
普段使い用タイヤとして爆売れしているiRCの『JETTY PLUS』。その上位モデルが満を持して登場した。それが『HYPETTY(ハイペッティー)』シリーズだ。
軽量なLIGHTと耐久性重視のTOUGHの2種類がラインナップされ、今回はJETTYを過去にレビューしたMasayukiが『HYPETTY TOUGH』を一定期間試す。
レビュアー
![]() | Masayuki(@stumsky) 横浜在住。富士ヒルシルバーリング獲得、エベレスティング、Vエベレスティング達成などの実績を持つ。昨今はブルベにもハマり、SRも獲得。普段のライドでも変態的に坂道・裏道を追い求めるため、距離と獲得標高が超人的になっている。 |
review / Masayuki(@stumsky)
edit & photo / Tats(@tats_lovecyclist)
2種類のHYPETTY登場

← HYPETTY LIGHT(税込¥5,214)| HYPETTY TOUGH(税込¥5,775) →
HYPETTYラインナップ
| モデル | サイズ | 重量 | 税込価格* |
|---|---|---|---|
| HYPETTY LIGHT | 25C/28C | 215g/240g | ¥5,214 |
| HYPETTY TOUGH | 25C/28C | 225g/250g | ¥5,775 |
| JETTY PLUS *参考 | 25C/28C/ 32C/35C | 230g/250g/ 290g/315g | ¥2,750(25C/28C)/ ¥3,080(32C/35C) |
*価格は変動することがあります
『LIGHT』は名前の通りヒルクライムやロードレース向けであり、『TOUGH』は長距離ライドや普段使いのためのモデルとなる。

ベストセラーとなったJETTY PLUS
開発の元となった『JETTY PLUS』は、ロードバイク/クロスバイク/ミニベロなどで使用することを前提に、軽さと耐久性を両立させたアーバンロードタイヤ、というコンセプトだ。
ところが実際は、それ以上のレーシング向き性能を発揮することがわかり、¥2,000台で買えるロードバイクの普段使いタイヤとして、多くのサイクリストに浸透することとなった(2年前に公開したJETTY PLUSのレビューも、未だに毎日のように読まれている)。
『HYPETTY』は、その状況を受けて、さらにロードバイクに最適化することを目指して開発されたモデルだ。名前もJETTYに由来して、「HYPER + JETTY = HYPETTY」という。製品コンセプトが一発で伝わるし、何より語感がとてもいい。ハイペッティー。
だから本レビューでは、これまで何本もの『JETTY PLUS』を履き倒してきたMasayukiが『HYPETTY』を使う。
JETTY PLUSとの比較
断面図

上から『HYPETTY TOUGH』『HYPETTY LIGHT』『JETTY PLUS』。『TOUGH』は明らかに中央部の厚みがある
断面を見ると、いちばん違いが出ているのはトレッドの厚みで、『TOUGH』は中央部のゴムが厚く、摩耗や異物の貫通に対する余裕が見てとれる。また『TOUGH』にだけは耐パンクベルトが入っており、これが『LIGHT』との10gの重量差につながっているようだ。
一方で、どのモデルもサイドに向かってゴムを薄くしているので、しなやかさを残しつつ必要な部分だけを補強している設計だということがわかる。
構造とコンパウンド
iRCにHYPETTYの構造について確認したところ、ケーシングはHYPETTYのLIGHTとTOUGHのどちらも120TPIで、補強なしで60TPIのJETTY PLUSよりも細い糸を使っている。ケーシングの重ね方は共通だが、糸が細くなったぶん、よりしなやかな乗り心地に仕上がっているという。
またコンパウンドには、iRCのタイヤ『URBANMASTER』と同じゴムが使われている。JETTY PLUSと比べると耐摩耗性と転がり性能では劣るものの、そのぶんグリップ性能を高めたコンパウンドとなっている。
iRC TIREラボによる評価実験結果
iRCは、JETTY PLUSを100とした社内試験の結果も公開している。

【グリップ性能】LIGHTが108、TOUGHが109.8と、どちらもJETTY PLUSから約1割向上している。グリップを重視したコンパウンドの効果がそのまま数値に表れた形だ。JETTY PLUSではウェットな路面に不安を感じていたとMasayukiは話しており、HYPETTYでそれが改善されている可能性が高い(詳細は次章に記載)。

【突き刺しパンク試験】差が最も大きく開き、LIGHTが117、TOUGHが128という結果になった。TOUGHは中央部のゴムの厚みに加えて耐パンクベルトも備えており、それが異物の刺さりにくさにつながっているのだろう。
また、軽さを優先したLIGHTでもJETTY PLUSを上回っているので、どちらを選んでも耐パンク性能は底上げされていることになる。

【転がり抵抗】LIGHTが109、TOUGHが113と、JETTY PLUSより1割ほど抵抗が大きくなっている。グリップを優先したコンパウンドを採用したことによるトレードオフと言えるが、実走にどれだけ影響するかは次章で見ていく。
各モデルスペック&評価実験まとめ(28C)
| モデル | 重量 | 耐パンク ベルト | ケーシング | 評価実験(※JETTYを100%とした場合) | ||
|---|---|---|---|---|---|---|
| グリップ性能 | パンク試験 | 転がり抵抗値 | ||||
| HYPETTY LIGHT | 240g | – | 120TPI | 108 | 117 | 109 |
| HYPETTY TOUGH | 250g | ● | 120TPI | 109.8 | 128 | 113 |
| JETTY PLUS | 250g | – | 60TPI | 100 | 100 | 100 |
実走レビュー

185cm/70kgというコンディション
Masayukiの普段のライドは、坂道を織り交ぜたロングライドやブルベが中心となるため、『HYPETTY TOUGH』がそうした長時間のライドでも、足元に安心感があるかを見ていく。
これまでは『JETTY PLUS』の32Cを使用しており、『TOUGH』は28Cを使用。空気圧4.1bar(JETTY PLUS使用時は3.6bar)、TPUチューブで運用している。

装着性は非常に良い。しっかりリムの中にビードを落としてはめれば、すんなりと入ってくれる
JETTYより転がり抵抗は大きいはずだが

タイヤの存在を感じない
転がり抵抗そのものを、JETTYと比べて「これは違う」と明確に言語化できるほどの差は感じなかったのが正直なところだった。
また、iRC TIREラボの試験ではJETTYより転がり抵抗が大きいという結果が出ていたので、もしかしたらもっさり感があるかもしれないと思った。が、そんなことはなく、練習会や峠のTTでも、タイヤの抵抗を意識することはなく、自然に速度を維持できた。
たとえ数値の違いがあったとしても、この「走っている最中にタイヤの存在を忘れられること」の方が、実用面では重要な指標なのだと感じた。そういった意味で、HYPETTYはスペック以上の働きをしてくれている。
32C→28Cでも路面の入力はまろやかに

走行音に関する気付きを得る
もっとも印象的だったのが、振動吸収性について。JETTY PLUS 32CからHYPETTY TOUGH 28Cへのサイズダウンにもかかわらず、路面からの振動はむしろマイルドになった。ザラついた路面の入力が丸くなり、ライド後の手の疲労感も少なく感じた。特に走行音が静かなことが、乗り心地の柔らかさの印象に寄与していそうだと感じた。
iRCによれば、HYPETTYはJETTY PLUSの60TPIに対して120TPIのケーシングを採用しており、糸が細くなったぶんしなやかな乗り心地になっているという。サイズを細くしても振動がマイルドに感じられたのは、このケーシングの違いが大きそう。
滑る感覚が大幅に減少

28Cでも不安がない
32Cからの履き替え当初は、久しぶりの28Cに不安があった。それでも雨上がりのライドや峠TTからのダウンヒルを走るうちに、そのグリップ力の高さを実感することになる。JETTY PLUSではウェットな路面でときおり滑りやすいなと感じていたが、HYPETTY TOUGHでは大幅にその感覚が減っている。
試験結果ではグリップ性能が1割向上しているようだが、この違いは数値以上に大きいと感じる。グリップ重視のコンパウンドが効いているのだろう。
耐久性と耐パンク性能に対する安心感

触ると明らかに厚みが違う
HYPETTY TOUGHは、タイヤ中央部の厚みがJETTY PLUSと比べて明らかに増しており、手で触っただけでもその差がわかる。タフの名に恥じない、視覚・触覚レベルでの安心感がある。レビュー期間の走行距離は400km程度だが、その間にパンクは発生していない。
また耐久性についても結論を出すにはまだ早いが、摩耗の進行はほとんど見られていない。iRCによればコンパウンド自体の耐摩耗性はJETTY PLUSより劣るそうだが、TOUGHは中央部のゴムが厚いので、JETTYの交換タイミングだった4,800km前後までは期待できそう。引き続き使いながら確かめていきたい。
その完成度。

使っていくほどJETTYより良いとわかる
JETTY PLUSが築いた「普段使いタイヤの最強スペック」というポジションを、さらに一段引き上げてきた『HYPETTY TOUGH』。名前の通り、JETTYよりもタフさをちゃんと感じられるタイヤであり、JETTYで気になっていたグリップ性能も明確に向上していたので、距離を重ねるほど信頼度が増していった。
JETTYとの価格差は2倍程度あるが、それでも昨今のタイヤの価格相場からすると、普段使いとしては充分に入手しやすい。何よりJETTYでiRCタイヤの信頼度が爆上がりしたので、その進化型のHYPETTYならば、今後もブルベやロングライドで積極的に使っていきたい。

review / Masayuki(@stumsky)
edit & photo / Tats(@tats_lovecyclist)
















