K-POPや韓国ドラマが日本国内で人気を博している現代。サイクリングシーンにおいても、心惹かれるカルチャーが韓国からやってきました。
今回紹介する 『Cheese Cycling Club(チーズサイクリングクラブ/以下CCC)』は、Arden Bike社が運営する韓国サイクルブランドです。
CCCは、特に私たち20代にグッとくるプロダクトをリリースしていて、個人的にも学生時代からInstagramで新作をチェックしながら愛用してきました。
手に入れやすい価格帯とトレンドを取り入れたデザインで構成されたコレクション。今回はせっかくなので、本国のデザイナーに質問して、私たちがここまで心惹かれる理由を聞いてきました。新作のレビューとともに詳しく紹介していきます。
レビュアー
Mei(@meisan_no_yakata) Love Cyclistアソシエイト。学生時代からLove Cyclistに参画し、現在はデジタルマーケティング会社にも勤務するビジネスパーソン。ブルベやヒルクライムなどさまざまな自転車の楽しみ方に触れてきた中で、今は「ひと山、ひとカフェ」というライドスタイルを確立。 |
Masanaga(@masa_cannondale10) 千葉県在住。いち早く自転車シーンのトレンドを取り入れ、周りに新しい風を吹き込む新社会人。長身を活かしたスタイリングでシンプル&クリーンな着こなしを好んでいる。千葉のカフェやグラベルロードも開拓中。 |
Starring/Mei & Masanaga
Text/Mei
Edit & Photo/Tats
*本記事のウェアはCheese Cycling Club提供のものです。
1. 同時代的なブランドデザイン
CCCを運営するのはArden Bike社。「Arden Bike(アーデンバイク)」というウェアブランドも聞いたことがある方がいると思いますが、Arden Bike社は「Cheese Cycling Club」と「Arden Bike」という、コンセプトの異なる2つのブランドを運営しています。
Arden Bike社の始まりは、創業者のユーザーとしての体験がきっかけ。
繊維工学生だった創業者は、学生のころアルバイトをして、念願の自転車を購入しました。
ある日サイクルウェアを買いに行くと、手頃な価格のものは粗が目立ち、高価なものは彼にとってオーバースペックだと感じます。どれを選ぶべきか決め手に欠けていたところ、繊維専攻で自転車好きな自分ならときめくサイクルウェアが作れる、とブランドを立ち上げたそうです。
Arden Bike社がブランドデザインで大切にしていることは、“同時代的”であること。
デザイナーであるYoon Joe-ohは、友人や世界中のサイクリストたちを観察する事が好きで、そこからヒントを得て、マーケットやトレンド、そして個人の好みも少し混ぜてデザインに落とし込んでいます。
コンセプトの異なる「CCC」と「Arden」
2つのブランド「Arden Bike」と「CCC」は、デザインへのアプローチが異なります。
「Arden Bike」が、世界のさまざまなサイクリストの姿を元にデザインワークを始めるのに対し、「CCC」は、身近な友人たちとのジョークや面白いエピソードをきっかけにデザインされていく。
だからCCCのウェアは、より親密な空気感を感じられるようなデザインなんです。
2. エモーショナルなグラデーション
CCC Woman Geothermy Jersey 4.0($149)
暑い夏、アスファルトの地熱で上がってくる陽炎からヒントを得た「GEOTHERMY JERSEY 4.0(ジオサーミー・ジャージ4.0)」
私の目には、前に海辺で見た日の出を思い出すような、じんわりと温かい雰囲気に包まれるような感じがしました。
機能面ではちゃんと熱さを逃がすように作られており、下のベースレイヤーの生地がわかるほど薄手の生地で構成されています。特に脇など汗が出やすい箇所はメッシュ生地を使用。
私が小学生の時、やたらカッコイイと思っていた勾玉のモチーフ。ソックスやバックポケットに配置してあって、なんか心熱くなる。
3. コロナ禍で生まれたモダンなセットアップ
CCC Home Town Jersey($149)
Masanagaが着用している「HOME TOWN JERSEY(ホームタウン・ジャージ)」は、ベースレイヤーとジャージが同じ柄で、開けた時の感じがとても可愛いセットアップ。
実はこの柄は、昨今のパンデミックを通してデザイナーが感じた想いが込められています。
コロナ禍、多くのサイクリストが一人で景色を眺める時間が増えました。当時は心寂しい気持ちになりましたが、一方で、ひとりで景色を眺めるのも魅力的な時間であり、この姿を次のシーズンの作業で描くことに。
このジャージのテーマである「HOME TOWN」のアイデアは、日本統治時代が終わった時期に、留学を終えて母国に戻った美術家たちを元にしているそうです。
彼らは留学中に影響を受けたモダンな画風で故郷の山、岩、海などの風景を描き、既存のものとは異なる新しいスタイルをつくり出しました。
ジャージの裾は幅のあるグリップが効いて、激しい動きでも腰回りは安定。ポケットをフルで活用しても下に垂れてこないのが良い。
4. 遊び心が湧いてくる
たとえ言葉はわからなくても、CCCのInstagramからは「仲間と楽しくサイクリングすること」というブランドカルチャーを感じました。
これはMasanagaが仲間と走る上でも大切にしていることで、「今日はのんびり走りたいな」というときはCCCをよく着ています。
Protection Pro Bib Shorts 2.0($170)
かといって、CCCが速く走りたいときに適していないわけではなく、ビブは広めのグリッパーで伸縮性に富んだ素材なので、サドルの上で激しく動いてもピッタリとフィットします。
「Protection Proビブショーツ」は3色展開。私たちはブラウンを着用しており、同じシリーズでもメンズ/ウィメンズで少し形状が違いました。
メンズには腰上にポケットが一つあり、タグのようなデザインになっています。女性はポケットがなく、可愛らしいロゴがあしらわれています。
肩紐が簡易的な感じで汗抜けが気になりましたが、使っていて大きく困ることはありませんでした。
パッドも男女で分けて制作されていることから、高価格帯ウェアでなくてもしっかりユーザーにとって使いやすい設計になっています。
腿部分にあしらわれた「Cep.」が可愛い
5. 「もうひとつの選択」を生むCCC
今回、改めてCCCのジャージに袖を通して感じたのが、ただ可愛い柄のウェアというわけではなく、CCCの人たちの想い──よりたくさんのサイクリストに寄り添いたい──がプロダクトに落とし込まれているということです。
サイクルウェアは高いクオリティとオリジナルのデザインを追求する傾向にあり、高価なものがマーケットでは一般化しています。もちろん、私はそういったウェアを好んで着ますし、その恩恵も存分に受けています。
ここで大切なのは、私たちサイクリストにとって「多くの選択肢があること」だと思います。
自分らしく楽しむためには、“スタイルはこうであるべき”というのはなく、自分の好みや、当日のライドの強度や気分など、日々変わっていく私たちに合わせた選択ができることです。
今回は紹介しきれませんでしたが、コンパクトに畳むことができるジレやカーゴビブなど、CCCは多くのサイクルウェアを展開しています。
どれも手に入れやすい価格帯なので、使用頻度が少ないからと躊躇っているものや、まだ持っていないカラーなどをついCCCで試してみたくなります。
Arden Bike社は、これから世界市場で「私たちはサイクリングのファンとしてこの素敵な文化の一部になることを願っています。もっとたくさんのサイクリストと友人になりたいし、また彼らの自転車生活に少しでもポジティブな影響を与えるブランドになりたいです。」と語ってくれました。
今回のレビューで、素晴らしいカルチャーをもつCheese Cycling ClubやArden bikeに興味を持ってもらえると嬉しいです。감사합니다✌️