Roval Terra CLレビュー:舗装路&グラベル双方で活きる軽量カーボンホイール

ディスクロード時代になって、ホイールは「これが定番」と言うものがなくなっていますが、RovalブランドはSpecializedユーザー以外にも広く受け入れられるようになっています。
『Roval Terra CL』は、オールロード/グラベルロード用途で定番ホイールとなり得る、ハイレベルの乗り心地をあらゆる路面で体験できます。

Terra CL概要

・ミドルグレードのオールロード用軽量カーボンホイール(1408g/¥184,800)
・ハイエンドモデルCLXと同じリムを使用。価格差は約12万で、違いはハブとスポーク
・同価格帯の競合の中でも軽さが際立つ
・走りは非常に軽くスムーズで、舗装路/未舗装路を問わず速い

text/Tats@tats_lovecyclist

*本レビューのホイールはSpecialized提供のもので、レビュー内容はLOVE CYCLISTオリジナルのものです。

Fingerscrossed22

1. オールロードのホイール選択基準

オールロード/グラベルロードカテゴリが国内で浸透するのはまだ先のことだと思っていましたが、最近のソーシャルライドで必ずと言って良いほど話題になるのが「何cのタイヤを履いているか」ということ。
1年前までは25cや28cがほとんどだったものが、今では30c以上を履いて舗装路を走るライダーも加わり、それぞれが好みのスタイルに合わせたタイヤ幅を選択するようになりつつあります。

つまり、ロードバイク乗りが次に選ぶフレームの条件に「より太いタイヤが履けること」が加わることとなり、その場合のホイールの選び方も従来とは変わってきます。
ロードの場合は、回転性能、空力、重量、剛性感などが中心ですが、オールロードではリム幅や耐久性なども考慮が必要なポイントになります。

とはいえ、「ラクに速く走りたい」という気持ちは変わらず、ロードのスタイルに+αするようなイメージでホイールを選びたいと個人的に考えています。

オールロードホイールに求める要件

・舗装路メインのルートでも速く走れること
・巡航&ヒルクライム性能がある程度高いこと
・43cまでのタイヤが履けること
・未舗装路での耐久性があること

日本にある未舗装路区間のほとんどはそれほど長くはなく、グラベルバイクで走ったとしても、ルートの多くは舗装路をミックスすることが必然となります。そのためロード用ホイールの性能+太いタイヤが履けるというような基準であることが望ましい要件です。
Rovalのオールロードホイール「Terra CL」はこのような過度な望みに対して応えてくれるか。

 

2. Terraシリーズと競合モデル

Terra C / CL / CLX

Rovalホイールのオールロード/グラベルロード用モデル『Terra(テラ)』シリーズ。
RovalがTerraを開発した目的は、AlpinistやRapideなどほかのロードホイールで高められた技術とパフォーマンスを、グラベルシーンにもたらすことでした。軽量で28c以上のタイヤ幅に適合し、汎用的で長距離走破性に優れ、そしてロードホイールと同等の走りが舗装路でもできるホイール。そうして2019年に最初にリリースされたのがトップモデルの「Terra CLX」であり、その後CLとCの下位グレードが登場。いずれもリムハイト33mm、内幅25mmを採用し、最大47cのワイドタイヤを装着できます。

  Terra C Terra CL Terra CLX
リム Terra Cカーボンクリンチャー(チューブレスレディ) Terra CLXカーボンクリンチャー(チューブレスレディ) Terra CLXカーボンクリンチャー(チューブレスレディ)
ハイト 32mm 32mm 32mm
リム幅 外30mm/内25mm 外30mm/内25mm 外30mm/内25mm
タイヤ 28-47c 28-47c 28-42c
ハブ DT Swiss 370 DT Swiss 350 Roval AFD + DT Swiss EXP
スポーク DT Swiss コンペティションレース Jベント DT Swiss コンペティションレース ストレートプル DT Swiss エアロライト Tヘッド
重量 1610g 1408g 1296g
価格 ¥143,000 ¥184,800 ¥308,000

Terra CLとフラッグシップのTerra CLXは同じリムを使用。主な違いはハブとスポークで、そこで112gの重量差と12万の価格差が生まれています。Terra Cと比較すると、4万の価格差ですべてのスペックが格上げされており、“コストパフォーマンス”という観点で3モデルのスペックを比較すると、Terra CLが最も優れているように感じられます。

競合モデル候補

Bontrager | Aeolus Pro 3V TLR(1575g/¥239,800)
Easton | EC90 AX(1470g/¥242,000)
Campagnolo | Levante(1485g/¥251,900)
ZIPP | 303 S(1540g/¥141,800)

リム幅が広いカーボンクリンチャーで、Terra CLと同価格帯のモデルはほとんどありませんが、 CLを検討するユーザーは、少し予算を前後してこのあたりも比較対象になるかと思います。

BontragerやEastonはTerraとスペックが似ていますが割高。Campagnoloは同じリム幅ですが、適合タイヤが38c〜とハードなグラベル向き。ZIPPはTerra Cと同じ価格帯なので、どちらかと言うとより手頃な価格帯を求めている場合にCと比較するモデルになるかもしれません。これら競合と比較するとTerra CLの1408gという軽さが際立ちます(もちろん軽さだけが性能ではないものの)。

30万円クラスになるとENVEやCADEXなど各社ハイエンドグレードの選択肢が生まれますが、その場合はCLXとの比較となるためここでは割愛します。

 

3. Terra CLディティール

32mmハイトのリムはフック付き。リムテープとチューブレスバルブが付属しており、チューブレスのセットアップは容易です。Hutchinson Overideタイヤとの組み合わせでビード上げに苦労はしませんでした(シーラントはSTAN’Sを使用)。

このリムは空力を考慮した形状ではありませんが、このホイールの軽さに一役買っており、耐久性はスペシャライズドのオフロード走行試験をクリアしているとのこと。

DT Swiss 350ハブは白のデカールが結構目立つ

DT Swiss 350には36Tのスターラチェットが使われています。DT Swissはスペアが入手しやすく、メンテナンス性の高さが大きなメリット。

スポークは、Terra CLXが空力性能が高く最軽量の「DTエアロライト(4.34g/本)」を使用しているのに対し、Terra CLはストレートプルの「DTコンペティションレース(4.88g/本)」。重量の違いは明確ですが、正直空力の差を感じることは難しそう。

目立たないRovalロゴ。RovalはもうSpecializedのバイクだけに取り付けるブランドではなくなった

スペアのスポークとニップルが同梱されていて、何かあったときすぐにリペアに出せる

 

4. Terra CL乗り心地

前提条件

使用バイク:Factor LS
使用タイヤ:Hutchinson Overide 35c(375g/3.0〜3.2bar)

Factor LSはグラベルレーシングバイク。1章で書いた通り、“ロードバイクのように走れるオールロード”を求めていた僕にとって、レーシング系のグラベルバイクは最適解であり、足回りも同等の期待値を求めます。そのためタイヤはセンタースリック+サイドノブパターンのOverideを選択し、幅はバランスの良い35cを選択。
Terra CL導入前はMavicのグラベル用ホイールAllroad SLを使用(タイヤは同じ)。

Terra CLに乗って「これがオールロードに求めていた乗り味だ」と感じるのに時間はかかりませんでした。
ロードバイクの場合、これまで何台か乗り継いできたことで、自分に合ったセットアップが一定わかるようになっていましたが、グラベルバイクに関しては未知数だったため、最初にFactor LSを組むときは、ある程度自分に合うであろうコンポーネント類をカタログスペックから判断してセレクトしていきました。結果、良い感じのバイクができたものの、まだ走りについては改善できる部分がありそうという感覚だけは残っていました(その一部がホイールに起因しているだろうこともなんとなくわかった)。
その後Terra CLに履き替えて踏み込んでいく中で、それまであった違和感が払拭されていくことは明らかでした。

Terra CLの優れた領域は、「軽さ」とそこに付随する「かかりの良さ」にあると感じられます。
ホイールにとって軽さは快楽を生むひとつの要素ですが、ディスクブレーキ移行の過渡期では、多くのホイールからその快楽が失われていました。
特にオールロード/グラベルロードバイクとなると、タイヤ自体の重量が100g前後増すため、ロードと同じようなホイールを選択したとしても外周部の負荷が大きくなり、走りが重くなりがちです。そのせいでライドの楽しさが減衰するのは望ましくない。
しかしTerra CLはリム自体が軽いため、タイヤの重量増分を緩和し、さらにあらゆる路面でメリットをもたらします。

1408gの恩恵と性能

バイクコントロール:バイクコントロールが容易で、路面が変化しやすいグラベルに対応しやすい点が大きい。路面が荒れたとき抜重したり、いきなりの急勾配で踏み込んだりすることもより軽やかな動作でできる。

ヒルクライム:舗装路では登坂が強く、グラベルバイクっぽくないダンシングの振りの軽さがあり、登りは得意領域となっていると感じる。ヒルクライム中に「今日はロードで来れば良かった」と後悔することがない。

巡航性能:平坦の舗装路はある程度の速度維持は可能ではあるけれど、ハイトの高いホイールのようにスピードに乗ったあとさらに加速していく感覚はない。そこはやはりオールロード用としての割り切りだと感じられる。

剛性感:剛性感は高めで加速感が気持ち良く、滑らかだとも感じる。それがリムの剛性によるものかスポークテンションによるものなのかは判別できないが、「脚にくる」タイプのものではないため長距離でも脚が持つ。

※耐久性は未知数ですが、走行試験をクリアしており、また無償交換プログラムがあるほどなのでそれほど心配はしていません。使用していく中で耐久性に関して何かアップデートがあればこの記事に追記します。

オールロードとしては十分過ぎる舗装路の性能

Roval二年間破損時無償交換プログラム対応

購入後2年以内に、乗車中に対象ホイールを破損させてしまった場合、通常の保証対象外の破損であってもホイール本体を無償で交換できるプログラムが2022年11月からスタート。

対象ホイール:Rapide CLX II / CL IIAlpinist CLX II / CL IITerra CL

Terra CLはオールロードホイールの中で唯一対象となっており、「カーボンリムをグラベルシーンで酷使して大丈夫だろうか」という不安がある程度中和されます。

 

5. 官能的な体験

グラベルやトレイルを走ることは、よりダイレクトに“大地”を感じる官能的な体験だと感じています。
求めていたのは、未舗装路と舗装路の境界を取り払う──ロードのように舗装路を軽やかに走り、その感覚のまま気を遣わず未舗装路に飛び込むためのバイク。そんなオールロードの醍醐味をTerra CLが軽やかに実現してくれたことで、いつものライドはより官能的なものになりました。

28cタイヤから履けるTerra CLの懐は深く、20万以下でこれだけ上質な乗り味を提供することに、Rovalのエンジニアリングレベルの高さが感じられます。
「ただ速く走りたい」から「速く官能的な体験をしたい」という方向にライドスタイルをアップデートしていくユーザーにとって、Terra CLは理想に近い仕上がりになっています。

Terra CL商品詳細(Specialized)

*11/25〜12/11の期間はBlack FridayセールでTerra CLが20%OFFとなっています

レビュアー

Tats Tats@tats_lovecyclist177cm/60kg
編集長。スポーツバイク歴9年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら論じることが好き。現在のメインバイクはFactor O2(ロード)とLS(グラベル)。