パワーメーター比較購入ガイド&おすすめモデル – Garmin / Power2max / Pioneer / Shimano

パワーメーター選び方ガイド

ライドをもっと楽しく、トレーニングを更に効率的に。

「スピード」という外的要素に左右されやすい値ではなく、「パワー」という個々の出力を数値化することができるパワーメーターは、純粋で絶対的な実力を示すための機材としてトレーニング志向のロードサイクリストの間で定着しています。

かつては高価格帯のモデルしか存在しませんでしたが、ここ最近のラインナップの増加と低価格化によってより身近な存在に。完成車にも、S-Worksのようなトップモデルだけでなく、GiantのTCRのようにミドルクラスにさえ付属してくるケースも出てきています。
またZwiftが楽しめるスマートトレーナーが普及していることも、屋内だけでなく実走でもパワーを把握したいという需要を生む後押しになっています。

つまり、いわゆる“ガチ勢”だけでなく、幅広いクラスタのサイクリストがパワーメーターを導入する土壌ができ上がっているということ。

そこで、このタイミングでパワーメーターの導入を考えている感度の高いサイクリストのために、各モデルの特徴を比較しながら最適なパワーメーターを見つけるための選び方を見ていきます。

1. パワーメーター導入ガイド

パワーメーターを購入する目的

最速への最短距離を導く

パワーメーターはトレーニングツールであり、しかも最も効率的に速くなるための近道を提示してくれる機材

パワーメーターが一般的になる以前に主流だった心拍トレーニングは、目標の心拍数に上がるまで時間がかかるのが課題でしたが、パワーを目標にすることで、より短時間でのトレーニングメニューの構成が可能になりました。

特に忙しい僕らビジネスマンにとって、限られた短い時間をいかにやりくりしてライバルたちよりも速くなるかという観点で見ると、パワーメーターの有無によって結果が大きく左右されることに。

確立されたパワートレーニングメニューを着実にこなすことで、短いスパンでの成果を実感することができます。
走り込むことによって自然とパワーが上昇していくことは、まるで修行の成果が戦闘力に表れているかのよう

ライドに深みを与える

または、そういった「速くなる」とした観点から一歩離れてみたとき、ライドを「楽しむ」ツールとしてもパワーメーターはとても優れた機材です。
単純に今自分がどれくらいの強度で走っているのかを把握できるし、同じパワーメーターを持っている仲間とその日どれくらいの負荷で走るのかを確認し合うこともできる(前を引く自分がどれだけつらい思いをしているのかも伝えられる)。

そうやって現在のステータスを客観視することで、力の出し具合を簡単にコントロールできるようになり、走ることそのものに余裕が生まれます
パワーメーターを導入すると走力を上げることにフォーカスされがちですが、それだけでなく表示されるパワーと上手く付き合うことでライドの楽しみに深みを与えることもできます。

パワーメーター価格の相場

黎明期は20〜40万の価格帯のものしかありませんでしたが、今ではより入手しやすい価格のモデルが登場しています。
現在の価格レンジは7万〜20万あたりで、高価なモデルほど計測の信頼性や耐久性に優れます(次の章でタイプ別の価格目安を記載しています)。

またパワーメーターを検討しているサイクリストの多くはすでにパワー表示できるガーミン等のGPSサイコンを持っているかもしれませんが、もし所持していない場合は合わせて対応サイコンの購入が必要

 

2. パワーメーターの種類

パワーメーターの種類

パワーメーターが組み付けられる場所

パワメーターは“歪みゲージ”を用いてパワーを計測し、このゲージにトルクが加えられると歪み量が計測されます。それを回転数と掛け合わせて算出される値が、出力を表すワット数(W)。ワット換算された数値は対応のサイコンで確認することができます。

歪みゲージを内蔵したパワーメーターを取り付ける場所は、クランク周り・リアホイールハブ・ペダルに分かれ、クランク周りは更に細分化されます。

クランク周り

プロのほとんどが使用しているクランク周りのパワーメーター。計測精度に関して最も信頼性のあるパーツで、計測箇所に応じてクランクスパイダー/チェーンリング・クランクアーム・ボトムブラケットの3つに分類されます。

クランクスパイダー/チェーンリング

クランクスパイダー型

SRMが開発し、市販されるパワーメーターの歴史の始まりを告げたスパイダー型。
スパイダーとチェーンリングの間の歪みゲージにより計測する仕組みで、非常に精度が高いのが特徴。ただSRMを筆頭に、総じて高価なモデルが多め

主要メーカー SRM、Quarq(SRAM傘下)、Power2Max
価格帯 10〜30万円

クランクアーム

クランクアーム型

クランクアームにゲージを備え、スパイダー型と同様に精度が高いタイプ。
上位モデルは左右のアームに歪みゲージを設けることで両脚計測ができるのが大きなメリット

アームの裏側にセンサーがついており、その出っ張りがフレームと干渉するモデルもあるので注意が必要(最近のモデルは出っ張りが薄くなっています)。
またクランク長を変えられないので、自身の使用する長さがフィクスしている場合に選択するのが賢明です。

主要メーカー パイオニア、シマノ、4iiii、Stages
価格帯 7〜20万

ボトムブラケット

ボトムブラケット型

歪みゲージをアクスルの中に入れることで精度の高い数値が計測できるBB式。電子機器が内側に入っているので破損リスクが少ない点もメリット。
ただし組み付けは割とシビアで、BBの規格にも依存するので、フレームを替えたとき移植できない場合も。

主要メーカー ROTOR
価格帯 10〜13万円

ペダル

ペダル型

ペダルを取り替えるだけで使える最も手軽なパワーメーター
両脚計測もできるのがメリットですが、露出しているので転倒時の破損リスクが高くなります。

さらに、どのメーカーのモデルでも LOOKのクリートに限定されるという点、またペダル部分が若干重くなる点も留意が必要。

主要メーカー Garmin、PowerTap
価格帯 8〜13万円

リアホイールハブ

ホイールハブ型

PowerTapだけが製造している特殊な計測方法で、ハブにかかるトルク値を元にパワーを算出する仕組み。
クランク式・ペダル式と違って、駆動系で発生するパワーのロスはもともと計測に含まれないため、数値が低めに出る傾向があります。

ホイールを替えるだけでパワー計測ができる手軽な方式である代わりに、PowerTapハブオプションのあるメーカーの完組ホイールを使うか、手組みホイールを作る必要があるので、ホイール選択の自由度はどうしても狭まりがち。

主要メーカー PowerTap
価格帯 5〜10万円(ハブのみ)

これらのうち現在最もメジャーな計測タイプは、クランクスパイダー型・クランクアーム型・ペダル型の3つ。プロチームでもこのいずれかを使用しており、信頼性の高いラインナップが揃っています。

そこで3つの型別に、定番モデルをピックアップ&比較していきます。

 

3. クランクスパイダー型定番モデル

Power2Max – 高い精度と幅広い対応クランク

Power2max Type-NG

パワーメーターの祖SRMと同じスパイダー型を出すドイツのPower2Max(パワーツーマックス)。
SRMは高価なためアマチュアの利用者はレアですが、Power2Maxはアマチュアにも行き渡る価格帯のものを展開しています。

2つの選択肢があり、トップモデルの“Type-NG”はワールドチームのモビスター・UAEエミレーツにも使われ、±1%の誤差という精度も最高クラス。デザインも格好良い。

対して廉価版の“Type-NGeco”は、誤差±2%、充電式ではなく電池式といったハード面での差に加え、左右差/トルク/ペダルスムースネスの計測ができないといったソフト面でコストが抑えられています。
ただし、ソフトは各項目€50追加で支払えばアップデート可能という拡張性の高さが良い感じ。

いずれのモデルも、クランクアームはシマノ以外の各社純正クランクを組み込むことができます(シマノユーザーはROTORのものを推奨)。

  • ・Type-NG センサー&クランクセット: ¥135,000-¥240,000
    ・Type-NGeco センサー&クランクセット: ¥78,000-¥198,000

Power2Max製品一覧を見る

 

4. クランクアーム型定番モデル

Stages – 薄くて軽量、シンプルなモデルを展開

STAGES Power L/LR

アメリカのメーカーStages(ステージズ)は、アーム型のモデルを入手しやすい価格帯で展開。

特に左クランクで片足計測する“Power L”は、アーム型の中で最も手頃な約8万円(デュラエースクランク)。左クランクを交換するだけですぐに使えることに加え、純正クランクと比べて重量+20gに抑えてあります。

その後発として2018年に登場したのが、両脚計測タイプの“Power LR”。左右クランクそれぞれに独立したセンサーが設けられ、左右パワーバランスやペダルスムースネスなどを把握できるようになりました。
重量も純正からたったの+35gであり、取り付けもラクなので、手軽な取り回しができるStagesの強みが活かされています。

  • ・Power L: ¥79,800(Wiggle
    ・Power LR: ¥152,000(Bikeinn

Stages製品一覧を見る(Wiggle)

パイオニア – 唯一のベクトル計測モデル

PIONEER SGY-PM930H

親しみを込めて“おにぎり”と呼ばれるパイオニアのペダリングモニターセンサー“SGY-PM”シリーズ。

パワーメーターの中で唯一ベクトル計測(負荷のかかっている角度)ができ、それを元にペダリング解析ができるのが強みで、国内の多くのシリアスライダーが好んで選択。ワールドチームではサンウェブやロットNLユンボが採用しています。
組み付けは一旦メーカーに送る必要があるので少し時間がかかる点は留意が必要。

パイオニア純正サイコンSGX-CA500/600(¥35,000〜¥40,000)との連携が必須になってくるので、トータル20万近い出費となります。

  • ・SGY-PM930H: ¥129,600(クランク別)

製品詳細を見る(公式サイト)

シマノ – 純正ならではの洗練されたデザイン

SHIMANO FC-R9100-P

群雄割拠のパワーメーターマーケットに2017年遂に参入したシマノ。
他社製品がパワーメーターを付けていることを主張するようなデザインなのに対し、シマノ製はパワーメーターと気付かないほど洗練されたデザインに仕上がっていて、シマノ社のこだわりが見て取れます。

左右パワーバランス、ペダルスムースネスのほか、トルク効率も計測可能。
ワールドチームでもサンウェブ、ミッチェルトン・スコット、トレック・セガフレードなどが採用し、後発参入でも着実に実績をつくっています

  • ・FC-R9100-P: ¥133,768(チェーンリング別)

製品詳細を見る(公式サイト)

 

5. ペダル型定番モデル

Garmin Vector 3 – 普通のペダルのように馴染む

GARMIN Vector 3

Vector2のアップグレード版として2017年末登場から話題をさらったモデル。Vector2にあった受信機の突起がなくなり、普通のLOOKペダルとほとんど変わらない外観になっています。

初期ロットの頃は不具合が多く、交換対応となったサイクリストが多くいましたが(僕のまわりでも何人か)、今では改善されて安定性が強化されています

片脚計測のVector3Sもあり、より手軽に導入が可能。

  • ・Vector 3: ¥128,000(Amazon
    ・Vector 3S: ¥79,000(Amazon

PowerTap P1 – 手軽に始められる片脚・両脚モデル

PowerTap P1/P2

ハブ式・チェーンリング式も出すPowerTapが開発したペダル式“P1”は開発に5年を費やしたモデル。両足計測タイプのため精度も高く、LOOKペダルに慣れているなら良い選択肢です。2018年に後継“P2”が出ていますが、若干の軽量化とバッテリーの延び以外は大きなアップデートはなく、P1(ブラック)/P2(シルバー)どちらを選んでも大きな差はありません。

片足計測タイプの“P1S”もあり、片方の足の値を2倍するというシンプルな算出方式で、価格もかなり抑えられています。

PowerTapは個人で購入したい場合、海外通販で安価に導入できるのもメリット。もちろんペダル式で組付けも簡単なのでパワーメータ入門に最適です。

 

6. おすすめ全モデル比較表

ブランド 製品 計測精度 計測方法 バッテリー 価格
クランクスパイダー式
Power2max Type-NG ±1% 両脚 充電式
¥135,000〜(クランク込)
Type-NGeco ±2% 両脚 電池式
¥78,000〜(クランク込)
クランクアーム式
Stages Power L ±2% 片脚 電池式 ¥79,800
Power LR ±1.5% 両脚 電池式 ¥152,000
パイオニア ペダリングモニター ±2% 両脚 電池式
¥129,600(クランク別)
シマノ FC-R9100-P ±2% 両脚 充電式
¥133,768(チェーンリング別)
ペダル式
Garmin Vector 3 ±1% 両脚 電池式 ¥128,000
Vector 3S ±1% 片脚 電池式 ¥79,000
PowerTap P1/P2 ±1.5% 両脚 電池式 ¥108,000
P1S ±1.5% 片脚 電池式 ¥108,000

手軽に始めたい場合は、組付けの簡単なStagesの“Power L”やGarminの“Vector 3“が最適。
計測精度の高さや高度なトレーニング指標を求めるのであれば、Power2Maxの“Type-NG”やパイオニアの“ペダリングモニター”が優れた選択肢になります。

上記を参考に、パワーメーターを導入する目的に応じて自分に最適なモデルを選択してください。

 

7. パワーメーターで把握する項目

パワーメーター導入後はパワートレーニングの理論に基づいて各数値を活用します。トレーニング志向でない場合は厳密に管理する必要はありませんが、ライドごとの疲労度などの把握にとても役立ちます。

FTP(Functional Threshold Power)

60分継続できるワット数。この数値を基準としてトレーニングを行い、数値を上げていくことがパワートレーニングの主たる目的。

PWR(Power Weight Ratio)

FTP÷体重で算出される重量出力比。3.5倍とか4倍で表され、特にヒルクライムでの力を左右する部分。

NP(Neutral Power)

標準化パワー。単純な平均値とは違って、「そのライドでもしパワーを完全に一定に保ったときに維持できるパワーの値」なので、ライドの実際の強度がわかる数値。レースのNPを把握しておくと、そのレースのレベルがわかります。

IF(Intensity Factor)

強度係数。NP÷FTPで算出される値で、運動強度を示すもの。1.0のときがFTPと同じ強度で走ったことになり、この上下に応じてトレーニングレベルが把握できます。

トレーニングレベル IF
L1: 回復走 <0.75
L2: 耐久走 0.75-0,85
L3: テンポ走 0.85-0.95
L4: 乳酸閾値 0.95-1.05
L5以上 1.05-1.15

TSS(Training Stress Score)

ライドの負荷を数値化したもの。FTP値で1時間走り続けると100ポイント貯まります。一定期間にどれだけ負荷をかけたかがわかり、通常は1週間の累計値で管理します。

TSS 強度 回復の目安
<150 翌日に回復
150-300 翌日に疲れが残る
300-450 翌々日でも疲れが残る
>450 極高 数日間疲れが残る

シリアスライダーは週に700くらいが目安という鬼畜レベル。溜まったTSSはお金ではなくFTP値に還元されます。

この中でもFTP値がすべての基本。まずZwiftなどを利用してFTPを計測し、その上でトレーニングメニューを組み立てたり、ライド中の出力をコントロールします。
パワートレーニングについては「パワー・トレーニング・バイブル」がすべてのシリアスライダーの教科書となっています。

あらゆるサイクリストにパワーを。

POWER2MAX

Power2max Type-NG

「パワーメーターを導入すると、ワット数を出すことだけに集中するからサイクリングがつまらなくなる」という話を聞くことがあります。確かにパワーを上げることしか考えない走り方であれば、本質的な道を走ることの喜びは一部失われるかもしれません。でもそれは使い方次第。

トレーニングの時はどのしきい値で走っているのか、あるいはどれだけTSSを溜められたかという観点、ヒルクライムでは一定出力をどれだけ維持できるかという観点、ロングライドではFTPに応じた出力コントロールという観点など、シーンに応じてパワーという客観性のある数値とうまく付き合うことで、オトナの余裕を感じさせるライドができるようになります。

そうしてライドの幅を自然と広げてくれるパワーメーターは、ガチ勢だけでなく、これを読んでいるただ走ることに囚われてしまったあらゆるサイクリストにおすすめできる機材です。