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Cycling & Fashion Journal for Road Cyclists

【レビュー】Xplova X5 Evo – スマートフォンのように操る、先進GPSサイコン。

X5 Evo サイド

Garminユーザーは、きっと移行したくなる。

高機能サイクルコンピュータは「Garmin一強時代」が長く続いていました。
ロードサイクリストにとっては、ロードバイクの購入と同時にCATEYEのエントリーモデルを買って、後にGarmin Edgeに買い換えるという流れが、ひとつの様式のようになっていたものです。

Garminは今でも市場の大多数のシェアを占めるプレイヤーであることは変わりありませんが、ここ数年でコスパや使い勝手の良いWahooやLezyne製品の登場により、Garmin以外の利用者が目立つようになってきました。

そんな中で、新たなGarmin牙城崩しの新勢力として2017年10月に登場したのがXplova(エクスプローヴァ)の“X5 Evo”。
登場時からそのサクサク具合が話題に挙がっていましたが、実際に3ヶ月以上使用した上で、既存の競合と比べた優位性と改善を期待したい点についてまとめていきます。

1.「スマートフォン型」の登場

X5 Evo sizing

僕はこれまで熱心なGarminユーザーで、ベーシックなEdge520jを使っていました。Edgeの計測精度や安定感への満足度は高く、さすがGarminだと感じていましたが、インターフェイスだけは前時代的で、10年以上前のフィーチャーフォンを使っているかのような感覚が少なからずありました。最新のEdge1030に対しても、ことタッチパネルの精度については、スマホに飼い慣らされた指先にとって満足できる挙動ではありませんでした。

スマートフォンの時代にこのUIがいまだにスタンダードであることに疑問を抱いていたところで、精度の高いタッチパネルを搭載した機種“X5 Evo”(以下“X5”)が登場します。

X5 Evo フリック動作

挙動を見るだけで、欲しくなる理由はわかると思います。
Android OSをX5用に最適化したUIなので、スマートフォンと同じ感覚でスワイプ/タップ動作がスピーディに行えます。

X5 Evo 地図操作

特に地図がサクサク動くというのが非常に便利で、ルートの先を見たいときにクイックにチェックが可能。

そして端末の設定まわりもサクサク。メニューの分類がわかりやすく整理されているため、Edgeで不満だった「この設定ってどこでやるんだっけ?」ということがほとんどありません。
あまり速く動かすともたつきを感じることはあるものの、通常の使用では問題のないレベル。このサクサク感は既存機種と比べて遥かなアドバンテージがあります。

ただ冬用グローブを着用しているとき──たとえそれがタッチパネル対応であったとしても、スクリーンは分厚い壁を挟んだかのようにほとんど反応してくれません。その場合、側面にあるボタンを使用すれば画面の切り替えは可能です。

Xplovaというブランド自体、ノートPCで有名な台湾のAcerが2015年に100%資本を獲得しているので、ハードとソフトを最適化する設計はもともと専門領域。Garminのこれまでの動きを見る限り、これから先のサイコン市場は、専門メーカーではなくスマートデバイスメーカーがシェアを奪っていくことを感じさせます。

 

2. デザイン&ディスプレイ

UIだけでなく外観もスマホっぽく。

X5 Evo - Edge520jとの比較

Garmin Edgeはサイコンらしさを体現する完成された外観ですが、X5は光沢のあるボディでスマートデバイスらしい“スマートさ”があります。

X5 Evo フレーム取り付け

バイクに取り付けたときの統一感の高さは、さもありなん。

X5 Evo マウント

取付部はGarminと同じマウントです。センサーもそのまま使用できるので、Garminユーザーは本体購入後すぐに移行することが可能。

X5 Evo 太陽光下の液晶

Edgeよりも明るい液晶は太陽光の元でも視認性が高く、とても見やすい。
画面を上から下にスワイプするとコントロールセンターが開くので、そこで液晶の明るさを簡単に調整できます。もちろん、明るさ自動調整機能付き。

 

3. 計測精度の検証

ただ、挙動や外観が素晴らしいとはいえ、サイクルコンピュータを購入する上で最も重要なポイントは、「正しい計測ができるか」という点。

そこでX5とEdge520Jを併用し、計測上どの程度差異が生じるかをテストしました。スタート・ゴール・計測停止速度などすべて同条件で、距離別に試した結果が以下の通り。

  ① 短距離 ② 中距離  ③ 長距離
項目 X5 Edge X5 Edge  X5 Edge
距離 43.0km 48.8km 79.4km 81.9km 122.2km  126.3km
走行時間  1:52:01 2:03:18 3:17:26 3:25:52 4:59:33 5:18:55
獲得標高 296m 324m 540m 692m 820m 1009m
平均速度 24.0km/h  23.8km/h 24.1km/h 24.0km/h 24.4km/h 24.2km/h
最大速度 47.7km/h  48.0km/h 51.5km/h 50.7km/h 53.6km/h 54.0km/h
平均ケイデンス 81rpm 85rpm 76rpm 83rpm 80rpm 85rpm
最大ケイデンス 120rpm 122rpm 137rpm 137rpm 134rpm 133rpm

※小数点以下の桁はEdge520jに揃えるためX5の値を四捨五入

これを見る限り、距離・走行時間・獲得標高の3項目において、EdgeよりもX5の方が低めに出る傾向があることがわかっています。
距離と走行時間については数%の差であることがほとんどなので問題ありませんが、獲得標高については20%ほど低め

そこで参考データとして②のルートをルートラボで引いたところ、距離81.5km、高度上昇量495mと表示されました。つまり、
距離:X5<ルートラボ<Edge ]
標高:ルートラボ<X5<Edge ]
というデータの差が出ています。

サンプル数が1つのため絶対的な結論ではありませんが(そこまで細かく分析するほど正確な数値は必要としていないというのもあり)、X5の数値は一般的には問題のない範囲であり、標高についてEdgeのときより少なめに出てしまうという点だけ理解した上で使用すれば全く問題ありません。

ただ1つだけ問題があり、X5の走行データ(後述のXplova Connectアプリにアップロードされたデータ)をStravaに転送すると、獲得標高が割増して表示されるという現象が発生しています。
アプリを見ても転送ロジックが把握できないため、なぜこの現象が起こるのかは不明。Strava上でEdge利用仲間とつながっていれば、一緒に走るときは標高の差異が把握できるので個人的には特に不自由はしていない状態ですが、この点はファームウェアップデートを待つしかないのかもしれません。

 

4. バッテリー容量

バッテリーに関しては、動画を撮影しなければ意外にもEdge520jよりも長持ち。
1500mAh(公称12時間)のバッテリーは日中ライドであれば充分な容量があります。地図の使用や液晶の明るさなど特に省エネを気にしない使い方で、感覚的には8〜9時間
液晶の明るさを調整したり、地図を使わないようにサイコンとして最低限の機能だけで使おうとすれば、公称に近い持続時間が出ます。

X5 Evo バッテリー

ただし、動画を撮影すると目に見えるほど軽やかにバッテリーが減っていきます
フル充電から録画状態を続けても90分で電池が0%になってしまうため、ドライブレコーダーとして使用するには通勤程度の時間が限界
外見を気にしなければ、トップチューブバッグなどにモバイルバッテリーを入れておいて常時USB給電するという方法もあります。

 

5. 動画品質

X5 Evo カメラ

前方のカメラで撮影できる動画は30フレーム/秒で720pのHD画質。GoProなどのアクションカメラに比べれば品質は見るからに劣りますが、小さな筐体であることを考えれば仕方ないところ。
内蔵の8GBストレージで約1時間分の動画保存が可能です。

撮影モードは4つあります。

①自動 特定の条件を満たすと自動的に記録し始めるモード
②手動 録画ボタンを押して手動で記録するモード
③常時 走行中は常に動画を記録し続けるドライブレコーダーモード
④タイムラプス 一定間隔で静止画を撮影するモード

基本的にはバッテリーの持ちを考慮して②手動モードにしておいて、必要なときだけ撮影する使い方になります。
手動でも録画ボタン1クリックで撮影できるため、必要なとき瞬時に録画が可能。記録できる媒体が手元にあるのは安心感があります(ただ事故を判断して自動で動画を保存するような機能はない)。

こういったことから、YouTubeアップロード目的などで綺麗な動画を長時間連続撮影するといった用途には向いていません。

つまり、通勤用のドライブレコーダー以外では、“動画はあくまで付随機能”というスタンスで望むのが正しいX5の捉え方。

撮影した動画は、専用アプリ“Xplova Video”(AppStore | GooglePlay)にWiFi経由で転送して編集できます。
アプリでできることは、動画のトリミング、複数の動画の結合、スピードメーター・心拍計等の表示など。あくまで簡易的な編集ツールですが、さくっと当日の動画をまとめられるので、仲間に共有したいサイクリストにとってはスピーディなツールとなります。

X5 Evo ムービー ※上下のぶれは使用しているマウントが柔らかいことが原因で、X5の問題ではありません(手ぶれ補正はなし)

 

6. 連携アプリの用途

Xplova Connect スクリーンショット

X5にもGarmin Connectのような管理アプリ“Xplova Connect”(AppStore | GooglePlay)が存在します。
X5からの走行データをアップロードして記録を振り返ったり、トレーニングメニューをダウンロードしてプランニングしたりする機能が備わっています。


またルート作成機能がとても便利で、アプリだけでルートを作成をしてX5にそのまま転送することが可能。慣れるとすごく簡単で、これまでPCを開いてルートラボでせっせと作っていた作業時間がかなり短縮されます。

ちなみにルートラボなどからDLしたGPXデータを取り込みたいときは、PCのXplovaルートエディタ画面にアップロードしてアプリと同期すればOK。

基本的にこのアプリは走行データをStravaに送信するためのハブとして利用することがメインで、ルートの作成やインポートを稀に利用する、というような役割となっています。

 

7. 先駆者としてのX5 Evo

Edge820 vs ELEMENT vs X5 evo

競合するELEMENT | Edge820 | X5 Evo

競合におけるX5 Evoのポジション

従来のGPSサイコンの選び方は、Garminが基準となっており、基本的な機能だけで良ければEdge520jを選択し、地図やナビが欲しければEdge820j、さらに大画面や大容量バッテリーが欲しければEdge1030を選択するという考え方でした。

X5は価格帯も用途もEdge520jや820jと正面から競合するポジション。昨今台頭著しいWahooの“ELEMENT”もこのポジション争いに加勢している状態です。

その中では、明確にX5は“サクサク使えるUI”と“動画オプション”に優位性があります。
少なくともナビが必要で日中ライドしかしないサイクリストや、通勤にもロードバイクを使うサイクリストであれば、X5を選択すると幸せになれるはず。

まとめ

X5 vs Edge520j

  X5 Evo Edge520j
デザイン ★★★★☆ ★★★☆☆
操作性 ★★★★★ ★★★☆☆
ディスプレイ ★★★★★ ★★★★☆
計測精度 ★★★★☆
※Strava問題で-1
★★★★★
動画品質 ★★★☆☆
バッテリー ★★★☆☆  ★★★☆☆

Pros&Cons

Pros

  • ・スマホライクな操作性とサクサクした挙動
    ・液晶の見やすさ
    ・スマートなボディ
    ・Garminよりも競争力のある価格
    ・動画撮影機能

Cons

  • ・Strava転送時に獲得標高が多く出る
    ・動画品質
    ・動画撮影時の電池の持ち

スペック(公式サイト

サイズ・重量 110 x 62 x 23mm・120g
メモリ 512M
ストレージ 8G MRAM/1G Flash
ディスプレイ 3インチ(240×400ピクセル)
入力端子 microUSB
動画 120度広画角+ HD高画質720p@30fps
ANT+対応 心拍計、スピード・ケイデンスセンサー、パワーメーター、シマノDi2
バッテリー 1500mAh/約12時間
定価 ¥49,800
購入リンク Amazon | 楽天

* * *

X5はすでに“人柱”と言われるようなプロダクトではなく、間違いなく同価格帯では頭ひとつ飛び抜けているGPSサイコンです。

従来のGarminの安定感をとるか、Android OSを搭載したXplovaの先進性をとるか──少なくとも僕は、Xplovaの意欲的なプロダクトの世界に魅了され、X5と道を開拓するようになりました。

Xplova X5 Evoを購入する

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