今だからこそレビューしたいヘルメット。
頭部を守るだけでなく、すでにファッションの一部として外せないヘルメット。
速く走ることだけでなくスタイルも重視するサイクリストにとっては、いかにヘルメットをスマートにかぶれるかという点は、避けて通れない命題。
ただスタイルを考えたときには、ヘルメットブランドの選択肢はすでに絞られています。
それがGIRO、POC、KASKという三大巨塔。そしてSmithやSweet Protectionなどもその流れに加わっています。
この中でもGIROの“Synthe(シンセ)”は、今ヘルメットのトップモデルを検討する上で必ずと言っていいほど選択肢に入るモデル。
発売からすでに数年経過していますが、揺るぎない地位を確立した今このタイミングだからこそ、未だ色褪せないこのモデルの魅力について、詳しく触れていきたいと思います。
レビュー(インプレ)の前提条件
- ・レビュアーの頭部は周長57cm、楕円型
・Syntheの着用サイズはM
・ユーロフィット/アジアンフィットの2モデル存在する場合はいつもユーロフィットを選択しています
1. アップデートされ続けるSynthe。
Syntheの魅力のひとつが、毎年常に何かしらアップデートされ続けているところ。
だから2014年発売から5年経っていたとしても、いまだに手にしたくなる魅力に溢れています。
ハイセンスなカラー&コラボの豊富さ
ハイセンスな基本カラー展開のはもちろん、毎年展開されるコラボデザインもGIROらしいセンスに溢れています。
Black/Pink(2018モデル)
例えばこのモデルは、前から見ると黒×パープルでシックな印象───
そして後ろから見るとグレー×ピンクでおしゃれな雰囲気に。前後で印象が全然違って素敵過ぎる…!
MAAP x GIRO コラボモデル
そしてすでに入手困難ですが、ハイブランド“MAAP”とコラボしたものは有名。MAAPらしいネイビーカラーをあしらったクールなデザイン(写真は仲間のもの。買っておけばよかった…)。
GIRO x JEREMIAH KILLE コラボモデル
また、僕も衝動買いするほど刺さった、アーティストのジェレマイア・キリーとコラボしたモデル。めちゃめちゃ格好良い…!!(鎌倉のVERVE COFFEEにもジェレマイアさんの作品が壁に描かれています)
このほかにも、MashモデルやRaphaモデルも有名。
色々なブランドやアーティストと組んで、機能性以外の部分で刺さるモデルを出し続けるのはSyntheならではです。
セカンドモデルとしてリーズナブルに定着
2018年末にSyntheの上位モデルとして「Aether(イーサー)」が¥37,000で登場し、それに合わせてSyntheが¥6,500以上の値下げ。MIPSモデルでも3万以下になり、とても入手しやすくなりました。
Aether登場によってSyntheがより魅力的になるという展開に。
MIPS搭載モデル | ¥34,000 → ¥27,500 |
MIPS非搭載モデル | ¥29,600 → ¥23,000 |
※2018年の価格改定(コラボモデルを除く)
※【2019/7/12追記】価格改定により、2019/7/21からGIRO製品が全体的に値上げすることに。MIPS搭載モデル¥27,500→¥29,800となります。
2019年、アジアンフィットの登場
そして2019年にはAF(アジアンフィット)モデルも登場。
基本的に自転車関連のパーツやウェアは、マーケットの大きい欧米を中心に開発されるものなので、アジア人向けのモデルは後回しにされる傾向がありますが、グローバル版から5年経ち、遂にアジア人のフィッティングデータを元に新たに設計されたモデルがつくられました。
これまでSyntheやAetherは欧州モデルしか存在しなかったので、フィットしない国内のサイクリストにとってはハナから選択肢として外れていましたが、今年からは誰でも選べるようになったことは大きな進展です。
2. 後ろ姿が完璧過ぎるSynthe。
誰もが認めるアイコニック・フォルム
Syntheを選ぶサイクリストが口を揃えて言うこと、それが「後ろ姿が格好良い」。
心が色めき立つ究極のフォルム(ため息)
グループライドをすると、前方を走るサイクリストが視界の多くを占めます。そのとき(好む好まざるに関わらず)そのサイクリストの機材や着ているものを注視することに。
つまり、前からだけでなく後方から見ても格好良いスタイルは、道の上で存在感を出したいサイクリストという人種にとっては重要事項。
そしてSyntheは、全ヘルメット中最も格好良い後ろ姿だと断言できます。
Aetherにはないもの
かつてGiroの現行トップモデルの”Aether”が発売される直前だった2018年夏、僕自身次に選ぶヘルメットはAetherにしようと考えていました。それまではやはりSyntheを狙ってはいたものの、新モデルがもうすぐ出るのであればその方が良いだろうと。
でも発売されたAetherの後ろ姿は、思っていたものとは違いました。もちろんAetherも十分に格好良いフォルムではあるものの、Syntheにはあった心の無垢な部分を刺激するような熱い要素がなくなり、とてもスッキリした後ろ姿に。
僕が欲しかったのは、Syntheの後ろ姿なのだと再度認識し、AetherではなくSyntheを選びます。
Aetherもクールなんです。Syntheよりさらに横幅が出っ張ったフォルムは、従来の「ヘルメットはキノコにならないものを選ぶべき」という定石をあえて外し、それでもかぶったときスタイリッシュに見えるものにちゃんと仕上がっているのが、さすがGIROのスタイル作りだと感じました。
だからもしAetherの後ろ姿がSyntheと同じ形状だったら…!と思ってしまいます。
3. パフォーマンスと安全性をも両立させるSynthe。
MIPS搭載
GIROは全ヘルメットにMIPS(多方向衝撃保護システム)対応モデルを出しているように、安全性を強く重視するブランド。
落車するとき、頭部には回転性の衝撃が与えられることが多いので、その衝撃を緩和して脳障害リスクを軽減するための構造がMIPSです。
ヘルメットの内部に1枚シートが配置されていて、回転衝撃が加わったときに、そのシートが頭の動きに合わせてすべることで、エネルギーを逃がしてくれるような構造。
SyntheもMIPS搭載/非搭載で¥4,500の価格差はありますが、安全性を高めるためにはMIPS搭載モデルを選択しておくと安心です。
滑らかエアロフォルム×夏でもイケる通気性
風洞施設でも証明されているエアロ形状(実際エアロ効果を感じることはありませんが)。前から後ろへ流れる曲線が滑らかで美しい。
空力を重視する場合は密閉された構造になりがちですが、Syntheは26個のベンチレーションホールで、暑い日でもOKなヘルメット。
アイウェアを落とさない細かな気遣い
細かすぎて伝わりづらい部分ですが、空気孔にアイウェアを指したときにずり落ちないように、滑り止めがついている収納ポート。細かいけれどこういう細部への心配りがSyntheをもっと愛するようになるポイント。
アイウェアをぴったりと収納可能
すっきりした被り心地
Syntheの被り心地は少し浅め。最初は少し違和感があるかもしれませんが、バックルでしっかりホールドされるので安全性は担保。逆に深すぎないのでサイクルキャップともうまく調和します。
またポニーテールにも対応する構造で、男女問わず格好良くなれるのがSyntheなんです。
* * *
GIRO or KASK?
アジアンフィットが登場したことで、SyntheはAetherとともに最もホットなモデルになりました。
とはいえ、競合ブランド“KASK”のProtoneやVelegroも同じくらい人気があります。今であればどちらを選ぶべきか?
KASKはアジアンフィットが存在しないように、もともとアジア人に合う帽体で、被ると丸くてコンパクトな頭を形成できてとてもスマート。
逆にGIROはシルエットの主張が強く、敢えて横に膨らんだ形状でヘルメット本来の格好良さを全力でアピールできてとてもスタイリッシュ。
自分がどちらのイメージで被りたいかでモデルが決まってくると思います。
僕の場合、どれかひとつに絞り込みするなんてできず、ちょっとばかりの贅沢ですがGIROとKASKを両方揃え、次のライドでどのモデルを選ぶか迷うことをコーディネートのひとつの楽しみにすることにしました:)
Love our Synthe.
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