クラシカルなスタイルを、今楽しむ。
サイクルウェアのおしゃれな海外ブランド第4弾で紹介した英国の“Shutt Velo Rapide(シャット・ヴェロ・ラピード)”。
綺麗な7色のブランドカラーが特徴的で、そのカラーを配したさまざまなスタイルのウェアを展開しています。
今回はそんなラインナップの中でも異色の、クラシカルなメリノ混紡のジャージをレビュー。いつも着ている化繊100%ジャージと違う機能性を詳しく見ていきます。
※本ウェアはShutt Velo Rapideより提供いただいたものです。
Shutt Velo Rapide
Shuttは2009年にイギリスのヨークシャー・デイルズで2人のサイクリストによって設立されたブランド。英国デザイン&イタリアンメイドの高品質ウェアを入手しやすい価格で提供しています。
また“Shutt Ridley RT”というローカルチームのスポンサーでもあり、RidleyのバイクとShuttのウェアで定期的にレースに参戦。ホビーライダーやレース志向のサイクリストだけでなく、プロレーサーにも使われるウェアづくりを行っています。
Shuttのウェアは全体的にレインボーのブランドカラーとセリフ書体のロゴを含んで構成され、とても柔らかい雰囲気。
男女問わずラインナップの多いウェアに加え、同じトンマナで統一されたグローブ・キャップ・ボトルなども取り扱っていて、全身でShuttの世界観を楽しむことができます。
1978 Heritage Merino Sportwool Jersey
1978 Heritage Merino Sportwool Jersey – £119.00
今回レビューするジャージは、その名の通りメリノスポーツウール(メリノウール40%+ポリエステル60%)を用いたもの。
70年代のチームジャージの雰囲気にインスピレーションを得たというデザインは、オレンジにシンプルなホワイトのラインを配して、見た目からもクラシカル。
ベースとなるメリノ素材を用いたジャージは、ポリエステルやポリウレタンなど化学繊維が主流になる以前より伝統的にクラシックレースで用いられてきたもので、もちろん今でもサイクルウェアファブリックの古典的な王道として多くのファンがいます。
そしてこの1978メリノジャージは、伝統を受け継ぐだけでなく、混紡生地を採用することで着心地の良さと機能性をバランス良く融合させています。
着用イメージ
サイズ:XS(身長177cm/胸囲86cm)
落ち着いたオレンジの色彩とシルエットが、大人びた余裕のある脱力感を与えてくれるジャージ。特に細身のスチールフレームにとても似合うスタイルになります。
とはいえ、メリノジャージによくあるルーズなシルエットではなく、またトレンドのエアロフィットほどタイトでもない適度なサイズ感は、少し体型が気になる場合や、エアロフィットだと圧が強くて苦手という場合も、ストレスなく楽に羽織ることができます。
ディティール
襟の高さはスタンダードカットで、首元の着心地もぴったり。少しタイト感はありますが、そのままジッパーを下げずに清潔感のある着こなしができます。
袖裏にはシリコンマイクロファイバーグリッパーが取り付けられた、ずり上がらない設計。ただ僕自身の腕が細いため、袖のホールは大きめに感じます(こういうときもう少し腕の筋肉がほしいと思ってしまう)。
そのためグリッパーは腕周りの固定もありますが、生地の補強という面でも一役買っています。
生地
生地自体は少し厚みがあって柔らか。
メリノスポーツウールならではのポイントが、着心地がやさしいというところ。化繊生地に慣らされた皮膚にとって、メリノウールのカーディガンを羽織ったときのようなふわっと温かみのある感触は、生地を撫でながら「気持ちいい」と声が出る心地よさを味わせてくれます。
裏地
つくりを見ると非常にスタンダードな設計。
目立った特徴といえるものはありませんが、メリノ本来がもつ素材感を活かすために、奇をてらうことなくサイクルジャージの基本をベースに作られています。そしてその方がクラシカルなスタイルに合うもの。
裾のグリッパーにかわいいロゴが配されています。見えない細かいところまでデザインの手が行き届いているのは良いウェアの証。
背面
背中のShuttロゴが一際目立つデザイン。イタリック書体がきれいめな印象を与えます。
バックポケットは傾斜のないホライゾンタイプですが、口が大きく幅もあるため使いやすいつくり。
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メリノが含まれる生地の場合、化繊に比べれば厚みがあるため、あまりにも高い気温の中で走る場合にはおすすめしませんが、真夏日以外では問題ありません。
ポリエステルを生地に混ぜることで、どんなに強度が上がって汗をかいても不快感は少なめで、肌にふれる部分は少し経てばさらさらした状態に。天然素材×化繊のハイブリッドで、肌に優しく対応力の高い仕上がりとなっています。
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大人のライドのための、上質さを手に入れる
モード系ファッションでは80sや90sへのレトロ回帰は今年も顕著で、昨年よりもルーズなシルエットやデザインがスタンダードになっています。
サイクルウェアはデザインこそレトロモチーフが盛んな傾向ですが、シルエットについてはエアロジャージのように超攻撃的なタイトフィットが引き続き定番スタイル。
個人的にこういった傾向はとても好ましいのですが、いかなるライドでもアグレッシブな走りをしたいわけではないのは確か。
時には過度な苦しさを取り払って、サイクリング本来の、風を感じる爽快さだけを切り取ってライドすることだってあります。
そんなときに1978メリノジャージは、素材の持つ柔らかな風合いと、汗をかいてもサラサラな機能性を備えた、大人のための上質なウェアとして、僕らにいつもスマートなライドを提供してくれる一枚です。
Highs
- ・メリノ素材の着心地の良さ
・スタイルを選ばないスタンダードカット
・大人の余裕を感じるデザイン
Lows
- ・真夏日にはあまり向かない
・トレーニング志向ではない
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Shutt公式サイト(メンズ/ウィメンズ)
クラシカルなスタイルだけでなく、よりタイトなパフォーマンス重視のウェアも幅広く取り扱っています。