快適なサマーライドの決め手。
夏のライドで「ジャージの下にインナーウェア(ベースレイヤー)を着るかどうか」はよく会話のテーブルに載せられる話題。
なるべく重ね着したくない気持ちと、着ることで快適になるメリットとの両端があり、どちらが良いというわけではなく、いずれもスタイルに応じて一理ある選択となります。
ここではインナーウェアの機能的観点から、インナーが必要なライドスタイル、そして価格帯別のラインナップをまとめていきます。
text/Tats(@tats_lovecyclist)
1. インナーウェアの必要性
高機能インナーの特性
汗をジャージに逃がすベースレイヤー
高機能インナーウェアの特性は、汗を吸い取ってジャージに逃がすこと。水分が肌に滞留しないことで不快感が軽減できるだけでなく、体温低下が抑えられるためパフォーマンス維持にも役立ちます。
▼汗を排出する流れ▼
- 皮膚から出た汗を吸い取ってレイヤーの外側に排出する
- 表面の撥水加工により水分を逆流させない
- 排出された汗はジャージに吸収され、外気で自然乾燥する
そもそもインナーでライドは楽になるか?
この説明を聞くと高機能インナーは非常に頼もしく感じますが、実際は走行中だけの話で言えば、夏の発汗量はインナーの排水力を上回ってしまいます。だからインナーの有無で体感温度や快適性には大きな差が出ないことがほとんど。
むしろジャージのジッパーを下げても肌に風が直接当たらないので、暑がりのサイクリストにとっては余計に暑く感じるかもしれません。
なぜインナーが必要なのか?
それでもインナーが必要とされているのにはいくつかの理由があります。
休憩・ダウンヒルが快適
インナーウェアがあることで、停車時にジャージが張り付く不快感がなくなります。
特に休憩中は、溜まっていた水分が外へ外へと排出され、冷房が効いた空間であれば5〜10分もすれば肌がさらさらになっていくことを実感できるはず。
ジャージ1枚だったり機能性の低いインナーの場合だと、肌が乾かずに体が冷えてしまうことも。
ダウンヒルのように体温が低下しやすい環境も同様で、水分が排出されて体の冷えを抑えてくれます。
素肌が透けない
色や素材が薄いジャージの場合、インナーを下に着ることで素肌が透けることを回避できます。
また走行中ジッパーを下ろしても、インナーがあれば周囲の目はそれほど気にならなくなります。
ビブの肩紐が不快にならない
素肌の上からビブショーツを着ると、肩紐で肌が擦れてしまうことがありますが、インナーを着てから肩紐を通すことでその不快感を抑えることができます。
インナーが必要なライドスタイル
このことから、休憩を想定しない短時間のトレーニング走であればインナーを着る必要はないかもしれません。
ただ長時間のライドで不快な思いをしたくなかったり、汗冷えで体調を崩したくないといった場合はインナーの着用が推奨されます。
ただし最近のジャージの中には高機能メッシュ素材を採用したものがあり、ジャージ1枚でも比較的快適に過ごせるものがあります。薄着を好む場合はジャージとの相性でインナーあり/なしを選択してください。
2. インナーウェアの選び方
サイズ感を最も大事に
素肌から隙間なく汗を吸い上げられるように、サイズはタイトフィットのものを選択します。
もちろん上に重ねるジャージもフィットしている必要があり、ゆったりしたジャージだと、インナーが排出した汗を適切に蒸散させてくれません。
速乾性を重視するならメッシュタイプを
インナーの素材はメリノと化学繊維にわかれます。
メリノウールは天然繊維ならではの機能性の高さと着心地の良さがメリットですが、その分少し高価。
化繊は機能とコストのバランスに優れ、中でもメッシュタイプは涼しさ・速乾性を兼ね備えているのでどんな用途にも対応でき、夏のライドには万人におすすめできます。
デザインは手持ちのジャージに合わせて
インナーのカラーは白・黒・ネイビーなどベーシックなものが多く、その中から手持ちのジャージとの色合わせを考慮して選びます。
複数持っておくとコーディネートも楽しめますが、白は最も万能なカラーのため最初の1枚としておすすめします。
3. 価格帯別インナーウェア6選
夏のライドに最適な、通気性に優れたメッシュタイプのインナーを価格帯別に紹介。
ちなみにメッシュタイプのインナーは、冬の重ね着のファーストレイヤーとしても使うことができるため、汗冷え対策として年中使えるコスパの良いアイテムです。
¥3,000〜¥4,000
dhb ライトウェイトメッシュ
軽量メッシュ半袖ベースレイヤー(¥3,890)
初めてのサイクルウェアに最適なブランド「dhb」。
快適なオープンメッシュ構造・無駄のないデザイン・伸縮性など機能揃いのウェアが¥3,000台で入手できるのはお得としか言いようがないレベル。
ノースリーブタイプは¥3,473。
CRAFT メッシュスーパーライト
ノースリーブメッシュスーパーライト(¥3,700〜)
スウェーデンのスポーツウェアブランド「CRAFT」は、プロトライアスロンチーム“BMC-Vifit Sport”をサポートしており、機能性は折り紙つき。
CRAFT独自の6つの溝で汗を素早く排出し、吸汗速乾性に優れます。1年を通して使用可能。
¥4,000〜5,000
MILLET ドライナミックメッシュ
ドライナミックメッシュ(¥4,000〜)
登山ブランド「MILLET(ミレー)」によるベースレイヤー。体温調節が生死に関わるマウンテンアクティビティでの使用を想定されたもので、メッシュ系インナーの代表的存在。激しい汗をかくほど効果を発揮します。
finetrack ドライレイヤーベーシック
ドライレイヤー ベーシック(¥4,620)
全アウトドアスポーツに向けた製品開発を行う国産ブランド・ファイントラック。サイクリングに最適な「ドライレイヤー」シリーズは、「ベーシック」「クール」「ウォーム」の3種類があります。オールシーズン使える「ベーシック」は¥4,000前後で買える高い高機能インナー。また撥水性が高く、汗戻りが少ないのも特徴。
暑さを気にする場合はノースリーブタイプや後述の「クール」を選択します。
¥5,000以上
finetrack ドライレイヤークール
ドライレイヤー クール(¥5,830)
前述したベーシックの2倍涼しい「クール」。見た目からもわかるようにメッシュの隙間が広く、吸汗速乾性能がさらにアップしています。
それでいて抜群の撥水性を持つため、完全に汗冷えと決別するためのウェア。
こちらもノースリーブタイプがあります。
Rapha プロチームベースレイヤー
Pro Team Base Layer – Short Sleeve(¥9,000)
軽く通気性も高く、特に着心地が素晴らしいRaphaのベースレイヤー。
プロチームベースレイヤーには、ロードレースにちなんだ言葉が胸にプリントされていて、サイクリストである気持ちを奮い立たせてくれます。
ノースリーブタイプは¥8,300。
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専用のインナーウェアはライドを快適にするだけでなく、ジャージも長持ちさせてくれます。
インナーとともに、夏のライドを爽やかに楽しんでください。
著者情報
Tats Shimizu(@tats_lovecyclist) 編集長。スポーツバイク歴10年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはFactor O2(ロード)とLS(グラベル)。 |