2022年秋:最近気になるロードバイク関連のモノ・話題

こんにちは。最近のトピックや業界の話題に触れたりする、四半期に一度くらいの定例企画です。今回は新しい価値や体験にまつわる5つの話題をお届け。

text/Tats@tats_lovecyclist

KASKが打ち崩すMIPS信仰

黄色いシール vs 赤いシール

頭部への回転衝撃に強いヘルメット機構として「MIPS」は広く知られており、多くのメーカーが採用していますが、KASKはこれまで頑なにMIPSの搭載を拒んできました。MIPSにライセンス料を払いたくないのかはわかりませんが、KASK自体は“MIPSの有効性を信じていない”と主張しています。
そして昨年からKASKは、自社のモデルが「WG11」という回転衝撃に対応する新しい安全基準をクリアしているということを提唱するようになります。
なぜMIPSが有効でないと考えているのか、そしてWG11とは何なのか。CyclingTipsにその経緯が書かれており、いちKASKユーザーとして、またヘルメットの安全基準について考える上で非常に興味深い内容でした

KASKの主張をかいつまむと以下のような内容です。

・MIPSがあることでヘルメットの安全性が向上することは証明されていない。にも関わらず、MIPS側は、回転衝撃保護機構のないヘルメットが安全でないと人々に思い込ませてきた
・本来ヘルメットの安全性は、正しい衝撃試験の結果を元にするべきで、特定の技術(MIPS)の有無で判断されるべきではない
・従来の回転衝撃テストのプロトコルは、テスト結果が過大評価される可能性があるため、「WG11」によって正しい回転衝撃エネルギーの減衰をテストし、同社のヘルメットが問題なく機能することを確認した

「WG11」はKASKが定義するテスト方法であり、従来のテストと最も異なるのは、テストに用いる頭部のフォーム。一般的には固く粘着性のある表面のフォームを使いますが、WG11では人間の頭皮の動きを再現できるものに変えています。これは、頭皮を考慮しない従来のテストは、衝撃保護機構の効果が過大評価されることを示唆する論文があるため。したがって、従来の方法でのテストされたMIPSでは、安全面で意味のあるデータは提示されていないということを主張しています。
確かに、人間の頭皮や頭髪はヘルメットとの間で滑る役割を果たすので、MIPSが頭皮の役割を超えてさらに衝撃減衰効果をもたらすのかは今のところ明示されていません

KASKはおそらくWG11プロトコルでMIPS搭載ヘルメットのテストもしているはずですが、その数値とKASKヘルメットの比較は開示していません。
ここのデータが開示されない限り、MIPSがどこまで有効なのかを判断できないため、MIPSの有効性もWG11の信憑性も宗教の領域ですが、これまで回転衝撃を語る上で、頭皮や頭髪の効果についてまで言及されていなかったことは確かです。それを踏まえると、KASKの主張には説得力があるように感じられます。

参考:KASK PUTS MIPS ON NOTICE WITH NEW WG11 ROTATIONAL IMPACT TEST(CyclingTips)

K-POPグループのメンバーがMAAPウェアを着用

K-POPグループ「NewJeans」メンバーのひとりが、MAAPジャージを着用してステージで踊ったというCyclingWeeklyによるニュース。これは電撃が走りました。

メンバーのヘインは、ピンクのアシッドウォッシュジーンズとエアジョーダンにMAAPのトレーニングジャージを組み合わせ、そのコーデはサイクルウェアを着ているようには見えないほど馴染んでいます。

MAAPをはじめとする新興ブランドは、ここ数年でサイクリングカルチャーの地位を高めるような取り組みをしてきましたが、このニュースは、サイクルウェアがファッションの時代に入ったことを明確に示すシンボリックな出来事だと感じます。

動画はこちら↓

参考:NewJeans K-pop star rocks MAAP cycling jersey on TV show(CyclingWeekly)

Meta社が描くサイクリングの未来

メタバースに多額の投資を行っているMeta社(前Facebook)。その広告動画のひとつに、サイクリングの未来を描いたものがあります。

動画内では、アフリカのライダーたちの機会創出を目的とした「チームアマニ*」の取り組みを元に、Zwiftで行われるeレースが仮想現実や拡張現実へ展開していく世界が提示されています。

*チームアマニはケニアやウガンダなどのライダーで構成され、eレースへの参加をきっかけにオンラインとリアル両方で活動中

興味深いのが、3Dホログラムでレースを投影しているシーン(2:15〜)。ここではバーのような場所で、投影されたレースの周りを人々が囲んで観戦しています。オンラインで完結するeレースが、再び現実に投影され、人々が顔を合わせてレースを観戦するという逆説的な構図

ARゴーグルで地形やパワーなどを眼前に表示

また動画内でライダーたちが着用するARゴーグル(2:06〜)も面白く、Meta社は仮想現実だけでなく、リアルをうまく融合した世界を構築しようとしていることがわかります

これにはビジネス的な視点も含まれていると思われ、ツール・ド・フランスのような伝統的なレースは放映権ビジネスですが、eレースが主流になることで、観戦料やスポーツくじなど今までと異なる収益源を元にビジネスを構築できる可能性があります

このように、Meta社が(あるいはザッカーバーグが)割と本気でサイクリングの未来について考えていることに驚いています。
パンデミック収束によって、インドアフィットネス全般が以前よりも注目度が下がっている中で、新しい切り口のインドアサイクリングはどう未来を作っていくか。これから注目したい分野です。

*参考: META SEEMS TO HAVE SOME IDEAS ABOUT THE FUTURE OF CYCLING(CyclingTips)

iPhone vs コンデジの現状

iPhone14 Proが手元に届いてから、このところ普段のライド写真をiPhoneで撮るようになりましたが、写りが非常に素晴らしく、ついにコンデジレベルに到達したと感じています。
iPhoneは12 ProからApple ProRAW形式のRAWデータ保存に対応。また14 Proからはセンサーサイズが1/1.3インチになり、iPhoneのカメラスペックが1インチセンサーのコンデジに限りなく肉薄しています。

実際の写りも、SONY RX100M5A比でダイナミックレンジはほぼ変わらず、レタッチ後の仕上がりの違いもほとんどわかりません。
しかも撮ったあとそのままLightroomアプリに取り込めるので、SDカードを読み込む手間が省けるのも超絶便利(撮る→レタッチ→共有がその場でできてしまう)。

←RAWデータ/レタッチ後→
コンデジクラスの表現がiPhone単体で完結できるように

撮りたいときにすぐ撮れる速写性はまだコンデジ優位ですが、それを除けばほとんどの点でiPhoneカメラの一連の体験が優れており、コンデジの出番がほぼなくなりました。
かつてライド用コンデジの定番としてSONY RX100シリーズが挙げられていましたが、これからはiPhoneやPixelなどセンサーサイズの大きいカメラを備えたスマートフォンがあれば十分ということになりそう。

とはいえ、商用の写真としてはまだ厳しい部分が多いので、APS-C/フルサイズのカメラの出番は今後もなくなりません。

Assosの飛び道具

Assosからバーバッグになるグラベルジャケット「Mille GTC Löwenkralle Jacket C2」が発表されました。
バッグにしたときの収容スペースがどれくらいなのかが最も気になるところですが、着用したときのことを考えるとあまり重いものは入れないほうが良さそう。ただ一般的なジャケットはかさばるので、脱いだあと収容場所に困らないのはありがたい(ジャージのバックポケットをフリーにしておけるし)。

かなり飛び道具的なコンセプトですが、ジャケットは断熱性があり、防風・撥水加工も施されているので、天候の変化が大きい環境下でミニマムな荷物運用をしたいときにひとつあると便利だろうなと思います。価格は€330/$390(対ドル円安でユーロが安く感じる)。

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