映える写真&動画を。ロードバイク用カメラ購入ガイド

ライドとカメラの相性が良いのは誰もが知るところ。そしてスマートフォンで撮影してきたサイクリストが、さらに良い写りを求めて検討し始めるのが、ミラーレスやコンデジなどのカメラの導入。
ただカテゴリもラインナップも多すぎて、メーカーやカタログスペックなど、どこから手を付けるべきか判断しづらいと思います。それはロードバイク沼と同じ底知らずの趣味性。

個人的にもライド用カメラは、ホイールを交換するように自分に合うものを求めて乗り継いできました。今使っている5台目(Fujifilm X-T4)は、現時点で自分の用途を完璧に満たすと思っていますが、これからカメラの導入を検討しているサイクリストが自分に合うものを絞り込めるように、ライドに向いたカメラの最新ラインナップをテーブルに並べて比較していきます。

text/Tats@tats_lovecyclist

1. ライド向きのカメラ

 
コンデジ

ミラーレス

一眼レフ
価格帯 5万〜 10万〜 20万〜
重量 250g〜 600g〜  1kg〜
レンズ交換 ×

写真・動画撮影ができるカメラとして検討に挙がるのは表の3カテゴリですが、ライド用カメラの有力候補は、レンズ一体型の軽量な「コンデジ」と、レンズ交換可能で表現の幅が広い「ミラーレス」の2つ。いずれもスマートフォンを越える表現が可能なモデルが揃っています。

プロフェッショナル機の「一眼レフ」はライドでの持ち運びには負担が大きい重量・サイズであり、また多くのメーカーはミラーレスの新製品開発に注力しているため、あえて一眼レフを購入する理由は少なくなくなっています。

また動画撮影用のアクションカメラも選択肢としてありますが、選択できるモデルは限られており(GoPro、OsmoAction、Insta360など)、動画特化のため本記事の比較対象からは除外しています。

だから最初の選択ポイントは、携行性を重視するなら「コンデジ」表現を追求していくなら「ミラーレス」とシンプルなもの。

スマホの進化とカメラ選び

iPhone/左、ミラーレス/右
特定の条件ではスマホでも十分な仕上がり

基本的にスマートフォンでの写りに満足できないことから始まるカメラ探しですが、スマホカメラの進化は一眼カメラの表現に近づきつつあるのが現状です。
iPhoneを例に挙げれば、苦手だった暗所での撮影もナイトモードによって明るくてノイズの少ない写真が撮れるようになり、背景ボケもある程度ポートレートモードで自然に撮れるようになり、動画もとても綺麗で滑らか。
すでにカメラのエントリー機(5万以下のコンデジやミラーレス)が駆逐されてしまったように、スマホがカメラの得意領域をどんどん侵食しており、表現の差別化をするには1台5万以上の高価なカメラがスタートラインとなります。

 

2. どうモデルを選ぶ?

カメラは「撮りたい画から選ぶ」のが基本。撮りたいのはボケる写真なのか、ブレない動画なのか、綺麗な風景なのか、そこから1台を絞り込んでいく。
でもロードバイクのように、「自分が格好良いと思うモデルを選ぶ」というのも大切な視点。機材にこだわるという点ではどちらも同じなので、自分の好きなメーカーの好きなデザインを選ぶことも、カメラをもっと使いたくなるきっかけになります。

メーカー選び

自転車と違ってカメラのメーカーは限られているので、メーカーの絞り込みはしやすいと思います。代表的なメーカーはこちら。

SONY

SONY

コンデジ、ミラーレスともに機能を詰め込んだハイスペックモデルが多く、さらに小型軽量。手ブレ補正もオートフォーカスも他メーカーに比べて優秀。動画も写真も撮りたい欲張りなサイクリストに最適。サードパーティ製レンズも豊富なのが心強い。

Canon / Nikon

CanonとNikon

2社ともカメラメーカーの中では最大手で、プロ仕様の上位モデルに力を入れている。Nikonは見た目に近いナチュラルな写真が撮れ、Canonは鮮やかな色彩で写るのが特徴。レンズの種類も多いため、いずれもカメラを本格的に取り組んでいきたいサイクリストに最適。

FUJIFILM

FUJIFILM

コンデジもミラーレスもAPS-C機がメインで、フィルムシュミレーション機能を使った表現力が唯一無二。シャッター音にもこだわりが強く、純粋に「撮る楽しみ」を増幅させてくれるため、撮影そのものを好きになりたいサイクリストに最適。

センサーサイズ選び

イメージセンサー

光を取り込むイメージセンサー

スマートフォンとカメラで写りに違いが生まれる根本的な理由は、イメージセンサーのサイズが異なるため。イメージセンサーが大きいほど光の情報量が多く取り込めます。それはつまり…

めっちゃボケる! → 焦点距離が大きくなり、立体感のあるボケ味が表現できる

めっちゃ綺麗! → ノイズが少なく、幅広い諧調が色彩豊かに表現できる

ということ。だからスマートフォンで見たことのない写りを期待するのであれば、「できるだけセンサーサイズの大きいカメラを選ぶ」ことが大切。

センサーサイズの違い

スマートフォンの多くが1/2.3型やそれに近いセンサーを搭載しているため、例えばAPS-Cは約13倍の情報量が1枚の写真に取り込まれることになります。だから大型センサーの写真の方が幅広い表現ができるのは必然。
ただし動画をメインにする場合、センサーサイズの大きいカメラは手ブレしやすくなるので、滑らかな動画を撮りたい場合には、1型やフォーサーズのカメラも選択肢に入ります(ただしモデルごとの手ブレ補正機能にも依存する)。

前の章でコンデジかミラーレスか、という選び方を提示しましたが、さらに細かくするとこういう形になります。

A. 携行性が一番大事。走りに影響を与えたくない → 1.0型〜APS-Cのコンデジ(SONY RX100M3、RICOH GR IIIなど)
B. 携行性と表現のバランスをとりたい → フォーサーズやAPS-Cの小型ミラーレス(OLYMPUS OM-D、SONY α6400など)
C.走りづらくなっても表現を追求したい → APS-Cのハイエンドミラーレス(FUJIFILM X-T4など)、フルサイズのミラーレス(SONY α7IIIなど)

カメラは「初心者こそ良い機材を使うべき」という考え方もあって(自転車も同じかも)、高いものはやっぱり写りが良いので撮影が楽しくなりやすい。もちろんライドへの影響や予算も考える必要があるので、全員に高価な機材をすすめるわけではありませんが、撮影と走りとの距離感で自分に合ったところを選んでもらえればと思います。

携行性高く写りも良いAPS-Cセンサー搭載コンデジ

レンズ選び

レンズ

ズームレンズ/左、単焦点レンズ/右

どんなレンズを使うかはセンサーサイズの選択と同じくらい大事。コンデジはレンズ一体型なので焦点距離(=映る範囲)が決まっているし、ミラーレスはレンズの付け替えができるものの、最初の1台はキットレンズを使うことが多い。
だから購入前に、そのレンズは撮りたい表現ができるものなのかというのをあらかじめ抑えておきます。

ズームレンズの方が便利に思うかもしれませんが、個人的には最初の取り掛かりには単焦点レンズが良いと思っています。ライドの合間の撮影なので、表現を作り込みながら撮るというよりは、スナップ感覚でバシャバシャ撮ることが多くなります。そんなときに最適なのが、明るくてよくボケてくれる単焦点。換算35mm〜50mmのレンズを選べばポートレートも風景写真も両方撮りやすい。

ズームレンズでいろいろ画角をいじくるよりも、自分の足を使いながら切り取り方の感覚をつかむほうが、結果的に絵作りがうまくなると感じています。

あると良い機能

サイクリング環境で使用することを前提とした機能も考慮します。

ボディ内手ブレ補正

三脚を使わないので、手ブレ補正があると失敗が少なくなります。ミラーレスの場合、レンズ側に手ブレ補正機能が付くモデルもあるので、両方を組み合わせて使うことも。

防塵・防滴

ライド中に砂埃や突然の雨やにさらされることもあるので、防塵・防滴は欲しい機能。ただ完全防水ではないので、念のため保護用のビニル袋を携行することをおすすめします。

180度チルト液晶かバリアングル液晶

自撮り撮影に便利な180度チルトやバリアングル。また地面に近い位置で撮影するときなど、色々なアングルがとれるので撮影の幅が広がります。

 

3. カメラの持ち運び方

3つの携行方法

斜めがけストラップは定番

ポケットに入れる

コンデジのサイズであればバックポケットに収容可能で、撮りたいときにさっと取り出せます。ただ高温多湿なバックポケットはカメラにとって最もきつい環境なので、あまり多用するとカメラが故障するリスクもあります(僕はこれで1台ダメにした)。今はポケット付きのカーゴビブショーツもあるので、ビブのポケットに入れる方がまだ良さそうです。

斜めがけストラップを使う

多くのサイクリストが使う斜めがけストラップ。撮りたいときにサッと背中から前に持ってくるだけで撮影できるので、機動性に優れます。ただ重いカメラだとずれやすい、ダンシングしづらい、肩に負担がかかるなど走行に悪影響が及びます。肩の負荷を下げるために幅広のストラップを推奨。

※ストラップ選びはこちらを参照してください。

バッグに入れる

ハンドルバーバッグやトップチューブバッグに入れる方法。撮りたいとき毎回取り出すのが意外と面倒なので、せっかくカメラを携行しているのにあまり撮らなくなる可能性もあります。カメラを大事にしたいサイクリスト向け。

どこまで重量を許容するか?

斜めがけストラップを使うときに気にしたいカメラ重量。
コンデジの200〜300gであれば負担はほとんどないし、ミラーレスでも軽いレンズと組み合わせて600〜700gくらいに収めればそれほど負荷は感じません。
ただレンズの組み合わせによって1kgを超えると、さすがにずしりと重さを感じます。
これは撮りたい表現と走りへの影響とのトレードオフなので、ミラーレスであれば最初はなるべく軽い組み合わせ(700g以内)で試してみて、表現に物足りなさを感じたらあとから重いレンズに挑戦するという段階が良いと思います(そこまでやるサイクリストはほとんどいないかもですが…)。

 

4. コンパクトデジタルカメラ機 6選

ここからはライドに最適なモデルをピックアップしますが、基本的に発売年月が新しいものを推奨しています。というのもここ2〜3年でYouTubeが一般化し、2019年発売モデルあたりから各社とも動画性能(4K対応・手ブレ補正・自撮り機能など)が向上しているため。写真だけでなく動画も撮りたくなったときに、ちゃんとカバーできるモデルの方がカメラを長く使うことができると思います。

まずコンパクトデジタルカメラでピックアップするのは、いわゆる「高級コンデジ」と言われる1.0型以上のセンサーを搭載したライン。スマートフォンにはない表現を求めるときは、ここがスタートラインとなります。ちなみにコンデジはレンズ交換できないため、レンズ沼にハマらないという経済的メリットも。

機能重視:ズームレンズタイプ

SONYが得意なズームレンズのコンデジ。とにかくコンパクトで、その中に機能がギュッと詰め込まれています。代表的なRX100シリーズは8種類あり、価格面とライド用途から最適なモデルをピックアップ。

  RX100
M3 RX100
M5a ZV-1
重量 272g 272g 267g
相場 ¥60,000〜 ¥90,000〜 ¥60,000〜
センサー 1型CMOS 1型CMOS 1型CMOS
レンズ* 24~70mm
F1.8~F2.8
24~70mm
F1.8~F2.8
24~70mm
F1.8~F2.8
液晶 チルト チルト バリアングル
防塵防滴
手ブレ補正
有効画素数 2010万 2010万 2010万
動画性能 フルHD 120p 4K 30p
フルHD 120p
4K 30p
フルHD 120p
発売 2014年5月 2018年7月 2020年6月
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*焦点距離はフルサイズ換算

SONY RX100M3 – 写真メインの標準モデル

バックポケットにスッと収まるサイズ感から、2014年発売モデルにも関わらずライド用エントリー機の定番として今も色褪せないM3。1.0型センサーなのでボケる写真は被写体にかなり寄らないと撮れませんが(ボケだけを求めるのであれiPhoneのポートレートモードなどを推奨)、24~70mmの画角は幅広い表現が可能です。

SONY RX100M5A – 写真も動画もOKなバランスタイプ

RX100M3との大きな違いは、0.05秒でフォーカスが合う高速AF、24コマ/秒の高速連写、4K対応の動画性能。3万ほどの価格差がありますが、ハイスピードで走るサイクリストを捉えるのに最適なスペックになっています。

SONY ZV-1 – Vlog特化の動画メイン機

RX100M5Aと同等の写真性能に加え、動画撮影を大幅に強化したVlogカメラ。軽くて手ブレ補正も強く、ライドのVlogをサクサク綺麗に撮りたいときに現時点で最強のモデル。バリアングル液晶で撮る自撮りモードは「盛れる」と好評。
ただ写真撮影はファインダーがなくて撮りづらいため、写真メインならRXシリーズ、動画メインならZV-1と用途に合わせて選択します。

Vlog特化のZV-1

画質重視:単焦点レンズタイプ

明るくボケやすい単焦点レンズのコンデジ。ミラーレスと同じ画質を求めていて、さらに携行性と速写性を重視するならこのカテゴリが最適。

APS-Cコンデジ
  RICOH GR III Fujifilm XF10 Fujifilm X100V
本体重量 227g 278.9g 428g
相場 ¥90,000〜 ¥50,000〜 ¥140,000〜
センサー APS-C APS-C APS-C
レンズ 18.3mm f2.8 18.5mm f2.8 23mm f2
液晶 チルト
防塵防滴
手ブレ補正
有効画素数 2424万 2424万 2610万
動画性能 フルHD 60p 4K15p
フルHD 60p
4K 30p
フルHD 60p
発売 2019年3月 2018年8月 2020年2月
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RICOH GR III – ライド用究極のスナップシューター

高級コンデジの代表格GR III。“究極のスナップシューター”と言われるように、257gの軽さ、0.8秒の高速起動、換算28mmの広角、F2.8のレンズ、手ブレ補正付きというスペックは、サイクリングでさっと構えて撮るのに最適。

Fujifilm XF10 – FUJIの色味が撮れる手頃なスナップシューター

GR IIIと同じ換算28mm F2.8のレンズですが、手ブレ補正やチルト液晶はなく価格は抑えめ。それでもFUJIだけの色味やフィルムシュミレーションの魅力は変わらず、コンデジでこれだけ綺麗な表現ができることを知るきっかけにもなる、手頃なスナップシューター。 

Fujifilm X100V – ミラーレスの写りを凝縮したハイエンドコンデジ

換算35mm F2.0の明るいレンズで、ボケも表現しやすいハイエンドコンデジX100V。レンズ交換はできませんが、428gのコンパクトなボディにミラーレスと同じ写りが詰まっています。クラシカルな外観とアナログダイヤルによる操作は、カメラをいじる楽しさも味わせてくれるもの。

明るいレンズを搭載したX100V

 

5. ミラーレス機(APS-C)6選

FUJIFILMが主戦場とし、ほかにNikon、SONYなどがラインナップするAPS-Cミラーレス。そこそこ軽く、レンズ次第で撮りたい表現が撮りやすいため、ライド×カメラをメインとするスタイルでは一番バランスの良いくくりだと思います。

SONY

  α6400 α6600 ZV-E10
本体重量 359g 418g 343g
相場* ¥120,000〜 ¥190,000〜 ¥80,000〜
センサー APS-C APS-C APS-C
液晶 チルト チルト バリアングル
防塵防滴
手ブレ補正
有効画素数 2420万 2420万 2420万
動画性能 4K 30p
フルHD 120p
4K 30p
フルHD 120p
4K 30p
フルHD 120p
発売 2019年2月 2019年11月 2021年9月
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*相場:レンズキットの価格相場

SONY α6400 – 写真撮影に強いスタンダードモデル

機動性が高く、瞳AFやAF追従連写といった強力な機能を持つα6400は、ライドでの写真撮影に最適。ボディ内手ブレ補正がないため、動画よりも写真メインで使いたいサイクリストに向いています。この機能でボディ10万前後の価格は非常に魅力的。

SONY α6600 – 写真も動画もイケる万能モデル

SONYのAPS-C機トップモデルα6600。基本的な撮影性能はα6400と同じですが、α6600はボディ内手ブレ補正、フルサイズ用バッテリー(α6400の2.2倍)、ヘッドホン端子を搭載。動画も写真もイケる万能モデルですが、α6400との価格差が5万以上あるので、予算が許せばFUJIのX-T4やフルサイズのα7Cも比較対象に入ります。

SONY ZV-E10 – 唯一のVlog特化型ミラーレス

ZV-1と同じVlogカメラのミラーレスモデルがZV-E10(2021/9/17発売)。センサーが3倍のAPS-Cになり、レンズ交換できることで、より高画質でボケのあるVlogを撮影することができます。機動性はZV-1に軍配が上がりますが、表現の豊かさはZV-E10。
ミラーレス機同士ではα6400が比較対象になりますが、ZV-E10では電子ファインダーとフラッシュが落とされているため写真撮影は得意でない印象。

FUJIFILM・Nikon

APS-Cミラーレス2
  Fujifilm X-T4 
Fujifilm X-S10 Nikon Z fc
本体重量 526g 415g 390g
相場* ¥230,000〜 ¥160,000〜 ¥150,000〜
センサー APS-C APS-C APS-C
液晶 バリアングル バリアングル バリアングル
防塵防滴
手ブレ補正 動画のみ
有効画素数 2610万 2610万 2088万
動画性能 4K 60p
フルHD 240p
4K 30p
フルHD 60p
4K 30p
フルHD 120p
発売 2020年5月 2020年11月 2021年7月
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*相場:レンズキットの価格相場

FUJIFILM X-T4 – すべてがハイスペックな全方位型モデル

XシリーズのトップエンドモデルX-T4。写りも手ブレ補正も電池持ちも良く、4K 60pの動画撮影にも対応。写真/動画切り替えスイッチが優秀で、それぞれ異なる設定を保存しておくことが可能。写真も動画も1台でこなしたいとき、APS-C機の中で最も優れた選択肢となるモデル。グリップが小さいため最低限サムレストがあると良い。

FUJIFILM X-S10 – X-T4をコンパクトに凝縮したお得なモデル

フラッグシップのX-T4と同じセンサーを搭載し、ひとまわりコンパクトなボディに同等の写りを凝縮したX-S10。X-T4と価格差が大きく、このスペックではかなりお得なモデルと言えます。操作系統は慣れが必要ですが、より機動性高く写真やVlogを撮りたいときに最適。

Nikon Z fc – トレンドを詰め込んだ圧倒的造形美

クラシックカメラをミラーレス機として蘇らせたような1台。精緻に作り込まれたボディ、撮る楽しみを増幅するダイヤル操作、自撮りもイケるバリアングルなど、今どきの機能をこの外観に詰め込んだ逸品。自転車にこだわりを持つように、クラシカルなカメラも自分のライドスタイルのひとつとして捉えたくなる魅力的なカメラです。

 

FUJIFILM X-T4で撮影

 

6. ミラーレス機(フルサイズ)4選

SONYが開拓し、後発でNikon、Canonなどが参入するフルサイズミラーレス。重量はあるものの、それを跳ね返すボケ・美しさを追求していくならここから。価格は天井知らずですが、ライド用にはベーシック機でも十分な写りが得られます。

フルサイズミラーレス
  SONY α7III SONY α7C Canon EOS-RP Nikon Z5
本体重量 565g 424g 440g 590g
相場* ¥220,000〜 ¥220,000〜 ¥160,000〜 ¥210,000〜
センサー フルサイズ フルサイズ フルサイズ フルサイズ
液晶 チルト バリアングル バリアングル チルト
防塵防滴
手ブレ補正
有効画素数 2420万 2420万 2620万 2432万
動画性能 4K30p
フルHD120p
4K30p
フルHD120p
4K24p
フルHD60p
4K30p
フルHD60p
発売 2018年3月 2020年10月 2019年3月 2020年8月
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*相場:レンズキットの価格相場

SONY α7III – フルサイズのスタンダード

全フルサイズミラーレスのベンチマークとなるα7III。2018年発売ながら未だスペックは他社最新モデルの水準と変わりなく(むしろ優位な点が多い)、写真・動画ともにトップクラスの写りが得られます。
サードパーティ製含めてレンズの選択肢が豊富なので、購入後も自分のスタイルを作っていきやすい。

SONY α7C – フルサイズで動画メインならこれ

α7IIIのスペックをさらにコンパクトに落とし込んだ最小&最軽量フルサイズのα7C。ライドで考えるならコンパクトなα7Cが優位ですが、α7IIIと比較するとファインダーが見づらいため、写真メインで考える場合はα7IIIの方が良いかなと思います。動画メインならバリアングル搭載で自撮りができるこちらを選びます。

Canon EOS-RP – 写真&動画OKの手頃モデル

軽くて取り回しの良いEOS RPは、フルサイズ中で最も求めやすい価格。ダイナミックレンジはあまり大きくないものの、それを補うボケ感や0.05秒の高速AFは価格以上。バリアングル液晶で自撮り撮影にも最適。キットレンズ「RF35mm F1.8 STM」は“撒き餌レンズ”として知られており、組み合わせることでライドに最適な手ブレ補正・軽さ・高画質を手にすることができます。

Nikon Z5 – α7IIIキラーの写真特化モデル

Nikonのフルサイズベーシック機。α7IIIキラーとも呼ばれ、高性能EVFファインダーやAF性能など写真撮影性能は非常に高く、EOS-RPにはないボディ内手ブレ補正も搭載。ただ動画性能はα7IIIやNikonの上位機種には劣るため、写真メインで考えたいときに最適なモデル。

 

Canon EOS-RPで撮影

 

撮影&スタイルづくりを楽しもう。

いつもカメラと一緒に。

ロードバイクの楽しみの本質が、機材の優劣ではなく走ることそのものにあるように、カメラも自分の撮影スタイルをつくっていくこと(何を撮るか・どう撮るか・どう見せるか)が本質的な部分だと思います。
だからカメラは、スペックや外観に加えて、自分が理想とするスタイルを実現するパートナーになれるかという視点も大切。

もしまだ具体的なイメージがない場合は、お店で実物を触ったり店員さんに相談したりしながら撮影イメージをつくっていくのが良いと思います。またシャッター音や操作性など、触った感じ手に馴染むかどうかも長く付き合う上ですごく大切。
そういった感覚的な部分も含めて、カメラ選びを楽しんでもらえればと思います。

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著者情報

Tats Tats Shimizu@tats_lovecyclist
編集長。スポーツバイク歴10年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはFactor O2(ロード)とLS(グラベル)。