「貧脚」と言いたがる人たち

※単なるイケてる/イケてない論(短文)

「貧脚」という言葉は、聞いただけで響きが残念だし、曖昧な意味合いの表現です。

ロードバイク乗りの中にはときどき自分のことを貧脚だと紹介する人がいますが、これを聞くといつもイケてないなぁと感じてしまいます。

それは第一に、あえて自分を貶めることで、たとえ周りより走力が劣っていたとしても、言い訳にしようとする自己防衛の現れだと感じ取られるから。

要するに「レポート全然やってない」「昨日3時間しか寝てない」という大学生と同じ香りがするということ(そしてちゃっかり単位は取る)。
彼らとは違い、ちゃんとした大人であれば自分を必要以上にへりくだる必要はありません。貧脚と言ってお互いを牽制しあうのはアンフェアです。

そして第二に、貧脚であるかどうかは相対評価でしかなく、絶対的な基準がないから。

たとえば週末しか走れないサイクリストは、平日もがっつりトレーニングしている人に比べれば貧脚という表現が当てはまるかもしれません。しかしその人が限られた週末の中でしっかりと走り込んでいる場合、ロードバイクを始めたばかりの初心者と比べれば十分速いはずなので、貧脚は適切な表現にはなりません。

走る相手によって貧脚になったりならなかったりするのであれば、そういう振れ幅のある言葉は使うこと自体がイケてないと感じます。

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ネガティブな言葉は成長を妨げるし、ファジーな表現で一緒に走る仲間と牽制し合うのはむなしいこと。

走り出せば実力はすぐにわかるので、自分を言葉の鎧で固める思考を捨てて、どうやって速くなるかだけを考えて走った方が、ロードバイクは圧倒的に楽しいです。

あるいは、あえて「オレは強い」と、箱学エースのようなビッグマウスになるほうが全然イケてるのではないかとさえ思います。