
5年前に僕はパワーペダル『ASSIOMA DUO』のレビューを書いた。それ以降、Faveroは新たにPROシリーズを展開し、2024年にSPD-SL対応の『PRO RS』、2025年にSPD対応の『PRO MX』、2026年にLOOK KEO対応の『PRO RL』を投入した。
DUO/UNO時代はLOOK KEO対応モデルが先行していたが、PROシリーズではユーザー規模を考慮して順序が入れ替わり、シマノ対応モデルのあとでLOOK対応モデルが登場した。初代ASSIOMAがLOOK KEO専用だったことを思えば、本レビューの『PRO RL』は、初代から続く系譜の正統な次世代機だ。
今回は両側計測の『PRO RL-2』を詳しくレビューする。
レビュアー
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Ryuji(@ryuji_ride) |
text & photo / Ryuji(@ryuji_ride)
edit / Tats(@tats_lovecyclist)
ASSIOMA PRO RL

『PRO RL』は、Faveroが2024年から展開するPROシリーズのLOOK KEO対応版となる。
PROシリーズの大きな特徴は、電子部品をすべてスピンドルに内蔵したこと。初代ASSIOMA世代でアクスル根本に飛び出していた「ポッド」がついに姿を消した。
このスピンドルは『PRO RL(LOOK対応)』『PRO RS(SPD-SL対応)』『PRO MX(SPD対応)』の3モデルで完全共通化。シャフトは同じまま、ペダルボディだけを目的別に付け替えられる設計になっている。
ASSIOMA DUO / PRO RL-2比較
| ASSIOMA DUO | ASSIOMA PRO RL-2 NEW | |
| 重量(片側/ペア) | 151.5g/303g | 130g/260g |
| Q-factor | +54mm | +53mm |
| スタックハイト | 10.5mm | 10.5mm |
| クリート接触面積 | (公称値なし) | 755mm² |
| バッテリー | 50時間 | 160時間 |
| 充電端子 | マイクロUSB | USB-C |
| 設計 | ポッドあり(外部ユニット) | スピンドル内蔵 |
| 防水 | IP67 | IP67 |
| 計測精度 | ±1% | ±1% |
| ペダルボディ交換 | 同型のみ可(修復用) | タイプ変更可(PRO RL/RS/MX間で互換) |
| クリート | LOOK KEO(Xpedo製ボディ) | Favero製LOOK KEO(グリップ30%向上) |
| 税込価格 | ¥84,900 | ¥136,400* |
*両側計測の『PRO RL-2(¥136,400)』以外のラインナップに、左側計測の『PRO RL-1(¥89,155)』、RL-1をRL-2へアップグレードする『PRO RL-UP (¥83,897)』がある
DUO/UNOからの進化
5年使ったDUOユーザーとして実感する変化は、3つに集約される。
①ポッドが消えた:シャフト根本の円筒形ポッドが完全に消え、ふつうのペダルと見分けがつかないシルエットに。
②バッテリーが3倍以上:50時間→160時間。充電端子もマイクロUSB → USB-Cに(ACアダプター側はまだUSB-A)。
③モジュール設計:シャフト1本のまま、ペダルボディだけをロード(PRO RL/RS)とMTB(PRO MX)で付け替え可能。6mmアレンキーと15mmスパナで交換できる。加えてPCO(プラットフォームセンターオフセット)が追加され、新型Favero製LOOK対応クリート(LOOK純正KEO GRIPと比較してグリップ力が30%向上)が付属するのもポイントだ。
スタックハイト10.5mmはDUOから継承される
スタックハイトは『ASSIOMA DUO/UNO』から一貫して10.5mmで、現在もペダル型パワーメーターの中で最低水準。Faveroは初代の時点でこの寸法を確立しており、5年経っても更新の必要がなかった。設計思想の一貫性を物語る数値だ。

ペダル型パワーメーターの中で最低水準のスタックハイト
実走レビュー
ルックスが良くなった
当然と言えば当然だが、ポッドの有無による乗り味の違いは全く感じない。ただし見た目は確実に変わる。スピンドルにフラットに収まった『PRO RL』は、ふつうのペダルと見分けがつかないシルエットだ。それだけでも、自転車を眺める時間の質が上がる確かな進化だと思える。

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ポッドの有無で見た目の印象は大きく変わる
Qファクター1mmの差は?
Qファクターが54mm→53mmに変更。たった1mmの差は、骨盤が狭めの僕にはポジティブにハッキリ分かる。53mmはLOOK純正ペダルと同じ寸法で、LOOK純正から乗り換えても違和感がない。54mmのDUO時代に「気にならないようで気になっていた」ちょっとした違和感が完全になくなっている。

DUOのレビューにも書いたQファクターの違和感がなくなった
接触面積の変化
最新のLOOK KEO Bladeの705mm²と比較しても、接触面積が755mm²と広く設計されており、踏み込んだときにパワーをどっしり受け止めている感覚がある。
ただ、クリートを嵌め込む感覚と踏み心地は、LOOKよりも若干シマノSPD-SL寄りな印象。LOOK KEO Blade Carbonよりも「面で踏む」感覚が強い。慣れれば気にならないレベルだが、純粋なLOOKフィーリングを期待する人は頭の片隅に置いておいてほしい。
スタックハイト10.5mmは、圧倒的なペダリングの優位性こそ感じないが、フィッティング面では、クランク長やサドル高に対して、素直な位置にペダル踏み面があることがメリットになり得る。

SPD-SLに近い踏み心地
クリートキャッチの変化
『PRO RL』は、LOOK KEO Blade Carbonにはない可変式リリーステンション調整を備えている。テンション高めが好みの僕でも、マックスまで上げなくても十分なホールド力があった。
実走で気付いたのが、ペダル本体の重心がしっかり後方にあることだ。シューズを乗せれば自然にクリートがハマる位置に収まり、信号待ちからの再発進でペダルを蹴る必要がない。スペック表に現れない、地味にストレスを減らすディテールが良い。

クリートキャッチがしやすくなった
回転と堅牢性
ASSIOMAのベアリングは本当によく回る。これは『PRO RL』でも健在で、ペダリングのフィーリングはスムーズだ。
堅牢性については、まだ長期間の使用ができていないので断定はできない。ただ、5年前のDUO時代、落車でペダル側面を地面にぶつけたことがあったが、その後も何事もなく動き続けた。その設計思想が『PRO RL』にも引き継がれているのであれば、長期使用での安心感も期待できると思う。

スムーズなペダリングのフィーリング
PCOで見えるペダリングのクセ
新たに追加されたPCO(プラットフォームセンターオフセット)は、ペダル中心からどれだけずれた位置で踏んでいるかを可視化する指標だ。
注意点は、一般的なサイコン(GarminやWahoo)の標準画面では表示できないこと。専用のFavero ASSIOMAアプリで見るので、走行中はスマートフォンをハンドルに取り付ける必要がある。
実走で確認すれば、入力のずれが数値として見え、クリート位置の微調整やバイクフィッティングに活用できる。ただ固定ローラーで見るときは、実走と挙動が異なるため、PCOデータの参考性は低くなる。

AssiomaアプリでPCOを含めたペダリング解析ができる
3倍バッテリー
160時間というバッテリー寿命は、実走で本当に減らない。逆に怖いのは、充電のタイミングを忘れることなので、サイコンの低電力アラートに頼ることになる。減らなさすぎて忘れることが課題になるのは贅沢な悩みかもしれない。

充電端子はUSB-Cにアップデート。これでまたひとつmicroUSBデバイスが減った
どれを買うべき?
『PRO RL』をめぐる購入判断は、立場によって答えが変わる。「市場全体での立ち位置」「DUO/UNOユーザー」「これから導入する人」の3視点で見ていく。
競合製品との立ち位置
| Favero PRO RL-2 | Garmin Rally RK200 | LOOK KEO Blade Power | |
| 計測 | 両側 | 両側 | 両側 |
| 重量(ペア) | 260g | 326g | 260g |
| バッテリー | 160時間(充電式) | 約120時間(電池式) | 約60時間(充電式) |
| 国内価格(税込・参考) | ¥136,400 | ¥187,000前後 | ¥164,000前後 |
価格・重量・バッテリー寿命で、『PRO RL-2』は明らかに頭ひとつ抜けている。USB-C充電の利便性、約3万〜5万円の価格差を考えると、『PRO RL』の優位性は揺るがない。LOOK純正のKEO Blade Powerはペダル完成度では一日の長があるが、バッテリー駆動時間が短く価格も高い。総合力では『PRO RL』が上回る。
DUO/UNOユーザーは、買い替えるべきか?
『DUO/UNO』が現役なら、急いで買い替える必要はない。ただ以下に該当するなら検討する価値はある:
・アクスル根本のポッドの見た目が気になっていた
・充電端子をUSB-Cに統一したい、充電サイクルを延ばしたい
・PCOを使ってクリート位置を最適化したい
・ロード以外(グラベル・MTB)にもパワー計測を広げる予定がある
『DUO/UNO』は2021年のレビューで「決定版」と評したパワーメーターだった。500回フル充電してもバッテリー減少は20%程度(Favero公表)で、10年単位で使えるポテンシャルがある。
ただし、「ペダルをロード以外の世界に広げたい」と少しでも思っているなら、『PRO RL』を含むPROシリーズを推す。後からPRO MXのボディを追加するだけでグラベル・MTBにも持ち込めるのは、『DUO/UNO』では得られなかった体験だ。

パワメ未導入者は、DUO/UNOとPRO RLどちらを選ぶべきか
『DUO/UNO』は、『PRO RL』シリーズと並行して継続販売される。コスト最重視なら、『DUO/UNO』は今でも十分に合理的な選択だ。±1%精度、IAVテクノロジー、IP67防水は、2026年になっても色褪せない。
ただし5〜10年スパンで使うつもりなら、迷わず『PRO RL』だろう。ポッド・マイクロUSB・短いバッテリー駆動時間は5年後にストレスになる可能性が高く、PCOを含む新メトリクスも備えている。
特に大きいのは「シャフトを買う」という発想。シャフトに一度投資すれば、ペダルボディを追加するだけでロード(LOOK/シマノ両対応)、グラベル、MTBと使い回せる。規格ごとに別々のパワーメーターを揃えるより、長い目で見れば経済的になる。

気になったポイント
5年前のDUOレビューでも同じセクションを設けたので、今回も気になった点を記しておく。
●ペダルレンチが必須に:初代DUOは8mmアーレンキーで取り付け可能だったが、『PRO RL』は15mmペダルレンチが必須となる。アーレンキー一本派にとっては必要な工具が増える。
●価格の上昇:2021年発売の『DUO』が税込¥88,000なのに対し、『PRO RL』は税込¥136,400。ハイエンド寄りに価格帯がシフトしたものの、競合と比べれば依然として最も手の届きやすい両側計測パワーメーターであることは変わらない。
プラットフォームへの進化

実走で感じたのは、「パワーメーターを導入することで背負っていたマイナス要素が、いよいよなくなった」ということだ。
Qファクターが53mmになったことで従来の違和感が消え、ペア重量も260gと軽くなり、ふと自転車を見下ろすたびにテンションを下げていたあのポッドの存在感がもうない。個々は小さな引っかかりだが、複合的には「パワーメーターを使うために妥協していた何か」として確かにあった。『PRO RL』では、それらが忘れられるレベルまで解消されている。
進化はそれだけではない。ロード(LOOK KEO/SPD-SL)からオフロード(SPD)まで、シャフトを共通化した拡張可能なプラットフォームとなった。買ってゴールではなく、サイクリングライフが広がるたびにボディだけを足していけばいい。
「ムーブメントを加速する」と書いた5年前から、ムーブメントは広がった。次の5年は、Faveroがパワーペダルのプラットフォームとして存在感を発揮するだろう。出発点がこの『PRO RL』だ。

Highs
・LOOK KEO標準モデルと同等の機能を備え、リリーステンションを調整可能な最軽量モデル
・スピンドル一体型の洗練されたルックス
・160時間のロングバッテリー
・USB-C対応
・755mm²の広い接触面積
・PCO、PP、RPなどの指標を追加した、高度なペダリング分析が可能
・モジュール設計でロード/グラベル/MTBに拡張可能
・Favero製クリート(LOOK純正KEO GRIPと比較してグリップ力が30%向上)が付属
・Qファクター +53mm(LOOK純正ペダルと同じ寸法)
Lows
・DUO/UNOから価格帯は上昇
・取り付けに15mmペダルレンチが必須
・ペダルボディ交換は工具と少しの手間が必要
Favero Assioma Proを購入する(公式サイト)
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