ロードバイク×カメラの魅力 – 2018年のライドを写真で振り返る

ロードサイクリングの良さを一言で表すことはできませんが、ひとつは、走った記憶がいつまでも脳裏に焼き付けられることがあります。
たとえばStravaの過去の記録を見直すとき、あるいは仲間といつどこを走ったか話すとき、流れていた景色やそのとき何を考えていたかを思い出すことができます。

その大きな理由が、走ることは「苦しさ」を伴うためだと思います。つらい記憶ほど心に残りやすいのは本能的なもので、ロードサイクリングは苦しさとそこからの解放という正と負の感情の同時体験があるからこそ、強く記憶に残ります。

僕が走るときに写真を撮るのは、見た瞬間にそのときの空気感を一瞬で呼び戻す手助けができるから
どんな景色で、誰といて、どんな苦しさと解放感を感じたかということを、より鮮明に追体験できます。

2018年はできる限りカメラを持ち出してライドを記録してきました。個人的な記録ですが、ひとつひとつの瞬間を思い出すように振り返りたいと思います。

Jan – Mar

  • 若洲公園

2017年後半に突発性難聴を患い、ひどい耳鳴りとめまいに苦しみながら治療を続け、運良く完治した年明けが2018年のスタートでした。
リセットされた状態から始まったこの年は、レースを主体にするのではなく、日々のライドをひとつひとつ大事にする気持ちを抱いて走ります。

  • 三浦半島
  • 葛西臨海公園

冬は厳しい気候が長く続きますが、ときどき穏やかな日差しが届く日もあり、身体を寒空の下に晒しながら少しずつ雪解けを感じていきます。

Apr – Jun

武嶺(台中市)

以前のような脚のコンディションに戻すことができた4月には台湾に行き、東アジアの国道最高地点3275mとなる武嶺(ウーリン)を上りました。

一緒に走った美しすぎるカラーリングのCento1Airと、それを駆る長髪の貴族が格好良すぎました。

強烈過ぎる苦しさと頂上の展望が、いつまでもいつまでも記憶に残ります。

富士山

6月には逆に、台湾でお世話になった人たちを日本に迎えて富士ヒルのコースを走ります。

  • 台湾のサイクリストたち

みんな写真好きでおしゃれなナイスガイばかり。

Jul – Sep

今年も猛暑は本当に厳しく、真夏は走る場所が限られ、ほとんどカメラを持ち出すことができませんでした。
代わりに前後のオンシーズンでは、できる限り今まで行ったことのない場所へ向かいます。

  • ダイバーシティ東京
  • サイクルホリック

先日閉店となったサイクルホリック、その鮮烈な体験は今でも話題に挙がります。

  • Good Morning Cafe

妻と走るときは都内をゆったりめに。

  • 蓼科スカイライン

ヒルクライム佐久のコース「蓼科スカイライン」。カメラを背負っていったのに雨が降り出し、そして景色のご褒美がなかった悲しみをいつまでも覚えています。

Vertex London x Wilier Cento10AIR
  • 野辺山

八ヶ岳を望む、緑が美しい野辺山。
泊まりの旅行をするときは、自転車を車に積んで1日ライド+1日観光というようなプランを立てることが多くなりました。各地域の景観も食べものも一緒に楽しめるので、心をフル充電して帰路につくことができます。

  • Be Specializedの合間に

Be Specializedで仲間とVengeとTarmacを借りました。いつもと違うバイクを駆り、その乗り味を語り合うひととき。

何気ない日常のライドの1枚は、カバー画像にもしたお気に入り。

  • 自転車を見守るクマ

ときには近場をゆっくりめぐるポタリングも。

Oct – Dec

  • 横浜
  • 三国峠

秋の三国峠は、あたり一面のススキと眼下の山中湖、そして広がる富士の姿にうっとりしました。

  • Cafe VIA
  • Wise Man Coffee

そして再び厳しい季節が巡ってきます。冬の間は走っているよりも暖かいカフェの中で話す時間の方が自然と長くなってしまいます。

ロードサイクリング×カメラの最高の相性

毎週のようにいろいろな場所に出かけるロードサイクリングは、いつも旅をしているようなもの。
日常とは違う場所で出会う場面は、どんなときでもフォトジェニックになり得ます。だからカメラが活きるシーンが多い。

僕はそんなとき、自分の愛車を撮ることよりも、表情に変化のある「人」を写すことが好きです。
特に何気ないシーンの、その人の“素”が見えるような自然な表情を写し取ることで、そのときの空気感をありのまま捉えることができます。

そうやって自分の感じたフィルターを通して、走ることとこれまでの道のりをいつでも色鮮やかなものにできることが、カメラをライドに持ち出す魅力だと思っています。

来年もたくさん、走りながら感じた空気感を撮っていきたいと思います。