自転車はライフスタイルとともに。
どんな人にも、その人生には3つの章──家族・仕事・遊びがあります。そしてあまりにも多くの人が忘れているのが、3つめの「遊び」。でも僕たちサイクリストは、走ること=遊ぶことを習慣化すれば、いつも体と心に安寧がもたらされることを知っている。それが、自転車がいつもライフスタイルとともにあるということ。
休むときは休む、気持ちが乗ったら行けるところまで行く。サイクリング=遊びだからこそ、距離とかタイムとか関係なしに、ライドそのものがいつも嬉しい時間。
今日はそんなライフスタイルにインスピレーションを与えるウェアが主役。人生の3つめの章を意味する『CHPT3』をまとって、RokutoとHirokoと一緒に贅沢なライド時間を過ごしました。
Review/Hiroko & Rokuto
Text & Photo/Tats
*本レビューのウェアはCHPT3提供のものです。
1. CHPT3 – デヴィッド・ミラーの第三章
ロードレースファンであれば、デヴィッド・ミラーのことはよく知っているだろうと思います。2000年〜2010年台前半に活躍し、英国人として初めて3つのグランツールでリーダージャージを着た元トップレーサー。
彼の現役当時の自転車界は、薬物問題が黒い影を覆っており、デヴィットも例外なくその影響を受けました。
その挫折と、その後の栄光を経て、彼が人生の“第3章”ではじめたのは、レースの世界に留まることではなく、執筆業やコーチといったいくつかの新しい取り組み。その中に「引退したレーサーが着用するウェアをつくる」というアイデアが生まれます。
“現役時代は自分の見た目をコントロールできなかった”と語るデヴィットは、レースウェアの軽量でシンプルな設計、消耗品のような品質、そしてひどいデザインに当時から反発していました。
新たなブランドで目指したウェアは、レースウェアの技術を継承しながら、より高級で、より細やかな設計で、テーラードのように見えること。
2015年の立ち上げ当初はCastelliとのライセンス事業としてスタートしましたが、2021シーズンからは完全自社生産に切り替え、ウィメンズラインを加えるなどしてラインナップを刷新します(Castelliライセンス時代のCHPT3は日本でも展開されていましたが、それとはまったく違うつくり)。
その始まりが、「MOST DAYS」コレクション。
MOST DAYS Collection
2. MOST DAYSなサイクリストたち
MOST DAYS ──人生の第三章「遊び」において、“ほとんどの日”あなたは何をしているか。ドライブしたり、カフェで過ごしたり、友人と話しているかもしれない。サイクリストたちはおそらく自転車に乗っていることが多いだろうけれど、そのスタイルは人によってまったく異なります。
MOST DAYSは、そんな多様性に合うコレクションで、HirokoもRokutoもそれぞれのスタイルで自転車に向き合っています。
My MOST DAYS – Hiroko
自転車は登っているときが一番好きで、山によく行くけれど、このところずっと「今日はトレーニングするぞ」という気分で乗るのは性に合わない。なんとなく尾根幹のような練習コースを走ってしまって虚しい気持ちになることも(笑)。
今の気分が求めているのは、日差しが洩れる林道とか、気の置けないライド仲間とか、美味しいごはんとか、そういったもの。休みの“ほとんどの日”は、それが目的で走るのが楽しい。
ジャージ: MOST DAYS PERFORMANCE WOMEN’S JERSEY – ICE BLUE £95
ベースレイヤー: MOST DAYS WOMEN’S BASE LAYER – ALPINE WHITE £45
ビブショーツ: MOST DAYS WOMEN’S BIB SHORT – OUTER SPACE £119
My MOST DAYS – Rokuto
小さい頃から自転車で遊んでいた僕にとって「サイクリングはこうだ」という決まったものはなくて、それは仕事外の存在だし、アウトドア遊びだし、コミュニティでもある。
でもそれぞれでサイクリングの喜びは変わらない。刺激が欲しければ車で遠出して走りに行くし、そうじゃなければみんなに付いていって楽しませてもらう(笑)。だから“ほとんどの日”は、気持ちが乗った方向へ走り出すスタイルがちょうど良い。
ジャージ: MOST DAYS PERFORMANCE MEN’S JERSEY – ICE BLUE £95
ベースレイヤー: MOST DAYS MEN’S BASE LAYER – ALPINE WHITE £45
ビブショーツ: MOST DAYS MEN’S BIB SHORT – OUTER SPACE £119
3. MOST DAYSコレクションレビュー
MOST DAYS パフォーマンスジャージ
MOST DAYS PERFORMANCE JERSEY – Ice Blue(£95)
今シーズンから刷新されたジャージは、トレーニングウェアのような軽量&タイトなつくりではなく、まるでオックスフォードシャツのような着心地。
厚みがあり、丈夫で柔らかい生地。でも凹凸があるおかげで通気性も良い。汗をかいてもサラッとした着心地を保てる、ものすごく上質なウェア。
シルエットはゆったりめ。特に腕や肩周りには余裕があって、上半身の窮屈さを感じない。身丈も、骨盤に重なるくらい長めでお腹までカバーされる。
もう少しぴたっと着たいときは、サイズガイドから1サイズ下げてもOK。
位置が低めで出し入れがしやすいバックポケット
4thポケットがバックポケット2つ分の大きさがあり、スマホを入れても余る容量。防水ではないけれど、小物を入れるポーチ代わりになる。
MOST DAYS ベースレイヤー
MOST DAYS BASE LAYER – Alpine White(£45)
ジャージのシンプルさと対象的な「CHPT3」の縦プリントが大胆で格好良いベースレイヤー。
全体がクレーター状のメッシュ素材で、肌への密着が軽減されベタつかないし、よく乾く。
フィット感は強すぎないのに、ダボつきもなく、伸縮性があるので脱ぎづらくもない。
コレクション全体に清潔感があるので、ジャージをはだけたスタイルにも全然抵抗を感じない。
MOST DAYS ビブショーツ
MOST DAYS BIB SHORTS – Outer Space(£119)
ジャージとは違ってタイトだけれど、伸びのいい生地で心地良いビブショーツ。骨盤からウエストにかけてキュッと搾り上げるような感じ。どこにも窮屈さを感じない。
デザイン性のある朱色のグリッパー
グリッパーは間隔が空いているため、汗や締め付けによるストレスを減らしてくれる。
メッシュ地で通気性が良い背面やサスペンダー。ブランドカラーの朱色が可愛い。
パッドはElastic Interfaceの長距離向けモデル(男女で形状は異なる)。場所によって厚みや硬さが違う3D形状で、お尻にしっかりフィット。欲しいところに必要なパッドがある感じが良い。
また全体にパンチが打ってあるので、通気性も確保される。
MOST DAYSのサイズ感
Rokuto(右) 178cm/60kg:ジャージ・ベースレイヤー・ビブショーツ すべてXS
Hiroko(左) 174cm:ジャージ・ベースレイヤー・ビブショーツ すべてS
4. 多様性とCHPT3と僕たち。
ロードサイクリングは、ハードなものがあれば楽なものもあり、速いライドもあればゆったりしたライドもある。CHPT3がデザインしたのは、すべてのライドにフィットするウェア。
世界が少しずつ多様性を認め、持続可能な社会を目指していく中で、サイクリングの世界も、色々なスタイルがあってお互いをリスペクトすることは当たり前になろうとしています。
そうした新しい価値観の中で生きる、僕たちとCHPT3。だからMOST DAYSコレクションは、上質なつくりで、長く気持ちよく着られる。
あらゆる世代やライドスタイルにマッチしてくれる優しいウェアは、自転車アパレルだけでなく自転車界の価値感が新しいステージに入ったことを実感させてくれます。
Review/Hiroko & Rokuto
Text & Photo/Tats