パワーメーター購入ガイド&おすすめモデル – Quarq / Garmin / Favero etc.

パワーメーター購入ガイド

パワーメーターは、「スピード」という外的要因に左右されやすい値ではなく、「パワー」という個々の純粋な出力を数値化することができる機材。
かつては30万を越える高価格帯のモデルしか存在しなかったが、ここ数年のラインナップの増加と低価格化によって、パワーメーターはより身近な存在になっている。完成車にも、トップモデルだけでなくミドルレンジにパワーメーターが組み込まれるケースも出てきている。
またZwiftが楽しめるスマートトレーナーが普及したことで、インドアでパワーを知ったサイクリストが実走でもパワーを把握したいというニーズを生む後押しになっている。
つまり、いわゆる“ガチ勢”だけでなく、幅広いライドスタイルのサイクリストにとってパワーメーターを導入する土壌ができ上がっているのが現在。
そこで、各モデルの特徴を比較しながら最適なパワーメーターの選び方を見ていく。

text/Tats@tats_lovecyclist

パワーメーター導入ガイド

パワーメーターの種類

パワーメーターの場所

パワーメーターが組み付けられる場所

パワーメーターは「歪みゲージ」を用いてパワーを計測する。このゲージにトルクが加えられると歪み量が計測され、それを回転数と掛け合わせて算出される値が、出力を表すワット数(W)。つまりパワーとは「トルク×回転数」のことを指す。

パワーメーターを取り付ける場所は、現在では「クランクスパイダー/チェーンリング」「クランクアーム」「ボトムブラケット」「ペダル」の4箇所が主流となっている。

クランクスパイダー/チェーンリング

クランクスパイダー型パワーメーター

SRMが開発した最も歴史のあるスパイダー型。
スパイダーとチェーンリングの間の歪みゲージにより計測する仕組みで、非常に高い精度が特徴。クランク長も自由に選ぶことができる。
ただSRMを筆頭に高価なモデルが多め。

主要メーカーSRM, Quarq, Power2Max, FSA
価格帯4〜30万円

クランクアーム

クランクアーム型パワーメーター

クランクアームにゲージを備え、スパイダー型と同様に精度が高いタイプ。
上位モデルは左右のアームに歪みゲージを設けることで両脚計測ができるのが大きなメリット

アームの裏側にセンサーがついており、その出っ張りがフレームと干渉するモデルもあるので注意が必要(最近のモデルは出っ張りが薄くなっている)。
導入後は気軽にクランク長を変えられないので、自身の使用する長さがフィクスしている場合にのみ選択するのがベター。

主要メーカー4iiii
価格帯4〜20万

ボトムブラケット

ボトムブラケット型パワーメーター

歪みゲージをアクスルの中に入れることで精度の高い数値が計測できるBB式。電子機器が内側に入っているので破損リスクが少ない点もメリット。
ただし組み付けは割とシビアで、BBの規格にも依存するので、フレームを替えたとき移植できない場合も。

主要メーカーROTOR
価格帯10〜18万円

ペダル

ペダル型パワーメーター

ペダルを取り替えるだけで使える最も手軽なパワーメーター
複数のバイクで使いたいときに付け替えができ、両脚計測もできるが、露出しているので転倒時の破損リスクがある。

クリートはLOOK KEO、Shimano SPD-SLに加え、オフロードやグラベルで使うShimano SPD対応モデルも登場している。Wahoo SpeedplayもPOWRLINKとしてパワーメーター化されており、選択肢が着実に広がっている。

主要メーカーFavero, Garmin, SRM
価格帯5〜18万円

パワーメーター価格相場

パワーメーターの黎明期は20〜40万円の価格帯のモデルしかなかったが、現在の価格レンジは4万〜18万あたりと幅広い。
かつては高価なモデルほど精度に優れる傾向があったが、現在は低価格帯でも公称±1%を掲げるモデルが増えており、価格差はむしろ長期的な計測の安定性やサポート・供給体制に表れる。

またパワーメーターを検討しているサイクリストの多くはすでにGarminやWahooなどのパワー表示できるGPSサイコンを持っているかもしれないが、もし所持していない場合は対応サイコンの購入が必要となる。

以下から「クランク式(スパイダー/アーム/BB)」と「ペダル式」に分けて、代表的なモデルを挙げていく。

 

クランク式モデル

Quarq – クオーク

Quarq Dzero Dub パワーメーター

DZero DUB / DFour DUB

スラム傘下に入ったクオークは、スラムのAXSコンポーネントに採用されているDUB規格のスパイダーを採用し、軽く耐久性のあるスパイダー式パワーメーター「DZero DUB」をリリース。

走行中に自動キャリブレーションしてくれるので校正作業は不要。デザイン性の高さはあらゆるパワーメーターの中でも群を抜いている。

DZero DUBは別売のクオークDUBアームの使用がマストだが、シマノクランクを使いたいユーザー向けに「DFour DUB」もラインナップ(R9100/R8000/R7000対応)。DZero DUBと同じ機能がシマノユーザーも使用できる。

モデル種類精度計測電源価格購入
DZero DUB
スパイダー±1.5%両脚電池式¥85,700Amazon

※自分の環境に最適なQuarqパワーメーターのモデルを絞り込むには「Find your Power Meter(公式サイト)」を参照。

ROTOR – ローター

Rotor パワーメーター

2INpower DM / INpower DM / Inspider

楕円リングQ-RINGSやコンポーネントUNOなどのバイクパーツを展開するスペインのROTOR。
そのパワーメーターはQ-RINGSを使用することを前提として作られているため、楕円使用時の計測精度が高いことが特徴


ソフトウェア面でも、ペダリング分析「TORQUE 360°」や、パワーピーク位置を導き出す「OCA」などオリジナルの解析ツールが揃い、効果的なQ-RINGSのセッティングが可能となっている。

ラインナップは、左右独立したパワー計測が可能な「2Inpower DM」と、片脚計測の「Inpower DM」、そしてスパイダー計測の「Inspider」の3モデル。

精度と耐久性を重視するならワールドチームで採用されている「2Inpower」、コストを優先するなら「Inpower DM」、クランク長を変更する可能性があるなら「Inspider」という自由度の高い選び方ができる。

モデル種類精度計測電源価格購入
2InpowerBBN/A両脚充電式¥178,000Wiggle
InpowerBBN/A片脚電池式¥100,000楽天
InspiderスパイダーN/A両脚充電式¥89,800
PBK

Power2Max – パワーツーマックス

Power2max NG パワーメーター

NG

パワーメーターの祖SRMと同じスパイダー型を展開するドイツのPower2Max。そのデザインはクランク周りに独特の存在感を与えてくれる。
トップモデルの「NG」はワールドチームのモビスターやUAEエミレーツにも使われ、±1%の誤差という精度も最高クラス。

NGeco

廉価版の「NGeco」。誤差±2%、充電式ではなく電池式といったハード面での差に加え、左右差/トルク/ペダルスムースネスの計測ができないといったソフト面でコストが抑えられている。
ただし、ソフトは各項目€50追加で支払えばアップデート可能。

モデル種類精度計測バッテリー価格購入
NGスパイダー
±1%
両脚
充電式
¥135,000
楽天
NGecoスパイダー±2%両脚電池式¥78,000楽天

いずれのモデルも、クランクアームはシマノ以外の各社純正クランクを組み込むことができる(シマノユーザーはROTORのものを推奨)。

Power2Max製品一覧を見る

4iiii – フォーアイ

4iiii precision パワーメーター

Precision Pro / Precision

2010年に設立されたカナダの4iiii。
シマノのクランク(105/アルテグラ/デュラエース)をベースとしたモデルを展開し、両脚計測の「Precision Pro」と片足計測の「Precision」をラインナップ(現行世代はコイン電池で約800時間駆動・Apple Find My対応のPrecision 3+)。

クランクアーム型の中では最も安価なクラスに入るが、「Precision Pro」はスペシャライズドとパートナーシップを組んでワールドチームにも採用されており、信頼性の高いパワーデータを得ることができる。

機種精度計測電源価格購入
Precision Proアーム±1.5%両脚電池式¥87,000Wiggle
Precisionアーム±1%片脚電池式¥37,800Wiggle

4iiii製品一覧を見る

 

ペダル式モデル

Favero – ファベロ

Favero パワーメーター

Assioma DUO / Assioma UNO

計測精度とコストパフォーマンスを兼ね備えたペダル型の最有力モデル「Assioma」。LOOKクリートを使用し、両足計測のDUOと左足計測のUNOの2つをラインナップする。

ほかのモデルと異なり、取り付けにトルク管理が不要なので取り扱いがラク。
また計測精度も高く、IAV Power Systemと呼ばれるFaveroオリジナルの計測方法でパワーを算出。ペダリングが不安定になりがちな上り坂でのダンシングや、楕円リングのペダリングでも±1%の正確な数値を抽出してくれる。

Assioma DUO-Shi

SPD-SL対応モデルとなる「Assioma DUO-Shi」も2021年7月にリリース。
ペダルは付属せず、スピンドルのみ販売されるため、手持ちのSPD-SLペダルを装着して使用することができる。ただし、対応モデルはPD-R8000、PD-R7000、PD-6800、PD-R550、PD-R540の5種類のみ。
またQファクターが64〜65mmとなっており、一般的な54mmのペダルと比較すると大幅にスタンスが広がるため注意が必要。

機種精度計測バッテリー価格購入
Assioma DUO±1%両脚充電式¥80,000Amazon
Assioma UNO±1%片脚充電式¥51,000Amazon
Assioma
DUO-Shi
±1%
両脚
充電式 
¥75,100

▼Assioma DUOのレビューはこちら

Assioma PRO RS / PRO RL / PRO MX

Assiomaの上位に位置する現行フラッグシップが「PRO」シリーズ。従来モデルで軸の外側に付いていたポッド(電子ユニット)を廃し、スピンドルに内蔵したことで、見た目がすっきりしただけでなく、破損リスクの低減とバッテリーの大幅な延命を両立している(PRO RL-2は公称160時間)。計測精度±1%とIAV Power Systemはそのままに、完成度を一段引き上げた世代。

対応クリートで3系統に分かれ、SPD-SLが「PRO RS」、Look Keoが「PRO RL」、オフロードやグラベル向けのSPDが「PRO MX」。末尾の数字は計測方式を表し、両側計測が「-2」、片側計測が「-1」。手持ちのペダル環境に合わせて選べるようになったのが、旧Assiomaからの大きな進化点。
なお従来のAssioma DUO/UNOも併売されているため、コストを抑えたい場合は引き続きそちらが有力な選択肢になる。

機種対応クリート精度計測バッテリー価格購入
PRO RS-2SPD-SL±1%両脚充電式¥118,090
PRO RL-2Look Keo±1%両脚充電式¥118,090
PRO MX-2SPD±1%両脚充電式¥118,090

*片側計測の「-1」モデルも用意されている(PRO RS-1 ¥89,155、PRO MX-1 ¥78,650)。

▼PRO RL-2のレビューはこちら

Garmin – ガーミン

Garmin Rally RK/RS

Rally RS/RK/XC210

2017年にリリースされたVector3の後継機として「Rally」シリーズが登場。
SPD-SL対応モデルは「Rally RS」、Look Keo対応モデルは「Rally RK」、Shimano SPD対応モデルは「Rally XC」と名付けられ、両側計測モデルには末尾に「210」、片側計測モデルには「110」が振られている。2025年9月に従来の100/200系から110/210系へと世代交代した。
Assiomaと異なり、取り付けにはトルク管理が必要なので注意。

Vector3は初期ロットに不具合が多く交換対応となったサイクリストが多くいたが、Rallyは接続周りの安定性強化、バッテリカバーの強度アップ、スペアパーツのラインナップなど、より強固なサポートが期待できる。

Rally RS/RK/XC110

Rallyの片側計測モデルが「110」系。現行世代ではパワーセンサーがペダルボディ間で移設できるようになり、クリート規格(SPD-SL / Look Keo / SPD)を後から変えても同じセンサーを使い回せる。片側から両側への拡張を見込むなら、はじめから両側計測の210系を選んでおくと確実。

機種精度計測バッテリー価格購入
Rally RS/RK/XC210±1%両脚電池式¥138,000
Rally RS/RK/XC110±1%片脚電池式¥108,000

LOOK x SRM

LOOK SRM パワーペダル

EXAKT Dual / EXAKT Single

LOOKとSRMのパートナーシップによって2018年に生まれたペダル型パワーメーター。
LOOKが開発に加わっているため形状が美しく、また元祖パワーメーターSRMによる計測精度の高さもセールスポイント。
重量も片足150gと、158gのGarminよりも若干軽量。
SRMのパワーメーターとしては最も安価だが、それでもほかのペダル型と比べると1.5〜2倍ほど。
片足計測のSingleと両足計測のDualをラインナップ。

機種精度計測バッテリー価格購入
EXAKT Dual±1.5%両脚充電式¥175,000Wiggle
EXAKT Single±1.5%片脚充電式¥95,000Wiggle

 

全モデル比較表

ブランド製品計測精度計測方法バッテリー価格
クランクスパイダー式
QuarqDZero DUB±1.5%両脚電池式
¥85,700
Power2maxType-NG±1%両脚充電式
¥135,000
Type-NGeco±2%両脚電池式
¥78,000
ROTORInspider N/A両脚充電式
¥89,800
クランクアーム式
4iiiiPrecision Pro±1.5%
両脚
電池式
¥87,000
Precision±1%
片脚
電池式
¥37,800
ボトムブラケット式
ROTOR
2INpower DM
N/A
両脚
充電式
¥178,000
INpower DM
N/A
片脚
電池式
¥100,000
ペダル式
Favero




Assioma DUO ±1%両脚充電式
¥80,000
Assioma UNO±1%片脚充電式
¥51,000
Assioma DUO-Shi±1%
両脚
充電式
¥75,100
PRO RS-2/RL-2/MX-2 ±1%両脚充電式¥118,090
GarminRally RS/RK/XC210±1%両脚電池式¥138,000
Rally RS/RK/XC110±1%片脚電池式¥108,000
LOOK/SRMEXAKT Dual±1.5%両脚充電式¥175,000
EXAKT Single±1.5%片脚充電式¥95,000

まずは予算をかけずに始めたい場合は、組付けの簡単な4iiii「Precision」やFavero「Assioma UNO」が最適。
計測精度の高さや高度なトレーニング指標を求めるのであれば、Favero「Assioma DUO」、Quarq「DZero DUB」、ROTOR「Inspider」などが優れた選択肢になる。

 

パワーメーターで把握する主要項目

パワーメーター導入後はパワートレーニングの理論に基づいて各数値を活用する。トレーニング志向でない場合は厳密に管理する必要はないが、各項目を知っておくとライドのペース管理や体力マネジメントなどに役立つ。

FTP(Functional Threshold Power)

60分継続できるワット数。この数値を基準としてトレーニングを行い、数値を上げていくことがパワートレーニングの主たる目的。

PWR(Power Weight Ratio)

FTP÷体重で算出される重量出力比。3.5倍とか4倍で表され、特にヒルクライムでの力を左右する部分。

NP(Normalized Power)

標準化パワー。単純な平均値とは違って、「そのライドでもしパワーを完全に一定に保ったときに維持できるパワーの値」なので、ライドの実際の強度がわかる数値。レースのNPを把握しておくと、そのレースのレベルがわかる。

IF(Intensity Factor)

強度係数。NP÷FTPで算出される値で、運動強度を示すもの。1.0のときがFTPと同じ強度で走ったことになり、この上下に応じてトレーニングレベルが把握できる。

トレーニングレベルIF
L1: 回復走<0.75
L2: 耐久走0.75-0.85
L3: テンポ走0.85-0.95
L4: 乳酸閾値0.95-1.05
L5以上1.05-1.15

TSS(Training Stress Score)

ライドの負荷を数値化したもの。FTP値で1時間走り続けると100ポイント貯まる。一定期間にどれだけ負荷をかけたかがわかり、通常は1週間の累計値で管理する。

TSS強度回復の目安
<150翌日に回復
150-300翌日に疲れが残る
300-450翌々日でも疲れが残る
>450極高数日間疲れが残る

シリアスライダーは週に700くらいが目安という鬼畜レベル。溜まったTSSポイントはお金ではなくFTP値に還元される。

CTL(Chronic Training Load)

「長期トレーニング負荷」を意味し、42日間のTSS平均値(指数加重移動平均)を表すもの。徐々にCTLを上げるようなトレーニングを行うことで、体に無理をかけることなく体力レベルを向上させることができる。

選手としてトレーニングする場合、プロはCTL100、社会人はCTL60〜80がひとつの目安となっている(個人差あり)。

あらゆるサイクリストにパワーを。

Favero Assioma DUO

「パワーメーターを導入すると、ワット数を出すことだけに集中するからサイクリングがつまらなくなる」という話を聞くことがある。確かにパワーを上げることしか考えない走り方であれば、本質的な走ることの喜びは一部失われるかもしれない。

でもそれは使い方次第で、トレーニングの時はどのしきい値で走っているのか、あるいはどれだけTSSを溜められたかという観点、ヒルクライムでは一定出力をどれだけ維持できるかという観点、ロングライドではFTPに応じた出力コントロールという観点など、シーンに応じてパワーという客観性のある数値とうまく付き合うことで、大人の余裕が生まれるライドができるようになる。

そうしてライドの幅を自然と広げてくれるパワーメーターは、ガチ勢だけでなく、ただ走ることに囚われているあらゆるサイクリストにとって価値のある機材となる。

著者情報

TatsTats Shimizu@tats_lovecyclist
編集長&フォトグラファー。スポーツバイク歴12年。海外ブランドと幅広い交友関係を持ち、メディアを通じてさまざまなスタイルの提案を行っている。同時にフォトグラファーとして国内外の自転車ブランドの撮影を多数手掛ける。メインバイクはStandert(ロード)とFactor(グラベル)。