Review by Mei(@meisan-no-yakata)
Text by Tats(@tats_lovecyclist)
dhbはすでに多くのサイクリストに知られているブランドですが、近年では低価格ラインだけでなくプロ仕様のウェアも展開するようになり、多様化するサイクリストのスタイルに積極的に対応する姿勢が見られます。
女性用ウェアについて言えば、従来からウィメンズのラインナップはありましたが、SS2020で新たに女性に特化したライン『MODA(モダ)』をリリースし、女性用ウェアを新たに作り直しています。
dhbの女性デザイナーが「これまでのサイクルウェアは男性用と同じものが多かった」と感じていた課題。それをMODAによってどのようにリファインしていったのか、Meiにレビューしてもらいながら見ていきます。
*本レビューで使用するウェアはWiggle CRC提供です。
新鮮なMODAのラインナップ
ジャージ:MODA Heather(¥7,500)/ビブショーツ:MODA Kyoto(¥8,000)
── このジャージの色良いですね。乗っているとき華やかに見えるトーンです。
Mei:良いですよね。家を出るときお母さんにめっちゃ褒められました(笑)。
── お母さん(笑)。いくつかのブランドを普段着こなしているMeiですが、新たなMODAのラインナップはどう感じましたか?
Mei:MODAはデザインの幅が豊富ですね。SS2020だけかもしれませんが、一部日本モチーフのものもあります。海外の人をターゲットにした“日本っぽい”デザインなので、もしかしたらそれだけはあまり日本人の好みではないかもしれません。
── KyotoやKobeといったラインナップがありますね。
Mei:そうなんです。でもそれ以外で、落ち着いたトーンとか花モチーフとかいくつか素敵なものもあって、その中から自分に合うと思った“Heather”というカラーを選びました。
あと、私が選んだ後でリリースされたデザインで、日本モチーフなんですがMODA Tri(Kyoto)も良いなと。
── トライアスロン用のウェアですがライドでも使えるものですね。ほかにウェアの形を見ると、袖なしジャージを展開するあたりが新鮮に感じます。
Mei:袖なしは日焼け跡を気にしないでいいのが嬉しいですね。街中を走るにはちょっと抵抗がありますが、海沿いを走るときだったりトライアスロン用途にはすごく良いなーと思いました。こういうところに女性目線でのモノづくりが表れていますね。
ゆったりしたジャージのシルエット
── MODAのジャージは初心者やカフェライドするサイクリストをメインターゲットにしているので、着た感じを見ると少しシルエットにゆとりを持たせているように見えます。
Mei:そうですね。サイズガイド通り選択すると、胴回りが少し余るようなつくりになっています。着る体型を選ばないシルエットでできているようですが、最初からぴったりフィットには抵抗があるサイクリストがほとんどなので、このつくりは正解だと思いました。
もしタイトめに着こなしたいときはワンサイズ下げればOKだと思います。
── 襟とか袖口は肌あたりが優しそう。
Mei:折返し加工で締め付けがないので優しいですね。ほんと、値段を考えるとジャージとしてとても良い品質です。今でこそいろんなブランドに手を出すようになってしまいましたが、ロードバイクを始めたばかりのころにMODAジャージと出会っていたら、しばらくずっと使っていただろうなと思います。
折り返し処理の襟と袖
4thポケットが使い勝手を高める。内側のカラーも可愛い
使い倒したいほど優れたビブ
Mei:でも、MODAのデザイナーがこだわったのはジャージよりもビブの方ではないかと思います。
── そうなんですか…!どのあたりで感じました?
Mei:いくつかあるんですが、ベースレイヤーがいらないところと、ソーセージレッグにならないところが一番大きい部分です。
── ベースレイヤーがいらないというのは…
Mei:このハイカットデザインですね。胸元まで生地があるので、この上から直接ジャージを着られます。あと上半身にデザインが入っているので、暑くなったときジャージのジッパーを抵抗なく下げられるんです。
上半身がデザインされたハイカット形状
── なるほど。背面を見ると紐がクロスになっていますが、こういうところはフィットネスウェアからインスパイアされているっぽいですね。
Mei:はい、だから上にはジャージの代わりにTシャツを着て、軽いフィットネスライドするというのもひとつのスタイルとしてありだなと思いました。
── もうひとつの“ソーセージレッグ”は悩ましい問題ですか?
Mei:ですね…最近のビブの裾は、シリコングリッパーでがっちり締め付けるタイプのものが結構あって、脚の太さによっては段差ができてしまうんです。そういう悩みを解消するために、MODAのビブはグリッパーが付いていない優しいつくりになっています。
でもペダリング中にずれないようにするために、裾は少し長めに設計してありますね。女性用ビブが短めになっている今のトレンドから考えると、従来からあったスタンダードな長さです。
シリコンを使用せず、一般的な長さの裾
── そういう部分はdhbらしい堅実なつくりですね。着るサイクリストを選ばないように、スタイル観点と機能観点を最大公約数で調和させている感じ。
Mei:サイクリストに優しいつくりなので、私としてはがっつりロングライドや旅で使っていきます。パッドは100km以上走っても問題ない厚みですし。
個人的にはハイブランドのビブも履きますが、MODAはより気兼ねなく使えるというか、使い倒せる丈夫さと着心地の良さを併せ持っています。だからどんなサイクリストにとっても、手元にひとつあるとライドの幅が広がるビブだな、と思います。
使い勝手の良いビブは手元にひとつあるとうれしいもの
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女性用ウェアを再定義するコレクション
Meiのレビューから、特にビブショーツのつくりが新感覚のMODAコレクション。
初心者やカフェライドを基調とするライドスタイルに馴染むだけでなく、長距離サイクリストにも使い倒せるポテンシャルのあるコレクションとなっていました。
Highs
・サイクリストに優しいつくりとサイズ感
・ビブが非常に使いやすい
- 便利なハイカット形状
- ソーセージレッグにならない裾
- ロングライドできるパッドの厚み
・初心者に優しい価格
Lows
・競技志向のサイクリストには向かない