Specializedを心ゆくまで、味わう。
ロードバイク購入時の課題として、欲しいモデルを試乗する機会にほとんど恵まれないということがあります。 試乗イベントは定期的に開催されていますが、予定が合わなかったり欲しいタイミングで開催されていなかったりということがほとんど。高価な買い物だけに、好きなモデルを好きなタイミングでテストできればいいのに、と思うことがよくあります。それは初めての1台を選ぶときはもちろん、2台目・3台目を探すときも同じこと。
スペシャライズドが東京都内で展開する「Be Specialized」というレンタルサービスは、ロードバイクを始めたいとき、あるいはスペシャライズドのモデルを何か検討しているときなど、次の1台を求めるあらゆる人たちに対する最適解。
僕も以前Vengeテストライドで味わった体験の余韻がまだ残っていて、このメーカーが作り出す乗り心地をもう一度味わいたいと思っていました。
そのタイミングでSpecializedの方から声をかけてもらい、仲間とともに“Be Specialized ─ スペシャライズドの一員になる“ことに。
1. Be Specialized – ビー・スペシャライズド
Be Specialized サービス概要
レンタル場所:Specialized新宿
レンタル時間:11:00〜18:00(最長5日間)
価格:スタンダードモデル ¥2,500/日、プレミアムモデル ¥6,000/日
※デジタルツールによるフィッティング付き
※ペダル(SPD/SPD-SL)/ヘルメットの貸出無料
サービス内容からわかるように、ものすごくお得な費用のレンタルサービス。
フィッティング込みで¥2,500からレンタルできるので、はじめてロードバイクに乗ってみたいときや、ロードに興味のある友だちをサイクリングに誘うときにも最適。
プレミアムモデルはS-Worksを借りられます。現状はTarmacだけですが、Vengeもラインナップに加わる予定。なかなかほかのメーカーでもハイエンドバイクをレンタルできる機会はないので、実際に乗り心地を味わってから判断することができます。
今回僕は軽量バイクのS-Works Tarmacを、一緒に行った仲間は(先行して)S-Works Vengeをレンタルすることに。
2. RETUL Matchと、その真の狙い
デジタルツールでフィッティングを。
レンタル前に、「RETUL Match(リチュール・マッチ)」という簡易フィッティングを受け、最適なバイクサイズとサドル高を出していきす。ここでのフィッティングは、センサーを用いて計測者が対象者に触れることなく体型を計っていくもの。
一般的にショップで行われる簡易フィッティングは、専用器具を使ってアナログで計測するのが普通。股下にモノを当てて測る従来の方法は、わりと抵抗のある方が多いと思います。僕でさえ気恥ずかしさがあったので、女性であればなおさら。
でもRETUL Matchの測定はもっと簡単。下半身の左右6箇所をセンサーで読み取るだけで、股下サイズが自動計測され、そこから最適なサドル高とフレームサイズを提案してくれます。
下肢の長さを計測する。
まずは性別、乗車姿勢やライド頻度など、簡単な質問に回答。
そしてセンサーを用いて計測へ。
まず骨盤の位置にセンサーを当てて──
次はひざの中心…
そして最後にくるぶしの位置を計測。
それだけで、さっと片方の足のサイズが算出されます。
これをもう一方の足でも行えば計測完了。
その計測値を元に、最適なサドル高とロードバイクサイズがさくっと提示されます。
バイクサイズはモデルによって最適なサイズが異なる場合があって、Tarmacだと58cm、Allezだと56cmということも。瞬時にそれを提案してくれるので、サイジングに迷うことがありません。
最後にメールアドレスを入力すれば、今回計測したデータを手元に保存しておくことができます。
ついでに骨盤も計測してしまう。
ついでなので、骨盤の幅も計測してもらいます。
といっても、この椅子状の器具に座るだけ。
骨盤計測中…
はい、できました。
Specializedのサドルは骨盤の幅に合わせられるよう2サイズ展開なので(女性は3サイズ)、どのサイズがマッチするかがこれでわかります。今回の場合は143cmサイズ。
RETUL Matchの真の狙い
計測で使われる機器は、Specialized社が2012年に完全子会社化したRETULというメーカーによるもの。
このシステムの優れているところは、手軽に計測できることだけでなく、これまで世界中でRETUL Matchを受けた「約4万人の計測データ」をSpecialized社が保有しているということ。
バイクに乗る人たちだけに限った平均的な体型を、年齢・性別・地域別などで算出できることで、最適なフレームのジオメトリを導き出すことに利用したり、またどのエリアでどのような製品展開をすれば良いかといったマーケティング戦略に落とし込むことができます。
現状アジア圏の体型データの割合はまだ少ないようなので、もっとRETUL Matchを受ける人が増えてデータが貯まれば、アジア向けの製品開発も充実していく可能性があります。
国内全体でロードバイク購入後にフィッティングする人の割合は、簡易フィッティング含めて購入者全体のたった15%しかいないというデータがあり、フィッティング未経験者が「Be Specialized」を使って手軽にフィッティングできることは、お互いにとってWin-Winになります。
*
RETUL Matchが担う領域は、自転車業界では革新的。
まだFAX(!)を一部使うようなアナログ感が残る業界で、こうやってしっかりとデジタルを活用していく動きが見えるだけで感動してしまいます。
データを制するものが勝ち残るこの時代、業界に先駆けてその重要性を理解し、開発にもマーケティングにも活用しはじめているSpecializedは、この先大きなアドバンテージを握っていくこととと思います。
ライドポジション全体を最適化する場合は、半日かけてフィッティングを行うBody Geometry FIT(¥32,400〜)もあります
3. S-Worksで走り出そう
バイクの調整
RETUL Matchで計測された値を元にバイクを調整してもらいます。
サイズ合わせのほか、ペダルやサイコンマウントの取り付けもOK。
ペダルはSPD/SPD-SLをレンタルできますが、ほかのペダルを使っている場合は持参して付け替えてもらいます。
最終的に調整された状態を確認して、しばらくの時間一緒に過ごすバイクに「よろしくね」と心の中で伝えます。
周辺のおすすめコース
レンタル後は好きな道を走ることが可能。
今回借りた新宿周辺でおすすめのコースを聞くと「自分の走り慣れたコースが一番良い」とのこと。いつも走っている道であれば、普段乗っているバイクとの比較ができることに。
ただ、この日は信じられない猛暑だったのであまり遠出はせず、都心で平坦とアップダウン両方を試せる定番周回コース「神宮外苑(1周1.3km)」「赤坂御用地(1周3km)」「皇居(1周5km)」の3つをそれぞれ走ります。
バイクの性能を試す意味で、新宿近辺ではこのコースが最適だと思います(交通法規は遵守)。
新しいバイクを感じ取る
VengeとTarmac、一緒に走るとそれぞれの特性の違いが明確。
平坦を無音で加速していくVenge。高速域での伸びと維持がすごく良く、速度が全然落ちない。
神宮外苑の周回を引いてもらいながら、スプリント&巡航力の高さを後ろで感じ取ります。
対して軽量バイクTarmacは、平坦の高速域ではVengeに歯が立たないものの、赤坂御用地のようなアップダウンのある道ではバランスの良い走りが有利に働きます。
特にコーナーからの立ち上がりや、下りから上りへの切り返しなど、コースの変化に対してもタメのないクイックな反応ができる優秀なバイクという印象が顕著でした。
オールラウンドに乗るにはスゴく良いバイクだなーと思いながら、心弾むような動きでペダルの回転数が上がっていく状態。
試乗イベントにはないフリーな気分で、思う存分バイクを堪能することができます。
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最後にカフェに立ち寄って、自分たちが乗ったバイクを眺めながら、どんな乗り心地だったか、どこが良かったかをお互いに語らう至福の時間。
カフェ休憩&自転車トークは、ロードサイクリングにはいつも欠かせないもの。
心も体も満足し、帰路へ。
4. 満足レベル高すぎ
試乗イベントだと決められたコースしか走れず、丁寧にフィッティングされない状態で乗ることが多いもの。
今回はRETUL Matchを受けられた上に、時間制約もほとんどなく(11-18時)、心ゆくまでハイエンドバイクを味わうことができました。
費用面でもフィッティング付きでスタンダードモデル1日¥2,500は安すぎ。
競合メーカーの価格を見ると、Giantは5時間¥3,500〜9,000、Bianchiは1時間¥1,500。ライバルよりもはるかに競争力のある価格設定を意識的にしています。
でも全体で見ると、やはり1日¥6,000のプレミアムモデルが人気のよう。僕らロード経験者たちがハイエンドバイクのS-Worksを好きなだけ乗りこなせる体験には、この費用をかける価値が十分にあります。
まだ新宿店舗でしか展開していないサービスですが、ほかのエリアでもBe Specializedが受けられることを期待しています。
(そしてさらにS-Worksに心が持っていかれることに、、、)
こんなときに体験しよう
- ・S-Worksモデルを試乗したい
・さくっとフィッティングを受けてみたい
・ロードバイクに乗ってみたい
・ロードバイクを持っていない友だちを誘ってサイクリングにいきたい
はじめてロードバイクを試乗する方のための持ちもの
- ・ストレッチ性の高いスポーツウェア
(前傾して背中が出ないようにトップスは丈の長いものを)
・スニーカー
・サングラス
・日焼け止め
・ペットボトル
・補給食
Be Specializedを体験する