好きなときに走ればいい。

text/Mei@meisan_no_yakata

好きなときに走ればいいと思うんです。

近ごろ、寒さや自粛期間の影響で、SNSでは「自転車に乗るのが億劫」という言葉がときどき見られるようになりました。
また以前のように、遠出をしてグルメを巡るライドや、大人数でのグループライドができずモヤモヤしている人も多いのが現状です。

従来のような楽しみ方ができないと、「乗らないと自分の体力が落ちてしまう」とか「周りとの付き合いもあるから走らなきゃ」と考えてしまうかもしれません。これまで自転車に対して真剣に取り組んできた人ほど悩んでしまいますよね。

ここでは、そんな悩みに陥ったときの、私なりの向き合い方について話してみたいと思います。

数字に追われないように。

今はサイコンやStravaなど、ライドを数値で可視化する機会がたくさんあり、それ自体に恩恵を受けることは多くあります。
ですが、それに重きを置きすぎるせいで、「今月〇〇kmしか走ってない」「この時より遅くなっている」といったように、数字がプレッシャーになっていることはありませんか。

速く走れるようになりたいから、ということもあると思います。
確かに走りの幅が広がるという意味で、速く走ることに越したことはありません。しかし、それが本当の目的ではない人もいるはずです。

少なくとも私は、速く走れるようになりたいと思ったのは、「より長い距離を走って美味しいものを食べに行きたい」とか「体力を気にせず仲間と走りたい」という、サイクリングをより楽しみたいという想いから来ています。

でも気持ちが乗らないときに、もっと速くなれるようにと、無理してでも走ってしまうことがあります。
それは、自分が大好きで「やりたい」と思っていた趣味が「やらなきゃ」に変わる瞬間です。
これでは、本来の目的であった「サイクリングをより楽しみたい」という想いからは離れてしまっています。

なぜ、私がこうお話するのかと言うと、私にも以前まで「走らなきゃ」と思っていた時期があったからです。
もっと長く走れるようにならないとイベントを完走することができない、遅いと周りの人に迷惑をかけてしまう──だから人一倍努力しないと…と思う時期がありました。

ですが、それは私の思い違い。
そのイベントだけにすべてを賭ける必要はなかったし、周りの人だって自分が思うほど待つことを気にしていませんでした。
自転車って、生涯かけて楽しめるスポーツなので、もっと気楽に長い目で楽しめばいいと思うんです。

気持ちが乗ったときだけ。

季節なら快適な春と秋だけでも十分楽しい。
あるいは一日中走らなくても、朝だけサクッと走るだけでも充実する。
“ロードバイクの走り方はこうあるべき”っていうのは本来はないはずですよね。

ちなみに最近の私はこんな楽しみ方をしています。

とにかく暑い夏や寒さの厳しい冬などは無理をせず、気持ちが乗ったときだけ走るようにしています。
春や秋に比べて走行距離は抑えて、カフェに寄る時間を増やしたり、なるべく気温のちょうどいい時間に合わせて走るなど、自分の体調に合わせて。

感染症対策も必要なので、いつものグループで走れない時期もあります。でもそんなときは、むしろ少人数で走るきっかけとなり、より込み入った話ができるなどのメリットもあります。
「三密は回避するけど心の距離は密になる〜」と私はポジティブに捉えています。笑

最近では、バーチャルライドも活性化していて、環境が用意できる人はそれを有効活用するのもアリですよね。

晴耕雨読ならぬ、晴走雨読。

私は自転車以外の趣味もたくさんあります。
本を読んだり、友人と遊んだり、料理をしたりと、自転車はその中のひとつという位置付け。

だから、「好きなときに好きなように走る」でいいと思います。
気分が晴れなきゃ走らなくてもいい。晴れていなければ晴れじゃないなりの楽しみをすれば、自転車のある生活はより豊かなものになると思います。

生涯かけて楽しむことができる自転車を、今の自分の気持ちと向き合いながら大切にしていきたいですね。
(…と、つい無理しがちな自分にもいつも言い聞かせています。)

 

text/Mei@meisan_no_yakata