美しく軽い、プロ仕様の紐靴。「Nimbl Air」ロードシューズレビュー

Nimble Airレビュー

review/Taka@koolt4884) & Tats
text/Tats@tats.cyclist

ロードシューズの中で紐靴の選択肢は多くありません。
Giro、Quoc、Rapha──シューレースタイプを好むサイクリストにとっては、こうした限りあるブランドの中から足に合うプロダクトを見出す必要があります。

こうした現状の中で、新たな選択肢が僕たちに与えられました。それがイタリア職人によるハンドメイドシューズ『Nimbl(ニンブル)』。
イタリア靴と聞くと、細身で日本人の幅広な足に合わないと思いがちですが、Nimblのつま先はワイド。多種多様な足のかたちにフィットするようつくられたNimblシューズは、日本人型の甲高・幅広な足にもフィットします。
NimblアンバサダーであるTakaと一緒に、このシューズの詳細をレビューします。

※本レビューで着用するシューズはCYCLISM提供のものです。

1. Nimblシューズ

Nimbl Air(¥54,000)

おそらくほとんどの読者には馴染みのないブランドであるNimbl。
2020年から本格的に世界展開し始め、ハイエンドシューズだけを取り扱うイタリアンブランドです。

ワールドツアーの選手にも提供されており、AG2Rのシルヴァン・ディリエ、イスラエル・スタートアップネイションのリック・ツァベル、トタル・ディレクトエネルジーのロマン・シカールなどがレースで実際に着用。
またトラックレースの選手も履いていることからわかるように、プロ仕様の高剛性ソールシューズを得意としています。

Nimble Exceed, Feat

左右/Nimbl Exceed(¥54,000)、中央/Nimbl Feat(¥52,000)

Nimblはロードシューズを3種類展開しており、クライマー用のAir、オールラウンダーのExceed、エンデュランス用のFeatというジャンル分けになっています。
今回僕たちがレビューするのは、シューレースを使用した「Nimbl Air」。

Nimbl Airスペック

カラー ホワイト/ブラック ※限定カラーあり
サイズ 39〜50(ハーフサイズ展開)
アッパー 1.2mmの形状記憶マイクロファイバー
アウトソール カーボンシャーシ
重量 195g(片足、43)
価格  ¥54,000

 

2. デザイン

Nimbl Airを履くTaka(左)とTats(右)

Tats:ここからはアンバサダーのTakaさんと一緒にレビューしていきます。
Nimblは発売前から僕らの周りで結構話題になっていましたね。新しい紐タイプのシューズが出て、しかもデザインがすごく良いと。「履き心地が合えば欲しい」という声を何人かから聞きました。

Taka:やっぱりNimbl Airの魅力はこのデザインですね。紐靴の中でも突出して美しく、格好良い。僕はスタイリング観点だと紐が一番の選択だと思っているので、少ない紐靴のラインナップからデザインで選び抜くならNimbl Airは多くのサイクリストにとって最終候補に選ばれると思います。

Nimble Air 外観

Tats:紐靴で人気のGiro Empire SLX(前バージョン)よりもミニマル感がありますね。規則正しく並べられたパンチングがクラシカルな印象だし、ロゴが前から見ると目立たない位置にあるので足元がすっきりした印象になる。

Taka:ギミック感が出ないのは紐靴のメリットですね。もちろんタンの部分に結んだ紐は収納できるし、全体のシルエットもスマートです。

Nimble Air 紐

シューレースはタンについているゴム紐に通す

 

3. フィット感

Tats:デザイン面では何も言うことはなくて、あとは足に合うかどうかになってきますね。

Taka:シューズ選びってそこなんですよね。まずデザインが好きかどうかが来るけど、足に合わなかったらそこでおしまい。「デザインは良いんだけど合わなかった」ということがよく起こります。シューズはそれだけ繊細な機材なので、履き心地の部分は入念に見なければなりません。

Tats:シューズが合うかどうかって、①つま先が当たらないか/②甲の形に沿うか/③かかとがぴったりか、といったところが重要な部分です。僕もTakaさんも、Nimbl Airについては①〜③すべてクリアしているので、ひとつひとつその特徴を紐解いていきましょうか。

①つま先

Taka:①つま先については、Nimblは幅広ですね。僕は“狭い”とよく言われている前Empire SLXを履いていましたが、それよりもトーボックスに余裕があります。イタリア靴ってぎちぎちに狭いつま先が当たり前のようですが、Nimblが余裕のあるつくりなのは、おそらく世界的なマーケットを見越して様々な足の形に合うようにしたのだと思います。

Tats:広いのは意外でしたね。僕は幅広・甲高の足なので、初めてこのブランドのことを聞いたとき「イタリア製か、合わないかもしれないな」と思っていましたが、足を入れると普通に余裕があるという。トーボックスの幅を広くするのはGiroも最近やっているので、ロードシューズの全体的な流れなのかもしれません。
ちなみに仲間の中にはイタリア人型の甲低・幅狭な足の方がいますが、Nimblはあまりフィットしませんでした。少し幅に余裕ができてしまう、と。

Taka:意外と日本人型向けなんですよね。

②甲

Tats:次は②甲の部分ですが、これはシューレースなのである程度甲高でも合うように調整できます。

Taka:紐なのでそれぞれの甲の形状に合わせて圧力が分散されますね。
ただ付属の紐は、結構硬いんです。撥水紐なので汚れが付きづらいのは良いのですが、結構力をいれないと結べません。最初に調整するときなど苦労すると思います。

Tats:やはりダイヤル式と比べると脱着にかなり時間がかかりますね。紐靴の宿命ですが、撥水紐なのがさらにそれを助長している。

Taka:使っていくうちに馴染んで柔らかくなりますが、基本的には1回履いたらライドが終わるまで脱がない、というスタイルで貫き通します(笑)。

③かかと

Tats:次はヒールカップについて。ここは一部のシューズにあるような、違う素材を使ってフィット感を高めるようなつくりにはなっていません。

Taka:靴紐はシューレースの部分でかなり細かくフィッティング調整できるので、ヒールカップが少し甘くても問題ないんですよね。Nimbl Airについては狭すぎず、広すぎず、ジャストサイズといった感じです。

Tats:同感です。

ペダリングの左右差がなくなる

Taka:あと、これもフィット感の高さによるメリットだと思いますが、Nimbl Airに替えてからペダリングの左右差がなくなったんですよ。これまでのシューズはいつも左48%:右52%の出力だったのが、Nimbl Airでは常に左50%:右50%になっています。シューズを替えただけですが、出力のバランスが良くなったのは思いがけないメリットでしたね。

Tats:それはすごいですね。シューズの合う/合わないって、ペダリングにかなり影響してくると。

Taka:左右差が改善されていることは実際は自覚できていないのですが、パワーメーターを見る限り自然と矯正されているようですね。

 

4. パワー伝達性

アウトソール

Nimble Air アウトソール

Tats:次はパワー伝達について見ていきます。2人ともスプリントするようなタイプではないですが、山とか巡航で効率的なパワー伝達は必要です。

Taka:アウトソールめっちゃ硬いですね。トラックの選手にもNimblは供給されているので、1000wを超えるパワーを持続するような使い方にも合っているようです。じゃあそんなにパワーを出さないサイクリストには不要かというとそうでもない。僕は山を好みますが、高出力を長時間続けざるを得ないので、硬いソールの方が出力が無駄になりません。

Tats:僕も硬いソールの方が単純に好みでもあります。あとこのアウトソール、超高剛性のカーボンを使っているためか、かなり薄くできています。ダイレクト感が強いというか。スタックハイトが低いので、その点でもパワー伝達は優れていますね。

インソール

Nimble Air インソール

Taka:付属のインソールについてはちょっと不満がありました。

Tats:やっぱりそうですか。インソールはちょっと薄いですよね。

Taka:そう。アウトソールの硬さがダイレクトに足に伝わってきて、最初はすごく疲れやすかった。だからインソールはGiroのシューズのものに付け替えたんです。そうしたら感じていた硬さが丸くなって、すごく快適になりました。

Tats:僕の場合硬さは気にならなかったのですが、Giroインソールみたいにアーチのサポートがないので、足の裏は隙間があるような感じでした。だからいつも使っているSolestar BLKに入れ替えたのですが、おかげで靴の中も密着するし滑らないし、すごく使いやすくなった。

Taka:Solestarは硬すぎるのが苦手な僕にはたぶん合わないんでしょうね。インソールは相性なので、どのパターンが正解とかはなく、もし付属のインソールで使い勝手に不満が出るようであれば、これまで使っていたものに付け替えるとNimbl Airの良さが引き出せると思います。

重量

Nimble Air 重量

Tats:重量は42サイズで実測値184gでした。ロードシューズは200〜250gあたりが多いことを考えると、かなり軽量です。Nimbl Airはクライマー用として開発されたものですが、シンプルな外観と紐タイプで軽量化したことは、実際に使用しているときも感じられます。

Taka:重量だけ見れば前に履いていたEmpireの方が10gくらい軽いんです。でも使ってみるとNimbl Airの方が若干軽く感じる。さっき話したフィット感の高さは、こうした重量に対する感覚まで影響しています。

 

5. サイズ選び

Tats:Nimblは試着できる機会が今の段階ではないので、サイズ選びは悩むかもしれません。僕のフィットするサイズを書いておきます。

Nimbl 42
Specialized 42
LAKE 41
GIRO 42.5
Shimano 41

Taka:僕はGiroは42で、Nimblが41.5です。Tatsさんと同じでハーフサイズ落としていますね。

Tats:Nimbl求めるサイクリストって、Empire SLXが好きだったり、Specialized Sub6を今も愛用していたりしていると思います。こうしたメーカーとのサイズ感の違いは、僕たち2人の感覚が合っているので、上の表はある程度正解に近いところで参考にしてもらえると思います。

Taka:あと実際に履いてみたときですが、最初はけっこうアッパーが硬くて合わないと感じるかもしれません。ただ形状記憶のマイクロファイバーが使われているので、3〜4回とライドしていくうちにちゃんと足に馴染んでいきます。

 

6. Nimblを選ぶ理由

Nimble Air 着用イメージ

Tats:Nimbl Airで唯一気になるのは、定価¥54,000という価格だと思います。この価格帯だとLakeやBontなどもありますが、SpecializedやGiroなど人気のハイエンドシューズの多くは4万円台です。それを考えると、Nimblをあえて選ぶ理由はどこにあるか。

Taka:“イタリア職人によるハンドメイド”という部分がバリューを上げていますね。
でも僕が一番感じる価値は「美しいデザイン」だと思っています。紐靴という少ない選択肢の中で、スタイリングの美しいシューズを見つけようと思ったら、Nimbl Airは間違いなく選択肢に入ってきます。その中でも、希少性も含めて履きたくなるピカイチのデザインですね。

Tats:フィットや性能についてはこれまで話したように問題ないですからね。ほかの紐靴とどこで差別化されるかと言えば、「自分がそのシューズを履いて気分が上がるか」という観点になる。

Taka:僕にとって以前はEmpireがその存在でしたが、NimblはEmpireに抱いていた気分をさらに上回っています。毎回履くたびに惚れ惚れしますね。白シューズ、汚れやすいんですが、ライドごとに綺麗にしながら大事に履いています。

Pros

  • ・日本人の足に合う幅広型
    ・美しいデザイン
    ・ダイレクト感に優れる
    ・軽量

Cons

  • ・インソールが薄い

Nimbl Airを購入する(CYCLISM)

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