シティサイクルでも立ち漕ぎしている人がいるように、ロードバイクのダンシングもかたちだけであれば誰でもできるものです。
しかし本格的に速くなるためには、しっかりしたトレーニングや状況に応じたフォームの使い分けをする必要があります。普段あまり意識せずに立ち漕ぎしていた方も、ダンシングの基礎を知ればもっと効率的に走れるようになるので、これからお話することを意識してみてください。
1. 2種類のダンシングを極める
ダンシングには大きく分けて「踏み込むダンシング」と「休むダンシング」の2種類があります。
① 踏み込むダンシング
使用場面:ゼロ加速、後期加速、スプリント、短いヒルクライム
力を開放する加速用のダンシング。
短距離のときは多用できますが、脚に疲労が蓄積されていくので、中長距離を走るときは使うタイミングを考えます。脚が太いスプリンター脚質の人はこのダンシングを長時間持続できます。
フォームのコツ
背筋や腕の筋肉など上半身をフル稼働することが非常に重要です。
- ・空気抵抗を減らすために前傾姿勢になる
- ・脚を踏み込むときに、反対側のハンドルを地面に抑えこむ
- – 脚の強い力でバイクがブレてしまうことを防ぎます。抑えこまないと前輪が暴れて進む力が逃げてしまいます(ただし、ハンドル側に体重をかけすぎないようにします)。
- – 抑えこむと自然にバイクは左右に振れます。意識して左右に揺らそうとする必要はありません
- ・下半身は1時〜3時のところで思い切り踏み込む。
踏み込むダンシングを動画でチェック!
↑やはり全力スプリントが参考になります(2:10〜)さいたまクリテリウム2014の映像(ヘッドバンギングしている人がいる。。)。
② 休むダンシング
使用場面:平地巡航、ヒルクライム
スピードは出ませんが、筋肉ではなく体重を使ってペダルを踏むことで、脚を休ませながら進むことができるダンシング。
乳酸がたまる前に意識して使うようにすることで、長時間の巡航やヒルクライムにおける対応力が高まります。
フォームのコツ
- ・上体を起こして呼吸しやすい楽な姿勢をとる
- ・ハンドルは強く握らない。上半身の体重を自然にハンドルにあずけるイメージ
- ・脚は体重をそのままペダルに乗せるだけ。踏み込んで脚を使わないように
- ・つま先ではなくかかと側をおろす方に意識を持っていく
2. シッティングとの使い分けと移行時のコツ
長時間自転車に乗っていると、体のあちこちに疲労が蓄積されていきます。
ペダリングの使い分けの記事でも話したように、長く速く走るためには使う筋肉を入れ替えて疲れを分散させることが重要。
だからダンシングでもシッティングでも、体のどの部分が使われているかを意識しながら走ると、「ダンシングで太ももがつりそうだから座って回すペダリングをしよう」とか「高速巡航で太ももに乳酸溜まってきたから立って休むダンシングしよう」といった『立ち』と『座り』の意図的なフォーム替えもできるようになります。
シッティングとダンシングをうまく組み合わせて体全体をマネジメントしてください。
ダンシング→シッティング移行時のコツ
初心者の頃にありがちなのが、ダンシングからシッティングに移行するときに、疲れて脚を止めてしまうこと。せっかくパワーを出してスピードに乗ったのに、続けて回転の力を与えないとすぐにスピードが落ちてしまうのでとてももったいないことです。
最初はどうしても脚が持つ限りダンシングを頑張ってしまう傾向がありますが、脚を使い切る前にシッティングに移行してペダリングを続けるようにすると、うまく疲労のコントロールができます。意識して同じ回転を続けるようにしてください。
また特に登りで有効ですが、シッティングに移行するタイミングで、意識的にギアを1〜2枚ほど落とします。そうすることで、座ったときに脚に対して余計なストレスをかけずに回し続けることができます。
フォームの使い分けとギアの細かな調整ができるようになると、走りの幅が拡がってもっと乗ることが楽しくなるはず。
3. ダンシングがうまく出来ない場合
もし「ダンシングはすぐ疲れる」「バイクが暴れてフォームが安定しない」という状態であれば、上半身の筋肉量が不十分である可能性があります。
前傾でダンシングしているときに力いっぱい脚を踏み込むと、ロードバイクは左右に暴れようとします。それをコントロールするのが上半身の筋肉。特に腕の筋肉と背筋(ファビアン)が重要で、しっかり上体を支えられないと力がロードバイクにうまく伝わらない上に、立ったときに安定しません。
ダンシングを上達させたいとき、最初の頃はロードバイクに乗る時間を増やすことも大事ですが、併せて上半身の筋トレも効果的なのでお試しください。
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