトルケージに収まるスタンダードサイズ。「MARUTO RK-02M」¥5,200

大久保製作所 RK-02M

折りたたむと丁度ボトルケージに収まるサイズの輪行袋。

ほかの輪行袋と違ってハンドルを真っ直ぐにしたまま収納するため横幅・縦幅ともに大きくなりますが、床においたときの安定性が高く、揺れる電車内での安心感があります。

RK-02Mを購入する

収納が簡単で女性にも最適。「GRUNGE キャリー」¥6,800

Grunge キャリー

女性でも気軽に輪行ができるようにというコンセプトでつくられているため、フレームサイズが520mm以下に限定されたグランジの輪行袋。そのコンセプト通り、ホイールバッグが付属していたり、収納袋が縫い付けてられていたり、収納しやすさが重点に置かれています。

代わりに重量があるので、身軽にサイクリングしたい場合には不向きですが、初心者やフレームを傷つけるリスクを抑えたい場合に最適です。

GRUNGEキャリーを購入する

ホイールを外して詰めるだけ。超簡単な「PREMIER かんたん輪行袋」¥4,690

Premier かんたん輪行袋

内側にホイールポケットがあるので、ホイールを外して入れるだけ。持ち運び用の肩紐も袋に縫い付けてあるので、バイクを詰めたらそのまま運ぶことが出来ます。超簡単。

重量は700gとかなり重めですが、それをカバーする利便性はほかの輪行袋を上回っています。

PREMIER輪行袋を購入する

 

逆さタイプと一緒に購入するもの

逆さ置きと一緒に購入するもの一覧
リムブレーキ車
スプロケットカバー  必須  スプロケットによる傷を保護するもの
チェーンカバー チェーンによる傷・汚れを保護するもの
フレームカバー 袋内でのパーツ同士の接触からフレームを保護するもの
固定ゴムバンド(*1) ホイールとフレームを固定するためのもの
ディスクブレーキ車
スプロケット&ローターカバー   必須  スプロケットとローターを保護するもので、合計3つ必要
チェーンカバー チェーンによる傷・汚れを保護するもの
フレームカバー 袋内でのパーツ同士の接触からフレームを保護するもの
固定ゴムバンド* ホイールとフレームを固定するためのもの
パッドスペーサー(*2)  必須  ブレーキキャリパーに挟み、パッド同士がくっつかないようにするもの

*1 輪行袋に付属している結束バンドでも使用上問題ありませんが、ワンタッチで固定できるゴムバンドは収納時間が短縮できるのでおすすめ(上記の4種の中ではPocket In輪行袋にのみ必要)。
*2 ショップで購入した場合は付いてくることがあります。

 

3. ディスクブレーキの輪行って何が大変なの?

パッドスペーサーを挟むことが最も重要

「ディスクブレーキは輪行が大変」と言われます。確かにリムブレーキ車と比べると気を遣う部分がいくつかありますが、少し手順が増えるだけなので、時間にすれば+1分くらいのもの
3つのポイントを抑えた上で、一度輪行作業してしまえば、ディスクブレーキでも問題なく輪行できることがわかるはず。

①ホイールを外した状態でブレーキレバーを握らない

ディスクブレーキ車は、ホイールを外した状態でブレーキレバーを握ると、ブレーキキャリパーのピストンが飛び出して戻らなくなります(一応マイナスドライバーなどでこじ開けることはできる)。
ブレーキレバーを握らないように、輪行作業するときは車体を逆さにしてからホイールを外すようにします

②ブレーキキャリパーにパッドスペーサーを差し込む

携行中にうっかりブレーキレバーが引かれてしまうケースも考慮して、ブレーキキャリパーにパッドスペーサーを差し込んでおきます。スペーサーは市販のものでも良いし、緊急時はボール紙などでも代替可能。

③ブレーキローターを保護する

ローターが汚れたり折れ曲がったりすると制動力に影響するため、ローターカバーを装着します。
ローターカバーは市販のスプロケット用カバーやソックスでも代替可能。ただし、スプロケットに使用したものをローターに使うと油汚れが付着するため、カバーはローター専用にするよう注意してください。

 

Appendix. 電車輪行するときのポイント

輪行セットを揃えたらロードバイクと一緒に出かけましょう。初めて輪行するときは、あらかじめ以下のポイントを抑えておきます。

事前に自宅で出し入れの練習を

輪行準備は慣れると5分程度で出し入れできるようになりますが、最初は試行錯誤しながら作業するため30分以上かかることも。出先でやり方がわからず立ち往生する前に、自宅で2〜3回収納の練習をしておくと現地での作業がスムーズになります。

組み立て/解体する場所を選ぶ

駅前で輪行袋に出し入れする際は、以下の条件に合った場所を探します。

  • ・輪行袋を広げて作業するため、人通りが少ない平らな場所
    ・部品が飛んでいかないように、風のない場所 
    ・袋が汚れないように、床のきれいな場所

乗車位置は先頭か最後尾

ほかの乗客の迷惑にならないように、先頭か最後尾の列車に乗り、車掌室側の壁に自転車を立てかけるのが基本。空いていれば車椅子スペースにも置くことはできますが、車椅子の方が乗車してきたら速やかに移動します。
また混雑時は1本電車を見送るなど、一般客にも充分配慮をします。

電車には常識範囲内の服装で

下半身のラインが出るビブショーツを隠すために、乗車時はショートパンツを履くことを推奨します。
また夏場は冷房が効きすぎている場合もあるので、羽織れるように必要に応じてウィンドブレーカーを用意しておきます。

帰りは汗と臭いを拭って

サイクリングを終えて電車に乗るとき、特に夏場は、一日かいた汗をデオドランドシート等で拭きとって、さっぱりしてから乗車します。帰りも爽やかなのがイケてるサイクリスト。

* * *

輪行は慣れればどこでもすいすい行けるようになりますが、油断すると袋の中でフレームに傷がついてしまうこともあります。
収納・組み立てするとき、また持ち運ぶときは、充分注意してバイクを取り扱ってくださいね。 

著者情報

Tats Tats Shimizu@tats_lovecyclist
編集長。スポーツバイク歴10年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはFactor O2(ロード)とLS(グラベル)。