【プロダクトレビュー】NOVA RIDE ビッグプーリー:リーズナブルで見た目良し(ただし注意点あり)。

「ギア1枚分変わる」と騒がれていた黎明期と比べると、それほどドラスティックな効果はないことが周知されて比較的落ち着きを見せているビッグプーリー界隈。
その中でこのところ注目を集めているメーカーが、2016年にフランスで生まれた「NOVA RIDE(ノヴァライド)」。昨年からロードバイクに組み込んでおり、使用する中での良い点/気になる点を率直にレビューします。

review/Tats@tats_lovecyclist

1. スペック

山岳をロゴマークにするNOVA RIDE

NOVA RIDEはミシュランの本社もあるクレルモン=フェランを拠点にし、自社工場でプーリーとボトムブラケットをハンドメイドするMade in Franceのメーカー。
摺動部にオリジナルのフルセラミックベアリングを使用し、実際に空転させたときの超なめらかな回転はハンドスピナー級の気持ち良さ
さらにビッグプーリーは5万以上が普及価格帯ですが、NOVA RIDEは3万円台と魅力的。ただ、この価格差は一部精度に影響しています(後述)。

NOVA RIDE OSPW(オーバーサイズプーリーホイール)スペック

ラインナップ SHIMANO ROAD 12S
SHIMANO ROAD 11S
SHIMANO GRX
SRAM ROAD AXS 12S
SRAM AXS XPLR 12S
カラー 7色
重量 78g
プーリー素材 7075アルミニウム製(フルセラミックベアリング)
ケージ素材 3Kカーボン
ガイドプーリー
テンションプーリー
14T
17T
最大スプロケット 33Tまで対応
販売価格 ¥32,780(税込)

NOVA RIDEのビッグプーリー(オーバーサイズプーリーホイール)はSHIMANOの105以上の各グレード+GRX810系と、SRAMのRED/FORCEに対応しています。
導入したのは、ロードバイクのコンポに合わせてSRAM AXS RED/FORCE 12速専用モデル

 

2. 購入の目的

以前所有していたロードバイクにはCeramicSpeedを取り付けており、精度の高さと見た目の良さに満足していましたが、少なくともパワーセーブという観点で言うと支払ったコスト(約8万)には見合っていないと感じていました。

ビッグプーリー全般に言えることですが、回転抵抗の削減と引き換えに失うものはいくつかあり、その中には空力の悪化やチェーンリングの重量増が挙げられます。検証することは難しいものの、プーリーが下に伸びることで増える空気抵抗とチェーン重量によって、回転抵抗の削減効果は低減あるいは相殺されている可能性があります。またモデルによっては、純正と比較して変速性能や耐久性を失います。

ではなぜビッグプーリーをあえて再び導入するのか。それはNOVA RIDEが持つドレスアップ効果のため。中抜されたソリッドな形状はどう考えてもイケイケであり、自分のバイクのスタイルをより良くする気持ちには抗えずインストールしました。

ただNOVA RIDEはCeramic SpeedやRIDEAのように周囲に使用者がいなかったため、実際の使用感は未知数でした。そのあたりは、もし耐えられない状況が発生したら戻せばいいと考えられるギリギリの費用感であることが、導入の後押しになっています。

 

3. Pros/Cons

Pros

Red AXSとデザインの相性が良過ぎる

デザインが素晴らしい:角張ったソリッドな形状とニュアンスを与えるカーボン柄。単体で見ても十分に美しいものの、実際にバイクに取り付けると全体の印象をよりシャープに仕上げてくれることがわかります。何も知らない人から見れば意味のわからない変更ですが、駆動部のドレスアップにかけるロマンとそこで得られる満足感は、自分だけが理解していれば良いのです。

ブランド名を主張しないのもNOVA RIDEならでは。そこがすごく良い

変速性能の変化は許容範囲:ビッグプーリーは往々にして変速性能を低下させます。NOVA RIDEを取り付けたあとも、純正と比較すると少しだけ遅れを感じますが、普段のライドでそこまでシビアな変速を求めるケースがないため許容範囲内に収まっています。ただし後述のように取り付けるコンポによって注意が必要です。

Cons

パワーセーブ効果は曖昧:本プーリーの導入によって“5Wの効率向上”と謳われていますが、個人レベルでは定量的に把握することが困難なので、感覚としては「少し回転良くなったかも」というレベルです。ただそれ自体もプラセボである可能性があります。

シマノ12sとの相性は良くないケースがある:ここ最近のライド仲間やショップでの事例を把握する限り、NOVA RIDE×シマノ12sの組み合わせは変速の調整がかなりシビアになります。構造上チェーンテンションが上がらず、チェーンが暴れたり変速が決まりづらかったりするため、シマノにインストールする場合はこまめに整備・調整できる環境があることが理想です。
※その点、どのモデルでも変速がしっかり決まるCeramicSpeedの安定感はさすがだと感じる。

シマノに取り付ける場合はこまめな整備が必要なケースがある(バイクはメンバーRin私物)

 

4. 結論

見た目を良くするためならNOVA RIDEのビッグプーリーは最高に素晴らしい選択肢です。ふとバイクに目を落としたときに、駆動部の印象がイケイケになっているとの喜びは十分に価格に見合うもの。ただし取り付けはショップで行い、変速の精度をしっかり出してもらうことが重要です。
※本体のメンテナンス頻度は最低8,000kmごとに行う

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レビュアー

Tats Tats Shimizu@tats_lovecyclist
編集長。スポーツバイク歴10年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはFactor O2(ロード)とLS(グラベル)。