Raphaの今を知る:ブランドとスタイリングのすべて〈Part 1〉

グローバル規模で最も大きなサイクリングコミュニティを形成しているアパレルブランド『Rapha(ラファ)』。
昨年のレビューではブランドの根幹を成すプロダクト「プロチーム」に焦点を当てたが、Raphaのラインナップはそれだけではない。特に今シーズンは、ラインナップのさらなる多様化を含め、着心地やカラー展開なども魅力的に変化している。
今のRaphaについて、詳細をクラブハウスマネージャーの福田氏に聞きながら、新しいシーズンの多様な着こなしを見ていく。

語り手

Satoshi Fukuda(@fkd71
Rapha Tokyoクラブハウスマネージャー。北海道出身。スキーや車など多趣味なライフスタイルの中で自転車と出会い、Raphaに参画。長年クラブハウスの運営を統括している。シクロクロスレースにも参加。
Tats Shimizu(@tats_lovecyclist
Love Cyclist編集長。スポーツバイク歴10年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら論じることが好き。同時に海外のアパレルブランドと幅広い交友関係を持つ。

Photo & Edit / Tats [PR]

クラブハウスを移転して

2023年8月に渋谷へ移転したRapha東京

清水:クラブハウスが北参道から渋谷に移転して8ヶ月が経ちますね。人通りの多いキャットストリート沿いになり、フロア構成も変わりましたが、北参道時代と比べて顧客層に変化はありましたか。

福田:特に外国人の来店が多いですね。ちょうど移転とアフターコロナのタイミングが重なり、渋谷に観光客がたくさん来ているので、その変化は顕著です。
また北参道時代は「Raphaでショッピングしたいからクラブハウスに行こう」という方しかいませんでしたが、今は「歩いていたら知っているRaphaがあったから立ち寄ってみよう」という来店スタイルが増えています。これは外国人に限ったことではなく、日本人の方でもそうやってふらっと立ち寄るケースが見られるようになりました。

清水:クラブハウスという存在の認知にも効いていますね。周辺の開発でミヤシタパークができてから渋谷の雰囲気も全体的に変わって、良い場所にクラブハウスがあるとも感じます。

福田:単に売上だけでない効果が出ていますね。

1F奥にあるカフェスペース。ライド帰りやショッピングの休憩に利用できる

清水:一方でカフェが奥にあることで、ライド中に立ち寄りづらくなったという声も聞きます。あまり知られていないのですが、自転車は店内に置けるんですよね。

福田:はい、4台以上停められるので、普通にサイクルウェアを着たまま自転車を持って店舗に入ってもらってOKです。
北参道のときは1Fがすべてカフェフロアだったので、近所の誰でも使ってもらえるような場所でしたが、今はどちらかというとサイクリスト向けカフェという位置づけに近いので、ライド帰りなどにさくっとコーヒーを飲みに寄ってもらえるとうれしいです。

店内には自転車スタンドも4台分用意されている。対談は平日に行われたが、外国人観光客がひっきりなしに訪れて賑わっていた

 

なぜライフスタイルウェアなのか

新しいスタンダードをつくれるか

店舗に入ると「LIFESTYLE」の文字と多様なスポーツウェアが目に入る

清水:クラブハウスの1FにはTシャツやパンツなどのライフスタイルウェアが置かれていて、店舗に入ったときの印象もかなり変わりました。自転車要素が少なく、サイクリングアパレルブランドであるということをあえて見せないようにしているように感じます。周囲にあるパタゴニアやノースフェイスといったブランドのように、Raphaはライフスタイルブランドのポジションを狙っているのでしょうか。

福田:クラブハウスの1Fをライフスタイル系にするというのは、Raphaブランド全体の新たな方針で、そういうポジションも担っていければとも思います。
これまでのようにプロチームコレクションを中心としてサイクルウェアを強化しながら、ライフスタイル系で新たな価値を提供していくというバランスですね。

清水:Raphaのこうした動きはほかのサイクリングアパレルブランドも気にしていると思います。自転車アパレルが、そのカテゴリを超えたマーケットを狙えるのか

福田:Raphaはこれまでもこれからも、スタンダードを切り開いていくブランドであるべきだと思います。最近でも、バーバッグやカーゴビブはRaphaが出したことで自然と一般化していきましたね。バーバッグが出た当初は、競技志向のサイクリストから批判的に受け止められたこともありましたが、今では多くのサイクリストが当たり前のように使っています。

清水:「空力が…」とよく言われていましたが、聞かなくなりましたね。利便性が上回ります。

Raphaバーバッグ着用イメージ

これまでは主にストリート系やツーリング系で使われていたバーバッグだが、Raphaがラインナップに加えてからロードバイクへの装着も一般化した

自転車が生活に溶け込むように

福田:ライフスタイルウェアについても同様です。これまではライド内容に合わせて色々なウェアの組み合わせができるという商品展開でしたが、もっと広い意味で「自転車のある生活」を楽しんでもらえるようになってもらえればなと。

清水:Raphaが狙うライフスタイルブランドというのはそういうところなんですね。遊び方も着る物も、自転車がより生活に溶け込んでいる状態をつくりだすブランドということなのだと理解しました。
競技へのリスペクトから始まったRaphaのようなブランドが、次第に自転車のある生活にフォーカスを当てるようになった点は、つまりスポーツ自転車マーケット全体がそのように変化していることの表れだと感じられます。

自転車が生活に溶け込むような自然なスタイルへ

 

サイクルウェアの明確な変化

新しい色彩を展開するサイクルウェア

清水:ブランド全体の話から、次はサイクルウェアに絞って話したいと思います。
今シーズンのカラバリが「Raphaっぽくなくて良い」という声を周囲から聞くようになりました。オフホワイトやブルーグレーといったくすみカラーがラインナップに入って、Rapha創業者のサイモンがいたころの黒×ピンクのイメージから大きく変化している。

福田:黒×ピンクはまだあるんですが、そこが中心ではなくなっていますね。先ほど話したライフスタイル系の強化に伴って、サイクルウェアとライフスタイルウェアの色味が揃えられています。

清水:これまでは結構パキッとした色合いで、日本人の肌の色に合わせづらいものもあった印象ですが、今シーズンはどの色も合わせやすいと感じます。

ライフスタイルウェアとサイクルウェアの色味が揃えられている

福田:全体的にRaphaロゴは目立たなくなっていますし、Raphaジャージのアイコンだった左袖のバンドも、プロチームからはなくなっていて、よりほかのアイテムとコーディネートしやすくなっています。

清水:バンドはアイコニックな存在でしたが、ないと洗練された印象になりますね。

プロチームは左袖のバンドがない

ほかのコレクションには引き続きバンドがデザインされ、Raphaらしさが踏襲されている

 

コレクションの選び方

清水:今シーズンのRaphaウェアのラインナップを見てみると、めちゃめちゃ数が多いですね…!商品説明だけを見ていても正しく理解できているかわからなくなります。

福田:製品の改良や新製品の投入が次々と行われていて、わかりづらいかもしれません。クラブハウスに来ていただいたお客さまには詳細にお伝えできるのですが、商品ページだけだと判断しづらいと思いますので、春夏ジャージの現行ラインナップを以下にまとめました。

 コレクション プロチーム ブルベ クラシック コア
特徴 性能重視&タイト 長距離向け メリノ素材 べーシック
基本ライン
プロチームトレーニング
¥20,000

プロチームライトウェイトロングスリーブ*
¥24,000

ブルベ
¥26,500

クラシック
¥25,500

コア
¥13,000
軽量系
プロチームライトウェイト

¥26,500

ブルベライトウェイト
¥26,500

クラシックフライウェイト

¥23,500

コアライトウェイト

¥13,000
パフォーマンス系
プロチームエアロ

¥30,000
 –  –  –

*「プロチームライトウェイトロングスリーブ」は名称に“ライトウェイト”と入っているが生地はプロチームトレーニングと同じもの

福田: Raphaは『プロチーム』『ブルベ』『クラシック』『コア』という4コレクションが展開されています。ジャージにはそれぞれに夏向けの「ライトウェイト」(クラシックのみ「フライウェイト」)があるかたちです。

清水:プロチームジャージだけ「エアロ」がありますね。

福田:エアロはパフォーマンス系ウェアの最上位モデルです。今シーズンさらに改良されて、袖周りの窮屈な感じがなくなってすごく着心地が快適になりました。

パフォーマンス系の最上位モデルとなる「プロチームエアロ」

清水:自分に合ったものをどう選ぶのが良いですか?

福田:やはりパフォーマンスを重視する場合は『プロチーム』が最適ですが、プロチームがすべてにおいて優れているというわけではなく、昔からRaphaを着てもらっているお客さまはメリノ素材の『ブルベ』や『クラシック』を好む方がいます。
『コア』も質感が良いので、同価格帯のほかのブランドと比較して選んでいただくケースがよくありますね。

清水:それぞれのコレクションをミックスさせたコーデはありですか?

福田:全然ありですよ。その方のスタイルに応じてミックスした組み合わせも提案しています。プロチームジャージを着ているからといって、プロチームビブを履くことはマストではありません。

ミックスしても組み合わせを楽しめる

福田:お店にくるお客さまの中にも、クラシックジャージのメリノが好きだけれど、ビブはプロチームのパッドが好きでミックスさせているという方がいます。
ただプロチームだけRaphaロゴが違うので、組み合わせたときに違和感がないかは見てもらえればと思います。

清水:コレクションにとらわれないで好きなアイテムを組み合わせていくのも楽しそうですね。Part2では実際にSS2024の最新ウェアを使ったさまざまなコーデを見ていきたいと思います。

Part2へ続く

Photo & Edit / Tats
[PR]
提供 / Rapha Japan