グラベルバイクの広がりに合わせて普及した「ハンドルバーバッグ」。もちろんロードバイクにも装着でき、手元で素早く必要なものを取り出せる利便性から、レース系スタイルを含めたさまざまなサイクリストに浸透している。
ここでは導入のポイントを紹介し、合わせてロードバイクに取り付け可能なモデルを、用途に合わせた3カテゴリに分けてピックアップしていく。
text / Tats(@tats_lovecyclist)
*本記事は2022年公開記事を現状に即して改訂したものです。
バーバッグ導入ガイド
なぜハンドルバーバッグ?
サドルバッグ、フレームバッグ、パニアバッグなど、自転車に取り付けるバッグはさまざまある。その中で走りに影響しづらく、手元で取り出せるのが、「ハンドルバーバッグ(以下バーバッグ)」と「トップチューブバッグ」の2つ。
特にバーバッグは容量も大きいため、これまで持ち運びたくてもできなかったものが手軽に携行できるようになる。またほかのバッグと比較して、バイクの見た目が軽やかにできるのも良いポイント。
そういった背景から、ここ数シーズンで多くのメーカーがバーバッグをラインナップに加えるようになった。新しいシーズンに向けて積極的に取り入れたい旬のアイテムだ。
何を入れる?
補給食、モバイルバッテリー、防寒ウェア(ウォーマー、ジャケット等)などを常備すれば、ライドの距離を伸ばしたり、道の選択肢をより自由にすることが可能になる。
ほかにも、ライド内容に応じて輪行袋、携帯ポンプ、カメラ、スキンケア用品など好きなものを詰め込んで自分なりのスタイルを実践できる。
ただしあまり重いものを入れるとハンドリングも重くなるので注意。
サイズはどうする?
←2L | 1.5L→
バーバッグ選びはまず容量で判断する。
ハンドル下のスペースは限られているため、ほとんどのモデルは1〜2リットルの範囲。
1リットル程度だとコンパクトなため、ロードバイクにはよく馴染むが、収容量には限りがある(補給食+モバイルバッテリーくらい)。逆に2リットル以上は収容性が高くなるものの、外観の主張が強くなるため、ロードバイクの軽やかさをスポイルしてしまう。
バランスが良いのは1.5リットルあたりまで。
取り付けの注意点
ほかのアクセサリと干渉しないか
ハンドルバーにはライトやサイコンマウントも取り付けるため、バーバッグとの組み合わせによっては干渉する可能性もある。
本記事で紹介するドラム型のバーバッグは、ハンドル下に取り付けるため、基本的にライトやサイコンマウント単体とは共存できるが、レックマウント等でハンドル下にライトを取り付けている場合は併用ができない。
またバーバッグ内に大きいサイズのものを入れていると中身を取り出しづらくなる(そのためコンデジなど固くて体積の大きいものは取り出しが面倒になる)。
ハンドル下にスペースはあるか
ハンドルバー下に取り付けるため、ハンドルからタイヤまでのスペースに注意。
特にヘッドチューブの短いバイクに大きめのバーバッグを取り付ける場合、タイヤに干渉する場合もあるため、事前にスペースを計測する。モデルにもよるが、最低でもバーバッグの高さ+3cm程度は必要。
手頃なエントリーモデル4選
「とりあえずハンドルバーバッグ使ってみたい」というときに最適なエントリーモデルをセレクト。¥3,000〜で購入でき、容量もデザインもスタイルに合わせて選択OK。
オーストリッチ – POTARIフロントバッグライト(¥3,450)
サイズ | 220×110 | 容量 | 1.7L |
輪行袋で有名なオーストリッチによるバーバッグ。バランスの良い1.7Lサイズで、初めてのバーバッグに最適。カラバリも豊富なので、バイクとのコーデも楽しめる。正面には反射テープ付き。非防水。
グランジ – ハンドルバーバッグ(¥3,210)
サイズ | 215×120 | 容量 | 非公開(2.3L相当) |
グランジのバーバッグはジッパー部分がフラップ形状になっているため、口を大きく開けることが可能。そのためライトやサイコンマウントと干渉することなく中身を取り出すことができる。内側は保温・保冷機能のあるアルミ生地を採用。サイドポケット付き。非防水。
アデプト – バードラム(¥3,180)
サイズ | 200×90 | 容量 | 1.25L |
シンプルなデザインで合わせやすいアデプトのバードラム。
型崩れしづらいしっかりした防水生地と止水ファスナーで、雨天にも対応できるのが特徴。容量は少なめだが、高さは90mmだけなので、ほとんどのバイクに取り付けできる。
R250 – 防水フロントバッグ(¥4,400)
サイズ | 250×100 | 容量 | 1L |
R250の防水ドラム型フロントバッグ。ほかのモデルと比較して横幅があるので、長いものを入れるのに役立つ(携帯ポンプや三脚など)。防水コーティングと止水ファスナーで雨天にも対応。サブポケット付き。
スタイル重視モデル5選
ウェアやバイクとのスタイリングを合わせたいときに最適なモデルをセレクト。デザインも機能も妥協のない1点を。
Rapha – バーバッグ(¥9,000)
サイズ | 235×110 | 容量 | 2L |
バーバッグを広く普及させたRapha。
クイックリリース式のバックルで取り付け・取り外しが簡単。防水生地に2ポケット付きで、フレームパックやショルダーバッグにも変身するなど、あらゆる利便性の高い要素が詰め込まれたバーバッグはRaphaならでは。耐水性を高め、カラバリが豊富な『エクスプロアバーバッグ(¥11,000)』もある。
Fingerscrossed – #Leather Handlebar Bag(¥23,500)
サイズ | 220 x 100 | 容量 | 非公開(1.5L程度) |
プレミアムアクセサリブランド「FINGERSCROSSED」によるバーバッグ。耐久性の高いレザー製で経年変化も楽しめる仕様。
ラバーストラップとドローストリングコードを組み合わせた3点固定システムで安定感抜群。携帯電話、財布、鍵などが別々に収納できる内ポケットあり。
ORUCASE – Smuggler(¥8,470/¥9,130)
サイズ | 190×90 / 200×100 | 容量 | 1.15L / 2.1L |
ORUCASEは、2人のプロロードレーサーが飛行機輪行のオーバーチャージを節約するために、自転車をコンパクトにたたんで収納するケース(折るケース=ORUCASE)を作ったことから始まったカリフォルニアのブランド。
ブランドの由来通り、バーバッグもサイクリングシーンでの使い勝手がよく考えられている仕様。2.1Lモデルにはハンドルとバーバッグの間にスペースを作るフォームブロックが付属し、ハンドルが握りやすくなりケーブル類やサイコンマウントとの干渉を防ぐことが可能。また内側は断熱フォーム、ストラップは取り外しやすいラバー製など細部への配慮が行き届いている。
Café du Cycliste – ハンドルバーポーチバッグ(¥10,500)
サイズ | 200×100 | 容量 | 2.0L |
フランスの「Café du Cycliste」のバーバッグは完全防水。脱着しやすいクイックリリースクリップを備え、モノを詰め込んでも形が崩れない丈夫な生地で成形されている。2.9Lの大容量モデルもあり。
Mori Mono – Essential Barbag / Speed Barbag(¥9,800/8,300)
サイズ | 190×100 / 160×80 | 容量 | 1.5L / 0.8L |
富山県を拠点とするハンドメイドブランド「モリモノ」のバーバッグ。軽量で防水性のある生地ダイニーマを使用し、シンプルに仕上げられたデザインは特別感に溢れている。
在庫が補充されるたびに一瞬で売り切れるため、気になる方はInstagramアカウントで販売状況をチェックしよう。
大容量モデル2選
大容量モデルも進化し、取り出しやすさや安定性が強化されている。中でもカメラが入るサイズの2モデルをピックアップ。
Tade Qui – Cunningham(¥22,000〜¥27,500)
サイズ | 210x110x140 | 容量 | N/A(2.6L相当) |
日本のサイクリングアクセサリブランド「tade qui(タデクイ)」によるバーバッグ『カニンガム』は、ストリートスナップフォトグラファーである故ビル・カニンガム氏に由来するカメラフロントバッグ。
Sonyのαシリーズのような一般的なサイズのミラーレス一眼を安全に収納することが可能。外側は耐水素材とアクアガードジッパーで水の侵入を防ぎ(完全防水ではない)、内側は微起毛素材でカメラを保護してくれる。カメラを携行するサイクリストは選択肢に入れたい。
Route Werks – The Handlebar Bag(¥32,780)
サイズ | 235x145x153 | 容量 | 3.2L |
米国のアウトドア愛好家によるブランド「Route Werks (ルートワークス)」のバーバッグは、カメラが入る容量の大きさだけでなく、蓋がワンタッチで開閉できる機構が非常に便利。オプションパーツによるカスタマイズ性も高く、バッグ天部にサイコン、側面にライトを取り付けることが可能。取り外せばショルダーバッグにもなる。
▼詳細なレビューはこちら
関連コンテンツ
著者情報
Tats Shimizu(@tats_lovecyclist) 編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴11年。ロードバイクを中心としたスポーツバイク業界を、マーケティング視点を絡めながら紐解くことを好む。同時に海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。 |