Text by Tats(@tats_lovecyclist)
旅するように走ろう。
ロードサイクリングの遊び方はかつてないほど多様化しています。
そのひとつ「バイクパッキング」は、車体にバッグを取り付けて、ウルトラディスタンスやキャンプを楽しむスタイル。バッグをフレーム前中後にフル装備して本格的な泊まり旅をするのは、最高に自由でラグジュアリーなライドです。
でも多忙なビジネスマンにとって、外泊を含むライドは時間の面でハードルが高いもの。
そんなとき、“プチライド旅”という選択肢があります。
いつもの週末のライドに、大きめのサドルバッグを1つだけつけて遠出をするという変化をつける、ちょっとした贅沢。そんな楽しみ方を実現するためのサドルバッグがあります。
※本レビューで使用するサドルバッグはTOKYO WHEELS提供のものです。
Apidura レーシングサドルパック
Apidura – Racing Saddle Pack 7L(¥19,800)
これまで多くのサイクリストが大型のサドルバッグを検討するときに、定番の選択肢となっていたのがApidura(アピデュラ)でした。グレーの大型サドルバッグを取り付けて走るサイクリストを、これまでもよく道の上で見かけています。
そのApiduraのラインナップに新たに加わったのが、「Racing Saddle Pack(レーシングサドルパック)」。
“Racing”と名のついたように、ロードバイクのライドスタイルに合わせて作られたモデル。黒を基調としたカラーリングで、これまでのグレーのラインナップと比較してよりシックな印象を与える外観となっています。
“中型”というサイズ感
そのサイズは、従来の大型サドルバッグにはなかった5リットルと7リットル。流通している多くの大型サドルバッグが9リットル以上であることを考えると、パンク修理キットを入れるような小型サドルバッグと旅用の大型サドルバッグの間を埋めるような中型のサイズ感。
このサイズは絶妙で、たとえばバイクパッキングスタイルをするとき、大型サドルバッグひとつに荷物をすべて詰め込むよりも、中型サドルバッグとフレームバッグやフロントバッグを組み合わせた方が、荷物の小分けができ、車体バランスも良くなります。そういう融通の効きやすさが、中型サイズの大きなメリット。
僕はスタイルの観点で小型のサドルバッグを取り付けることはほとんどありませんが、中型サイズであればバイクが“トレーニングスタイル”から“旅スタイル”にさくっと変化するので全然アリだと感じます。
薄く丈夫な生地。このおかげで200gとかなり軽量
表面は防水ラミネートされ、生地の継ぎ目は熱溶着処理されているので防水性は抜群
バッグの口を折りたたんで留める仕様なので浸水の心配なし。ただし撥水性が高いので、口を開けたときに雨が入らないように注意
中仕切りはなく、体積に対し最大容量が確保されている
容量比較 – 5リットル vs 7リットル
サドルバッグを選ぶときに一番悩ましいのがサイズ。「大は小を兼ねる」という考え方は、常に身軽でありたい僕らサイクリストにとっては一切適用外で、できるだけジャストサイズのものを選択してスマートに走れるのが最高な状態。
日帰りパッキング例
# | 5リットル | 7リットル |
① | 輪行袋* | |
② | エチケットパンツ | |
③ | ウインドジャケット | |
④ | ハンドタオル | |
⑤ | デオドラントシート | |
⑥ | 日焼け止め | |
⑦ | 充電器 | |
⑧ | クリートカバー | |
⑨ | – | カメラ パンク修理セット 鍵 補給食 など |
※輪行袋は標準サイズのOstrichロード320を想定
2リットルが生む差と、どちらが“買い”か?
5リットルでも①〜⑧のような輪行ミニマムセットはすべて収容可能。ただ(輪行袋のサイズによりますが)割と容量ぎりぎりなので、ほかのものはあまり入れることができません。
7リットルは輪行セットを入れてもまだスペースがあり、カメラ・パンク修理セット・防寒具・補給食なども余裕を持って入れられるような容量。
そのため、もしサドルバッグひとつで運用するなら7リットル、ほかのバッグと組み合わせるのであれば5リットルが使いやすいと思います。ただし2つのサイズは外観上ほとんど差はないので(重量の差も10g程度)、汎用性を重視するのであれば7リットルをおすすめします。
「もっと着替えとか色々持ち運びたいよ}という場合は、9リットル以上の大型サドルバッグを選択します。
走りへの影響
重量は5リットルが200g、7リットルが210g。荷物を詰めると2〜3kgになります。
走行に関して言えば、バックパックを背負うことを考えればまだ快適ですが、漕ぎ出しや上りでもっさり感はどうしても出てきます(これをつけてヒルクライムは修行)。
またダンシングでバイクを左右に振ると、サドルパックも左右に揺れ動くので、重いものを携行しているときはかなり違和感を覚えます。
ただ平坦はスピードに乗れば付けていることを忘れるほど。
一定レベルにおいて走ることの楽しみをちゃんと失わない走行感は、このサイズならではのものだと感じます。
ライドを“旅”にするサドルバッグ。
輪行袋とちょっとの荷物を入れて走り出す。それだけで、いつものライドの行動半径は大きく拡がります。
「もういつものコースは飽きた」という声は、仲間からも僕の心の中からもよく聞くし、時にはもっと非日常な刺激がほしいときだってあります。
レーシングサドルバッグのような絶妙なサイズ感のバッグがあれば、「いつも折り返していた地点からもう少し足を伸ばす」あるいは「今日はさくっと輪行して山に行く」という選択が気軽にできるように。そしてほかのバッグとの組み合わせもしやすい。
いつもの週末ライドを“プチ旅ライド”にすることができる、最高にちょうど良いサドルバッグです。
Highs
- ・ちょうど良いサイズ感
・脱着が楽
・高い機能性(防水/重量/耐久性)
Lows
- ・ダンシング時に左右に振れる
Apiduraバッグを購入する
※“Racing”シリーズはトップチューブバッグとフレームバッグもラインナップされています。