
イタリアのヘルメットブランド「MET」がスタイリッシュに変化している。自転車ギアの価格が高騰しているなか、デザイン・安全性・価格のバランスが優れたMETは、ヘルメット選びの選択肢に積極的に加えたいブランドになった。その中で、低価格モデルながら優れたスタイルを持っているのが『VINCI MIPS』。その性能や使用感を詳しく見ていく。
モデル
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Hiroko(@ihirob) 学生時代にサイクリングサークルに所属し、クロモリバイクで全国をツーリングしていた。山で遊ぶことが好きで、自転車以外にも北アルプスの山々を縦走したり、基礎スキーをしたりと、さまざまなアクティビティに精通。 |
Riku(@rikuchan.jp) 過去にロードレースに出場しており、最近はシクロクロスのトップカテゴリーをメインに活動しているライダー。競技面とスタイル面、どちらも兼ね備えたライドスタイルを実践しており、本人曰く「俗に言う“イケてて速いやつ”になりたい」。 |
Model / Hiroko & Riku
Text & Photo / Tats [PR]
MET VINCI MIPS
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“ポガ毛”とともに存在感を示すMET
イタリアを拠点とするMETは、1987年の創業以来、高品質なサイクリングヘルメットの開発を続けている。現在ポガチャルを擁するUAEチーム・エミレーツをサポートし、フラッグシップモデル『TRENTA(トレンタ)』の存在感をワールドツアーで確認することも多い。


MET VINCI MIPS(¥15,400)
『VINCI MIPS(ヴィンチ・ミップス)』は、ポガチャルが使う『TRENTA』のデザインを継承したモデル。手頃な価格にもかかわらずMIPSを搭載している。
VINCI MIPSスペック
構造 | ポリカーボネートシェル |
MIPS | MIPS-C2® ブレインプロテクションシステム |
フィットシステム | Safe-T DUO フィッティングシステム |
サイズ | M: 頭囲 56-58cm L: 頭囲 58-61cm |
安全基準 | CE-EN1078(欧州) JCF公認(日本) |
重量 | 265g(Mサイズ) |
価格 | ¥15,400(税込) |

←エアロダイナミクスを意識した形状と16個のエアインテーク | →黄色いシート部分のMIPSは、回転衝撃を軽減し脳へのダメージを抑えると言われている

フィットシステムは360度の均一なフィット感が得られる「SAFE-T DUO」

フロント部分にサングラスポートを備える
選ぶ理由は「スタイルの良さ」
ニュートラルな形状


METの最上位モデル『TRENTA』と『VINCI』は、共通のデザインDNAを持つが、両者は「レーシング志向」と「スタンダード志向」という方向性の違いがある。

←TRENTA | MET→
『TRENTA』は全体的にエアロダイナミクスを意識した流線型で、プロユースを想起させるフォルムなのに対し、『VINCI』は丸みを帯びたシルエットを持ち、より汎用性の高いデザインとなっている。
ニュートラルな印象の『VINCI』は、僕らのように普段のライドを最も楽しみにするサイクリストにとても馴染む。

普段のスタイリングにさらりと馴染む
新色「グレージュ」の展開

カラーは5色展開で、新たにグレージュ(左上)が登場
ベーシックなブラックとホワイト、そしてレッドとネイビーに加えて、今シーズンから新色「グレージュ」が追加された。これによって、一気にVINCIのスタイリッシュなイメージが形成された。

質感の高さが際立つグレージュ
ニュートラルなシルエットと落ち着いたカラーでウェア合わせがしやすく、ヘルメットが主張し過ぎない。

定番のホワイトやブラックだけでなく、ネイビーもまとまりを出しやすい
フィット感とサイズ感
調整機能

VINCIのフィットシステムは「SAFE-T DUO」と呼ばれるもの。締付けベルトが頭を一周しているため、 360度均等なフィット感が得られる。バックルの垂直方向の調整範囲は限られているため、深く被っている感覚は少ないが、被っているうちに慣れるし、ライド中ズレるようなものでもない。
METのサイズ感

Hirokoの着用サイズは「M」。他ブランドではKASKのM、Sweet ProtectionのM/Lなどを着用し、頭は欧米寄りの楕円形。

Rikuの着用サイズはM。他ブランドではKASKのM、GIROのMなどを着用し、頭は欧米寄りの楕円形。
METはイタリアブランドなので、アジアブランドに比べると楕円形に近いのが特徴。国内ではアジア系のブランドが頭角を現す中、欧米系フィットのトップブランドとしてその地位を確立している。
そのため、特にアジア系ヘルメットが合いづらいと感じているサイクリストは、一度取り扱い店舗(全国約100店舗)でMETを試着してみてほしい。
重量

重量はカタログ上265g(Mサイズ)で、個体によって数グラムの誤差がある。決して軽量な部類には入らないが、GIROやKPLUSのヘルメットも同じような重量なので、特別心配する必要はない。長時間の使用でも重量がネガティブに働くことは起きていない。
安全性の判断

CE-EN1078とMipsの表記
第三者機関の審査ではCE-EN1078(欧州)とJCF公認(日本)を取得している。
またVINCIに搭載されているMIPS-C2ライナーは、衝撃を受けたときに10〜15mmほど動くという。MIPSの有効性については、KASKがWG11という新しい基準を立ち上げて正面から戦っているように、常に議論が交わされてきたが、KASKを除くほとんどのブランドがMIPSを採用してきたため、安全基準のスタンダードの地位を確立している。
VINCIを被って転倒していないので、僕らが安全性に関して定量的なレビューをすることはできないが、こうした情報を元にサイクリスト自身が安全性を判断してもらえればと思う。

JCF公認なのでレース使用OK
【オプション】マグネット式リアライト

背面に別売の『MAGNETIC USB LED LIGHT(¥9,100)』を装着可能。
マグネット式のLEDライト(10ルーメン)で、マウントを3Mの両面テープでヘルメット側に貼り付け、必要なときにワンタッチで取り付ける。頭部の高い位置にライトが付けられるので夜間での安全性を確保できる。

マウントに近づけるとカチッとくっつく
ニュートラルな選択肢。



気づけばヘルメットのハイエンドモデルは、5万を超えることも珍しくなくなった。でもほとんどのサイクリストにとって、消耗品に対してこの価格帯は現実味がない。
僕らに必要なのは、厳しい欧州の安全基準規格を取得していて、フィット感が高く、スタイルの良いヘルメットだ。決して高価である必要はない。
ニュートラルなデザインとカラーリング、そして手頃な価格のVINCIは、次のヘルメットの選択肢に入れたいモデルだ。

