
これまで「中国ブランドをどう扱うか」という命題に対して、メディアとして明確な判断基準を出していなかった。理由は2つある。
ひとつは美学の問題。中国ブランドを自分たちの機材として使っているイメージが沸かない。
そしてもうひとつが、品質や信頼性など中国ブランドの是非を判断できる材料が不足しているということ。これは当メディアだけでなく、ショップや代理店含めて業界全体が直面している課題でもある。
一方で、国内大手メディアのCycleSports誌は、早い段階から中国ブランドを誌面で取り上げてきた。自転車ジャーナリストである吉本司氏が携わる連載でも、中国ブランドに対して肯定的な言説が見受けられた。
ただその内容に違和感を抱いたことも事実だ。良い面もそうでない面も含めて、中国からの影響が年々増す現状において、今中国ブランドがどういう状況なのか整理するために、吉本氏を迎えて現状について語る。
語り手
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| 吉本 司(@kop_2014) 月刊自転車専門誌「Cycle Sports」の編集長を務めていた吉本司氏。現在は自転車を軸に様々な活動を行っている。スポーツバイク歴は35年以上で、ロードバイクのみならずすべての自転車選びを好み、機材からウェアまでジャンルを問わず幅広い知識を持つ。 |
清水タツ(@tats_lovecyclist) Love Cyclist編集長。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら論じることが好き。同時に海外のアパレルブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。 |
Photo & Edit / Tats
違和感

パンク2回の不運に見舞われた吉本氏。たぶん当日の星座占いは12位
お互い多忙につきスケジュールがなかなか合わず、3か月越しにやっと実現したライド。「最近Bromptonばかり乗っているから、みなさんをお待たせしてしまうかもしれません」と言った舌の根が乾かないうちに、裏尾根幹の連続した坂をひょうひょうと登っていく吉本氏の背中を見ながら、やっぱりこの人は根っからのサイクリストだと思った。汗を拭ってゼブラ稲城に入る。

清水:吉本さんよろしくお願いします。中国ブランドについて、多角的な目線で語る場が必要だと思い、今日お時間をいただきました。
というのも、吉本さんが他メディアで展開されている中国ブランド論を拝読していて、少し違和感があったんですね。僕のまわりの仲間も「最近の吉本さんの考えがわからない」と同じような感想を話していて、実際どのように考えているかお聞きしたいと考えていました。
吉本:そうなんですね。
清水:中国ブランドの台頭によって、安価で性能の良い機材を手にしやすくなった。それについて礼賛される論調ですが、品質や持続可能性の問題、エコシステムの破壊など、その裏で課題となっていることには触れられていないと感じていました。
吉本:なるほど。雑誌だと誌面の関係ですべてをお伝えできていない点があるからだとも思います。そう発信する経緯について、まず中国メーカーがなぜこれほど急速に自社ブランドを立ち上げ、市場に出てきたのかという背景を紐解く必要はあると思っています。
清水:お願いします。
吉本:彼らは長年、欧米ブランドの下請け(OEM)として土台を築いてきました。ある種のドミナント的なものですね。それがコロナ禍を機に、欧米ブランドの都合に左右されるビジネスモデルの限界を悟ったんです。需要が跳ね上がれば注文が殺到し、冷え込めば突然オーダーが止まる。そういう支配的な関係から脱却して、欧米に支配されない独自の立ち位置を確立しようとしています。
もう一つは、中国の国内で健全なスポーツサイクリングが盛り上がったという背景もあります。かつてのブームは富裕層が有り余るお金で高級車を買って、それが床の間自転車となっていましたが、近年はちゃんと自転車に乗って楽しむ世界が醸成されています。
持続可能性
清水:ビジネスとしての合理性ですね。中国ブランドが進出してきたのは生存戦略として必然だと。
ただその流れだと、彼らが自ら世に出すプロダクトのR&D(研究開発)は欧米や台湾ブランドの流用ではないか?という問題もあります。世界の工場としてR&Dのノウハウを蓄積し、タダ乗りによって生まれただけではないかと。
そういうブランドが売れるようになると、既存の主要ブランドはこれまでのような開発コストが捻出できなくなることも懸念されます。
吉本:これは逆説的ではあるのですが、欧米ブランドも、中国の工場の製造技術を見て「この技術ならこういうことができる」と判断している部分があるんです。例えば昨今見られる薄型のシートチューブやフォークブレードなどは、製造現場のテクノロジーがあってこそ実現したものだと思われますし、最近ではSEKAのように欧州の技術者を招聘し、ホワイトペーパーを公開して独自のプロダクトを作るブランドも出てきていてます。彼らはオープンモールド(汎用金型)にブランド名を塗装しただけの製品とは一線を画します。
もちろん、ちゃんとしたブランドだけでなく、AliExpressを見ればわかるように、玉石混交で粗悪なブランドも増えているのも事実です。だから、ひと括りに「既存ブランドのコピー」と切り捨てられるわけではなくなってきていますね。
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ホワイトペーパーが公開されているSEKAのSPEAR
清水:確かに、いろんなメーカーがある中で「中国」をひと括りにするのは雑かもしれません。欧州の技術者が引き抜かれて、R&Dは中国ブランド自身も行うフェーズに移行していると。
その中でちゃんとしていると考えられるブランドでも、持続可能性の観点ではどうでしょう。中国資本はビジネスにならないと判断すれば、明日にも撤退する可能性があるし、コンプライアンスの脇の甘さも指摘されている。最近でも、技術的な評価が高かったevolve CIMAが、欧州での商標権紛争で突然販売中止になるという事例がありました。我々サイクリストは、リスクを抱えた商品を掴まされる可能性があるブランドを積極的に選べるか?ショップからすれば、取引先がいきなり飛ぶかもしれない。このリスクがちゃんと語られていないように見えます。
吉本:その懸念はすごく正当なものです。だからこそ、中国ブランドにおいては「誰が売っているか」の見極めが重要になります。個人がただ製品を横から横に流すだけのところもあれば、会社としてちゃんと品質管理してサポート窓口を置いて、丁寧な対応をしているところもある。
清水:取り扱いブランドによって代理店がどこまでコミットしているか、というグラデーションがあり、それをユーザー側が判断する必要があるというわけですね。
吉本:そうです。私もすべてを知っているわけではないですが、最近だとWinspaceやYOELEOは対応が丁寧だという声が多い。こうした声を聞いて判断することが大切ですね。
もうひとつ持続可能性の話でいうと、2023年をピークに中国の自転車バブルは落ち始めているはものの、中国国内の購買力は依然として高いことが挙げられます。Aethos 2のダウンチューブにS-Worksロゴが入りましたよね。あれも中国市場を見越してのデザインだと言われています。欧米ブランドがひとつの市場として見做すほど大きなマーケットになっているからこそ、すぐにはこの市場を手放さないでしょう。
清水:中国版Instagramの『Red』を見ると、日本とは比にならない数を持ったインフルエンサーがいるので、それを取り巻くサイクリストの数も相当数いることがわかります。内需である程度稼げる状況なのに、なぜ小さな日本市場に参入するのでしょう?
吉本:国内需要の落ち込みを埋めるために、ビジネス判断としてマーケットを海外に求めているという実情があります。あとは、日本人が一番品質にうるさいからですね。日本で受け入れられる=高品質の証明という風潮があります。
清水:たしかにそうですね。これは日本のブランドの事例ですが、Altalistがほかのアジア圏にマーケットを広げるにあたって、一番大事にしているのは「日本のサイクリストが使っている」というイメージやバックボーンだそうです。だとすると、彼らが日本市場に来るのは、売上以上にそういったイメージ形成のための投資と捉えることもできますね。
中華ショック
清水:吉本さんは今の状況を「中華ショック」と呼んでいます。
吉本:はい。これまで自転車業界には三度の大きな地殻変動がありました。「Canyonショック」「Wiggleショック」、そして現在の「中華ショック」です。いずれも既存の業界構造が守ってきたものが突破され、そのたびに我々は商売のやり方を変えざるを得ませんでした。
清水:CanyonショックはDtoCという流通の破壊ですよね。この最中、吉本さんはCanyonにかなり早い段階から乗られていたと聞きました。
吉本:Canyon Japanができる前に、これは乗ってみたいと思って本国から注文しました。おそらく日本の中で1、2を争うくらい早かったんじゃないかと思います。今だから言えますが、当時は代理店の方からかなり嫌味を言われましたね。
清水:嫌味…我々もよく言われるやつです(笑)。
Wiggleショックではあらゆるパーツがオンラインで安価に購入できるようになり、ユーザーの購買行動が変わりました。LOVE CYCLISTも広告の仕事を請けていたので、「Wiggleを扱っているメディアには出稿できない」と当時代理店の方に言われました。
吉本:そうしたパワーバランスの歪みは常にありますね。でも面白いのは、これらすべてのショックはメディアが煽ったわけではなく、ユーザー起点で湧き上がってきたムーブメントだということです。ユーザーが求めたから、メディアもショップも後追いせざるを得なくなった。
清水:すべてユーザー起点ですね。Canyonのときも、“持ち込みお断り”と言っていたショップが、Canyonユーザーが増えたために、あとからメンテナンスを受けるようになったりしていますね。 Wiggleはコロナの影響で終焉しましたが、Wiggleの影響で「持ち込み専門店」という業態も生まれた。
2つのショックはユーザーの購買行動を抜本的に変えました。
吉本:ええ。そして今、実用主義的なユーザーが中華ブランドを選び始めています。自転車価格が上がってハイエンドモデルに手が届かないユーザーも多いので、ショップ側もそれに合う商品構成を考えると、カーボンスポークホイールなどユーザーが求める製品を扱うために、中国ブランドをお店に置き始めるようになっています。
成長曲線
清水:性能面についても話しましょう。個人的にも何年か前に試乗したイメージのままで話していますが、安かろう悪かろうの代名詞だった“中華”の今はどうですか?
吉本:以前は確かに値段なりでしたが、中国ブランドの成長曲線は異常に早いんですよね。昔5年かかったものが2〜3年でできるようになっている。だから1年単位でまったく別モノになっているんです。もちろん中国ブランドすべてに乗ったわけではないので一概には言えませんが、これまでテストした中でもWinspaceは別格です。
清水:Winspaceは良いという話はよく聞きますね。最近英国老舗メディア『Rouleur』にもタイアップ記事が出ていましたし、中国メーカーの勢いが欧州にも及んでいることを感じます。
吉本:機能面ではもう欧米ブランドに肉薄していると感じられますね。ツールにはXDSが供給されていますし、中国のトップブランドであれば、欧米ブランドと差はほとんどないと言えるレベルになっています。少なくともこの値段でこの走りができるなら、ロードバイクの取り掛かりとしては良い。プライスレンジが抑えられた中で業界が活性化するという良い面もあります。ただ…。
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アスタナに供給されるXDS
情緒的価値
清水:ただ…?
吉本:“官能性能”の領域に入ってくるバイクは少ないですね。確かに速いのは速いのですが、「このバイク乗っていて気持ちいい…!」とか「ものすごくテンション上がる!」というライドフィールの部分では味付けが物足りない。乗り味もそうだし、ブランディング面でも不足していると感じます。
清水:そこがこのメディアで中国ブランドと向き合う上で、非常に重要なポイントだと考えていました。自転車はスペックで語られることが多く、速さという『機能的価値』で見れば、中国ブランドの開発力が欧米ブランドに並ぶことはあるかもしれない。
ただそれ以外の部分、つまり「趣味の機材として、中国ブランドの製品を自分のライフスタイルの一部にしたいか?」という問いにYESと答えられるかです。
それは『情緒的価値』と呼ばれるもので、欧米ブランドにはいつまでも及ばないだろうと考えています。ツールでXDSが走っていますが、それはまだ機能的価値だけ証明されている段階です。
吉本:おっしゃる通り、情緒的価値は欧米ブランドの独壇場です。彼らの自転車に乗ると、歴史的文脈だったり、希少性だったり、ブランドの哲学だったりに自分の美学を重ねる楽しみが生まれますからね。
歴史を重んじる日本のメーカーもそこでは苦戦しています。ただ長い目で見る必要はあるとは思っていて、たとえばランニングシューズの世界では、中国の『Li-Ning(リーニン)』が大迫傑選手を起用して実績を積み上げ、今や良いブランドとしての地位を築きつつあります。ロードレースに目を向けても、UAEのメディア担当だったと思いますが、今中国人がいるんですよね。そういう人が本場に入り込んで、中国ブランドをもっとプロモートしていくかもしれない。レーシングで実績を積み上げることが情緒的価値をつくる最短距離ですからね。こうした取り組みが、この先情緒的な価値を生むかもしれません。
清水:ここはちょっと懐疑的だったりします。現実問題として、中国ブランドが欧米ブランド並みに情緒的価値を持っている事例がどの業界にもありません。Insta360、DJI、Ankerのようなガジェット系はシェアを圧倒していて、個人的にも購入しますが、これは機能的価値で選ばれる業界だからです。一方、車、カメラ、ラグジュアリーファッションなど高価なライフスタイルアイテムになると、中国ブランドはいずれも“憧れ”や“美学”といった壁を突破できていない。
もちろん自転車に何を求めるかによります。情緒的価値なんて要らない、速ければいい、楽しければいいというユーザーももちろんいる。ただ僕も吉本さんも、情緒的に自転車を選ぶ側じゃないですか。
吉本:そうですね。でもWinspaceに関して言えば、冷静に自分たちの弱点がそこにあることはかなり認識しているようで、最近はCHAPTER2のマイク・プライドをリクルートするなどして、製品作りは次のフェーズに入っているようです。今年発表された同社のM6は、運動性能だけでなく、ライディングフィールという面においてもかなり上質なものを持っている自転車で「ついにここまで来たか」と感心させられました。なので確実に官能性能というものも意識し始めているのでしょう。まあ、見た目の高級感はありませんが。
自分で買うか?
清水:Canyonショックのときはいち早くCanyonを購入されましたが、中華ショックの今、ご自身で中国ブランドの自転車を購入する可能性はありますか?
吉本:正直に言うと、最近新たに注文したロードバイクはSuperSix EVOです。
清水:そうなんですか!ずっとエンデュランスロードを探していると仰っていたので、CannondaleならSynapseかと思っていましたが、そうきましたか。
(このあと話が脱線するので中略)
吉本:この先中国ブランドの自転車を買うか、という問いに対しては、ジャーナリスト視点ですが、Winspaceのようなちゃんとしたメーカーのものを「数台の中の1台」として持つのはアリだと思っています。
清水:やはりメインバイクではないですね。
フレームセット¥308,000、105di2完成車¥498,000という価格設定のWinspace M6
吉本:例えるなら「ファストファッション」に近いかもしれません。ファストファッションはサステナビリティという負の側面はありますが、ひとつの事象にはマイナス面もプラス面もあります。プラス面では、トレンドのものを安く買えるようになり、おしゃれができる層が増えました。
中国ブランドの自転車を所有するのも、モード感のあるものを1シーズン着るように、今の時代を象徴する1台を持っておきたいという感覚ですね。楽しみ方の幅を広げる上で、プラスになるだろうなと思っています。大枚はたいてドグマを8年乗るより、価格を抑えてトレンド感のあるものを4年ごとに乗り替える。特に今ロードバイクは規格が揺れ動いているし、テクノロジーの進歩も早いので、そういう1台を持っておくのも、ひとつの自転車の楽しみ方ですね。
自分の機材に合わせられるか?
清水:あと美的感覚についての認識も伺わせてください。ちょっといじわるな質問ですが、これから納車されるSuperSix EVOのフレームに、中国ブランドのホイールを組み合わせられますか?
吉本:個人的な感覚で言えば、やはり違和感はあります。たとえば、「性能だけだとRoval Rapideだけど、EVOにRovalは嫌だな」という感覚と同じですね。美的感覚を含めて気持ちの良いプロダクトに乗りたいと願うなら、受け入れがたい部分はあるでしょう。私はそこを重視してしまいますが、若い世代や実用主義の人にとっては、20万円で1200gのカーボンスポークホイールが手に入るという事実は、魅力的な部分だと思います。
清水: 吉本さんご自身の価値観が伺えてよかったです。特定のプロダクトについてメディアの中で発信される場合、どうしてもジャーナリスト視点で「こういうユーザーに合う」と語ることになると思いますが、僕やまわりの仲間が聞きたいのは、「誰に受け入れられるか」ではなく「吉本さんが何を受け入れて、何を受け入れないか」という判断基準なんですよね。35年以上自転車に向き合われてきたからこそ聞きたいお考えです。
吉本:そういう面では僕と清水さんの判断基準はかなり近いですよね。
清水:LOVE CYCLISTでは自分たちがライフスタイルに取り入れたいと感じたプロダクトを取り上げているので、中国ブランドの機材は一定の線引きをしている状況でした。
上海のアパレルブランド『hypersupp.』は好きでレビューしていますが、これは吉本さんが機材をファストファッションに例えたのがまさにその通りだな、と。こっちはウェアなので本当の意味でのファストファッションですね。PNSやMAAPも着るけれど、hypersupp.はストリートシーンのトレンドを抑えていて、価格帯も品質的にも1〜2シーズン着倒すのにちょうどいい。単純にファッションを楽しむ感覚で着られます。
吉本:hypersupp.は気になっていましたが、清水さんたちが着ていてやっぱりいいなと思いました。
コスパと所作
清水:お話を伺って、中国ブランドにもグラデーションがあって、その濃淡がかなり大きいことがわかりました。そこにはリスクもまだまだある。
吉本:はい、だからまだ中国ブランドに対して結論を出すには早すぎると思います。かつて私たちがイタリアに行って、ColnagoやDe Rosaを取材してその謎を解き明かそうとしたように、今は中国の現場を直接見て、彼らの思想を解き明かすべきフェーズに入っていると感じます。
少なくとも、中国ブランドの参入は硬直したマーケットを変える要素になっている。その刺激としてはありだと思いますし、一定のプライスレンジでロードバイクを続けられる人が増えるという観点では貢献しています。
ただし注意は必要です。コスパが良いものだけを選ぶ感覚だけが浸透すると、マーケットにとっては良くありません。機能的価値だけでモノを選び、情緒的価値がないがしろにされる。そういった乾いた土壌では、良いユーザーも育ちません。
清水:コスパと情緒的価値は相容れないものですからね。短期的消費に流れてショップにとって上質な顧客が付きにくくなると、良いコミュニティが形成されず、それこそサイクリストとしての所作が伝承されなくなる。この現象は、実際に一部の中国ブランド取り扱いショップで起きているとも聞いています。
吉本:売り方が問われていますね。所作を含めた楽しみ方を提案して、世界観をシェアする。そういった部分をちゃんと伝えていかないと、ユーザーの滞在年数が延びないんですよね。
ロードバイクブームで人口は増えたけれど、プロダクトに頼りすぎて売り方が丁寧ではなかったというのがわれわれの反省点です。それはショップだけでなく、われわれメディアも同じことです。スペックを超えた価値を見せなければならないと思っています。

CYCLE MODE TOKYOでも“スペックを超えた価値”を追求した
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中国ブランドは、今やコンポーネントまで自社で完結させる力を蓄え、「完成車ビジネス」という主戦場へ足を踏み入れようとしている。彼らにとっての本当のサバイバルはそこからであり、単なるスペックの提供を超えて、我々が求める情緒や信頼といった無形の価値を、どこまで担保できるかが問われるようになるだろう。
メディアの役割は、中国ブランドを礼賛することではなく、ユーザーに判断材料を提示することにある。対談を通しても、中国ブランドに対して感じる危うさは残ったままだ。機能的価値だけでモノを選ぶ「乾いた土壌」に陥らないように、我々もまた、中国ブランドの動きを執拗に見続けていく。
Photo & Edit / Tats

















